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 みんなの登山記03−9  富士宮口
 投稿者:忍忍


■2003年7月25日(金) 富士宮口 経由 御殿場口登頂

  《一度も登らぬバカに2日続けて登る大アホ》
 【はじめに】
 須走口登頂から一夜明け、午前6時起床。少し脚に張りがあるものの、意外と元気。肝心の
天候は曇り。相変わらず「本当にやる気か?」という気持ちがありましたが、一度考えた計画です。せっかく遠くから来ているんです。これは行くしかないでしょう。そんなわけで、2日連続の登頂計画が実行に移されました。

 今回の登山の課題は、8月初旬に友人と登る際の下見として、登下山の所要時間とルートを覚えておくこと。2日連続で登り、自分の体力がどれほどのものか身をもって味わうこと。そして
富士登山競争に出場している地元三重県のマラソン仲間に、山頂で会うことです。
 私が今日(25日)富士山に登ることは言ってません。劇的な対面を狙ってましたので(笑)

 【登山前】
  6:40 御殿場市内の宿を出発。交通量はかなり少なめ。そのおかげで快適に走れました。富士山の姿は全く見えません。

  7:20 富士宮口5合目着。駐車場は、ある程度の混雑を予想していましたが、やはり天候
のためか、一番上の駐車場が1/3ほど空いていました。駐車場からは雲の隙間に剣が峰が見え隠れしていました。須走口と違い、富士山が目前に迫る見え方です。晴れていたら、とても
迫力があるのでしょうね。
 体を高度に慣らすために少し休憩。車や人の往来が多いです。須走口の静かさに慣れている私にとっては、なんだか落ち着かないものでした。

 
←人の少ない合間を狙って5合目記念の1枚。





【登山開始】
  8:15 昨晩ぐっすり寝ているし、昨日登頂したことで、ある程度高度慣れしていると思い、休憩を短めにして出発。スタートして最初の数分は息が切れましたが、体が運動モードに入れば普通の呼吸になりました。それにしても人が多い。

  8:30 新6合目 雲海荘着。まだ15分しか歩いていないので、写真撮影のために立ち止まっただけ。ここには幟が立ち並び自動販売機が設置されているなど、山小屋というより観光地の売店という印象を受けました。

 9:00 新7合目 御来光山荘着。速いペースです。昨日登っていたとは自分でも思えない速さ。不思議と登っていたら、今朝の脚の疲れが消えていました。それどころか、ハイキングと同じ感覚でモリモリと登っていきます。高度慣れのおかげでしょうか。

 9:25 7合目 山口山荘着。疲れ知らず。他の登山者をかき分けるように登っていました。
新7合目のあたりから下山者とのすれ違いが多くなり、ときおり立ち止まることがあってこのペースです。山小屋間の休憩は、水を飲むために立ち止まる程度。黒飴を持っていましたが、これは止まっている時間がもったいないので、歩きながら取り出して口に入れていました。
登山はかなり順調です。「富士宮口は景色に変化が少ないし、歩く距離が短くて物足りない」などと思う余裕までありました。本当に順調だったんですよ、もう少し先までは・・・。

 9:50 8合目 池田館着。ここまで1時間35分。初めてザックを下ろして10分ほど休憩。
このあたりから脇道を通り御殿場口に移る予定でした。しかし、それらしい道がない。正確には道はあるのですが、御殿場口へ通じている旨の標識が無い。8月の駅伝に備えてその道を走っている人がいましたが、走っている人に聞くのはペースを乱させてしまうことになるので、聞くわけにはいきません。「おかしいなあ、確かこの辺だよなあ」と思いながらウロウロしてみたけど、やっぱり標識が無い。近くにいた下山者に「この上に御殿場口へ抜ける道がありましたか?」と聞いてみたところ「わからなかった」との返事。

 おかしいと思いながら、そのまましばらく登ることにしました。そして50mほど登ったところで
上を見渡してみたら、どこにも横にそれる道が無さそうな気配。そのまま富士宮口から登頂してもよかったのですが、それでは下見にならないので、さっきの道が正しいと信じて引き返しました。そして、先ほどの道を少し進んだところに「赤岩八合館」の標識が。やはりこの道でした。
標識が富士宮口のそばにあればわかりやすいのに、何で無いのかという疑問が湧きました。 その答えに近いものが、次回の登山でわかることになります。
  
  10:20 御殿場口8合目 赤岩八合館着。 50mほど余分に登ってしまったことで、約20分のロス。これが無ければ、富士宮口5合目から2時間足らずで着いたことになります。しかし、順調なのもここまででした。道を間違えたことで精神的に疲れ、持続していた緊張感が途切れてしまいました。それと同時に肉体的な疲れも表れ、その後のペースが一気に落ちることになりました。ひとまず、ここで8月上旬の宿泊を予約しました。

 11:38 頂上着。赤岩八合館からは、ひたすら気力で登っていました。息切れはしていませんが、脚が上がらない。すっかり牛歩ペースです。そんな私の横を、登山駅伝のトレーニングをしているランナーたちが駆け抜けて行きます。テレビで見覚えのある方がいると思ったら、今年5連覇を果たした滝ヶ原自衛隊の方でした。8合目からは1時間20分近くかかりました。両足親指にマメができていたし、とにかく疲れた。頂上に来るまで気がつきませんでしたが、いつの間にか雲が晴れて青空が見えていました。
 5分ほど休憩した後、三重県から来ているマラソン仲間と対面するため、登山競争のゴールである河口湖口の頂上を目指します。ゴールまでのタイムリミットは12時。マラソン仲間はおそらく制限時間ギリギリにゴールと予想していました。
頂上を移動している間、既にゴールして富士宮口頂上付近まで来られていた方と話をしていました。去年のタイムを30分以上上回ったらしく、とても充実した表情でした。

 11:55 河口湖口頂上着。登下山道や山小屋
周辺はランナーでごった返しています。山小屋の前で待っていたら通りかかるだろうと思い、しばらく待つことに。・・・しかし制限時間を10分近く越えても、まだ姿が見えません。もしかして今年は絶好調で、早々にゴールしてもう下山してしまったとか?
 12:15 徐々にランナーが減ってきたので、諦め
てお鉢巡りをすることに。そしてトボトボと久須志神社前を歩いていたら、見覚えのある姿が。ついに会いました!お互い「おおーー!!」と感動の対面。私が
”ここにいれば会えるだろう”と思っていたのに対し、
相手にとっては完全に予想外。いや〜、楽しかった。肝心のマラソンは体調が悪く、、6合目に
着いた時点で制限時間内のゴールは諦めたそうです。けど、頂上に着くのだから立派。私も膝の調子が良ければ来年は出場するつもりです。膝は変形性膝関節症です。果たして良くなるのやら。
 13:05 剣が峰。ここで30分ほど休憩。
ついでに写真を1枚。よく2日続けて来たもんだと我ながら感心。気が済んだところで下山することに。ところが、
ここで下山するだけの体力が無いことが判明。なかなか脚に力が入りません。前半が速すぎたのかな。その場にいても体力が回復するとは思えなかったので、やっとのことで馬の背を下りていきました。
 


 【下山開始】 
  13:50 御殿場口から宝永山を経由して富士宮口に戻る計画で下山開始。脚の踏ん張りがきかないので、一歩一歩慎重に下りていきます。これまでの富士登山では一度もコケたことがなく、砂走りでも勢いに任せて駆け下っていた私が、今回は8合目に着くまでに何も無いところで2回も尻餅をつきました。まだまだ脚力が足りません。もっと鍛えないと。 

  14:40  8合目 赤岩八合館着。40分かかりました。この頃から再び雲と霧が出始め、頂上や7合目付近が見えなくなっていました。宝永山がどこにあるのか全く見当がつきません。
登山時のルートを通って下山しようかと思いましたが、やはりルートの下見をしておきたかったし富士宮口を下ると岩場で何度もコケそうな気がしたので、予定どおり宝永山を経由することにしました。なお、ここから5合目に戻るまでは時間を計れていません。
 
 7合目 砂走館着。少し雨が落ちてきたので、ここでレインスーツを着ました。霧はどんどん濃くなり、視界は20mほどです。山小屋のお兄さんに宝永山への分岐点を教えてもらったあと、
初めての道で周りが見えない不安に駆り立てられながら、再び下山開始。

 しばらく歩いていると、大砂走りに入りました。私のイメージでは大砂走りに入って間もなく宝永山への分岐があるはずでしたが、なかなか見えてきません。周囲360度を霧に囲まれているため、知らない間に見落としていたのかと、ますます不安が増大しました。最悪、御殿場口5合目に出てしまったら、バスでいったん御殿場駅まで出て富士宮口5合目まで戻ったほうが、タクシーを使うより安いかなと真剣に考えていましたが、幸い見落としていませんでした。分岐点にさしかかった頃、雨が本格的に降ってきました。早い段階でレインスーツを着て正解。

 周りに人がいないうえ、何も見えない状況では頼りになるのは標識と足跡です。それを辿りながら宝永山の火口につながると思われる道を下りて行きました。ここでまた難題が。道が2つに分かれています。1つは下に、もう一つは右に。下に行く道は石がゴロゴロしていて、少し歩きづらそう。標識はありません。これはどっちに行ったらいいんだろう???視界は10m以下、どちらを選んでも霧に飲み込まれそう。この2日連続登頂で一番辛いポイントでした。どちらの道も結果的に同じ場所に出ることは予想できましたが、歩くなら楽なほうがいい。何よりも、周りが見えない不安感をどうにかしたい。そんな気分でした。

 困り果てているところへ、上のほうから数人の声が聞こえてきました。宝永山への分岐点で見かけていた5人ほどのグループです。まさに天の助けでした。早速聞いてみると、下への道が正解で、右のルートは登山専用道とのことでした。これで一安心。しかし、いつまたこの先で道がわからなくなるかもしれないので、このグループの後について歩きました。

 グループについて30分ほど歩いたでしょうか。無事に6合目雲海荘前に戻ってきました。嬉しかったです、本当に。ここから更に10分ほどで5合目に着きました。時間は16:30。下山の
所要時間は2時間40分でした。脚の疲れのピークは8合目までだったようです。その後は一度もコケませんでした。宝永山でこのグループに会っていなければ、不安と戦いながらあと20〜30分は下山が遅れたと思います。どうもありがとうでした。

 【終わりに】
  午後6時過ぎ御殿場市内の宿に戻り、早速シャワーを浴びました。その後、近所のコインランドリーで今回の登山で着た服を一式洗濯。ひととおり片づけをして、ごはんを食べ、爆睡。
 翌日、今度こそ脚が張って動けないかと思っていたら、これがまた意外と元気。この日、山梨県身延山にある287段の急な石段を、ほいほいと上り下りしてました。

 今回の登山で、4つある主な登山道のうち、須走口と富士宮口(登頂は御殿場口)の2つで
登頂したことになりました。今のところ、河口湖口は人が多すぎるので登る予定はありません。
御殿場口も、精神修行になりそうな気がするので、登る気にはなりません。今後も、登るとすれば今回の2ルートがメインになると思います。とにかく、いろいろありましたが、2回登れて良かったです。この10日後、今度は友人と登っています。さらに9月には、富士登山初心者の同僚
2人を連れて須走口から登る予定です。周囲からは「登りすぎ!」と言われていますが、夏の間だけしか登れなんです。存分に楽しんでおかないと。


(管理人)
 富士宮口八合目から御殿場口へは「通行禁止」のバリケードが立ってることもあります。確かに沢を横切るので落石には注意が必要ですね。


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(03/8/15)