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 みんなの登山記2007−31
 投稿者:まえまえファミリーさん

■2007年8月27日(月)〜28日(火) 須走口

8月27日から一泊で、家族5人、初めての富士登山にチャレンジしてきました。 40歳台の私達夫婦と、小1、小4、中1の子供達です。夫は小3の時に父親に 連れられ山頂まで行ったそうですが、私と子供達は初めてでした。

私は初めてで、しかも子供を連れて行くということで「あっぱれ富士登山」を参 考にさせていただきました。今回はささやかながら、我が家の顛末を書かかせて いただいて、後に続く方の参考になればうれしいです。

今回は残念ながら本8合目で子供達が高山病になり、7合目まで下山して一泊し ゆっくり休んだ後、翌朝下山しました。という訳で、目標の山頂にはたてません でしたが、貴重な体験となりました。

長くなりそうなので、最初にレジメを書きます。夫は小学生で登った時に高山病 にならなかったので、過信していた。登るならば剣が峰まで、という思いが強く、 一日目に行けるところまで行こう、と決めていた。私は初めてなので体験記を読 んで、息を意識して吐いていたので、高山病にはならなかった。「息を吐いて」 と声かけしはたが、子供にはその大切さが伝わらなかった。つまり、私も含めて 高山病予防のための呼吸法の大切さはしっかりとはわかってはいなかった。夜間 下山になりそうだったので、無理して5合目まで下山せず、7合目で泊まったの は正解だった。

それでは順を追って・・。26日は夜8時就寝、27日朝3時起床、3時半に出 発して、朝6時頃、須走口の新5合目の駐車場に到着。朝ご飯もすませ、身支度 を整え、子供3人分、金剛杖を買って早速出発しました。

天気は晴。気温も朝は涼しく、Tシャツの上に長袖一枚で丁度良かったです。木 漏れ日の中、林の中を抜けていきました。でも私にとっては、想像していたより もきつく、最初の山小屋までの距離が長く感じました。あっという間に汗だくに なり、途中で半袖Tシャツになりました。「息をはいてー」と子供達に声をかけ ながら行きました。途中で私は右足の付け根の関節に違和感を感じて、6合目の 山小屋で金剛杖を買いました。杖は3本目の足という感じで、それ以降は違和感 も無くなっていきました。

休憩をはさみながらも、10時10分に大陽館に到着。子供達はまだ元気で、皆 で豚汁をいただきました。(後から聞いたら、次女は6合目以降、頭痛がして、 段々気持ち悪くなっていたそうです)

本7合目の見晴館には11時40分に到着。ここに泊まって登頂に成功したファ ミリーがいたな、ここだったのね、と思いました。

そこを出発し更に上を目指しますが、砂利道で傾斜もきつく、高度も上がった せいか、ペースがガクンと落ちてきました。小1の長男は道の真ん中でパタッと 寝ころんで休んだりしています。小4の次女も、かなり辛そうになってきました。 私も時々息苦しくなって、立ち止まっては深呼吸です。夫は「頑張れ」とはっぱ をかけます。

午後1時30分になんとか本8合目に着きました。子供達がお腹がすいた、と いうので皆でうどんやラーメンを食べました。ペロリと食べましたが、食べた後 で次女がお腹も痛くなり「今日はもうどうしてもこれ以上登れない。今日はここ に泊まろう。」というので、予約なしでしたが、山小屋にお願いしました。

山小屋に入ってすぐ、次女が吐いてしまいました。宿の方に「高山病ですね。」 と言われましたが、寝床に案内されたので、思わず布団にもぐりこみ、皆で眠っ てしまいました!分かる方は分かりますね。高山病の症状が出たときにやっては いけない事をしてしまったのです。

眠ってしまって暫くして、次女が再び吐きました。その時に「下山かな」 という思いがかすめましたが、まだ「できれば山頂に」との思いが捨てきれず、 ぐずぐずしていました。暫くして今度は長男も吐いてしまい、「今すぐ下山す るしかない」とやっと決心できました。汚してしまった布団を運び、出立する準 備をしているうちに、長女までも吐いてしまいました。

高山病が一番ひどかったのは次女ですが、「3度吐いたけど、吐くたびにひどく なっていった」と言っていました。本八合目には2時間以上いましたが、もっと 早くに下りる判断をすれば良かったと、今は思います。ですが登頂の夢を捨てき れなかったのと、自分たちも疲れていた、というのがあってぐずぐずしていて、 結局子供全員が吐いてしまいました。

本8合目を出発したのが午後4時過ぎ。私は初めての下りでしたが、下りも傾 斜がきつく、砂利道で滑りやすく、そんな中で吐き気が収まらず、体力を使い果 たした子供達を支えながらの下山は大変でした。長男は吐きながら下りました。 長女はかろうじて自分の荷物も持ち、自力で下りてくれたので助かりました。夫 は下の子供二人分の荷物も持ち、子供を支えながら下りたので、膝に来たそうで す。「高山病は下りればケロッと直るそうだから、頑張って下りよう。下りれば 楽になる。あそこに見える山小屋までたどり着こう。」と励ましながら下りまし た。途中でリュックの上に小学生の子供をおんぶして下山しているお父さんを見 かけ、「すごい人もいるものだ」とびっくりしました。

なんとか7合目の大陽館に辿り着いた時には午後5時半になっていました。登り はいくつも山小屋があったのに、下りは本8合目の次は7合目までないという事 に初めて気が付きました。大陽館で「子供が高山病になった、もっと下りて泊ま れる山小屋はありますか?」と尋ねたら、「ここに泊まるか新5合目まで下りる しかない」とのこと。「明るいうちに下りたいのならば、下りは1時間半はかか るから、ここに泊まるか下りるか判断が難しい、子供さんが下りたいという気持 ちが強いなら下りるという選択もあるとは思うけど」との事でした。 私達はヘッドライトを2つしか持っておらず、夜間下山で恐い思いをしたという登山記も読 んでいたので、泊まることにしました。それが大正解でした!

大陽館の女将さんはとても親切で「高山病には呼吸法がとても大切で、腹式呼吸 で深く吸うことができなければ治らない。深く吸うためにはお腹がブルブル震え るくらい息を吐ききることが大切。30分はその呼吸法を続けなさい。」と言わ れました。また、「5合目の登り初めの時は、呼吸法を守りながら、一呼吸で一 歩くらいのペースで歩いて高度順応するのよ。息切れするのはオーバーペースと いうこと、最初にそのコツをつかめば頂上まで順調に行ける」とか、「食事を取 ると胃を動かすために酸素が必要になるから、呼吸法を守りながら取るのだ」と か、「眠ってしまうと呼吸が浅くなるから高山病の時は眠ってはいけない。」 「高山病になったら動きはゆっくりすること」とか、色々と教わりました。 「呼吸法が上手になってくると、まず喉が乾いてくるから喉を湿らせる」という 事も教わりました。家族5人で一所懸命呼吸法を守り、元気になってから夕飯を いただきました。子供たちにはお粥まで用意していただきました。その夜は気持 ち悪くなることもなく、眠れました。長い一日でした。

翌朝は4時半に朝ご飯で起こされます。朝食後、ご来光を見ることができ、朝焼 けに染まった雲海から太陽が登ってくる様子を見ることが出来、感激でした。ス ケールの大きい景色で、これが見られて昨日の苦労も吹き飛びました。 私達は今日は下山と決めていたので再び眠り、9時頃、女将さんに挨拶をして、 大陽館を出発しました。私達が元気になったので、安心して下さいました。女将 さんの他にも、心配そうに見守って下さったご主人、スタッフ、親切にして下さっ た同宿の方に感謝しています。山小屋の居心地の良さはそこで働いている人によ るものだと、あらためて感じました。

下りの砂走りでは子供の方が余程元気で、私が一番遅いテンポで下りました。1 0時半頃ようやく新5合目まで戻ってきました。途中の林の中で登山中の団体と出 会い、先頭のガイドさんが、女将さんの言った通りのテンポで先導しているのを 目の当たりにしました。新5合目の駐車場での登りの時に、一呼吸一歩のテンポ で歩く練習をしてみましたが、ナルホド、息が切れません。こういうことだった のか、と得心しました。 小さいことですが、下りの急斜面ではジグザグに下りた方が膝にも負担がかから ず楽でした。また、お天気が良かったので、日焼け止めのspf50が役に立ち ました。塗り忘れた上腕とか、耳とか、大変でした。

次女がトラウマになっていなければ、来年あたり再チャレンジしたいです。

長い旅行記になってしまいました。最後まで読んで下さって有り難うございます。 皆様が富士登山を安全に達成されますよう、お祈りしています。


(管理人)
 大陽館は私も大好きな山小屋です。子供達には大変な登山でしたが大陽館に宿泊したのは良かったですね。呼吸法の大切さを改めて感じました。



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(07/9/7)