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 みんなの登山記2009−7
 投稿者:S.Yさん

■2009年7月25日(土) 河口湖口

昨年の8月23日に、3年生の娘と2人で8合目までがんばった、S.Yです。昨年は登頂できなかったので、来年こそぜひ!という思いがあり、先週土曜に職場の人と行ってきました。

ルートは昨年同様、河口湖口でした。
5合目の少し手前に着いたのは午前6時頃だったのですが、その時点で5合目の駐車場はすでに満車とかで、手前の駐車場に車を停め、シャトルバスに乗りました。

午前6時30分登山開始。
予報はたしか、曇りのち雨だったのですが、7合目あたりまではほとんど降られず、順調でした。 しかしその後、雨がジャンジャン降ってきて、風も出てきたので、8合目以降は寒さとの戦いでした。 もともと寒い中で、雨でぬれたところに風が吹くからたまりません。軍手しか持って行かなかったので(去年はキッチンで使うゴム手を持参したのに、今年は忘れていました)、びしょぬれの軍手では手がかじかんで、合羽のジッパーを上げ下げすることもできません。途中で軍手は脱いで、素手をギューッと握り締めて登りました。2人で登ったのですが、相方は8合目辺りから体力的にきつくなってきたらしく、途中で何度か酸素を吸っていました。
8合目から9合目の間だったか、お父さんと息子さん二人の登山者を抜かしました。 ザーザーぶりの雨とひどい風で、小さい方の息子さんはビービー泣いています。 たまらずお兄ちゃんの方に声をかけました。 聞くと、お兄ちゃんは4年生、弟くんは1年生だそう。 寒くて疲れて怖かったんだろうと勝手に推測、がんばれ!と励まして先を急ぎました が、泣き顔の弟くんがとても心配でした。

登頂は12時15分。
手前の鳥居が山頂だと思って、ヒョウヒョウ〜!と変な声を出して喜び、ヘロヘロに なっている相方に写真を撮ってもらったのですが、山頂まではまだ数メートルあった のですね。 あまりにも視界が悪くて、数メートル先に何があるのか、全然分かりませんでした。 とにかく寒くて、おなかもすいていたので、何か暖かいものを食べよう!と、目の前 のお店に入りました。 風雨と寒さをしのごうという人たちで、店の中はほぼ満席。 隣に座っていた外国人男性のグループは、マジでブルブル震えていました。 冗談でわざと震えているのかとおもうくらいにガタガタしていたのですが、マジでし た。

味噌ラーメン(900円)を注文しました。 ラーメンのどんぶりを両手で持ったら、その暖かいこと! あまりにありがたくて、感動して、どんぶりを手に持ったまましばらく食べずにじっ といました。 多分インスタントラーメンなんですけど、インスタントラーメンをあれほど美味しい と感じたことはありませんでした。 食べていると、お店のお兄さんが、店にいるお客全体に向かって大きな声で話しま す。
『このあと低気圧がまだ二つ、やってきまーす。 今は風が弱まってますけど(あれで弱まってたの?)、低気圧のためこの後はさらに 猛烈なことになりまーす。 今シーズンはもう4人(3人?)が亡くなってまーす。 早めに、はーやーめーに、下山を始めてくださーい!』
そう、前の週に登山して、9合目近辺で行方不明になったままの方が2人いるとのこ とだったので、 お兄さんのこの声かけは本当に真実味がありました。 で、急いでラーメンを食べ終えて、とりあえずトイレに寄ってから下山することにし ました。

トイレは数メートル先だったのですが、そこでもう、とにかく猛烈な、ガツン!とい う感じの突風が吹き、あやうく吹き飛ばされそうになりました。 風が止むまで岩にしがみついてやりすごさなくてはいけませんでした。 命の危険を感じました。 心臓が、ほんとにギューッと縮んでたんじゃないかと思います。 トイレを出てからも、その突風は続き、本当に恐怖でした。 さっき抜かしたあのお父さんと男の子たち、どうか頂上を目指してませんように… もう下り始めてますように…と勝手に祈りました。 それほどものすごい状況だったのです。 あの子にはきっと辛すぎる試練です。

12時45分に下山を開始しましたが(頂上に滞在したのはほんの30分でした)、 8合目まではずっと、そんな突風が断続的に襲ってきて、 恐怖のためずっと緊張していました。 こんな風に吹き付けられて、ちょっとよろけて足を踏み外したら、それこそ一巻の終 わりだなあ、と思いました。 霧などで数メートルしか視界が無い状況で足を踏み外して、ルートから外れたら… 見つけてもらうのはほんとうに難しいと思います。 大げさではなく、本当におそろしいと感じました。

それ以外には、下山中は特に困ったことも無く、ただジャリジャリした下山道を無言 で歩き続けました。 ずっと雨が降ったりやんだりしていたのですが、突然思い出したように太陽が顔を出 すと、眼下に虹が見えました。 下山中、10回以上は見えたと思います。 登山中も頂上でも、霧だか雲だかで辺りは真っ白、景色など全く見えなかったので、 きれいな虹はごほうびのようでした。 連れが、前方をふと指差して、あれはさっきの親子連れじゃない?ほらあの合羽、と 教えてくれました。 見ると確かにあの父子です。 良かった、途中で断念して下山したんだ。 お父さんの判断は賢明だったと思います。 本当にほっとしました。無事で良かった。

下山道が登山道と合流してからは、これから頂上を目指す団体登山客と何度もすれ違 いました。 山頂付近の寒さと恐怖を実体験してきたばかりなので、今から行くのはやめた方が良 いよ〜と、心の中で話しかけてました。

16時に、5合目に帰還。 寒くて怖かったけれど、体調も万全だったし、高山病にもかからずに登頂でき、とて も良い経験ができたと思います。 富士山は怖いときはすごく怖くなるんだぞ〜! 自然ってのは本当になめてかかったら痛い目にあうぞ〜!と、実感できました。

絶対、また行きます! もしできれば、次回は少しは景色を楽しめると良いな〜と願ってます。

(管理人)
悪天候の中、登頂できて良かったです。今年はずっと強風で大変です。 軍手が濡れるととても冷たいです。キッチン手袋(ビニールの手袋)は やはり必要ですね。



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(09/7/30)