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 みんなの登山記2008−1
 投稿者:O.Kさん

■2008年7月9日(水)〜10日(木) 須走口

今年も富士登山のシーズンが始まりましたので、早速登って来ました。今回は初めて須走口からの登山です。当初予定では途中山小屋に泊まり、山小屋でご来光を見て山頂に向かい、お鉢めぐり後に御殿場口に下りる予定でしたが、結局お鉢めぐりはせず、須走口の往復になりました。

自宅からJR線で御殿場駅に向かい、8:10発の須走口新五合目行きのバスに乗車します。乗車人数は5名ほどですが、同時発車した御殿場口新五合目行きは誰も乗っていないようでした。バスは予定より7分ほど早く須走口新五合目に到着です。

今回も各区間のコースタイムを採りました。他の方の参考になれば幸いです。休憩多め、途中山小屋泊まり、メタボ体型、というパターンです。脚力は中の下と言ったところでしょうか。

○新五合目9:04〜新六合目10:05
須走口を登るのは初めてでペース配分など、わからないのですが、時間には余裕があるのでのんびり登るつもりです。しかしバスから降りたら、自分以外の人は脱兎の如く登山道に向かいすぐに見えなくなってしまいました。すごい脚力だと驚きます。競争ではないと自分に言い聞かせましたが、自分の脚力に少々不安を感じます。古御岳神社で登山の安全を祈願し、いよいよ本格的な登山道に突入です。新五合目で高度順応のための休憩をしなかったのですが、須走口新六合目は富士宮口新五合目とほぼ同じ高度なので、新六合目まで意図してゆっくり歩き、この区間で高度順応すればいいと思っていました。樹林帯の中を進み時々視界が開け下山道が見えますが、ガスがかかって高度感がありません。ほぼ1時間で新六合目に到着しました。当ページの案内によると、ほぼ標準的なペースのようなので少し安心しましたが、そうなると先ほど脱兎の如く登山道に消えていった人たちの脚力は相当の物のようです。新六合目の長田山荘のご主人?と少しお話をしましたが、今日は登山者は少ないと言うことです。あと須走口は年々登山者が増えているともおっしゃっていました。特に若い方がインターネットで調べ須走口を選んでいるようだということです。確かにこのページも須走口推奨?ですね。

○新六合目10:16〜本六合目10:48
新六合目を出てすぐに残雪がありました。地形などの影響もあるのでしょうが、やはり富士山は標高の高い山だと思い知らされます。事前の下調べではこの区間の標準タイムがわからなかったのと、ガスで上が見えなかったので距離感が無く登っていましたが、あと5分で瀬戸館の案内板を見てホッとしました。標準タイムはわかりませんが30分強で到着です。疲れると食べ物が喉を通らない体質なので、瀬戸屋でかっぱえびせんを購入して食べました。既に汗びっしょりなので塩分補給の意味合いもあります。気圧のせいでかっぱえびせんはパンパンに膨らんでいました。さて、ここまでで休憩時間を除いた登山時間は1時間33分になったのですが、到達した高度は富士宮口で言えば新六合目の少し上くらいです。富士宮口新五合目からなら登って30分弱位の高度でしょうか。やはり須走口はちょっと長いですね。山頂は雲に隠れ見えません。

○本六合目11:05〜新七合目12:09
木々が減って岩場が増えてきた代わりに視界もよくなってきました。途中で若い人に抜かれましたが、大阪からバイクで来たとのことで、今日中に山頂まで行くとのことです。若い人はさすがに体力があります。無理をしないでとちょっと心配になりましたが。本六合目から1時間少々で新七合目に到着しました。当初予定では大陽館(新七合目)か見晴館(本七合目)に泊まろうかと思っていましたが、思ったより早い時間に到着しましたので、もう少し上の山小屋に向かうことにしました。ここでは暖かいコーヒーを飲みました。山で飲むコーヒーはおいしいですね。真っ白なワンちゃんが元気よく山小屋のちょっと上で吠えていました。

○新七合目12:43〜本七合目13:26
この区間は標準的なタイムは30分程度のようですが、空気が薄くなるにつれてタイムが落ちる毎度のパターンのように少し遅くなりました。昨年指摘されていた登山道と下山道の境の紛らわしい案内板を確認しようかと思ったのですが、すっかり忘れてしまいました。だいぶ疲れてきて周りを見る余裕がなくなってきたのでしょうか。ただ帰りに分岐の少し上に「下山道」と書いた標識がたくさんあったので、登山客が間違って登り始めても気が付くのではないかと思います。もっとも登り下りが別の道という事を理解していないと無意味ですが。見晴館まで来るとガスが取れて山頂まで見渡せました。がんばれば今日中に山頂までいけるかなとも思いました。見晴館ではアルバイトの方といろいろ話をしましたが、なかなかの好青年でした。大阪から来たとの事でした。

○本七合目13:50〜八合目14:17
この区間の標準的なタイムもわからなかったのですが、30分弱で到着しました。ただ下山道と共用区間はズルズルすべり歩きづらかったです。天気も見晴館からは山頂まで見えていたのに、ガスがかかり雨も降りだして来ました。吉田口と本格的に合流する本八合目まで行くと山小屋も混んでいそうだと思い、ここで泊まろうかと思いましたが、聞いてみたらまだ江戸屋(下江戸屋)はオープン前との事でした。本八合目の胸突江戸屋も今日は空いているとの事でそちらに向かいました。

○八合目14:20〜本八合目14:47
江戸屋のホームページにはこの区間は登りで20分と書いてありましたが、30分近くかかりました。疲れがだんだん出てきたようです。この区間も下山道と共用の区間が多く、ズルズルすべり歩きづらい区間が多いです。いつも須走口を下りる時、登る人は大変そうだと思って見ていましたが、自分がその立場になると本当に辛かったです。雨も強くなり始めたので今日は山頂まで行かず、今宵の宿は少し早いですが、胸突江戸屋にしました。本格的なシーズン前ということもあり山小屋はガラガラでした。食事も17:00からの組は自分ともう人の人と2人だけでしたが、男2人でのんびり話をしながらくつろぎました。成田からいらした方でしたが、翌日無事山頂まで到着しましたでしょうか。昨年はお子さんが高山病になり途中で下山したとおっしゃっていました。自分は疲れと空気の薄さのせいか食欲がなく、夕食のわずかな量のカレーも食べ切れませんでした。ただ今まで山小屋の宿泊でいつもなったひどい頭痛はしませんでした。少し低い高度の須走口からの登山で体がゆっくり高度順応できたのでしょうか。

○本八合目4:40〜八合五勺4:54
夜中にかなり強い雨音がしていましたし、午前2時頃外を見たらガスがかかっているように見えたので、今日はご来光は無理かと思っていましたが、午前4時頃外を見たら多少雲がありましたが、青空が広がっていました。山小屋前でご来光を見て4:40に出発しました。ここから山頂までは江戸屋とトモエ館のホームページには60分が標準タイムと書いてありますが、その上の御来光館は90分と書いてあります。私の脚力では後者の方が近い数値に思えます。天気はよく山頂まで見渡せました。空気が薄いのと歩きだしたばかりで体が暖まっていないためか、ちょっときついなと思いながらも登り始めましたが、約15分で八合五勺に到着しました。ここは初めて富士山に登ってリタイアした苦い思い出のある場所です。下山道へエスケープルートをトボトボ歩いたのは3年前の話です。

○八合五勺4:58〜九合目5:23
やはり空気の薄さで体が動きません。ちょっと歩いては立ち止まりの繰り返しです。陽が出てきたせいか汗も出てきました。ただ周りを見ると似たような状況の人ばかりです。山頂までもう一息です。迎久須志神社は補修されたようで木が綺麗な色でした。

○九合目5:26〜山頂6:03
九合目を過ぎたあたりから、少しガス出始めました。やはり山頂でご来光を見るパターンで行動すればよかったかなと思いましたが、後の祭りです。山小屋の方が、みんながみんな口をそろえて、山の天気はコロコロ変わると言っていましたが、まさにその通りの変わりようでした。最後にある岩場あたりは段差を乗り越えるのに四苦八苦です。もう目の前に山頂の鳥居や狛犬も見えているのに、ちょっと歩いては立ち止まりというパターンの繰り返しです。やっとの思いで山頂に到着しました。家に帰って計算したら休憩時間を除いた行動時間は5時間30分とこのページの須走口の解説とぴったりです。途中山小屋に泊まりましたし、休憩も多いので単純比較は出来ないかもしれませんが。

○山頂6:22〜新七合目7:18
山頂でお土産を購入し、お鉢めぐりをしようか迷いましたが、ガスがだいぶ出て白山岳や剣が峰も見えないので、須走口に下りる事にしました。御殿場口へ下りる事も考えたのですが、下を見るとかなり濃いガスがかかっているので、未経験の御殿場口で登山道を見落とすのが怖いという気持ちもありました。また、この時間に下りれば須走口新五合目9:30発のバスに間に合うとの思惑もありました。案の定下山をしてすぐに視界が真っ白になりました。江戸屋の分岐を6:52に通過しました。ガスが非常に濃く、吉田口との分岐の案内板がほとんど見えない状態です。案の定間違えて途中で登り返してくる人がいました。大陽館にはゴルゴ13の絵でここは須走口だという案内と吉田口には2つ上の山小屋まで戻れと書いてありましたが、これを見て間違いに気が付いた人のうち何人の人が実際戻るのでしょうか。自分ならあきらめて戻らないと思いますが、ツアーなどだとそうもいかなのでしょう。大陽館で水分補給をして防寒具(=レインコート)の中に着ている服を一枚に脱ぎました。防寒具を脱いだら体中から湯気が上がりました。ゴアテックス製品とはいえ、発汗が多いとさすがに蒸れてしまいます。

○新七合目7:25〜砂払五合目8:14
いよいよ須走口下山道の見せ所の砂走りですが、個人的にはちょっと苦手です。夜間に降った雨のせいか砂が少し湿り、砂埃がたたなかったのは幸いです。ただガスで先が見えず、どこまでも続く砂走りに嫌気がさしてきました。左手を見てもガスで高度の目安になる、本六合目や新六合目の山小屋が見えません。一度樹林帯を通過してブルドーザー道と合流したらやっと砂払五合目に到着しました。冷たい飲み物が欲しかったですが、この時期はまだ砂払五合目の吉野屋は営業していません。そういえば一昨年も7月初旬に下りてきたときはオープンしていませんでした。ここで砂埃よけのつもりで着用していた防寒具を脱ぎ荷物の整理をしました。

○砂払五合目8:30〜新五合目8:56
さてラストスパートを掛けたいところですが、バスの時間を気にして自分としては少々オーバーペースで下りてきたこともあり、足が辛くなってきました。よく後ろ向きに下りると楽と言うので試しにやってみましたが、確かに楽ですが、前は見えないし逆に腿が痛くなるので、すぐに普通の歩き方に戻しました。ブルドーザー道と別れたあたりから勾配が緩くなりだいぶ足が楽になりました。古御岳神社で無事下山できたお礼の参拝をして8:56に新五合目に到着しました。東富士山荘でお土産のきのこ茶を購入し、コケモモのソフトクリームを食べながら、きのこ茶も飲みました。疲れた体には、きのこ茶の塩分と冷たいアイスクリームがたまらなくおいしく感じます。バスまで時間があるので東富士山荘の方といろいろ話をさせていただきました。ここでもやはり近年は若い人が登山道として須走口を使うようになってきたと話をされていました。若い人向けにアイスクリームの種類も増やしたそうです。インターネットの影響力はすごいものです。

○終わりに
今回は昨年実行できなかった須走口からの登山が出来て満足しています。また、シーズンはじめで比較的閑散としていたこともあり、各山小屋でいろいろお話をさせていただき、とても楽しい時間を過ごせました。だた今回は写真を撮りたかったので、デジタル一眼レフを持っていったせいかので荷物が重く、また最後まで着なかった衣類や食べなかった食料などがあったので、荷物の減量化が課題かもしれません。


(管理人)
 平日ならではの、のんびりした雰囲気で、各山小屋で従業員さんや登山者の方と対話を楽しめたのはとても良い感じです。下山道の砂走りは霧の時は位置がわからないので、 あと何qと表示した道標を立ててくれるとありがたいですね。



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(08/7/12)