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 みんなの登山記2007−5
 投稿者:M.Hさん

■2007年7月20日(金)〜21日(土) 須走口

 富士宮口・須山口・御殿場口につづき、今年は須走口から7月20・21日と1泊2日で登りました。週間予報では21日の方が天気は良さそうだったのに、直前の予報では逆転、とにかく現地に行ってみないと、というわけで決行しました。

 須走付近では霧が濃く、路面が濡れていました。ところが「ふじあざみライン」を 登りつづけ、狩休を過ぎたあたりから路面が乾いています。もしかしたらうまい具合 に雲の上に出たのかな、と思ったらその通り、五合目の駐車場に着くと山頂まで見渡 せ、多少の雲はあるもののよく晴れています。下界を振り返ってみると一面の雲海。 午前7時、気もそぞろに準備を整えて出発です。昨年の登山で、八〜九合目付近まで はTシャツでも汗をかいてしまうのがわかっているので、今回もズボンにTシャツの 軽装です。

 菊屋で金剛杖を買った時、「今日はこまめに水分補給を」とアドバイスをいただき ました。下は霧雨だというのに、ここは別天地です。

古御岳神社に参拝して、右側から登山道に入ります。見た感じ須山口の二合〜三合と 似たような雰囲気です。平日で他の登山者があまりいないようなので、一応「クマ除 け」ラジオをつけながら樹林帯の中を進みます。

樹林帯が途切れ、山頂から下山道の砂走りまで一望できるところで写真撮影。ここか ら樹林帯に入ったり、眺望の良いところに出たりを繰り返しながら高度をあげていき ます。登り始めなのに少々苦しいな、と思いましたが、よく考えてみれば昨年の2回 の登り始めの標高が1450mに対し、今回は2000m。歩幅を詰めて、100〜200歩で1回 息を整える、という歩き方にギアチェンジしました。長田山荘の手前で、今回初めて の先行登山者を見つけました。カップルの方で、ゆっくりゆっくり登っていらっしゃ います。

1時間20分で六合目・長田山荘に到着。焼印を押してもらい、15分ほどの休憩で出 発。休憩料500円でお茶(コーヒー・紅茶も選べます)飲み放題、1時間までという ことですが、今回は山頂を目指しているということもあるので、15分で発ちました。

樹木の高さが低くなっているのがわかります。須走口は五合目から長田山荘までが長 く、あとは適度な間隔で山小屋がありますので、今回持参したペットボトルの飲料は 500ml×3本です。瀬戸館が近づくと潅木帯となり、周囲の眺望が開けて行く手には 山頂、振り返れば雲海、という金を出しても買えないような好環境の中をゆっくり ゆっくり登っていきます。富士山の斜面の向こうに、雲海に浮かぶ山々が見えます。

瀬戸館にも先行の方々が3名いらっしゃいました。カップルの方と、中高年女性の単 独の方。「歩いているより休んでいるほうが長い」と笑っていらっしゃいましたが、 富士登山はそれぐらいの方がいいのかもしれません。登山道がどちらか迷われたよう で、カップルの方と私が「あちらです」と指し示しましたが、もう少し標識が整備さ れていても良いのでは、と思いました。

「苦しくなったら金剛杖にもたれて、立ったまま休む、また歩いて、立ったまま休 む。その繰り返しだよ」とは、瀬戸館のおばさんのアドバイス。まったくその通り、 この先も山頂まで実行していくことにしました。

 この辺まで来ると日差しを遮るものがなくなってきます。ときどき雲で日が陰るの がむしろ有難く思われます。今度は後ろから来る登山者の方々に道を譲ることが多く なり始めました。この人たちはろくに休憩もとらずにここまで歩き詰めてきたってこ とでしょうか、抜いていった後も速いこと速いこと。大陽館に吸い込まれるように 登っていきます。年齢的には10代後半から20代前半といった感じで、やはり若いって のは体力があるってことなんですね。

 大陽館の登り側に物騒な看板がありました。「落石・時間の問題」「2m四方の 岩」「登山者は慎重に」。下山道と分かれてしばらく行った辺りに落石注意の標識が 3つ出ていました。気持ちとしては早く通り抜けたいのですが、標高3000mを超えて いては体が言うことをきいてくれません。とりあえず落石にあうことはなく通過。朝 食が早かったため、この辺りから空腹を覚えるようになりました。次の見晴館に11時 40分到着、少し早めの昼食とします。

正午に出発、少し食休みをした方がよかったな、と思いながらも、立ち休みしながら 歩きました。が、ここは今回の登山で一番きつかったところです。途中、下山道との 共用部分があって、勾配がきつい上にずるずる滑りやすく、30歩に1回息を整え、の 繰り返しでどうにかクリアしました。

八合目江戸屋で焼印をお願いし、ペットボトルのお茶を飲んで休憩です。下から上 がってきた単独の方も、この本七合目〜八合目の間はきついとのことでした。河口湖 口へ下りる方々が通るため、人の数が急に増えています。

胸突江戸屋の手前で、「ここを登ってこられたんですか?」と下山者の方が驚いた様 子。河口湖口の登山道はここを通りませんが、この辺りは河口湖口下山道・須走口登 下山道が共用になっているところがあります。それだけに登りはずるずる滑りやすく て大変です。共用区間から登山道単独になる辺りで、上からブルトーザーが下りてき たので、邪魔にならないよう少し急ぎました。見ると、下りのブルトーザーはバック 運転なんです。急なだけに慣れていないと怖そうです。特にカーブのところなんか先 の道が見えるまで空しか見えないでしょうから。登下山道として開放されている場合 は別として、ブル道通るのは危ないです。

胸突江戸屋でも焼印とペットボトル飲料で休憩です。

次の御来光館は目と鼻の先に見えています。ここからは登山道が河口湖口と合流、 登っているのは白人さんと黒人さんが多いようです。御来光館で少し休んでからは、 10〜30歩で1回息を整える繰り返しです。

日の御子の鳥居を14時ちょうどに通過。だいたい健脚で6時間、普通で7時間で登頂 といわれているようですので、かなり遅いペースです。この分だと登頂は15時を回る か、と思いつつも、競争ではないのだから、とぼつぼつ行くことにしました。ただ、 日の御子の鳥居から1時間ちょい、とみていたのは誤算だったようで、岩につかまり ながら登る箇所があったものの、40分ほどで登頂しました。結局ズボンとTシャツの 軽装で頂上まで来てしまいました。

山頂の山小屋に宿泊の予定でしたが、まだ時間があるのでお鉢めぐりに出発。途中ツ アーの方々とすれ違いがてら休息、富士宮口山頂に着くと、奥宮・有料トイレは開い ているのに、頂上富士館はまだ営業していませんでした。剣が峰直下、馬の背を登り きったところから大沢崩源頭の方に雪渓がこびりついているのも見えます。イヤな予 感がしました。3776m地点までは行けましたが、その直下でお鉢めぐりの道は通行止 め。やむなくもと来た道を引き返しました。この頃になると霧がでてきて、視界が利 かなくなってきました。

それでも16時30分、頂上山口屋にチェックイン。1泊夕食つき8人、素泊まり1人の 計9名で、詰め込まれることもなくゆったりと体を横たえることができました。ただ 登りに砂ぼこりを吸いすぎて痰がからんだのと、夕食時に飲んだビールの回りが速 く、それが落ち着くまでちょっと辛かったです。

夜半過ぎから風が強くなり、雨も降り出しました。夜のうちに登ってきた人も多いよ うで、4時頃から「豚汁一丁!」という声が聞こえてくるようになりました。支度し て宿泊棟から出てみると、店内は人・人・人で溢れていました。頂上での御来光はお 預けとなり、21日4時50分下山開始です。

河口湖口の下山道は、正式には八合目まで登山道と共用とのことですが、雨の降る中 段差の大きい石段を降りるのは危険ですし、下から登ってくる方々とすれ違うのも一 苦労します。そこで「仮設道」とされている方を下ることにしました。

40分ほどして、左手に山小屋が見え、「御来光館かな」と思ってよくよくみたら胸突 江戸屋でした。山頂からこの辺に至るまで、団体のお客さんが多いのですが、皆さん 本当に軽装備です。私のように上下セパレートのレインウエアを着て、ザックカバー でザックを包んでいるという方は少数派。大体半透明のレインウエアを、ザックを背 負った上から羽織っています。

八合目江戸屋で朝食、牛丼を頼んだところ「食事だと15分くらいしかいられないんで すが」とのこと。いいんです、食事だけで。もう下りるだけなんですから。この天気 だとしばらく暖をとっていきたいという方も多いのでしょう。

またしばらく下って大陽館に到着。ここからしばらく山小屋はありませんので、小便 を済ませ、飲料を用意しました。またスパッツを巻いて砂走りに備えます。

ブル道と分かれるとすぐ砂走り。ただ御殿場口の砂走りと違い、斜度がきつい、幅が 狭い、岩がゴロゴロしていると三拍子そろって歩きにくく、2回転倒してしまいまし た。特に岩に足をとられた時が危ないように思えます。昔から怪我人が出ているよう にも聞いています、ここは走ろうとせず、金剛杖を斜め後ろに構えてバランスをとり ながらゆっくり下るのがいいでしょう。砂走りの途中で雲が切れて、青空を、そして この朝初めての日差し「御来光」を拝むことができました。

砂払い五合目は営業準備は終わっているようでしたが、まだ営業していませんでし た。「トイレ200円」を見て、トイレを探そうとする方々数名。ここでレインコー ト・スパッツ・ザックカバーを外し、軽装に戻りました。

さあこれから樹林帯、と思ったらすぐブル道。ブル道と分かれて再び樹林帯に入って 間もなく、登山道と合流です。再び登山道と分かれてからの道は所々えぐられたよう になっているところがあり、夜間の無灯火は危険だろうと思いました。古御岳神社に 登山の報告をして、参道をくだり、東富士山荘できのこ茶・緑茶をいただき、「こけ ももソフト」で疲れを癒して今回の登山が終わりました。

須走口は、登山は静岡県側の登山口では一番登りやすいと思いましたが、下山は御殿 場口が一番楽だと思います。須走口も下りの大陽館までは楽ですが、その先に悪戦苦 闘がひかえています。

 20日には第1駐車場にも空きがありましたが、21日の帰り道は5合目から600mく らい、路上駐車の列ができていました。夜間登山した方々が多いのでしょう。


  (管理人)
 山頂でのビールの回りは速そうです。私は以前、七合目で飲んで懲りてから飲んでいません。まだお鉢巡りは剣が峰直下で通行止めとは。今年の残雪はすごいです。「落石・時間の問題」というのは怖いですね。須走口を登る方は注意して下さい。



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(07/7/21)