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 みんなの登山記02−19 吉田口
 投稿者:バンザイさん


■2002年8月30日(金)〜9月1日(日) 吉田口

富士で考える

はじめに

今回の登山を通して考えたことを書いていきたいとおもいます。江戸の昔より富士講というものがあると聞いたことがあります。富士講のひとたちは富士山に33回登頂すると、記念に碑をたてることがあるそうです。なぜ33回なのかと漠然と感じていた。もちろん33という語呂もあるだろう。江戸時代の平均寿命がどのくらいだろうと思った。当時の富士登山は旧暦6月7月だけに制限されていたという。近郊の人口集積地江戸から富士山に登頂をめざすということは基本的には全行程歩き。今の感覚からすれば海外旅行以上の決意とお金がかかったはず。それを33回も達成できたということは・・・・

1. 人並み以上の健康に恵まれた。
2. 経済的にもそれなりの裏付けが必要。
3. 友人をはじめ人間関係に恵まれた。

 これだけの条件が揃った人というのは、もう十分人生の成功者といえるのではないだろうか。その感謝の気持としていくつもの碑が建っていると考えれば納得がいく。

 さて前置きはこのくらいにしてそろそろ本題に入っていくことにしよう。

今回の登山記を書いた目的
 ひとりでも多くの方に楽しく富士山に登っていただきたい。そして下山時は確実に、登山は下山してこその登山です。ギリギリの下山ではなく、なにかあった時に備えて必ず余力を残して下さい。そのためにも全行程を通して余裕をもって、あまり根性で登るとか、たしかに霊峰富士とかいわれて修験者が修行のために登った山かもしれないが、多くの人にとっては難行苦行で登る必要はない。3000mをこえる独立峰。電車とかの交通手段がないのだから不便はある。とはいえ登頂開始時刻をずらすとか、考え方を変えて工夫をすればまだまだ改善すべきところはいくらでもでてきそう。何年か昔のことだが山頂の山小屋の中で、かなり年輩のお母さんグループのひとりが疲れきった苦しそうな声で『もう富士山はコリゴリだ』と泣いていたのは悲しい思い出です。

富士山への登頂条件
 前の晩も帰宅が遅くなり富士登山の荷作りで寝るのがさらに遅くなった。そこで少しでも体を休めるためいつもの出勤日より約1時間寝坊し8時25分自宅を出発した。天気予報で若干台風の心配はあったが青空の部分が大きい。書き出しからこんなことを書いたのは毎年夏の休日は富士登山を狙っているが、ここしばらくできなかった。それには次の登山条件がみたされなかったからだ。

私の富士登山のための3条件
1. 体調がよいこと。
2. 天候に恵まれていること。
3. 最低2日間(理想は4日間)のができること。

 はじめから日を決めてこの日になんとしてもということは、私にはあまりにもリスクが高くなるからだ。休みをとっても天候がわるければ他の遊びをすればいい。でもいま揚げた3個の条件が同時に揃うっていがいとむずかしいとおもいませんか。毎週ねらってはいたのですが、結果的に私自身ここ何年も登頂することができませんでした。だから多くの人に参考になるかどうかこの先あやしいものになっていくかもしれません。

片瀬から御殿場まで
 自宅は片瀬海岸という海の近くの町にあるのでまさに海抜0メートルからの出発だ。富士山は疲労対策・寒さ対策いろいろ必要ですが高さ対策。高山病への対策も忘れてはならない。というわけで海抜0メートルからの出発として気のついたことを書いていくようにしよう。東海道を藤沢・国府津と乗換え御殿場に到着。いつも乗る車窓も通勤とはなにかが違って見えるのが不思議だ。

御殿場ターミナル
 JR御殿場駅で富士急バス定刻10:05をやや遅れて発車。登山口に限れば往復切符という割引キップもあるが、行き先と帰宅ルートを決めていない人にはむずかしい。そんな中で昼間専用の回数券は、2人以上のパーティの場合は一考の価値あり。なにしろ3000円購入して3900円分ついてくる。御殿場駅からは満員でしばらく座れない。平日だがハイランドパックの券を持った方が目についた。御殿場から乗車する私は、御殿場口や須走口はめざさず一路吉田浅間神社(定価運賃1330円)をめざすのが好きだ。往復割引切符もあるが、帰りも1合目まで歩くかもしれないので片道切符のみ平凡に買う人にお薦めの回数券です。今回は3日間の休暇がとれたこと。シーズン2回目3回目なら5合目からでもいいがシーズン1回目だと下から登っていくほうが足への疲労がたまる分をさしひいても体が高度になれてトータルで楽な気がする。

吉田浅間神社〜中の茶屋
 吉田浅間神社には11:15着。お参りをする。ここでお参りをするとさぁこれから富士登山だというひきしまった雰囲気に自然となるのがいい。親切な巫女さんにタクシーを呼んでいただき中の茶屋をめざす。もちろん茶屋が営業していることを神社から電話で確認した。これもうまいそばを食べるためだ。以前は浅間神社からずっと歩いたが中の茶屋までもかなりある。富士登山も何年かぶりでシーズンはじめの登頂であるためあまり無理しない作戦にした。富士登山は同一シーズンでも1回目より2回目、2回目より3回目が確実に楽になっていく。中の茶屋には11:30に到着。料金は迎え料含めて2010円か。車中運転手さんから馬返しまでどうですかと軽く誘われた。思わずグラッときたが、中の茶屋のおそばが楽しみでと毅然とお断りをする。こうしてすこしタクシー代を節約できたかという、せこい考えのもとに盛りそばセット(1000円)に田楽(400円)まで付けてしまう食いしん坊になってしまった。茶屋を12:17発。

いよいよ登山開始(吉田口登山道)
 馬返しには13:45着。1人の若者と出会う。なんでも相棒が寝坊したとかで、きょうは8合目までいって泊まり、明日寝過ごした相棒を5合目まで迎えにいくという健脚の方だ。私はゆっくりですからきょうは5合目泊まりですといったら、彼いわく後ろから人がくると思うと安心して登れますと言葉をのこして出発していった。私も馬返しで一休みし、13:55には再スタート。馬返しを少し登ると。行程予定表が書かれてあった。参考のために記しておく。私の所用時間とも比べていただければ、私のスピードがわかるとおもう。行程表(浅間神社〜(80分)〜中の茶屋〜(90分)〜馬返し〜(15分)〜1合目〜(30分)〜2合目〜(20分)〜3合目(20分)〜4合目〜(45分)〜5合目〜(30分)〜6合目〜(60分)〜7合目〜(100分)〜8合目)。おそらく8合目からさきは吉田の管轄範囲外のため記入なし。ただ7合目・8合目はどこを基準とするのかよくわからなかった。というわけで私は、1合目14:14着。6分休憩後、2合目15:05着。7分休憩後、中食堂と呼ばれる3合目15:38着。ここはむかし富士吉田を朝出発した人たちが昼食をとったことから中食堂と呼ばれるそうだ。夜になるとお婆さんの幽霊がでるようだが、いまはさわやかな日中なのでお婆さんも当然お休みだ。精進湖登山道を登った時のことを思い出した。幽霊ならばなんとか自分でコントロールできるのだが、山の中でであって怖いのは人間だとあのときはっきり認識した。なにしろ精進湖登山道は自殺のメッカ青木ヶ原樹海をドンドン進んでいく。薄気味悪かった。もし自殺志願者と遭遇したらどうしようと真剣に考えた。とにかくひとけのないところで人にあったらつとめて明るくこんにちはと挨拶しようと思った。静かな山では挨拶が大切ですね。さてここでは休憩を7分とり、16:10に4合目到着。休むたびに水は必ず飲むようにした。喉の乾きを覚えてからではおそすぎる。その前にすこしづつ水を飲むようにした。今回、水は1.5リッターのボトル2本をカチンカチンに凍らせた。いぜんは頂上で煮炊きをすることも楽しみとしたため水だけで6リッター運んだが、ひさしぶりであったため、すこし自重して3リッターとしたのだが、飲むだけの量としては十分だ。水不足は予想以上に辛いので、お金はケチっても水だけはケチケチしないようにといつも心がけている。ここでは10分の休憩後4.5合目の御座石小屋には16:34に着。ここからもちょっと景色がよいので6分休憩後、この日宿泊予定の5合目の小屋に17:20着。日没前に到着した。5合目以下の吉田登山道は好きなのだが、ひとけが少ないのでいったん暗くなったらやっかいだ。なるべく明るいうちに行動を終えるようにしたい。

5合目佐藤小屋にて
 小屋に到着すると夕食前に持参の梅干で1缶あけた。禁酒を開始してからノンアルコールビールにも完全慣れてきた。ノンアルコールでも夕景色をみながらの1杯がすこぶるうまい。この日は団体客もいたため夕食はカレーとなった。最近はどこの小屋もカレーが主流となってきたが自分としてはちょっとガックリだ。それでもここの小屋はサラダもカレーもおかわりできたので若い人にはよしとしよう。しかしおっさんはそんなに食べられないので損した気分。シーズン末の平日のため宿泊客は少ないのでとても気分のいい個室に案内していただきラッキーだ。ふつうならば、雑魚寝はやむをえない。こんなことをいうと富士山に登る資格なしと怒られそうだが、男性女性にかかわらず、見知らぬ人と一枚の蒲団に寝るのはやっぱり嫌いです。このあとの話は私が体験したことではなく聞いた話なので確認しようがないのだが、1枚の畳で6〜7人が仮眠をとることがあるそうだ。このホームページを読んでいる方で最高の方はどのくらいを体験しているのか興味がある。それにしても畳1枚に6〜7人っていったいどんな状態なんだろう。大きな部屋に畳1枚をひいて6・7人ではなく20畳なら130人。30畳なら200人ということだ。まさにギネスに挑戦といった具合ではないだろうか。今でも半分はかつがれたのかなと思っている。一方今夜はのんびりストーブにあたりお茶をすすりながら他の登山者や小屋の方とお話をする。下の山中湖・富士吉田の明かりがとてもきれいだ。庭には外国人のキャンプ組もいるため話題には事欠かないが、消燈時刻21:00なので早々と眠る。日頃の睡眠不足を補うことができ、日の出前の5:00までぐっすり眠ることができた。山は朝が早い。とくに富士山のシーズン中はめちゃくちゃ早いのが常識だ。外は朝焼けでここ5合目の小屋からでも8月末までなら御来光は十分拝むことができる。山はフルーツがとくにうまく感じませんか。御来光とともに下からもってきた白桃をたべたがほどよく冷えていてうまかった。多くの人が朝早くでかける。夜間登る理由の一つは御来光を頂上でという願いが大きいからだろう。でも冷静に考えてみよう。頂上といわれるところには現実的なキャパシティがある。いったいどれくらいの人が頂上で御来光を拝めるのだろう。それに頂上といっても、その定義をつっつきだしたらたいへんだ。剣ヶ峰の碑のところで拝むことのできる人はほんの一握りのはず。多くの方の体験記を読んでも実際は8合目9合目で朝日をみる方が多い。そう、吉田・河口湖・須走口の場合5合目以上の樹林をこえたところなら、たいていのところから十分御来光は楽しめる。だったらはじめから頂上にこだわらず山小屋でゆっくりすごせば体が楽になるのにと思う。ひととおり太陽が顔をだしきったのでまた蒲団にもどり2時間ほど眠った。8時ごろからゆっくり朝食だ。この日はちゃんと本格的といっては作っていただいた人にはもうしわけないような表現だが、ヘンテコリンではなくほんとうにキチンとしたウィンナー4本。目玉焼き。納豆。煮物。漬物。あったかいご飯と味噌汁。おかずは暖かいものはすべて暖かい。おかわりもしてしまった。これで1000円なら十分納得がいく。仕上げはゆっくりレギュラーコーヒまで飲んで山の朝をすごさせていただいた。おにぎりだけの携帯朝食をもって飛び出していくよりどれだけゆったりとすごすことができるだろう。これから富士山に登るみなさん、山でゆっくり食べる朝食はうまいです。けっして私は山小屋のまわしものではありません(笑)。この日は結局9時間以上眠ることができひごろの睡眠不足も解消された。富士山は苦労したり疲れにくるところではない。心と体の疲れ癒しにくる所です。じゅうぶん体調をよくして余裕を持って登りたい。多くの人が登る山。誰でも登れる山だといって侮るのはとても危険なことだとおもう。ということでこの日は自分のいつもの出発時刻よりやや早めの8:45に小屋をあとにした。

6合目をめざす
 これまでの富士登山は2泊めができる時は頂上で宿泊を計画していた。しかし今回は予約はいれていないが須走口の途中の小屋に宿泊しようとおもった。これは3日目の歩行区間を楽にしようということと、はじめからお鉢巡りはひさしぶりの富士登山で疲れるため、あえて頂上での宿泊にこだわらなかったからだ。6合目の河口湖側からの合流点まではほとんど人とあわず、途中のお堂のようなところでお参りし、あいかわらずのんびりのんびり行く。6合目には9:23着7分休憩後7合目をめざす。

勝負所の5合目〜6合5勺
 吉田口を浅間神社から登る場合、登頂成功の勝負所はズバリ5合目〜7合目に近づくところにあるのではないかと思う。えー、8合目からじゃないのという声も聞こえそうだ。勝負は思ったより前の段階にあるのではないかということだ。じゃあ7合目より上ではすでに楽しく登頂できるかできないかの勝負がついているのかと問われそうだが、この区間をどれだけゆっくりと登ることができるか。山をゆっくり登ることもひとつの能力ではないかとさえおもう。この区間は簡単なようだが、歩幅をできるだけ小さく小さく歩く。とにかくゆっくりゆっくり、しかし停まらず一定の速度で歩く。すると呼吸やその後のペースがつかめなんとかなるのではないか。したがってこの区間、私が歩いている人を抜かすことはほとんどありません。よく河口湖5合目から頂上まで4時間で登ってしまったと聞いて遅い人はこげってしまう人もいますが、8時間かけて登った人のほうが4時間かけて登った人より山を2倍の時間楽しめたと考えればいいんじゃないでしょうか。6合目7合目あたりから8合目とか本八合目の黄色い文字をみて気の遠くなる人もいますが、少なくともあそこまでは登りをみんなで楽しむことのできる時間を共有できるぐらいの気持でいけば、落ち込むこともうんざりすることもなく、え、もう8合目か本八合目もことしは無事通過できちゃってこれでおしまい。あの長い長いといわれる8合目さえも最後になると名残おしくなり、頂上への期待と旅の終わりの寂しささえもでてきて、登山をいやになることもないでしょう。

次々と小屋のベンチでお休み
 それでもひさしぶりのためかいつもより早めの10:23には花小屋に到着し、7分休憩後10:40に日の出館に到着せっかくだから5分休憩し10:52にトモエ館着。ここもお付き合いで3分休憩。鎌岩館11:03着2分休憩後富士一館11:13着5分休憩。こう書いてくると歩いているのか休んでいるのからわからないなといわれそうだ。よく腰を下ろして休むのはいけないといわれるが、登山道ではゆっくりでも歩き続けるが山小屋のベンチでは必ず腰をおろして景色を眺めたり回りの人とベラベラたわいのないことをを喋るのも富士登山の楽しみだ。あまり難行苦行のように下ばかりうつむいているのは気がめいってくるので、キョロキョロ周りを見ることも忘れない。こうして鳥居荘11:28着3分休憩後東洋館11:36着。いつもなら東洋館の畳にあがらせていただきハンバーグ定食あたりを食べるのだが今回は1時間ぐらいペースが早い。やはり頂上宿泊を予定していないのでついつい先を急いでいるのかもしれない。5分休憩後太子館12:00着6分休憩。お腹があまりすかないのでさらにさきに進む。蓬莱館12:13着3分休憩後、白雪荘12:35着3分休憩後、元祖室12:47着3分休憩後、トモエホテル13:08着。これ以上昼食を遅らせると夕食がまずくなるかなとおもい、インスタントラーメンを頼み持参の魚肉ソーセージをいれて食う。客はほとんどいない。畳の上でないのが残念だが、しっかり登山靴を脱いでくつろいだ。13:50に出発。すぐ上の江戸屋ではさすがに休憩はとらず御来光館14:03着。中のいろりのようなものが暖かそう。富士登山をはじめてまもなく、まだ金剛杖に焼印を片っ端から押してもらうのを楽しみにしていたころ、焼印押印中、うっかり小屋の中で腰を降ろしたら、どこの小屋だかでこっぴどく叱られた。それからは用もない時は小屋の中に近づかないように注意している。いまでもほんとうは焼印を押してもらいたいのだが、叱れたことも手伝い、実際もう押すところがほとんどない。最近は年号入りが多く毎年焼印を変えているようだ。原価は高くなるものの、この10年で物価は下落傾向だが押印代は倍額になっているのでまずまずの利益は確保できるのだろう。金剛杖を20〜30本ぐらいもってこの杖は○○小屋用。この杖は△△小屋用とでも各小屋専用の杖として毎年毎年押印していただくなんてバカなことを休憩中考えながら、さらに登りを続ける。でもだれかやってほしい。想像してみてください。20〜30本の金剛杖をしょっての登山。自転車を担ぎ上げる人もいるのだから、もしみた人や本人の方がいらしたらぜひリポートを読みたいものだ。9合目あたりの鳥居に14:34着。最後の休憩として7分休む。このへんになると6合目あたりと自分的には同じ速度で歩いているが、多くの人を抜かしてしまう。理由は登山道では休まず歩き続けているからだ。やっぱりここらあたりではへたりこんでいる方が多い。へたり込んで休んでいる人にむかって同じグループで激励している人もいるが、できれば疲れる前に休んで景色を眺めるぐらいがいいのではないか。喉が渇く前に水を飲み、疲れる前に休めば、つらいと思うことなくいつのまにか登れてしまうのではないだろうか。

8回目の山頂にて
 そして頂上に15:08着。いままでより1時間〜3時間半到着時刻が早い。@朝早めに出発した。A昼食終了後昼寝をしなかった。B途中でコーヒを沸かして飲むような大きな休憩はとらなかった。C当日下山を考えていたので自然とペースが早くなった。以上が早く到着してしまった理由だと考えられる。今年は8月末でも情報通り小屋は2軒、頂上でも開店していた。東京屋では予想通り宿泊客はとっておらず、扇屋ではすでにこの時間で予約満杯だと断わられた。やっぱり降りるしかないなと思った。もし宿泊できたら荷物を置いてお鉢巡りができるのだが今回は予定通りパスしよう。よく頂上のラーメンやうどんがまずかったという話を聞くが真実はどうなんだろう。もちろん味のこのみは人それぞれだ。いまは圧力釜もあるので生煮えラーメンも少ないのではないかと思う。普通なら山の飯はうまく空腹は最良のソースになるはずだ。脱線ついでにいまは市場でほとんどみかけない食品のことを書いてみよう。それはポテトサラダ缶詰のことだ。かつてはスーパなどでポテトサラダの缶詰が売られていた。ただ正直いって私はあまりおいしく感じなかった。しかし、しかしなのです。このポテト缶詰、富士山頂まで苦労して持参しビールとともに食すれば、なんでこんなにおいしいんだと作った人に感謝したものだ。富士山頂ではふりかけもいいがポテト缶詰が一気に偉くなったのだ。いまでもあのポテトサラダ缶詰は売っているのだろうか。ご存知の方がいらしたら教えて下さい。あるいはオレが作ってるんだなんていう方がこのページを見ていたらこれも認識不足と怒られそうかな。風もけっこう強いため剣ヶ峰もあきらめる。天候に恵まれ下界がよく見えるためコーヒを沸かしてチーズを食べながら飲んだらやっぱりうまかった。何度登っても富士山はいいなーとボンヤリ思う。山頂トイレは汚くて日本の恥だとおもうが、管理人もいないが料金箱には100円玉がギッチリと積まれているのは日本の自慢だとおもいつつ、16:03には下山を開始する。

下山開始
 16:30ごろ今夜の宿のことを思案する。はじめは御殿場口に抜けようとしたが9月1日ということで日曜にもかかわらず明日は御殿場口から下山バスはなし。一日ぐらいおまけしてよと思うが、客をなるべく集約して集配効率をあげないとバス会社の経営もむずかしいのかなと思う。きょうあたり赤岩のほうの小屋にとまれば人も少なくていいんだろうなとおもいつつ、須走口を目指そうと考える、でもまだ日も明るいし、お腹もそれほどすいていない。5合目まで行って砂走りの途中で暗くなるのはイヤだし、7合目の小屋ではあまりにも早くついてしまい、お腹がそれほどすいていないので夕食がおいしく食べられないのではないかと不安をいだいたので吉田口を目指す。飯がうまく食べられるかどうかはかように重大な問題だ。うまい飯を食べるために登るといっても過言ではない。おそらく7時ごろの到着予定なので最後の30分ぐらいは暗くなってしまうかなと覚悟を決め5合目を目指すことにした。緊急避難所に17:30着。2700mの標識が18:01。18:06に七合目トイレで5分休憩。6合目には18:42着。やっぱり暗くなってきたためどうしても自分のペースより早くなりがちなので用心が必要だ。ここでヘッドライトをとりだして、樹林をくだる。お堂のようなところに帰還報告をして19:11に小屋に到着した。

連泊お世話になります
 きょうも昨日よりせまいが個室をいただきラッキーだ。やっぱり5合目まで降りてきて正解だとおもった。夕食はほうとう、ひじきの煮物。つくりたてで暖かくてうまかった。うれしいのは冷奴がビールのつまみには最高だ。ご飯はおおすぎてちょっと無理かなとおもったが結局食べてしまった。お茶もたっぷり飲んでストーブの回りでゆっくりする。吉田の夜景がきれいだ。さすがに土曜日ということもあって人は昨日よりかなり多い。夜間登山のひとたちが次々とでていく。この日は22:00すぎまでまわりのひとたちと話込んでしまった。山小屋はよくサービスが悪いと聞くがある一面はやむをえないとも思う。きょうのように登山者が22:00に出発したり1:00に出発したり5:00に出発したり小屋側は24時間体制の営業では働く側はとてももたないだろう。それが2ヶ月間続くわけだ。だったら緊急時以外は入館受付時刻は19:00まで。出発は日の出からとしたら宿の人たちももう少し休めるだろう。でもこうすると売上が減ってやっぱり経営が厳しくなるのだろうか。登山者のほうも先に述べたように御来光をなにがなんでも山頂でというのはもともと無理なことだから山小屋近辺でも十分たのしめばよいのだが。それに夜は眠るのが普通です。なにも登山するのは、とくに山がはじめての人は暗くなると危険です。それとゴミの問題。今回もシーズンの終わりとともに多くの山小屋の方々がゴミ拾いをしていた。あのゴミは天から降ってきたわけではなく登山者がおとしてきたもの。ポッケからポロっと偶然落ちたものはほんのわずか、意志を持って捨てたもの。でも昨日の登山中ゴミを投げ捨てる人なんていなかった。トイレにも全員とはいわないかもしれないけれどキチンとお金を払う人が多い。ましてや失敬する人はいないんじゃないの。ということは私が登った日の登山者はたまたまいい人ばかりだったのかな。これってなんかへんな気がしませんか。多くの人はたいてい悪くないのだが暗くなると、疲れもてつだい闇にまぎれついポイしてしまうらしい。らしいというのは私も現場を見たわけではないので断定的なことはいえない。富士山において夜間登山行動を禁止したらゴミの量はどれだけ減って景観はよくなるのだろう。ゴミをかたづける山小屋の人だって無料奉仕とはいかないだろう。直接の収入にはならないだろうが、結局は人件費。山小屋の原価に加わることは間違いなく、めぐりめぐって1000円をこえる万年カレーになって登山者に還元される(注:わたしは下界ではカレーは大好きです)。

あっぱれ富士山。やっぱり山の朝。
 さて翌日は日の出時刻5:10の1時間前には起きた。御来光というか日の出の瞬間よりはその30〜40分前の朝焼けのような時間帯のほうが好きなわたしは早々と外にでた。庭にはイスもたくさんあり眺めのよいところに運びゆっくり遠くの山々をみる気温は8〜9度だが風がないためあまり寒くは感じない。ポツポツ人も小屋からでできて山の朝はいいなーと思う。ほんとうに御来光は吉田口なら5合目からでも十分楽しめる。寒くなったらすぐ小屋に戻ってまたでてくればいいんですから余裕のよっちゃんです。こうしてこの日も無事、日は昇り再び眠りにつく。2時間ほど寝むったとこできょうの朝めし。きょうはぐっと和風になり、焼きたてのさかな、味噌汁ごはん漬物。最終日は下りばかりなのでご飯のおかわりは控えておく。じつはウェイトコントロール中なのだ。ほとんどの登山者は小屋から出発してしまいじつに静かだ。そしてベンチでいれてもらったやや濃い目のコーヒにたっぷりミルクを入れてのむ。この時間がまたのんびりして日頃のあわただしさから開放されてなんともいい。たしか前回きた時もレギュラーコーヒあったのかな。道の整備にしたがいおとといのたっぷり野菜サラダとともにだんだんと食生活がよくなっていくと感じる。お腹もいっぱいになったことだし、再び30分ほど仮眠をとって10:16に5合目をあとにする。

5合目からの下山道
 10:49御座石小屋着。5合目からここまでに数多くの2〜3人ぐらいづつのパーティ総数15名(男7名・女8名)にであった。これは随分多いなと感じる数字だ。御座石小屋では下山中の男性2名とであう。彼らは7人組のパーティで、吉田浅間神社からのぼりはじめ浅間神社までおりる計画だったが、女性を含む5名は途中でくるしくなったそうだ。それでもゆっくり登頂をはたし、その時残りの5人は8合目。携帯電話はこういう時便利ですね。彼らは責任を感じ浅間神社まで降りて自分たちの車をひろい河口湖5合目まで残りのメンバーを迎えにいくということで15分間と区切って睡眠をとっていた。私は5分休憩後、4合目11:06着2分休憩後3合目11:29分着。6分休憩後2合目11:56着。5分休憩後12:08着。ここまでくると完全にファミリィーハイキングといった家族連れもみえる。馬返しには12:46着4分のトイレ休憩後中の茶屋には14:00着。こんどはひやしそば大盛り(900円)とみやげがわりに富士山の蜂蜜(800円)を購入。ここから浅間神社までは車道のやや横の樹林の道をくだるのだが、ゴミがすごい。森の中の狭い登山道に洗濯機・風呂桶・便器。一般道よりかなり離れてるよ。いったいなぜあんなものが点々と放置されているのだろう。浅間神社には15:57着。御殿場行きのバスは遅れているようでどれがどれだかわからないが、ほとんど待たず16:20には乗車することができ、ややゆっくり1時間半かけて御殿場駅に到着した。

これでおしまい
 最後までおつきあいして読んでいただいた方。私の登山にあたって参考にさせていただいたこちらのサイトの管理者・登山記作成の方々には本当に感謝する次第で今回の私の登山記を終わりにします。

おまけとして今回の持ち物
水1.5L・・・・・・2本
お茶0.5L・・・・・・1本
ノンアルコールビール350ml・・・7本
白桃・・・・・・・1個
すもも・・・・・・2個
梅干・・・・・・2個
チョコ・・・・・・1箱
かりんとう・・・・・小袋1個
6Pチーズ・・・・・5個
太めのソーセジ・・・・・・1本
ブースター付ガスストーブ・・・・1式
やかん・・・・・・700ml
保温カップ・・・・・・1個
コーヒ豆・・・・・・・・5杯分
カップミルク・・・・10個
ペーパフィルターとドリップセット
懐中電灯(ヘッドライトタイプ)
雨具(上下にわかれるゴアテックス)
ビニールごみ袋・・・・・5枚(水ものがあるため多めに)
トイレットペーパー(芯ぬき)
長めのマフラー・・・・・・1本
予備の下着(上下)
ひやけ止めクリーム(女性は絶対必須)
厚手のトレーナ(上下)

着衣
麦わら帽子(上海にて9元で購入)
メガネ(コンタクトではないことを強調)
長ズボン
Tシャツ
うすい靴下
厚い靴下
ハイカットの登山靴
リュックサックはイシイの35L
軍手(ゴム付き)
金剛杖(焼印だらけ)

以上
  2002/11/4記


(管理人)
 吉田口から登り、富士山で2泊。こういう余裕のある日程の富士登山もいいですね。




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(02/11/13)