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 みんなの登山記2006−14富士宮口
 投稿者:O.Kさん


■2006年8月20日(日)〜21日(月)

今年の06-1で登山記を書かせていただいたものです。前回は山頂に立てた事で満足できた登山でしたが、悪天候で剣が峰に行けず景色も何も見え無かったこともあり、日に日に剣が峰に行きたい、山頂からの景色を堪能したい、ご来光も見たいと気持ちがエスカレートしてきました。また河口湖口からしか登ったことが無いので違う登山口から登りたいとも思い、再び富士登山をすることにしました。

今回の登山の最優先事項は剣が峰に行くことにしましたので、アプローチに有利なように登山口は富士宮口に決めました。また昼登るか夜登るかという問題も経済的な面も考え夜間登山にしました。ただ昨年夜間登山で失敗していますので、スタート時間を早め(昨年は23時河口湖口五合目出発)ゆっくり登ることにしました。今回の登山ではみなさんが記載したコースタイムが大変参考になりましたので、私も今回はコースタイムを採りました。他の方の参考になれば幸いです。

自宅から横須賀線、東海道線を乗り継ぎJR三島駅に向かい15:45発の富士宮口新五合目行きの登山バスに乗車しました。乗客は私1人だけでした。ピークを外れた日曜の夜の登山とはいえちょっと寂しい車中です。夜間登山する人はもっと遅い時間のバスに乗るでしょうか、それとも車なのでしょうか。ちなみに富士急バスは従来三島駅発のバスは三島口と案内していましたが、今は一般的な呼称の富士宮口と案内しているようです。バスは17:25に予定より25分ほど早めに新五合目に到着しました。富士山スカイラインは新五合目から2.km少々下まで駐車の車があり、週末の混雑に驚きました。高度順応を兼ねて夕食を食べ、軽くストレッチをして出発に備えました。

新五合目18:15〜新六合目18:35
新五合目でもう少しゆっくりしようかと思ったのですが、まだ明るさが残っているうちに少しでも上に行きたいと登山を開始しました。五合目出発時には雲が切れ山頂まで見えていました。新六合目までは20年以上前に観光で行ったことがあるのですが全然覚えておらず、いきなりこんな急勾配から始まったかなと思いながら歩いているうちにゆるい坂になりました。20分ほどで新六合目に到着しましたが、スタートしたばかりなのでここでは休憩せず、山小屋でリラックスしている人々を横目に通過しました。

新六合目18:35〜新七合目19:30
だんだん暗くなってきた来ましたが、新六合目からしばらくはヘッドライトなしでも充分歩ける明るさです。当HPやガイドブックなどの富士宮口登山道の解説に書いてあるように、勾配が急になってきました。登山道は予想外にズルズルすべり登るのに苦労しました。個人的な感想かもしれませんが、富士宮口は固い岩場で足元はしっかりしているというイメージがあったのに、ガレ場続きで登りにくいと言われる河口湖口の方が登りやすいと感じたくらいです。新七合目で10分休憩。

新七合目19:40〜七合目20:30
あたりはすっかり暗くなったのですが、この時間になってもまだ下山する人がおり、しかもライトなしで降りてくる人の数の多さには驚きました。よく整備された一本道の登山道とはいえ余りにも無防備すぎるのではないでしょうか。登山道は相変わらずズルズルすべる砂礫でとうとう段差で滑った拍子に右足の膝を岩に強打してしまいました。一瞬ヤバイと思いましたが、痛みはすぐ治まりましたので登山を続行しました。下調べをしていましたので、新七合目の次に七合目が来ても驚きもがっかりもしませんでした(笑)。七合目では30分休憩。

七合目21:00〜八合目21:40
七合目あたりから砂礫の道から固い岩場の道になった感じです。個人的にはやっと登り易くなったと思いました。天気は少し雲が広がっていますが、三島、沼津あたりの夜景が綺麗に見えていました。街の明かりが反射して雲が明るく星空はそれほど綺麗には見えませんでした。つくづく富士宮口登山道は山小屋の間隔が広いなあ感じ、山小屋に着く度にホッとした気持ちになりました。八合目で35分休憩。

八合目22:15〜九合目23:05
八合目からが富士登山と言われるようにここから勾配が益々急になってきます。と昼の登山だとこうなるのでしょうが、夜間登山だと余り実感が湧きません。既に充分急勾配のような気がします。高度的には高山病の心配もありますが、腹式呼吸で深い呼吸を心がけました。時々稲光がして少し不安になりましたが、雷鳴がしないのでまだ遠いと思い先に進みます。九合目で25分休憩。ここには自販機があるので暖かいコーヒー購入して飲み、トイレを済ましました。ここのトイレは先に200円払わないとトイレのドアが開かない仕組みでした。

九合目23:30〜九合五勺24:00
途中の山小屋で充分休憩を取りながらも、やはり3000mを優に越える高度のせいか動きは鈍くなって来ました。九合目から見たとき次の山小屋が見えず距離感が無く登っていましたが、30分ほどで九合五勺の山小屋に着きました。山小屋は消灯して暗く下から見えません。どこかでまとめて休憩をしないと、かなり早い時間に山頂についてしまうと思いながらも、山小屋前のベンチでは風が吹き抜け寒く、なかなか長居できません。ここまできたら山頂で風の吹かないところを探そうと思い山頂へ向かいました。

九合五勺0:25〜山頂1:15
疲れなのか空気の薄さなのか足が進みません。頂上まであと30分の看板を見ても疲れている自分には無理だと逆に気が抜けてしまいました。途中で抜かれた人に話を聞けば21:00に登り始めたと聞き驚きました。すばらしい脚力をお持ちの方がうらやましい限りです。まだかまだかと思っているうちにやっと鳥居が見えて山頂に到着しました。あと30分の看板の場所から45分かかりました。休憩時間をのぞいた所要時間は5時間ちょうどで、あわせたわけではありませんが、このHPの富士宮口の解説通りでした。ただ休憩時間がかなり長いので参考程度にしかならないと思います。休憩を入れたトータルの登山時間は7時間でした。

御来光
ご来光は5時少し前なのでまだまだ時間がありますので、浅間神社奥宮内に風を避けられるスペースを見つけ防寒対策をしてそこで待ちました。それでもさすが山頂、かなり寒かったです。星空が綺麗に見えましたが、やはり街の明かりが雲に反射して山頂でも空は明るいのだなあとちょっとがっかりです。3時を過ぎた頃から次第に山頂に到着する人が増えてきました。苦しかった登山を終えやっと山頂に着き、喜びの声をあげる人が多かったのが印象的です。気持ちは良くわかります。ただ山小屋で就寝している人もいるでの大声で騒ぐのはちょっと…。

4時半ごろに富士宮口山頂から少し東側の東安河原の先、成就岳のそばに移動し、登山道脇でご来光を待ちました。やや雲がありましたが、すばらしいご来光で、湘南の海岸線から自分の居住地の三浦半島、伊豆半島など景色も綺麗に見ることが出来ました。


剣が峰
御来光を見た後は一度浅間神社奥宮まで戻ります。途中御殿場口頂上付近で頂上の噴火口(大内院)をのぞきましたが、その深さと急斜面に驚きました。写真などでは広角レンズで撮ることが多いせいか、肉眼とは随分差があります。虎岩も真横からみると本当に虎が首を出している感じです。浅間神社を通りいよいよ馬の背です。噂通りきつい坂道で一気に上れず2度3度立ち止まりながら登りました。視界がよく特に駿河湾の真ん中に浮かんだ船が印象的でした。そしていよいよ剣が峰に到着です。富士宮口山頂が随分下に見えます。剣が峰に登らないと山頂に行ったことにならないと言う人がいる事も判らない気がしないでもありません。当HPに書いてある一番高いところにある赤いペンキで鳥居のマークがしてある岩を見つけ、手でタッチしておきました。(足を出すのはちょっと怖かった。)また展望台からの眺望も堪能し、大沢崩れのスケール感に驚き、影富士を見て富士山の大きさと影に見る山容の美しさを実感できました。

お鉢巡り
御来光を見た場所から既にお鉢巡りは始まっているのですが、ここでは剣が峰より先を。剣が峰を後に時計回りにお鉢巡りをします。八ヶ岳が綺麗に見え、常念岳と思われる北アルプスの山も見えました。また火口内の万年雪も確認し延びているパイプ(ホース?)から山頂での水の貴重さを理解しました。白山岳の大きさに驚き、小内院のどこが小なのだと感じ、富士山は見るものすべてがそのスケール感に圧倒されます。お鉢巡りは1周するのが本来の意味だと思いますが、須走口に降りるので少しの区間を残し下山しました。お鉢巡りをすれば富士登山がもっと楽しめると感じたと同時に、悪天候や強風時には無理にお鉢巡りをしてはいけないという事も十分理解できました。落ちればケガどころか命を落としかねない場所がいたるところにあり、諦める勇気も必要だという事もつくづく感じました。

下山(頂上6:40〜須走口五合目9:35、大陽館で30分、吉野屋で10分休憩)
前回と同じように須走口に下りました。前回は前日に大雨が降った影響でかなり道が荒れていましたが、今回は綺麗な下山道でした。大陽館さんで着替えとスパッツを履くために少し休憩しました。また暑くなりのどの渇きを覚えたので水分も補給しました。いよいよ砂走りですが、砂走りに入るところの下山道少し荒れていました。砂走りで何度か立ち止まり振り返ると富士山の大きさを感じます。ますます暑くなってきたので吉野屋さんでジュースを購入しまた水分を補給しました。登山中にこれでもかというほど汗をかいたので、体が水分を要求しているようです。この砂走りで登山中にぶつけた右ひざに痛みを感じましたので、吉野屋さんを出たあとエアーサロンパスを吹きかけ応急処置をしました。吉野屋さんから25分ほどで須走口五合目に無事到着。東富士山荘でこけもものソフトクリームと牛丼を食し、家族から厳命のあったきのこ茶を購入して11:00のバスで御殿場駅に向かいました。前回と同じ時間のバスですが、さすがに今回はほぼ満席でした。(前回は3人だけ)

今回は3度目の正直なのか、以前挫折した夜間登山の克服、山頂での御来光、剣が峰、お鉢巡りと得るものがとても多い登山になり大変満足しました。また私事ながら今年2度目になる富士登山に快く送り出してくれた家族にも感謝しています。小学校3年の息子も富士登山に興味をしめしているので、来年くらいには親子で登山できればと思います。


  (管理人)
 山頂で4時間近くの御来光待ちはさぞかし寒かったでしょう。でも、お鉢巡りも堪能され、成果の多い富士登山でなによりです。


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(06/8/26)