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  私の富士登山記・17


 2002年7月26日(金)・富士宮口

 弟と今年最初の富士登山にでかけました。富士宮口の五合目駐車場に午前1時半に到着。平日なので上の駐車場の少し奥の方に駐車できました。それから仮眠をしまして3時15分に登山開始。この頃に五合目をスタートするのは、御来光にこだわらなければ、気温がさほど高くも低くもない時間帯に登ることができるので、比較的、楽な富士登山の方法だと思います。

 去年は3回とも須走口を登りましたが、富士宮口は五合目の標高が400mも高いので、なんだかボーナスをもらったような、すごく得をした感じがしました。須走口からだと1時間強歩かなければならないところを自動車で登ってしまうわけですから。風もあまりなく気温も寒くない。絶好の条件でした。眼下には雲海が広がっていましたが、その切れ目から御殿場市の夜景が、まさに宝石箱をひっくり返したようにきらめいていました。また、少しだけ満月ではない月が背後から照らしてくれていて、懐中電灯がなくても歩けるほどでした。

影富士  七合目の山小屋をすぎてしばらくした頃に御来光の時間になりました。残念ながら山に隠れていて見ることはできませんでしたが、逆に「影富士」を見ることができました。富士山の影が遠くの雲にうつっているのです。こういうのは初めてなのでちょっと感激しました。

 それにしても、小さな岩が登山道にごろごろしていて、これを誰かが間違って蹴ってしまうと、簡単に落石が起こりそうだなという思いでずっと登っていました。昨年の須走口では八合目ぐらいまではあまりそういう心配をしたくなるような状況ではなかったのですが。帰宅後、Mrs.Hikingさんから、富士宮口で人の頭ぐらいの石が転がってきたのを、ぎりぎりで回避したというメールをいただき、「ああ、やっぱり」という思いを強くしました。

 天気は快晴で絶好の登山日和。また同行者の弟が、私が登るのが遅いのを承知してくれているので、ぜんぜん急かさないどころか、ちょっと歩幅が大きくなると「もっとゆっくり」と言ってくれるので、楽なペースで登ることができ、すこぶる快適でした。また、須走口に比べて400m高いところから登っているという「お得感」がずっと残っていて気分も良好。結局、たいへん気分良く山頂にたどり着きました。所要時間は5時間10分。

測候所 金明水
 ドームがなくなった測候所を見に行きました。なんだかものたりない。夏だけでも白いアドバルーンをドーム代わりに取り付ければ、などと考えた人はけっこう多いのでは。なにやら工事中でして、展望台へは行くことができませんでした。それから、さらにお鉢めぐりを続けて金明水の碑を見にいきました。富士山の霊水が湧き出る場所でして、かつてはここで水がふるまわれていました。

 この日は富士登山競走が実施されており、先頭ランナーが10時頃に到着するだろうから、それを見ようと河口湖口側の山小屋群へ移動。ランナーは山麓の富士吉田市役所前を朝7時半にスタートして山頂までかけのぼるという、めちゃくちゃ過酷なレースです。上空では取材のヘリコプターが旋回していました。山頂からランナーを待っていると、犬を連れて登っている人が見えました。犬ちゃんの足取りもなかなか元気そうでした。

富士登山競走  やがて、オレンジ色のランニングシャツの先頭ランナーが八合目を過ぎるのが見えてきました。おお、こんな高地を走っている。信じられません。もちろんそんなに凄いスピードというわけではないのですが、高地でへろへろになっている一般の登山客をぐいぐい追い抜いていく。でも、山頂近くになると岩場をよじ登らなければならない場所があったり、また狭い登山道を進むグループ客が邪魔になってなかなか前に進めない。それでもそうこうしているうちにとうとうランナーがゴールに到着しました。その瞬間、彼は、うれしそうに、でも控えめな声で「やった一番」みたいなことを言われたと思います。さすがに贅肉がないスリムな体型です。ただ、こんなにものすごいことをしたわりに、山頂での歓迎の盛り上がりがいまひとつ。もっと派手にチアガールなどが彼の快挙を祝ってあげてもいいのにな、と思ったりしたのですが、でも、ランナー本人にすれば疲労の極致。おとなしくしておいてもらうのが一番なのかもしれません。

シャーリーちゃん  それから御殿場口へ向かって歩いていると、途中でさっきの犬ちゃんが完全にグロッキー状態でうつぶせで寝ていました。顔がぴくりとも動きません。大丈夫だったのでしょうか。(02/8/17追記)その後、この犬ちゃんの飼い主の方と連絡がとれました。チャイニーズシャーペイという犬種で名前はシャーリーちゃん。辛そうな顔をしていてもあの時はすやすやと気持ちよく安眠していたとのこと。もともとそういう顔の犬種だということです。

 銀明水でちょっと休憩してからいよいよ下山開始。富士宮口は岩場ばかりで下山には向いていないので、もっぱら御殿場口を利用しています。落石に注意しながらどんどん進んでいきました。次週に行われる、富士登山駅伝のランナーたちが練習をしていました。こんな岩だらけの場所を、本番では飛ぶように駆け下りていくのです。信じられない気持ちになります。やがて長田尾根という鉄製手すりがある場所に到着。そこには山小屋跡がある。落石の危険度が少なそうなので、とりあえずここで一休み。御殿場口がずっと見渡せて絶景でした。

御殿場口

 さらにどんどん下山して宝永火口へ。かなり風が強くなってきました。ふかふかの砂礫を踏み込みながら火口底へ。ここまでは順調だったのですが、ここから富士宮口へは新六合目まで登り返さなければなりません。これがしんどい。一気に疲れがでて軽い頭痛も。ようやく雲海荘についてカルピスウォーターをのんで吐き気を抑える。その時、あるご老人が数人の人に説得されていたのですが、状況はよくわからない。単独登山は危険だから止めるようにとでも言われていたのかも。

 やっと新五合目へ。ところが看板の地図を見ると、宝永火口から直接駐車場までやってこられるように書かれてある。ありゃ、これを使えばもっと楽に下りられるのかいな。帰宅して調べてみたところ、それは「宝永遊歩道」というもの。富士宮口の新五合目から新六合目を経由して宝永火口を見てから駐車場の端に至るコース。でも、こちらも途中に登り返しの部分があって、高度的にさほど有利なわけではなさそう。

 今回は快晴で非常に良い条件でした。また、須走口に比べて400mスタート地点が高いことも、その有利さを再認識した次第。ただし、前述したように簡単に転がり落ちそうな岩が多いので、特に人為的な落石には注意しなければならない登山道だと感じました。

3:15 登山開始
3:32 新六合目
4:20 新七合目
5:10 元祖七合目5:20
6:01 八合目6:15
6:50 九合目7:05
7:35 九合五勺7:45
8:25 山頂
8:55 測候所9:25
9:50 河口湖口
10:47 NTT
11:00 下山
11:31 赤岩八合館
12:06 七合目
12:24 宝永火口上
12:45 宝永火口底
13:31 五合目到着
富士山 2002/7/26
0306091215182124
気温(℃) 4.7 5.1 8.9 12.1 11.5
風向 SEESEESEENNN
風速(m/s) 5.14.62.01.53.1
天気 快晴快晴晴れ
↑当日の山頂の気象。山と渓谷社のHPより。

★教訓:富士宮口では特に人為的落石に注意すべきであることを知る。
(2002/7/29)


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