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 みんなの登山記2011−15
 投稿者:ふじ子さん

■2011年8月3日(水)〜4日(木) 富士スバルライン

◎すいか登山再び!

今年で13回目となる富士登山。う〜ん、いいかげんネタがなくなってきました。
山開きに合わせて登り、新聞の一面の写真に写り込んでみようか。それともツアーに参加してみようか。あれこれ頭を悩ませていた5月下旬頃、所属しているエイサー(沖縄の伝統芸能)団体の新人さん2人と飲む機会があり…。

新人さん 「富士山に登ってみたいんです」→「ふじ子さん、そんなに何回も登ってるんですね」→「私たちを富士山に連れてってください!」→「8月のこのあたりに休みが取れます」→「ふじ子さん!この日、どうですか?」 

どうですか?って…。いつの間にか手帳まで取り出し、新人さん達結構強引(苦笑)。
「…よし! 登りましょう!!」 そんなわけで、その場で日にちが決定し、富士登山初挑戦の2人を連れて登ることになったのであります。
できる限り快適に登ってもらいたいので、事前に2回説明会を開き、準備は万端です。 そして、以前好評だったすいか登山(登山記08-11)、今年もやりますよ〜。やっぱりお友だちと登る時はすいかを持っていかないとね☆

メンバー紹介
ふじ子…♀(?才) 山大好き! 最近ちょっと夏バテ気味
Sさん…♀(ふじ子よりちょっと若い) 看護師さん NAHAマラソン完走経験あり
Fさん…♀(Sさんよりちょっと若い) 与論出身 いつでもどこでもはじける元気の持ち主
3人ともエイサーチームの大太鼓隊! 体力に自信のある面々です。

タイムスケジュール
8/3(水)
五合目(11:00) → 六合目安全指導センター(11:45) → 七合目救護所(13:15) → 八合目救護所(14:40) → 本八合目(16:10) 胸突江戸屋にて夕食、仮眠
8/4(木)
本八合目(1:15) → 河口湖口頂上(4:15) → ご来光後お鉢めぐりへ(5:30) → 下山開始(8:30) → 途中どこかですいかを食べる → 七合目緊急避難所(10:30) → 六合目(11:30) → 五合目(12:30)

予備日なしの一発勝負。台風でも来ない限り雨でも登ります。 宿泊予定の胸突江戸屋は本八合目。初心者が泊まるには標高が高くて高山病が気になるところですが、希望する他の山小屋は5月末時点で予約がいっぱいでした。ちなみに、私は富士山の山小屋初体験です。
さて、今年はどんな登山になるでしょうか。

◎今日のお天気困ったな

8/3(水)早朝5時半頃、どんよりした曇り空を見ながら自宅(川崎市内)を出ました。今日の河口湖の天気は小さい傘マークが付いています。山頂の予報もくもり一時雨か霧。はぁ〜、これはどこかで降られるなぁ…。
SさんとFさんは新宿から高速バスで五合目まで来ます。私は子ども並みに車酔いがひどいため、電車を使って現地に向かうので、2人とは五合目で待ち合わせです。 富士急行線に乗っている時は晴れ間も見えたんですが、河口湖駅からバスで五合目に向かう途中ですっかり霧に包まれてしまいました。9:20一足先に五合目に到着。あたり一面真っ白です。
10:10に高速バス組のSさんとFさんと合流し、天気も良くないので五合園レストハウスに移動しました。2人ともしっかりした服装、装備で一安心。Sさん、山ガールファッションがステキです。バスの中でよく寝てきたようで、体調もバッチリだそうです。よしよし!
高度に体を慣らしつつ、外の屋台で買ってきたやきそばやイカを食べたり、金剛杖を買ってきたり…。「この中(ザック)にすいか入ってますよー」 「おぉ〜!!」 徐々に気分が盛り上がってきました。
と、何気なく外を見たら…。「あ゛ぁー、雨が降ってるー!」 しょっぱなからレインウェアを着込んでの出発となってしまいました(涙)。


◎出発!

11:15予定より少し遅れてレストハウスを出ました。まずは小御嶽神社にお参りして、登山の無事をお祈りしてから登山口に向かいます。あいにくの雨ですが、みんな気合十分!
でも、写真が好きなFさん、この雨で愛用のカメラはジップロックに包まれたままザックから出せず、ちょっと残念そうです。

「こんなにゆっくりでいいんですか?」と聞かれるくらいのカメペースでのんびり歩き、12:05六合目に到着。天気が良ければここから延々とつづら折りが続き、七合目の山小屋群も見えてテンションが上がるところですが、今日は霧で何も見えませ〜ん。
依然小雨の降る中、先の見えない七合目に向かって本格的な登りを開始します。それにしても、視界のない六合目のつづら折りはイヤになります。自分がどこら辺を歩いているのか、さっぱりわからない(苦笑)。適当なところで何回か小休止を入れ、3人元気な状態で七合目に到着。
ここから岩稜帯の登りになりますが、Fさんてば「わ〜、岩場超楽しい〜♪」なんて言ってるし。「私、口数少ないけど元気です。」とSさん。2人とも頼もしいです。
しかもこの2人、よく食べる(笑)。「次の山小屋に着いたらチョコ食べよ。その次の小屋ではコレ!」と計画を立てていて、全ての山小屋の前で何かしら食べているんです。まあ、元気な証拠ですけどね。13:15七合目救護所通過。その後の岩場も難なくクリアして八合目に向かいます。


◎〜本八合目

小雨が霧雨に変わり、少し周囲が明るくなりました。どうやら上の方は晴れているようです。
ザックの中のすいかちゃんの重みが気になり始めてきましたが、天気が回復してくると何だか楽しくなってきて、すぐに忘れてしまいます。SさんとFさんも息が切れてきましたが、とにかく岩場が楽しくて仕方がないようです。
15:15八合目救護所通過。相変わらず山小屋のベンチで食べ続ける2人。焼印集めもはかどっています。

しばらくすると再び砂礫の道になり、ようやく急登から解放されました。ところが、急に静かになったFさん、「岩場が終わっちゃったからつまんない。」なんてぬかしてます。とんでもないヤツですね。
雨は完全に上がり、雲の切れ間から夕焼けが見えてきました。周辺にいた登山者もだんだんまばらになり、今日のゴールである本八合目が近付いてきました。メンバーの口から出る言葉は「おなかすいた〜」「カレー食べたい〜」こんなのばっかです。
ここまでペースが変わらなかったSさん、疲れを見せるも笑顔で登り続ける変人Fさん、ともに元気で今宵の宿、胸突江戸屋に到着です。時刻は17:10。道中あまりにも足を止めて食べまくっていたので(笑)、予定より1時間遅れてのチェックインです。


◎山小屋にて

本日はほぼ満室とのことで、1人あたりに割り当てられたスペースはきっちり寝袋1つ分。完全に隣の人と密着しています。
すぐに夕食の時間になり食堂へ。メニューはテリヤキハンバーグとカレーです。食欲のない人は誰もいなく、3人ともあっという間に完食。量は少なめで、元気な人にはかなり物足りないです。

食事が終わり、睡魔に襲われたSさんとFさんは早々に寝袋に入ってしまいました。私は夕焼けのテラスで1人歯みがき。なかなか順調な1日目が終わり、ホッと一息です。 ちょっと冷えてきたので私も小屋へ入り、明日の支度を済ませて横になりました。

◎2日目 山頂へ…

日頃から寝付きの悪い私。標高3400mのすし詰めの山小屋で眠れるはずもなく、目だけ閉じて時間が過ぎ去るのをひたすら待ちました。隣のSさんはと〜ってもよく寝ています。Fさんの隣にはイビキのおじさん×2。あらあら、かわいそうに…。私の逆隣りでは、高山病の女性が一晩中体をよじっていました。

日付が変わり8/4(木)午前0時。出発時刻を決めるため、1人寝床を抜け出し外へ。天気は回復し、眼下にきれいな夜景が広がっています。空にはたくさんの星。天の川も見えます。夜行登山決定です。
この時間の周辺の登山道は、渋滞どころかほとんど登山者はいません。平日なので、当初の予定1:15の出発では早いようです。小屋に戻り、先に身支度を済ませてからSさんとFさんを起こし、出発時刻を遅らせる旨を伝えました。
しばらくすると2人が居間に現れました。…が、あれ? 何だかすっきりしない表情です。「体調はどうですか?」と聞くと、Sさん&Fさん「頭が痛いです…。」 高山病かしら……。しかもFさんは吐き気もあるようです。とはいえ、まだこの段階ではそれほどひどい状態には見えず、外の空気を吸えば少しは良くなるのではと期待して、1:40山頂目指して出発することにしました。

登山道は渋滞が始まっていますが、週末の同じ時間と比べればかなりすいているように思います。前後をツアー客に挟まれ、ゆっくり登り始めましたが、Fさん早くもヤバいですぅ! 「ちょっと休んでいいですか…。う゛〜ん……。」 急激に高山病の症状が悪化したようです。胸突江戸屋からわずかに登った八合五勺、御来光館前のベンチに座り込んでしまいました。「体力的には全く問題ないんですけど、吐き気がひどくて…。」 いつでもどこでもムードメーカーFの口からはマジメなセリフしか出てきません。これ以上高度を上げるのは無理だなぁ。
とにかく寒いので、御来光館の中へFさんを引っ張って行きました。
「こちらで休憩はできますか?」「ハイ。3時間3000円です。」 はぁ…、無理せず胸突江戸屋で様子を見るべきだった…。後悔しても遅いですねぇ。
残念ながら、ここでFさんはリタイヤとなりました。さて、この後どうするか…。富士登山初挑戦のFさん1人を残していくのは不安ですが、かといって、山頂を目前にまだまだ動けるSさんを一緒に断念させてしまうのも心苦しく…。やむなくFさんには御来光館で待機してもらい、Sさんを連れて山頂を目指すことに決めました。 Fさんの分までSさんとがんばるからね〜!


◎登頂!

依然頭痛が残るSさんですが、幸いそれほどひどくはなく、山小屋でしっかり眠れたので体力はバッチリだそうです。
渋滞にはまり思うように前に進めないものの、確実に山頂が近付いてきます。九合目の鳥居をくぐり、最後の岩場の登りです。「Fさん、この岩場を歩けなくて残念ですね。」とSさん。冗談を言う余裕があります。
3:50ついに頂上の鳥居をくぐりました。Sさん、初登頂おめでとう! がんばりました!

この時期のご来光は4:45頃。それまで山口屋で早めの朝食です。2人ともみそラーメンを注文。あー、おいしすぎる! 食事が終わると、Sさんは金剛杖に刻印を押してもらいに久須志神社へ。その後は、ご来光を拝むために大日岳へ移動です。
東の空には雲がたくさんあるものの、4:50朱色に染まった光とともに朝日が昇ってきました。何度見ても感動的な光景です。近くにいたおじさんが音頭を取り、大日岳周辺の登山者をまき込んで万歳三唱がおこりました。「私、一度これをやってみたかったんです!」とSさん。よかったですね。

今回はSさんの残りの体力を考えて、お鉢めぐりはせずに下山することにしました。Fさんのことも気になりますしね。3時間休憩なので、そろそろ小屋を出ないといけない時間です。本八合目の胸突江戸屋まで自力で下りてもらい、そこで合流することにしました。
すいかちゃんをザックから出して鳥居の前で記念写真を撮り、5:30下山開始。


◎下山 デザートの時間ですよ

今朝の富士山頂は快晴。眼下に広がる雄大な雲海を見下ろしながらの下山は最高です。と、後ろから大きな音とSさんの声。しりもちをついていました。気をつけましょうね。
30分程で本八合目に到着。Fさんは…と探していると、ちょうど我々を見つけてこちらへ来るところでした。なんとまぁ、悪酔いしたおっさんのような表情。「う゛ぇ〜い。まだ吐き気がします。」 ……。こんな状態ではとてもすいかを食べられそうにないので、もう少し下って様子を見ることにしました。

長〜いつづら折りをゆっくり下ります。Sさん、またしりもちをつきました。
下ること数十分、2人の頭痛も治まったようです。Fさんの吐き気はまだ少し残るようなので、もうちょっと高度を下げます。あれまぁ、Sさん、またまたしりもちです。Fさんはかなりバランス感覚が良く、安定した足取りです。

標高が3000m近くになると、Fさんの体調もすっかり良くなったようなので、ここら辺でお待ちかねのすいかタイムにしましょうか。太子館とのバイパス入り口付近に陣取り、ジャ〜ン! ピッカピカの黒皮すいかの登場です!
まずは、雲海をバックに3人ですいかちゃんと記念撮影です。その後は1人ずつすいかを持って、思い思いの1枚を。周囲の人が我々の奇行に好奇の目を向けています(笑)。
では、そろそろいただきましょう。すいか割りをすると後片付けが大変なので、今回も『すいか入刀』といきましょう。ザックから包丁を取り出し真っ二つ。「おおーーー!!」 赤くて何とも水々しいすいかちゃん! ひとくちかじるととっても甘ーい! わざわざ担ぎ上げた甲斐がありました。太子館方面から来たブルドーザーに乗っていたおじさんが、おかしな3人を見て笑いながら通り過ぎて行きました。
前回は食べきれずに周りの人におすそ分けしたんですが、今日は大食らい3人組。自分たちで食べきってしまったぜ(笑)。

のどが潤ったところで再び下山開始。すいかをたくさん食べたせいで急にトイレに行きたくなったSさん、1人スピードアップして下って行きました。よっぽど切羽詰まっていたんでしょうか。七合目の最後のつづら折りを終え、六合目に向かいます。
またSさんがしりもちをつきました。Sさん、バランス感覚悪いっすぅ(笑)。
2日間にわたる富士登山もゴールが見えてきました。かなりお疲れのSさんとFさんですが、これといって故障はなく、しっかりした足取りで帰って来れました。あらためて2人の健脚ぶりにびっくりです。
10:50霧に包まれた五合目に到着。今回も楽しい登山ができました。みなさん、お疲れ様でした!

帰りのバスの時刻まで、また五合園レストハウスで休憩することにしました。そしてここでも食べる食べる(笑)。あきれた、もとい、素晴らしい食べっぷりです。
SさんとFさんは、予定より1本早い13:00発の新宿行き高速バスで帰ることになったので、バス停までお見送り。Fさんはリベンジを誓ってバスに乗り込みました。Sさんもまた一緒に登りましょう。そして今度は剣ヶ峰に立てたらいいですね。
2人のバスが発車した後、私も13:10のバスで五合目を後にしました。
富士山、また来年も登りに来るからね〜!

/おしまい


(管理人)
「やっぱりお友だちと登る時はすいかを持っていかないとね☆」これは、超健脚のふじ子さんだから言えるセリフです。一般の人はマネしちゃだめだよw



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(11/8/9)