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 みんなの登山記2013−5
 投稿者:不二倉さん

■2013年7月21日(日) 吉田口

富士登山、6年連続7回目となりました。不二倉です。宜しくお願いします。今年は単独登山ではなくトレラン仲間のS氏をお誘いして男2人で馬返しから吉田ルートで登りました。S氏は富士登山初。2000m以上の山は登った事がありません。しかし、今年になってから出走したトレランレース、5レースでは全て、上位約5〜10%内に入る「強い人」です。少しでもS氏をお待たせしないために最軽量の荷物、睡眠充実、ヤル気マンマンで馬返しに向かいました。が、S氏が背負ったザックは20Lの「テラノバ」満タン、「歩きましょう」と一言。拍子抜けしたと同時にホッとしました。S氏は富士登山を調べて、「甘くない山」と認識したらしく、雨、風、寒さ対策、食料、飲料万全で荷を造って来たのでした。S氏は道具も豊富に持っている「心もフトコロも豊かな人」です。足の痛みもあるという事で、今回は観光気分でゆっくり登ることになりました。
以下『  』内ココロノ声です。

はじめから俺はガイド気取り。お得意の憶測を混ぜ合わせS氏に富士登山の思い出などを語り上機嫌。まずは6合目を目指した。この日は参院選の投票日で富士登山競走前の最後の日曜日。それが影響したのか、ハイカーは少なめで試走の人が目立った。試走の人に次々と追い越される。その度に『アンタには全くかなわない』とか『君には多分、負けない』とか勝手に仕分けしていた。S氏は全く気にしていない様子。しかし、弱い俺は気になってしまうので『僕ら〜格好は完全にソレだけど〜試走じゃないよ〜』アピール。出来るだけ話に集中したり、やたらと写真を撮ったり『ガンバッテいません!観光ですから〜』的な。「試走ですか?」なんて聞かれようものなら、即、完全否定。
佐藤小屋近くで富士登山競走5合目コースにチャレンジするという男性と挨拶し話をした。
男性:「初挑戦で完走出来るかどうか・・・」と不安気な発言に対して・・・
俺:「だ〜い、じょ〜ぶ、ですよ〜」と、さも、完走したことあるかのように・・・。
『じぇじぇぇ〜何を根拠に!?山もデカけりゃ言うこともデカイ?』
その後、この男性とは下山の6合目まで何度も会うことになった。

3000メートルを越えたあたりからS氏、まさかの貧血状態。足に力が入らないという。
でも、問題なく歩けるので、山小屋のタイミングで休み休み進むことにした。休んでいる時、S氏は自作の超高カロリーのパワーバーをご馳走してくれた。コレがとてもウマかった。S氏は調理もできる「器用な人」だった。(他にミシンも出来るらしい)このパワーバーのお蔭で後半、楽になったと思う。

頂上手前で少し渋滞したが無事登頂。記念撮影して、お土産見物した後、御殿場ルート頂上の郵便局に向かった。S氏がここからご家族に葉書を出す事が今日のポイントの一つだった。ココまで来たのだからと、お鉢巡りをする事にした。富士宮ルート頂上だけは混んでいて何組かの人達に写真を頼まれた。最高峰記念撮影待ちの列は何人かしかいなかった。
記念撮影を終え、一周して下山。下山前にお土産を買ったがS氏は買わなかった。気になったものはあったようだが、山小屋のお兄さん達の言葉使いがS氏の怒りのアンテナに触れてしまったらしい。(ちなみに俺が話したお土産屋の人達はフツーだった)そして、そのパワーの矛先は下山へ?S氏「走りますか」と一言。も〜激走。ガンバッテついていった。下る下る・・速い。富士山の下山道は砂と石の独特な道。S氏は間違いなく戸惑うと思っていたがそんな事は全くなし。『予習済み??つーか、足、痛くないのかよ??』後で尋ねてみると、STY(レース)で太郎坊を通った時に同じような道があったとの事。痛みは我慢していたようで、6合目手前からは、またゆっくり話をしながら進むことにした。

馬返しにまもなく着くという時に「富士山、あまくみていました」S氏が今日一日をまとめるかのように言った。酸素が薄い事は行く前に話していたが想像以上にキツかったようだった。
『俺なんか、最近、富士山よりも家の方が酸素、薄く感じるよ(泣)』
無事下山。コンビニへ行き、アイスで乾杯!S氏は最近、アルコールもカフェインも炭酸も白米も肉も普段、滅多に口にしないというショッキングな話を最後に聞いて解散した。  

今年は単独ではない富士登山を経験できました。富士山から見える素晴らしい景色や険しい道を共感できて楽しかったです。文中「ゆっくり」を強調しましたが、登りのタイムは馬返しから約4時間半でした。あんなに休んだのに?とも思いましたが、振り返ると、休憩をこまめに取り、食べて、話しながら登るのはとても効率の良い方法だったのかもしれません。後日、富士登山競走に出走した人から聞いた話では今年はハイカーが平日昼間にもかかわらず、3割増しでレース中にも渋滞が起こり辛かったようです。田子の浦から富士山頂を往復する「富士山マラニック」も今年は参加者が多かったと聞きました。
しかし、いくら世界遺産特需でも、他はともかく、富士山自体は高い山なので「行こう!」と思っても準備が必要ですし、誰もが気軽には行ける場所ではないと思います。例年にも増して、山小屋、トイレ、登山道は受け入れ態勢バッチリ!といった印象を受けました。結果的に富士登山者が今までより増えても増えなくても、それ自体はいつもながら有難いと思いました。
今年もありがとう!富士山!そして、あっぱれ!富士登山!バンザーイ!バンザーイ!


(管理人)
「ゆっくり」登って馬返しから4時間半。見事な健脚ぶり。S氏は山を甘くみないのが、さすがというか、かっこいいですね。(ミシンも出来るし) 【用語】「トレラン=トレイルランニング(山野を走る)」「テラノバ=英国の登山用品会社」「パワーバー=スポーツ栄養食」



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(13/8/13)