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 みんなの登山記2009−45
 投稿者:不二倉さん

■2009年9月12日(土)〜13日(日) 富士宮口

埼玉県在住の不二倉と申します。9月13日に富士宮口登山道を登らせていただきました。富士登山は昨年1回、今年は2回目になり、登山自体が3回目の初心者です。今年、1回目(8月3日)の登山以降、下記の自然な流れで「9月の富士登山」という初心者には無謀とも言える行動に出てしまいました。
@ 登山関連のテレビ番組を多く、積極的に見てしまった。(「趣味悠々」や「カンブリア宮殿」など)
A 番組をみた後、ザックやハイドレーションなど登山グッズをつい買ってしまった。
B 映画「イントゥ・ザ・ワイルド」(登山話ではないです)をDVDでみて感動し登山靴を箱から出してしまった。
C 「みんなの登山記」を度々、読ませていただき「次はどのコースを登ろうかなあ」と考えはじめてしまった。
無理はしない事を心に決めて寒さ対策に重点をおいた持ち物の準備を始めました。登山コースは少しでもリスクを減らすために最短距離の富士宮口にしました。

当日12日。出発直前までネットで天気をチェック。21時半頃東京で東名に乗った。富士山スカイライン。自衛隊の駐屯地辺りから濃い霧が出ていため、早くもこの時点で登山を断念すべきか迷った。御殿場口の入口や水ヶ塚公園駐車場を通りすぎ富士宮口入口へ入った。その頃には霧はなくなっていた。

◎24時頃:新五合目に着くとものすごい強風。工事用バリケードが風に倒され道路をふさいでいるほどだった。登山口付近の(上段)駐車場は8割程度埋っており、登山に出発する人たちを数グループ見かけた。俺は運転の疲れと風の強さ、寒さのため出発を断念。無理せず車で寝て早朝出発することにした。こんな事もあろうかと車に置きっぱなしにしておいたシュラフとドカジャン(作業用防寒着)が役に立った。風が車を強弱不規則に揺らしてとても眠れる状態ではなかったので駐車場の中で風当たりが少ない場所を探し、4、5箇所転々とした後、揺れが少ない場所(下段の駐車場)を見つけて落ち着いた。
◎5時30分:2度寝して起床。数台しか止まっていなかった(下段)駐車場も8割程度埋っていた。風は止んでいないが寒さは気にならなくなった。『 さすが標高2400mの駐車場!高いね 』近くの雲を撮ろうとしたがデジカメが故障したようで撮れない。『 またかよ・・・・・・・ 』トイレに行ったり、着替えたり、諦めがつかずデジカメをガチャガチャいじくっているうちに1時間くらいが過ぎた。(自宅に戻ってから試すと正常に動いた)
◎6時30分:出発。あっという間に6合目。山小屋は営業していた。すぐその脇に続く登山道には「通行禁止」のボードがあった。その脇をすり抜け、少し後ろめたい気持ちであらためて登山開始。
◎7時22分:新7合目着。7合目、新7合目あたりを登っている間は上を見上げると8合目の建物(衛生センター+山小屋)が最上に見えた。そこが頂上だと思い込みしばらく登り続けていた。その建物の近くまでたどり着くと看板に大きく「 八 合 目 」の文字。「頂上の山小屋があんなカタチだったはずはない」という記憶や「8合目や9合目の山小屋が見当たらない」事実を都合よく消し去っていた。『 いくら最短コースでもそんなに短くないよな 』 落ち込んでいると前を登っていた小顔美白の外人女性が振り向いて岩に垂れ下がっているツララを指さし「アイス・・・・」と英語で教えてくれた。しかし英語が話せないとわかるとスタスタと先にいってしまった。『 冷たいね・・・・・』
◎8時48分:8合目着。『 また来ちゃったよ・・・・・・・』前回の登山でも8合目を過ぎた頃そう思った。キツさはイヤというほど味わっているのにまた来てしまう。『 引き返そう 』&『 やっぱり、ガンバル 』と思い直し登り始める。今回は下山道もほぼ同じなので、いつ引き返しても不自然ではない。この思いが4回転くらいまわった。

ここで一句・・・ ふじのみや 気分しだいで 下山道   不二倉・・・お粗末さまでした

◎9時41分:9合目着。10時36分:9合目5勺着、風は止まず、何度か何の加減もないような強烈な風が突発的に吹いた。『 来た! 』と思い、足を踏ん張り、体を固めた瞬間、少し前を下山してきた大学生くらいの男性二人組がコントのように同時にコケた。幸い怪我はないらしく何事もなかったようにそのまま下りていった。『 俺ならどっかが折れていたかも・・・ 』
◎11時36分:頂上。さすがに少し涙が出た。9合目あたりからは毎度酸素薄との極上バトル。頂上手前で下山の女性が「あともう少しがんばって!」と声をかけてくれた。おそらく、そう言わざるをえないヒドイ顔をして登っていたにちがいない。後一折という頃には「あともう少し」と何度も口に出し、完全に気持ちを盛り上げ、力を搾り出していた。頂上に着くと、熱くなっている自分とは対照的に先に登頂した人々がのんびりと昼食をとり談笑していた。今回は9月のせいか「夏休みの思い出に・・・・」的な登山者は少ないようで、服装や登るペースを見る限り、登山慣れしている人が多いように感じた。休憩した後、ほぼ同じペースで登っていた同じ型のザックを背負っていた男性に記念写真を撮っていただいた(レンズにヒビが入った携帯で)。この頃には風はかなり弱くなっていて、お鉢巡りは可能だったが下山の体力を考えヤメにした。

下山は予想通り体力・気力を消耗した。俺は特に下山下手。今回はそれが特に身にしみた。何処が痛いというわけではないが、とにかく遅い。「あっぱれ!富士登山:富士登山の心得→注意点いろいろ」に「登山より下山がつらかったという人がいます」と書かれていたがまさに俺の事。下山をはじめて少しの間だけは下山者に道を譲られた登山者が気を遣い、急いで登ってくる姿を見て「ゆっくりのほうがいいですよ」とか、先程の下山女性のマネをして「あと少しがんばって!」と声をかける余裕があったが、『 他人の事より自分の事だろう 』と不安に思っていた。案の定、その後は下山者が後ろから次々と勢いよく下ってくるし、前からは登山者が苦しそうに登ってくる。どちらにも道を譲り続けなければならない長い下山道になった。あまりにもペースが遅いのでケガでもしたのかと思われたらしく「大丈夫ですか?」と孫が5人くらいいそうな下山の男性から声をかけられ「ダイジョブデス」と愛想なく答えてしまった。『 拙者・・・・・・・いろんな意味で・・・・渇いて候・・・・・ 』

6合目は下山者と5合目から登ってきた観光客らしき人々で賑わっていた。数は30人くらいだったか。この雰囲気が気持ちをほっとさせてくれた。5合目に着くと更に多くの人がいて記念撮影などをしていた。俺は車に戻り、着替え、帰り支度をした。時計は15:46。登りには約5時間、下山には約3時間半かかった。今回は風呂には入らず、そのまま帰った。

あらためて今回の登山を振り返ってみますと「最短ルート」という言葉に期待をしすぎた分、精神的にきつくなった感じが多少ありました。しかし、前回の登山後のような筋肉痛もなく、体への負担は少なかったようです。飲食に関しては、水が2リットル中、1リットル、食べ物もウィダー2個、カロリーメイト1箱、スティック菓子2本と用意した半分で間に合いました。寒さについては昼登山で天気も良く、全く気になりませんでした。夜間登山をあきらめご来光は拝めませんでしたが今回も登頂でき、無事に帰ってくることが出来て本当によかったです。
「幸福は誰かと分かち合ってこそ真実のものとなる」前書きの映画「イントゥ・ザ・ワイルド」中のセリフです。少し解釈は違いますが・・・私の登山記を読んでいただいたあなた様に何かしら共感いただき、お役に立つことが(あるとは思えませんが)ありましたら幸せです。「あっぱれ!富士登山」バンザイ!!今回もありがとうございました。

(管理人)
『ココロの声』が不二倉さんの登山記の特徴です。おもしろいですね。なお、この時期の富士宮ルートは六合目より上の山小屋が開いていないので注意が必要です。



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(09/9/27)