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私の富士登山記・29


 2009年8月28日(金) 須走口

 今年は7月は残雪、天候不順などで登るチャンスを逸し、8月のお盆休みは混んでいるから止めようとか考えているうちに、いつのまにか8月下旬。そろそろ登ろうかなと思い、プランをいろいろ考え始めました。もう日帰りは体力的に無理な気がしたので1泊二日を考えたのですが、私は図体がでかいので(180センチ、86キロ)、週末に混んだ山小屋の狭い寝床で寝るのはつらいし、他の方にも迷惑。それならやはり9月にしようかなといろいろ考えました。結局、とりあえず日帰りで行ってみることにしました。体力的にダメなら途中で引き返して9月にじっくり再挑戦できるので。天気予報を見ると週末に少し崩れそうなので、会社を休んで金曜日に行くことに決めました。

 今年から須走口発20時30分のバスが金~日に設定されました。以前は最終が18時10分だったので、私が住んでいる横浜市鶴見区からは公共交通機関を利用すると日帰りがかなり困難でした。しかし2時間以上の余裕ができたのでこれは使える!と思い、プランを練りました。私は須走口なら約2時間半で下山するので、多めに余裕を見て3時間半としても山頂を17時に下山開始すれば間に合います。往路は、一番早いJR、バスを利用すると五合目に8時到着。しかし、それは最寄りの京急がまだ始発前なので利用できないためJR鶴見駅まで20分ほど歩かなければなりません。これが面倒。次の便にすると9時到着。これなら17時まで8時間あります。これだけあれば、なんとか登頂できるのではないかと思いました。

 横浜駅5時。東海道線、静岡行き。普通電車ですが特急に使用するようなきれいな車両です。私は連結部分の座席へ進みました。4人がけシートの間にテーブルが備え付けてありました。なかなか豪華な造りです。座席が空いていたので60才代後半ぐらいの男性に「空いてますか?」と聞いたら「来るから」という返事。自由席なのに知人が座るからとやんわり拒否されました。まあ、このぐらいは誰でもやることなので、それではと、座席に荷物を置いて一人で2人分を占領して新聞を拡げて読んでいる60才代ぐらいの別の男性に向かって「お願いします」と言ったところ、周囲を見回して混んでいることを確認すると「仕方ねえなあ」という感じで渋々立ち上がり荷物を棚へ。やな感じ。普通の感覚なら、横浜で大勢の客が乗り込んで来たときに自主的に座席を空けないか?「まったく最近のオヤジは(`ε´)」とちょっと憤慨。それでも国府津まで約1時間、座っていけることになったので、まあ良かったと安堵しました。

 国府津で御殿場線に乗り換え。ここでも座ることができました。のんびり走るので御殿場まで約1時間。しかし、以前、30分ぐらい遅れて出発した時も到着は定時通りだったので、その気になれば30分で走れるはずなのです。電車は定刻通り御殿場駅に7時20分着。登山バスの出発時間は8時10分。約40分の待ち合わせ。これは少し長すぎる感じがしました。6000円払ってタクシーに乗ろうかとも思いましたが、さすがにそれはもったいないので自重。一つ後の電車で来ても登山バスには間に合うのですが、それだと座れないかもしれないという心配がありました。でも、どうせ40分立ってバス乗り場で待つのなら、1時間バスの中で立ってもあまり変わらなかったかもしれません。

 やがて、須走口行きのバス停の前に登校前の学生さんたちがたくさん集まってきました。同じ場所から5分前に発車するバスに乗るためでした。私は登山バスの行列の2番目に並びましたが、乗り場周辺が混雑していたので、通路を塞がないように先頭の人から少しスペースを空けて並びました。私の後に登山者の行列ができて20人ほど並びました。やがて学生さんたちを乗せたバスが出発。それでも、行列を詰めてしまうと通路を塞いでしまうので、そのままの状態で並んでいました。ところがそこに単独登山の茶髪の60才代後半ぐらいのオヤジが堂々と乗り場の先頭に割り込み。なんとまあ。見事なまでに堂々とした割り込みだこと。ただ、行列のことに気づかないのかなとも思ったのですが、やがてバスが来て乗り込む時に先頭の人も押しのけて乗っていったので、「ああ、やはり割り込みオヤジだったのだな」と気づきました。もちろんあまり良い感じはしませんでした。せっかくの富士登山なのにこんなオヤジが一番の思い出になるのはいやだなあと思いながら五合目へ向かいました。 またまた「まったく最近のオヤジは(`ε´)」と思いました。私は52才なので、若い人から見れば私自身がすっかりオヤジなのですがね。



 午前9時に須走口新五合目へ到着。富士山がキレイに見渡せます。とりあえず一服しようと思って山荘・菊屋へ。ここで確認したかったのは、のりピーの写真がどうなったか。かつて、のりピーハウスというタレントグッズショップがそこと本八合目にありました。当時のとてもかわいいのりピーの写真が壁に飾ってあり、それを眺めてから登るのがこれまでのパターンだったのです。しかし、当然の事ながらその写真は撤去されていました。のりピーは2回富士登山をして、山頂で歌ったこともある。そしてタレントショップまであったということで、まさに富士山のアイドルと言っても良い存在だっただけに、今回の事件は残念至極、しかし、そのせいでワイドショーなどで当時、富士登山をするのりピーの貴重な映像をいろいろ見ることができました。でもやはり残念。

 そんなにお腹が空いていなかったのでソフトクリームを注文しました。とても美味しく、登る元気がわいてきました。結局、五合目で40分ほどのんびりしてから登山開始。上半身はTシャツに長袖シャツという服装でしたが、天気が良く歩いているうちにすぐに汗ばんできたので長袖シャツは脱ぎました。樹林帯が日差しを遮ってくれます。やがて樹林帯がとぎれて視界が開ける場所に到着。いつもは景色を見ながら水を補給するのですが、今回はその手前、木陰がある場所で休憩しました。

 しばらく樹林帯の中を歩いて行き、また視界が開けた場所に到着。すると、さっきの割り込みオヤジが三脚にカメラを取り付けてセルフタイマーで自分を撮影しようとしていました。背景は見事に晴れ上がった富士山。邪魔をしては悪いのでしばらく立ち止まって待っていました。私の他にも数名立ち止まり待ちました。割り込みオヤジは少し手間取りながらもアングルが決まったようで、セルフタイマーをセットしてカメラの前へ。

 すると驚いた事に、割り込みオヤジは、両足を開いて膝を90度に曲げ、両手のヒジも90度に曲げてニッコリしながらVサインのポーズ。数人が見ているのに、なんとファンキーなオヤジなのかと思いました。本当にマイペースな人なのですね。だから平気で割り込みもできるのだな。それでも、我々に向かって「待ってくれてありがとう」という感じで会釈をしたので、「仕方ないなあ(´ρ`)」と苦笑するしかないような気持ちになりました。結局、今回の登山は、この【割り込みファンキーオヤジ】の印象が一番強烈に残ってしまいました。とほほ。


 天気が良い時の須走口は自然を感じることができてとても楽しいです。のんびりと登り続けました。もちろん途中で苦しくなって何度も小休止。でも、これが富士登山。やがて長田山荘に到着。平日のせいか、シニアのみなさんが15名ほど休憩中。なかなかの賑わいでした。ここは日射しを遮るものがないので、座らずにそのまま登山続行。灌木が途切ると左側に砂走りを下りてくる人たちが見えます。日射しが強すぎるのも困るなあと思っていたら、時々、薄い雲が現れて日射しを少し遮ってくれました。風が山頂へ向かっていたのもありがたかった。少しですが後ろから押してくれるような感じでした。

 順調に登り続けて瀬戸館も通過。しかし、その後、木々がなくなり斜度が強くなってきたあたりで眠くなってきました。起きたのが4時頃で現在正午過ぎ。お腹も空いてきたようで、ふらふらしてきました。両手ステッキで身体を支えながら歩き続けました。この時点では、大陽館に宿泊することを考え始めました。さぞかし気持ちよく昼寝ができるだろう。そして夕方目覚めたら夕食を食べて、また翌朝まで寝る。そして美味しそうな朝食のニオイで目覚める。なかなか素晴らしいプランです。でも、とにかく大陽館に着かなければ。すでに建物は見えていますがなかなか近くならない。あせらずにゆっくりと登り続けました。


 そんな状態を30分ほど続けてようやく大陽館へ。ここも平日なのに15人ぐらいが休憩中。なかなかの盛況。大陽館は昨年からマンガの得意な人が働き出したらしく、特に今年はユーモアのある絵が至るところに貼られていました。ゴルゴ13のタッチで「休んでいけ」とか、はげオヤジがジャンプしながら「ご来光!」と叫んでいる絵など。どれも思わず笑ってしまいたくなるような絵なので、眺めているだけでもけっこう楽しいです。こういう絵を貼ることをOKする山小屋のご主人の感覚は私は好きです。ここでペプシコーラを購入。これが旨い。ベンチに腰掛けてゆっくり飲んでいると、やがて元気が出てきました。それに加えてウィダーインゼリーを摂取。空腹感も収まり、これならまだ登れるということで出発しました。


 大陽館の裏側へ登ると、左側3メートルほど離れた場所になにやら平べったい記念碑のようなものが。たぶん2006年に亡くなった大陽館の名物犬・富士太郎くんのお墓だろうと思い、もっと近くで見たくなって、ロープが張ってあり「立入禁止」という札はあったのですが、一歩足を踏み入れた途端「ワンワン!」と犬に吠えられました。その方向を見ると、少し離れた場所から白い犬2匹がこちらを見て吠えています。富士太郎くんの奥さんと子供です。富士太郎くんはかつては登山道を外れて歩く登山者には吠えて注意したそうです。さすがにその家族も頭が良いです。吠えられちゃったら仕方ないので記念碑を見るのはあきらめました。でも、気になるなあ。一般客が見てはいけないのなら、もう少し離れた場所に設置していただければ、と思いました。

 大陽館の上にある、登山道と下山道の分岐点には、以前は、下山道の左側に「→登山道」という標識が立っていました。立てた人は下山道の右方向にある登山道へ進めというつもりでも、それを見た人は下山道が登山道だと勘違いしてしまいます。一昨年、昨年と大勢の人がミスリードされて下山道を登っていました。砂礫が深く歩きにくく、見晴館を通過しないので休憩もできませんでしたが、現在は下山道には「立入禁止」の標識が立てられ、登山道に「富士山山頂」の標識が立ったので、もはや誰も間違わなくなりました。昨年までは当サイトで注意を促していましたが、単純明快で合理的な標識になって一件落着したことに安心しました。今年の標識リニューアルで一番、意義と効果があった場所だと思います。


 それからも何度も小休止をとりながら登山を続け見晴館を通過。やがて登下山共用のブル道へ。しばらく雨がなかったらしくブル道はすっかり乾燥していました。下山客が歩く時に巻き上げる砂埃がすごい。それを風上に回り込むようにして避けながら八合目の下江戸屋へ到着。吉田ルートと須走ルートの分岐点の標識が新しくなっていましたが少し外側へ傾いていました。標識からは「河口湖」という文字がなくなりました。これまで、一般的に「河口湖口」と呼ばれてきた場所は「富士スバルライン五合目」と行政的には呼ぶことになったようです。「subaru」と「subashiri」。よく似てます。外人さんには気を付けていただきたいものです。なお、「吉田口」はあくまで山麓の登山口です。

 ブル道の砂ぼこりを避けながら本八合目への富士山ホテルへ。標識はそのままブル道を登るように示していますが、私は富士山ホテルの方へ進みました。こちらへ回れば砂ぼこりがありません。それと富士山ホテルで試してみたい事がありました。それは「日本一高い場所でクレジットカードを使うこと」です。2006年から使用可能なのです。富士山ホテルに近づくと、ご主人らしき人から「おつかれさん」と声をかけてもらいました。単独登山だとこういう一言がうれしいです。時間的に雷が心配だったのでその方に尋ねたら今日は全く問題ないとのこと。安心して山頂をめざせます。

 ペットボトル一本でクレジットカードを使うのはやはり恐縮してしまうので1500円の酸素缶を買いました。カードを渡すと店員さんが手のひらサイズの小型端末を操作。そしてプリントアウトされた売上票にサイン。まあ、やることは平地と同じです。売上票の一番下の「ご案内」には「お気をつけてお帰りください」と書いてありました。一般には「またのご来店をお待ちしております」という文言が多いのですが、さすがに3400mにあるお店です。カードを使うのが目的だったのと、年齢的に短期記憶が弱くなっているため、買ったばかりの酸素缶を置き忘れて、山小屋のお兄さんに「いらないの!?」と呼び止められる始末。なお、山小屋がヒマな時間帯だったので、快くカード決裁を受けてもらいましたが、大混雑の時にカード決裁を依頼するのはやはりまずいです。どうしても時間がかかるので。さっさと現金払いで済ませましょう。そもそも、カード決裁は宿泊する外人さんからの要望が多かったから始めたこと。本来は宿泊者用なのです。UFJニコスのサイトを見ると、JCBカードは使えないようです。

 富士山ホテルを回りこんで吉田大沢を眺めてから八合目トモエ館へ。今年も入り口にキムタクの写真が飾ってあるのを確認して、そのまま頂上へ向かって登り始めました。ここまで、腰をおろしてゆっくり休んだのは大陽館でペプシコーラを飲んだ時だけ。あとは水分補給で何度か立ち止まったぐらい。御来光館でトイレに行こうと思ったら、ありゃま閉鎖中。お客さんが少ない時間帯なので清掃でもしているのでしょうか。まあ、絶対行きたいというほどでもないし、山頂ではトイレが使えることがわかっていたのでここではあきらめました。ここでコーラを買おうと思ったのですが売っていないとのこと。仕方がないのでウーロン茶を購入。その時の御来光館はガラガラで、それを見て宿泊を申し込んでいるグループがいましたが、店員から今夜はいっぱいになります、と聞いて驚いていました。まだ15時前。ツアーの団体客は七合目の岩場を必死に登っている頃です。

 当サイトでは「富士山は大混雑」のページに御来光時の大渋滞の写真を掲載していますが、もちろん今はガラガラ。自分のペースでゆっくり登り続けます。15時59分、ようやく山頂に着きました。本八合目から90分。まあまあのペースです。久須志神社に入って無事に登れたことを感謝。若い宮司の方が3人いました。私は読者の方からもらった質問を尋ねてみることにしました。
「売り切れになるお守りはありますか?」
 快く回答していただきました。やはり長寿のお守りは人気があって時期によっては売り切れることがあるそうです。また同じ種類のお守りでも人気のある色があって、それは売り切れることがあります。また新たに「美のお守り」というのが登場したそうで、それも人気だそうです。


 火口を見るために、少し反時計回りに歩いて、久須志岳に行きました。ここからは火口の底まで見渡せます。旧測候所の方は、時間的に逆光になっていました。状況は穏やかでお鉢巡りも可能でしたが、時間的な事を考えて止めることにしました。まだ16時なので1時間半でお鉢巡りをすれば、17時半下山開始で3時間で五合目に着けばバスに間に合う計算になりますが、実はもう一つ問題がありました。 それは、できれば、砂走りは電灯なしで駆け下りたいということです。明るければ下山に有利でも真っ暗になってしまうと、逆にかなり歩きにくいことが予想されました。砂払い五合の吉野屋からは電灯でゆっくり下りれば良いのです。途中の山小屋で宿泊するのなら、ゆっくり夕暮れのお鉢巡りを楽しむこともできますが、やはり当初のプラン通り、最終のバスで帰ることにしました。


 山頂に30分滞在して16時半に下山開始。もう夕暮れが近いので須走口方向に影富士が見えます。この影が時間と共に延びていきます。日時計の超大型版です。昨年は同じ下山ルートで両足の親指の爪にダメージを与えてしまい、見事にペロンチョとはがれてしまったことを反省して、ゆっくり歩きました。また、早く歩くと乾燥したブル道なので砂ぼこりがものすごく舞うのです。前の人を追い抜く時などは気を遣って、砂ぼこりが起きないように、かなりゆっくり歩きました。そのため大陽館まで下山するのがいつもより遅かったです。大陽館ではちょうど夕食の準備中でした。以前、泊まった時は重箱型の食器に料理が盛られていましたが、今回は、普通の白いお皿にきれいに盛られていました。とても美味しそうでした。

 大陽館の前のベンチでスパッツを装着して、いよいよ砂走りへ突入。見下ろすと若い男性が一人だけ下山しているところでした。砂走りへの入口は崖のようになっていて危ない。注意深く下りました。 ところが砂走りに入ってみると、とても歩きやすい。乾燥しているせいで砂が軽くてふかふかで、衝撃も少なくどんどん下りていけます。先に下りていた男性を追い抜いて、快調に下りていきました。 こんなに下りやすい砂走りは初めてかもしれないなあと、ニコニコしながら駆け下りました。今日は視界が良いので左側に見える登山道沿いの山小屋の位置が把握できます。だから吉野屋までどのくらいかわかるので、それも精神的に楽でした。途中、樹林帯を通過する場所がありましたが、中に入ると急に暗くなりました。突然、ザワザワと音がしたのでびっくり。自分が身体を支えるためにつかんだ枝を揺らしていただけでした。樹林帯を出てからはまだ順調に下山。結局、30分足らずで吉野屋へ到着。山頂から大陽館までの遅いペースを一気に取り返しました。

 この頃、あたりはすっかり暗くなっていました。前方に二人連れがブル道を直進するか迷っていました。そこにはロープが張られているので通常は右手の吉野屋へ誘導されます。しかし、すでに吉野屋は閉店していたので、わざわざそちらへ進んで遠回りしてさらに樹林帯を歩く義理はありません。前の二人連れは結局、吉野屋へ進みましたが、私はロープを跨いでブル道を直進。なお、吉野屋が営業している時は直進はしないつもりです。私を真似して他の下山者も直進すると吉野屋を素通りすることになり営業妨害になってしまいますから。あくまで、閉店後だったからそうしたのです。

 小型LEDヘッドライトを最初は頭に着けていましたが、暗くて地面が良く見えないので外して手に持ちました。さっきの樹林帯の暗さを思い出し、今回は五合目までブル道を使って下りようかと思いました。ブル道なら夜空が見えるし、道が平坦なので安全だと思ったのです。しかし、いざ下山道との分岐点まで来てみると、ブル道の方はなんだか心細い感じがしたので止めました。下山道なら、登山者とすれ違うからなんとなく安心です。後方にはさっきの二人連れの電灯のあかりが見えました。 最初のお兄さんは大丈夫かな、懐中電灯は持参しているかなと少し心配。

 砂払い五合から五合目までは実はかなり高度差があります。そして今回は真っ暗な中を下山しなければなりません。むき出しの根っこに足を取られないように気を付けながら歩きました。下山道が登山道と合流したところで、登山者とすれ違いました。顔は全く見えませんが「こんばんは」とおねえちゃんが声をかけてくれたので、 「こんばんは。いってらっしゃい」と返しました。経験的になかなか五合目に着かないのは知っているので焦らないように歩きました。しかし、一方でこのままだと早く着きすぎるとも思いました。19時頃に着いてしまいそうです。バスは20時半ですからちょっと待ち時間が長すぎる。食堂で夕食を食べて時間をつぶしても30分程度。1時間、まるまる待つことになります。でも、無事に最終バスの時間に間に合ったのですから、ぜいたくな悩みとも言えます。


 古御岳神社で無事の下山を感謝して売店へ。菊屋に入って生ビールとピラフを頼みました。せっかく調理して下さっているのに、味覚がひたすら塩気を求めているため、ピラフに醤油をたっぷりかけました。最後におかわりでいただいた熱いお茶がとても美味しかった。なお、名物おばちゃんの歌子さんはいませんでした。菊屋はそろそろ世代交代の時期なのでしょう。(追記:2010年には元気に復帰しておられました)

 食事後、菊屋の前のベンチへ向かうと、さっき、砂走りで見かけたお兄さんが休憩していました。懐中電灯は単1電池が3つぐらい入りそうな大型のものを持参していました。単独で夜道を下山することを想定した十分な装備です。ベンチに座っていると、これから登る人たちが続々とやってきました。ほとんど若い世代の人たちです。やがて20時になってバスが到着。ほぼ満員。続々と登山客が下りてきました。こちらも若い人ばかり。やはり徹夜で登ろうなんて思う人は若いのです。やがて20時半になってバスは出発。乗客は私を含めて4人。つまり、さっき砂走りで見かけた3人と私です。バスは定刻より少し早く御殿場駅へ。その後、国府津で東海道線に乗り換え、横浜で京急の最終電車に乗って自宅へ戻りました。疲労のせいで吐き気を感じましたが、ここで以前、萩本欽一さんが24時間テレビでマラソンをやった時に語っていた秘訣を試してみました。それは「めんつゆを飲むこと」です。試してみると、本当に吐き気が軽減しました。

 今回は登頂、下山の時間が遅かったので、逆光の剣が峰、影富士、暗闇の樹林帯など、いつもとは違う光景が印象に強く残りました。

8;58 新五合目到着(標高1970m)
9:38 新五合目出発
10;56 長田山荘
11:34 瀬戸館
12:39 大陽館(2925)
13:36 見晴館
14:29 八合目トモエ館(3370)
14:46 御来光館(3450)
15:18 九合目 迎久須志神社(3520)
15:59 山頂到着(3720)
16:32 下山開始
17:18 八合目 江戸屋(分岐点)(3270)
17:49 大陽館(2925)(休憩11分)
18:03 砂走り(2890)
18:30 砂払い五合 吉野屋(2230)
19:02 新五合目到着(1970)

登り6時間21分
下り2時間30分

登山中に飲んだ飲料(PET500cc)6本
(持参:水3、購入:コーラ2、ウーロン茶1) ウィダー2


★教訓:暗闇の下山道は心細いことを知る。

(2009/9/10)


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