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 みんなの登山記2008−53
 投稿者:黒猫ママさん

■2008年8月18日(月)〜8月19日(火) 須走口

こんにちは。黒猫ママと申します。
1年前、小1の娘をつれて富士宮口から登ってみるも、 娘が高山病になってしまい八合目で下山。 「八合目でみた満天の星空をまたみたいな(またみてもいいかな)」 と娘が思ってるうちにまた一緒に登りたいと思い、今回は自然を堪能できるルートで こども連れにもってこいという須走口から1泊2日で登ることにしました。 夫32才・私30才・娘7才です。

8月18日(月)、夫が仕事から帰ってきてお風呂やごはんを済ませてもらい、 夜中の2時過ぎに東京の自宅をマイカーで出発。時間帯のおかげで高速は快走で 山道をぐるぐる走らせていたら朝靄の中から鹿さんが。 びっくりして嬉しくて後部座席の二人に声をかけるも父娘そろって爆睡中。 しっかり睡眠はとっておいてほしかったのでそのままに。

出発して2時間半後(4:00)、無事に須走口五合目の駐車場に到着。 ちょうど、駐車スペースがいっぱいになった時で少し路駐する形で車を停める。 尚も爆睡中の二人を横目に、8時の出発予定時刻まで少しでも寝なくちゃと思いつつも 私は期待や不安で眠れなくて、結局家族分の準備に取りかかる。

8時になっても起きない父娘…すると「ドーン ドーン」自衛隊演習?の音が。 夫と私は前に聴いたことがあったので、あー、またこの音を聴きながら登るのか。 と聴き流していたのですが娘はそうはいきませんでした… 「なにこの音!?てっぽう!?爆弾!?こっちにこないの!?いやーー!!」 と大騒ぎして飛び起き、耳を塞ぎ、固まる娘…なかなか着替えができませんでした。 演習のことを説明しても大丈夫だからと言っても娘のやる気はなくなるばかり。 それでもノロノロと登り口まで行ったら 売店のおばあちゃんが金剛杖につける鈴をおまけにつけてくれたり お兄さんたちに「いってらっしゃい」と言われて だいぶテンションが上がってきた娘。前回に引き続き物欲旺盛。 スタート前に写真を撮ってもらう時には自ら「えいえいおー♪」と叫んでました。 結局9時半に登山開始。

登山の前に神社に安全祈願をしにいこうと思い地図通りに歩いて行ったら どんどんけもの道っぽくなって、大きな倒木でを乗り越えて神社に着いた〜と思ったら、 神社の反対側に今来た道より歩き易そうな登山道が。 フツーに登山道を登っていれば、神社に寄れたということ。 私たちってダメだね〜と苦笑いしてたら、 神社近くのロープをまたぐ時に足をひっかけて娘がコケました。 娘のテンションが一気に下がり「もう歩きたくない」ときました。 歩き始めてこの時まだ10分足らず…先がおおいに思いやられます。

登山道の最初の樹林帯では、私は山花がみれたりしてとても楽しんで歩いてたのですが 夫と娘は「ずっとこんななの?」とあまりお気に召さなかった様子でした。 しばらくして娘はまたコケて、「もう歩けない〜」と言っては立ち止まり、 自衛隊演習の「どーん」を聴いては耳を塞ぎ…両手で両耳を塞ぐからそのまま歩いたら 今度転んだ時に顔からいっちゃうよと教えても手を耳から離さない娘。 ついには登山開始早々「もう帰りたい」と言われて夫婦揃ってもうですか…とガッカリ。 励まして励まして、優しく接しても娘が登山前と言ってることとやってることが違うと 夫が怒り始め、ならもう帰ろう。と言い出してびっくり。 そうじゃないでしょーと今度は私が夫にあきれて、引き返そうとする夫とは逆に 私と娘でゆっくり先に進み始めたら夫も微妙な距離をおいて登ってきました。 周りに人がいたらさぞかし恥ずかしい光景だったと思います。。

11:30 新六合目2400mに到着。 平均の倍時間かかってしまいました。それでもあせりはなく仕方ないという感じ。 目の前に広がる真っ白い雲海と澄んだ青空、緑がいい気持ちにしてくれました。 娘だけ、おなかが空いたと言うのでお昼ごはんにうどんを頼みました。 娘が山小屋内で食べている間、夫は外のベンチで存分に昼寝。 とっても気持ちよかったらしい。一時間ほど過ごし、再び登り始める。

13:44 本六合目2700mに到着。 「新」とか「本」とかややこしくて、勘違いしちゃうよねと夫と話す。 ここから七合目までが長かった。娘が自衛隊演習の音にビビりながら、 耳を塞いではしゃがみ込むこと数分のの繰り返しで参りました。 本人は恐怖を感じる度にスクワットしているのと同じ状態だから 娘ってばすごい荒行をしながら登ってたことに…!?

七合目に着いた時に写真を撮るのを忘れて到着時間が記録できず―

16:56 本七合目3090mに到着。 風も強くなってきて一気に寒くなる。 娘が全く歩かなくなってしまい、どうしようもないと判断した夫が 自分のリュックを前にしょい、娘をおんぶして登り始めました。 私も、周囲の登山者もびっくり。っていうかかなり危ない。 娘をおぶって進みは降ろし、休み、を繰り返す夫を、おんぶしてもらってる娘を 私は転びませんようにと見守りながら 宿泊予約をしていた本八合目の山小屋まで1日目のラストスパート。 ふと谷側を見下ろしてみたら『影富士』が もくもく雲をバックに確認できて嬉しくなりました。

18:34 本八合目3350m予約を入れてあった山小屋に到着。 1日目の目標、クリア。 およそ9時間登山…長、長かった…

夜ごはんはカレーが出ました。 娘にはちょっと辛かったらしく夫にあげて肉うどんを別に頼む。 夫はチキンラーメンも別に頼む。 昨年の登山の時といい、この父娘は食欲だけは衰えない。 娘の体調と夜中の寒さを考えて、ご来光は山小屋前でみて、 日が昇りきったら頂上を目指そうということになり 眠い眠いと言う娘に合わせて20時前に家族揃って就寝。 夫と娘は爆睡してましたが、私は娘に何回も蹴られ、抱きつかれ その度に目が覚ました。トイレ行かない?外出て星みに行く?と 娘に聞いてみましたが寝ぼけながらも風の音に怯えて拒否されました。 感動のご来光の時間になっても風の強さに怯えてしまって 夫に私にしがみつきながら顔をうずめてしっかりみようとしない娘。 なんてもったいない。。 なんともいえない陽のあたたかさを感じ、山小屋で用意してもらったお弁当を食べて身支度。 リュックをひとつ山小屋で預かってもらいました。これはとっても楽になってよかったです。

6:45 本八合目3400mを出発。
7:19 八合五勺3500mを通過。

最初は家族一緒に登っていましたが、夫が娘のノロノロペースには自分が合わせ、 私は目標がわりに少し先に行くのがいいと言われてそうすることに。 空気はおいしいかもしれないけど、薄い。晴れてはいるけれど、強風。 大人の男性でもしんどそうに登っている人がたくさんいました。 途中、差が開き過ぎたかも…と思っては小休止をとり父娘の姿を確認しては進み始める。

8:30 3700m東北奥宮(久須志神社)の鳥居の手前に私だけ到着。 頂上はすぐそこです。鳥居をくぐらないで夫と娘を待つことにしました。 気長に登ってくる人たちを観察しながら待っていたら見覚えのある2人の姿が。 夫と娘です。 思わず娘の名前をと叫んでしまいました。 八合目以降は登山道が狭くて岩だらけでおんぶなんて無理なので 娘はがんばって自分の足で歩いてきました。 夫が辛抱強く、励まし、待って一緒に登ってきてくれました。 娘は私が目に入ったら泣きながら私のとこにきました。 嬉しいとかじゃなくて、きっとこんなに長い時間登らせてひどい! と憎しみ半分だよなーと思いながら抱擁。

9:28 須走口頂上3776mに家族一緒に登頂。 登山中の晴れ間とは逆で、頂上はガスっていて、視界不良でした。 感動をわかち合ってる暇も束の間、山小屋に一秒でも早く入れて! といわんばかりの娘のグズグズでとっとと山小屋の中へ。 夫はラーメン、私はコーヒー、娘はミルクティーを頼み休憩。 娘は「ミルクティーぬるくなったら飲む〜」と言いながら、寝ちゃいました。 私は登っている最中はしんどいけど、止まってしゃべる分には 全然平気なんだということを夫に力説。 夫は娘のペースに合わせてきてたから、なんともないさと自慢。 しばらくしても娘が起きる気配がないので 私一人で山頂の郵便局まで手紙を出しに行ってくるよと外に出て、 どれ3年ぶりに火口でもみようかなって歩こうとしたら、 強風で足が進まない。霧で前方もまったくみえなくなってる。。 私には無理だと判断し引き返して夫に報告したら信じてもらえず 「またまたぁ〜仕方ないなぁ。俺がさくっと行ってくるよ」 と小屋を出て行った夫ですが、数分したら私の真横で変な顔して立ってました。 「…無理だ」と夫。でしょーと私。

間もなくして山小屋の人が「強風のため小屋を閉めまーす! 休憩中の方は早く下山した方がいいでーす」と言い出したので まだ眠いという梅子を起こして山小屋を出ました。 出てすぐ、下山道に向かい、さぁ、下ってこ〜と思ったら ゴゴゴゴゴーーーーーーーッと今までにない強風が、私たちを襲ってきました。 夫は娘を抱え込み、足を踏ん張ってなんとか停止。 私も踏ん張ろうとしたんだけどずるずる谷側へ風に押し流されていくので 両膝をついて、夫の足をつかんでやっと停止。 怖い。何今の風…身長170cmのガッチリ体型の私の体をもっていったよ… 少しでも気を抜くと、またさっきのような強風で、飛ばされそうになる。 娘を一人で立たせてたら、きっと簡単に吹き飛ばされちゃう。 視界も数メートル先しかみれないくらいにガスってます。 怖いけど、下りなくちゃどうしようもないという決断をして 風が少し弱まったら山側の方を落石にも注意しながら歩き、 強まったら踏ん張り、止まって耐える。の繰り返しで 少しずつ、少しずつ下りて行きました。 そうこうしてたら娘のかぶっていた帽子が飛ばされて、 どっかにいってなくなっちゃう〜と目で追っかけてたら 私の背後から来たお姉さんが超強風の中をダダダダダッと走ってきて 帽子を取ってくれました。ありがとうございます。

七合目まで下りた頃には風もだいぶおさまり、 砂走りに入ったのでざっくざっくと進めて、 上りよりも私はだいぶ楽に距離を稼ぐことができました。 相変わらず娘はグズグズでしたが夫に叱咤激励されつつ、 いつの間にか私よりもハイペースで下ったと思ったら たくさん休憩し過ぎて遅くなったりの繰り返しで進んでいきました。 自衛隊演習の「どーん」の音が再び聴こえてくるのに気づくと すかさず両手で両耳を塞ぎながら歩く娘の姿は スクワットしながら歩いてるみたいで、なんてMっ気な歩き方してるの… と思いました。余計に疲れる歩き方なのに。 何回言っても直さないし。困った子です。 しまいには「靴ずれしたー、痛いぃ」と大声で泣き出すので 靴を脱がせてみたけど目立った外傷はなく、 娘が望むままにバンドエイドをつけてあげたけどだめで。 泣くと余計に疲れるから、歩幅すっごく小さくてもいいから 歩かないとゴールできないよ〜と言っても泣きやまず。 もうちょっとだし、なんとか自分の足で歩かせて、ゴールさせた方がいいよねと 夫と話をして、最後の最後、娘にはがんばってもらいました。 樹林帯に入ると雨がポツポツ。雲行きがぐんぐん怪しくなってきて足早に。

16:00 須走口五合目に到着。 下りは5時間超、かかりました。 記念写真を撮ろうとしても娘はご機嫌超斜め顔でしたが おみやげ屋さんに入ったら目をキラキラさせて自分用のおみやげを吟味し始めました。 私は登山前から食べてみたかったきのこうどんを。 きのこがいっぱいでおいしかったです。 山頂で出せなかった手紙をポストに投函し 駐車場について帰り仕度をしている時には雷の音が聴こえてきて雨も本降りに。 本降りになる前にゴールできてよかったです。 帰りは近くの温泉で日帰り入浴を。 登山中何度も「もう歩けない」と言っていた娘は 温水プールエリアに入りたいと騒ぐくらいの元気がありました。 夜には無事帰宅。

後で夫から聞いた話で、今回の強風でツアーに参加した登山客約半分が登頂をあきらめて 途中で引き返したと近くにいたガイドさんが言ってたそうです。 そんな中、小2の娘を登らせてしまって危険な登山だったんだなぁと反省。 次回からは無茶し過ぎないようにしようと思いました。


(管理人)
実際に強風で転落事故も発生しますので、今回は危なかったですね。無事でなによりでした。



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(09/7/3)