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山小屋の接客について

 富士山の山小屋で不愉快な応対を受けて嫌な思いをする人が時々います。人間がからむと、不愉快さって倍増するんですよねえ。せっかくの楽しい富士登山もだいなし です。そういった不愉快な思いを多少なりとも避けるコツのようなものを書いてみます。

宿泊者が最優先
 宿泊者がまだ寝ている時間帯では、小さな山小屋では飲料などを売ってくれませんし、また軒先でうるさくしていると店の兄ちゃんに怒鳴られることがあります。彼に してみれば、宿泊者に静かに眠らせてやろうという配慮。でも、一度注意しても、後から後から登山者がやってきてうるさくするので、ついにはプッツンして怒鳴るとい う過程が容易に想像できます。山小屋にとっては、やはり客単価の高い宿泊者を大事にするのは当然のことでしょう。

夜間は山小屋では基本的に「休憩」ができない
 山小屋は夜間(日の出まで)は基本的には「休憩」を認めていません。わずかな時間でも「宿泊」扱いになります。(夜明け以降は1時間1000円ほどで休憩できる山小屋はあります)。しかし、悪天候などで生命の危険がある場合は、宿泊扱いになっても仕方ありませんから山小屋に入りましょう。

 入り口付近に食堂のようなテーブルを設置している山小屋では、食事、コーヒーなどを注文すれば、その間、休憩ができます。(富士宮口なら六合目の雲海荘、九合目の万年雪山荘に、吉田口なら八合目トモエ館に、食堂のスペースがあります。ただし、宿泊者が寝ている間は利用できないことはあります)夜間でもコーヒーなどを販売している山小屋はありますが、そういった飲食スペースがない場合は、たとえ雨が降っていても、外に出ていってくれと言われることがあります。山頂の山小屋は、河口湖口側が午前三時半頃、富士宮口側が午前五時から食堂として営業を始めます。オールナイトで営業しているわけではありません。

宿泊を断られることがある
 どしゃぶりでも満杯の場合は宿泊を拒否されます。山小屋とすれば、泊めてあげたくても収容力をオーバーしたらどうしようもありません。予約を入れておけば問題なさそうですが、超混雑時期にいきなり行って、悪天候だから、あるいは高山病でふらふらだから泊めてくれと行っても断られる可能性があることは、ちらっと覚えておいた方が無難です。逆に宿泊スペースに余裕があれば歓迎してくれるはずです。つまり、あまり混雑する時期は避けた方が良いということです。

混んでいると、せちがらくなる。
 頂上の山小屋がオープンすれば、中に入って休憩できますが、やはりなにか注文しないと居心地が悪いです。混んでいる時に、気分が悪いからと横になって広いスペースを占有していると、注意されることは当然あります。知人は、山頂の山小屋で食事後、普通におとなしく座っていたら「混んできたので、早く出ていってくれ」と言われたことがあります。まあ、混雑時は、次に待っている人が多いのだから仕方ないですね。

山小屋のゴミ箱にゴミを捨てない
 これで注意されて気まずい思いをする場合が結構多いようです。その山小屋で購入したものはもちろん捨てて良いですが、持参したものを捨てているのを見つかると、かなりこっぴどく怒鳴られても文句は言えません。富士山では、ゴミを下界に下ろすにも、高額の輸送費と人件費がかかるのです。持参したゴミは必ず持ち帰ること。

 善意で富士山のゴミ拾いをする人が増えています。とても良いことですが、しかし中には、その集めたゴミをを山小屋に託して帰る人がいるそうです。本人は良いことをしたと自己満足する一方で、山小屋側では余計な負担、コストを強いられて困ってしまいます。ゴミ拾いをするのであれば、山麓まで自分で運び降ろす覚悟でやってください。


 一方で、無料で暖かく休憩させてくれた、という話もよく聞きます。ただ、それは、あくまで「例外的な」サービスなのであって、山小屋も商売でやっている以上、基本的には全てのサービスに対価を要求されることは仕方ないと割り切っておくほうが、不愉快な思いを減らすことになります。たった2ヶ月の間に稼いでしまわないといけないので、どうしてもせちがらくなるのです。そして、決定的なのは、富士山にはリピーターの割合が少ないので、どんなにお客に不愉快な思いをさせてもあまり影響がない。別の宿泊希望者が大勢いるということです。たぶん、これが一番大きいと思います。

 従業員自体が、長期に渡る高所生活で精神的にも肉体的にも疲労していることも原因の一つでしょう。自分のプライバシーがないような状態で、夜もろくに眠れず、二ヶ月も連続して働いて過ごすと考えただけで、私なんか身震いがしてきます。また、押し寄せてくる人間に対してマンパワーが決定的に不足しているために、十分な応対ができないということもあるでしょう。

 ただ、客の方が過剰に不愉快に反応してしまう場合はあると思います。まず、従業員の兄ちゃんたちはたいてい無精ひげをはやしています。それがまず怖い。そして声がでかい。そうしないと大勢の客をさばけないからです。また、口調もタメ口。兄ちゃんには特に悪意がなくても、自分は客だから、ということで丁寧語を期待していると、それだけでそのギャップに驚くことになります。そういう部分については、そういうものだと軽く受け流すのが良いでしょう。それでも、明らかに理不尽な場合もあるようです。私の場合は、かなり以前になりますが、下山時にポカリスウェットを買ったら、それはポカリスウェットの空き瓶に水を入れている代物という詐欺にあったことがあります。

 ただし、念のために付け加えておきますが、たいていの山小屋では不愉快な思いをするようなことはあまりありません。むしろ暖かい応対に感激することだって少なくありません。ただ、混んでいるときに、マンパワー不足で無視されてしまって、気まずいことはあるかもしれません。また、混雑時に客の回転を速くするために、食事後にすみやかな退出を求められることはあるでしょうが、実際に席が空くのを待っている他の登山者もいるわけです。そして、やはり稼ぐ必要があるという山小屋の事情も考慮して 協力してあげてください。

 なお、山小屋での宿泊を予約しておきながら、連絡をせずに、どたキャンする客が、けっこういて、迷惑しているという話を聞きます。キャンセルの連絡をしないと、山小屋ではいつまでも待っていなければなりません。行けなくなったら必ず連絡をいれてください。キャンセル料はいらないという山小屋もあるようですが、一方、キャンセル料の徴収を明確にしている山小屋もあります。山小屋ごとに対応が異なりますので、キャンセル料については予約時に確認して下さい。

(追記)そうはいっても…。

 実際に不愉快な思いをしたという体験メールを送って下さる方が2年に一度のペースでおられます。しかしながらその山小屋を実名で表記するわけにもいきません。どうしてもそういうのが気になる方はインターネットで検索して情報を探してみて下さい。ただ、悪い山小屋を探すよりも評判の良い山小屋を検索して探す方が効率が良いと思います。自分が利用する山小屋が良い山小屋ならそれで問題ないわけですから。

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親子登山の様子を描いた4コママンガです。富士登山の雰囲気が分かります。ぜひ、ご覧になって下さい。

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