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  私の富士登山記・15


 2001年7月28日(土)・須走口

 飲み会の友人たちと須走口へ行ってきました。これまで、その飲み会の富士登山では富士宮口、河口湖口を登ってきたので、今回は須走口にしました。総計10名(♂8:初めて4人、♀2:初めて2人)。車4台に分乗。午前1時に東名中井PAで待ち合わせ午後3時頃に現地到着を予定していましたが、中井PAでの集合が30分早く、そこから須走口までも思ったほど時間がかからなかったので午前2時5分に五合目到着。そのおかげでギリギリで駐車場に車を止めることができました。

 実は当日が近づいてくるにつれて、午前3時到着で果たして駐車場が空いているかどうか心配になっていたのです。最近は須走口の駐車場も週末はあふれることが多いと聞いていましたので。あくまで推測なのですが、ちょうど台風が近づいていまして、もしかしたら中には週末の富士登山の予定を中止した人がいたかもしれません。その分、駐車場に余裕があったのではと思います。下の第2駐車場は満車、上の第3駐車場が残り8台ほど。本当にすべりこみセーフといった感じです。

 現地に着いた時、みんなが「寒い寒い」を連発しました。そこで、やや多めに服を着込んでいったのですが、樹林帯の中は無風で湿気も多く、すぐに蒸し暑くなってしまいました。これは失敗したかなと思ったのですが、樹林帯を抜けると風が強く、寒さを感じました。風が強いと結構、体力を消耗します。

 本来は10人がまとまって登るべきなのですが、私の統率力のなさもあって、見事に3つに分裂しました。でも、それぞれに富士登山経験者がいるし、各グループに携帯電話を持っている人がいるので、「ま、いっか」ということになりました(よくないのですけど)。また、「一番最後のグループが先に行った」と言い出す人がいて、それでは追いつかねばと、どんどん進んでいったせいで、完全に間隔が開いてしまいました。それに実際問題として、あまりにも登山スピードが違うとまとめようがないですね。バスツアーの添乗員、ガイドの方のご苦労は大変なものだと思います。

 結局、一番最後のグループ(5人)は高山病が発症した人がいたりして、七合目・大陽館で引き返すことになりました。ここからちょうど砂走りが始まるので、引き返すにはちょうど良いポイントではあります。彼らには我々を待たずに先に帰途についてもらいました。携帯電話で連絡できたおかげです。やはり便利ですねえ。先頭は8:30に登頂、私は10:10にゴールしました。結局、登ったのは5名。

 途中、見晴館付近で、「まちがって須走口の方へ下りてしまって、今、登り返している」という方と会いました。その方と一緒に河口湖口との分岐点の八合目江戸屋まで登りましたが、その時はすでに2時間遅れていました。添乗員の説明がよく聞こえず、須走口へ下山してしまったのだそうです。下山時にもそういう方がいました。確かに初めてだとまちがっても仕方がないような気がします。河口湖口へ下りる場合は要注意です。

 登頂後は、先に到着した2人にお鉢めぐりをしてもらい、その間、残りの3人で昼食休憩をしました。いつもは登頂したらすぐに休みたいので、久須志神社側の山小屋に入るのですが、今回は、Web3776を運営しているこみゅさんにご挨拶するために、彼が働いているお店に行きました。牛丼800円が美味しかったです。そのお店では山頂郵便局まで手紙を一通200円で運ぶサービスをやっています。

 一緒に昼食休憩した2人は、実は前日全く寝ておらず、食事後、ずっと横になっていました。そのうちの1人は富士登山が初めてだったのですが、急遽、参加したせいもあって、底が薄くて平べったいスニーカーを履いていました。登山後、彼は「底が薄いせいで岩がごつごつして痛かった。底がつるつる滑って歩きにくかった。砂が靴の中に大量に入ってきて痛かった。このことは(反面教師として)HPに掲載して良い」と述べました。登山に不向きな靴を履き、杖も買わず、睡魔と戦い、登山中に痛めた腰の痛みに苦しみつつも、見事に登り切ったのは、尋常ではない彼の体力と根性の賜物でありましょう。このHPを読んでいてくれたら、そこまで苦労はしなかったのでは、と思いました。

 山頂には新しいトイレが二つできていました。7月7日の登山ではまだなかったものです。バイオトイレと、個室型トイレ「よっといれ」です。どちらも使用料が200円と従来式の2倍ですが、とてもきれいなので100円の差はまったく気になりません。
河口湖口山頂のトイレ

 今回は下山が快調そのものでした。砂走りを30分で通過。2週間前の時に比べて半分の時間です。どうやら登りで(後続を待つために)休憩をたくさんとりながらゆっくり登ったおかげで体力が温存でき、足の疲れがあまりなかったせいだと思います。かくして、私自身はけっこう快適な富士登山となりました。下山途中、フリースとダウンジャケットを着ている人がいました。日中の暑いさなかにそんなに厚着をして、熱中症にかからないのかと心配してしまいました。私は先日、みのもんたのおもいっきりテレビで熱中症のことを見まして、そこで知った知識を応用して、今回、下山時はシャツのボタンをだらしなく全開にしていました。少しでも熱を放散するためです(腕が日焼けするので脱ぐわけにはいかないのです)。そのせいか若干、水分の摂取量も少なかったような気がします。

 さて、今回、感じたことです。

 私は須走口がベストルートだと思っています。それは今でも変わりませんが、初心者には、スタート地点が低いことが、やはり不利であることを再認識しました。富士宮口に比べて400mも低いというのはやはりかなりのハンディです。リタイア組は大陽館(約3000m)で引き返しましたが、つまり1000m登っているわけです。富士宮口だったら3400mまで来ている換算になります。あと300mちょっとなら、なんとかがんばろうという気にもなるでしょう。

 今回は特に夜間だったため、昼間ならのどかで楽しい樹林帯も、変わり映えのしない単なる暗闇になってしまいました。初めての人は富士山のスケールを知りませんから、どの程度歩けば良いのか知らないのです。そのためいつまでたっても真っ暗な状況が続くため、気力が下がってしまうのです。河口湖口なら夜間でも山小屋の明かりが点々としていますから、まだ目標になりやすいと思います。

 須走口は「通好みの登山道」と称するべきなのでしょう。すでに何度か富士登山を体験していれば、自然を満喫しながら落ち着いて登れる楽しいルートなのですが、初めての人にとって何より重要なのは登頂することであり、まだ自然を楽しむ余裕はありません。そのため須走口が持つ特徴があまり活かされてないような気がします。

 これまで、何度か富士登山が初めての人と登って、全く問題がなかったので気にしていませんでしたが、「体力的に登頂できるかどうか不安だ」という方には、富士宮口(または河口湖口)の方が良いのかもしれません。五合目の標高が低いこと、山小屋が少なくて休憩しづらいことは、やはり不利な要因には相違ありません。(一般的な脚力なら問題ありません。)

2:29 登山開始
4:10 本五合・林館
4:50 六合目・瀬戸館
6:05 七合目・太陽館(22分休憩)
7:05 本七合目・見晴館(10分休憩)
7:50 八合目・江戸屋
8:30 本八合目・胸突江戸屋(13分休憩)
10:10 山頂
12:50 下山開始
13:20 八合目・江戸屋
13:50 七合目・太陽館
14:00 砂走り 14:12 砂走りの途中の大きな岩
14:32 砂払い五合目・吉野屋(26分休憩)
15:20 五合目到着

富士山 2001/7/28
0306091215182124
気温(℃) 3.6 5.9 6.9 8.6 10.08.06.85.9
風向 NEENENNENNENNENE
風速(m/s) 7.29.78.74.14.15.62.64.1
天気 薄曇晴れ薄曇
↑当日の山頂の気象。山と渓谷社のHPより。

所用時間:登り7時間40分、下り2時間30分

★教訓:グループ登山をまとめることの難しさを知る。
(2001/8/30)


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