2001年7月7日(土)・須走口
弟と彼の友人、そして私(44)の3名で須走口へ行ってきました。前日まで天気予報は最悪でちょうど登る時間帯に梅雨前線が通過するはずでしたが、前線が予想以上のスピードで南下して予報がどんどん良くなってきました。深夜に横浜を出発。東名高速を走っていると大井松田インターあたりでどしゃぶりの雨。つまり、そこで梅雨前線を横切ったというわけです。
御殿場インターを出て、近くのセブンイレブンで食糧を調達。五合目までの道は霧が立ちこめていましたが、登るにしたがって視界が開けてきました。そして、午前5時前に須走口の駐車場に到着。駐車場は半分程度埋まっていました。思っていたより多く来ているという感じです。菊屋のおばあちゃまによると、昨日はものすごい強風だったとのこと。確かに山と渓谷社の富士山実況でも、風速20m/s以上が観測されています。昨日だったら登れなかったでしょう。当日は、薄曇りですが雨の心配はなく風も穏やか。うまく天気の良い日に登ることができてラッキーでした。
午前5:05に五合目をスタート。樹林帯の中をゆっくり歩いて、最初の目標である山小屋「林館」をめざします。このあたりには小さな虫が頭の回りにまとわりついて非常に鬱陶しい思いをしました。林館はまだ開店していませんでした。そこで少し休憩した後、さらに樹林帯を歩いて六合目・瀬戸館に到着。ここもまだ開店していませんでした。登山者が少ない時期に開業しても、商売になりませんからね。
このあたりから樹林帯がなくなり低い植物群となり、やがて溶岩が剥き出しになっています。登山道は非常に良く整備されて、登るのがとても楽しく感じました。昨年はこのあたりで雷雨となり怖い思いをしましたが、今回は薄曇りなので暑くもないし全く問題ありませんでした。元気な若者たちが速いペースでどんどん追い抜いていきます。そして、七合目太陽館に到着したのが、出発してから3時間あまり。
このあたりでは、ちょっと登っては苦しくなり、頻繁に休むようになりました。どうしても登るのが速い二人に合わせようとしていたのかもしれません。弟が、私の荷物の一部を持ってくれ、さらに「もっとゆっくり歩け」と言ってくれたので、そうしてみたところ、継続的に登れるようになりました。その後、穏やかな天候にも助けられて、八合目へ。
八合目の胸突江戸屋の扉に張られていた「のりぴーHOUSE」と書かれたピンク色の紙がなくなっていました。ちょっと残念と思いつつ、山頂をめざしました。途中で、ゴミを集めながら登っている若者に会いました。環境庁の清掃のバイトの人かとも思って尋ねてみたところ、自分が好きでやっている、とのこと。「偉い!」こういう人が増えれば富士山はどんどんきれいになっていきますね。私も真似したいのですが、登るだけで精一杯なので・・・。
(山頂に到着)
正午に山頂に到着。弟たちは、途中から先に早足でどんどん登ってしまいました。いやはやその速いこと。私などはちょっと速く歩いたらもう息切れがしてしまうのに。普段から身体を鍛えて贅肉のない弟と、日頃、怠惰に過ごして腹部に脂肪を貯め込んでいる私とでは、差があって当たり前なのです。今回は、前日、あまり眠っていないせいか、身体が特に重く感じました。弟たちはもともと須走口を4時間で登頂する予定でした。もし私が参加していなければ容易に達成できたでしょう。それにしても7時間は時間がかかりすぎ。これまで須走口は6時間だと思っていたのでちょっとショック。
山頂のお店は一軒を除いて、まだ準備中でした。土産物は売っているのですが、食事をやっていないのです。一軒だけやっていた山頂・扇屋でカレーライスを食べました。普通のレトルトパックのカレーですがおいしかったです。それから、お鉢めぐりをしました。これだけ天気が穏やかだと一周しないともったいない感じがします。
今回は富士山で一番高い部分(人工物でないもの)を見てこようと思っていました。誰もが三角点のある場所で記念撮影をしますが、そこは、厳密には3775.6mなのです。そしてそこから10mほどはなれた岩場の一番高いところが3776.2m。そこには、赤いペンキで目印がつけてあります。硬貨が何枚かお賽銭として置かれていました。なお、危険なので、あまり身を乗り出さないようにしてください。
(下山開始)
穏やかな天候の中を、ゆっくり2時間かけて一周。土産物を買った後、下山を開始しました。地表が乾燥しているので、今日は特に砂埃がすごい。ここで私は秘密兵器を装着しました。それが「防塵マスク」です。濾過紙のような素材でできていまして、マスクよりも呼吸が苦しくならないのです。思った以上に快適でした。日曜大工店で売っています。けっこうお勧めですよ。
去年は、下山道が七合目の大陽館を経由していたはずなのですが、今年はルートが変わっていました。だから、飲料を購入できるラストチャンスは八合目・江戸屋です。河口湖口との分岐にあるお店。そういえば、分岐の案内図がちょっと手直しされていました。以前のは河口湖口と須走口を均等に扱っていましたが、今回のは、基本的に河口湖口へ誘導するニュアンスです。
砂走りの地表は乾燥していて白っぽく、見るからに固そうでしたが、そうはいってもさすが砂走り。それなりにふかふかと柔らかく楽に下りていけました。足への衝撃が軽減されるのが良いですね。岩がたくさん混在しているので注意しないと、岩を踏み込んで膝に衝撃が走り、痛い思いをします。弟たちは走って下りていましたが、私はそこまでの体力がないので、がんばって早歩きをしました。途中の大きな岩のある場所で待っていてくれたので、そこでしばらく休憩。
そこを過ぎると、砂の深さが浅くなり、地面の固さがもろに足にくるようになりました。つらい。痛い。でも、どうしようもないので、ひたすら我慢して歩きました。帰宅してからシャワーを浴びてビールを飲んで、布団に横になって・・・、そんなことを考えながら苦行を続けました。最後になって、道の一部が砂がふかふかしていたので、うれしくなって一気に下りました。そして砂払い五合目・吉野屋に到着。途中の大きな岩から30分ほどかかりました。吉野屋はまだ仮設屋根は設営しておらず、こじんまりと営業中でした。
お店の人が、ここからゴールは2キロ、30分と繰り返し言っていました。2キロもあるかなあ。でも、確かに最後の樹林帯はつらいのです。段差が大きいので足に衝撃がもろにくる。ステッキを使ってもやはりしんどい場所です。途中で小屋が見えてきました。
「やった、ゴールだ!」と思ったら、それは無人の小屋でした。完全なぬか喜び。つらいなあ、とボヤキながら、ひたすら木の根っこが向きだしになった下山路を下りていきました。吉野屋から40分で五合目・菊屋に帰還。下山に約2時間半。去年、年輩の方と下りた時は5時間近くかかったのを思えば、ずいぶんと早かったです。弟たちだけなら2時間は楽勝で切っていたでしょう。
結局、私が登りに7時間もかけてしまったため、弟たちが夜に予定していた飲み会がお流れとなってしまい、まことに申し訳ない。今回の登山では「個人差」というものを再考させられました。登山マラソンのトレーニングをしている人も何人かいました。山頂を走っているんですよ。そんなことができる人もいるのです。信じられません。ともあれ、天気に恵まれ、大変に楽しい富士登山となりました。弟の得意技「ペットボトル冷凍作戦」のおかげで冷たい水が飲めましたし。荷物も持ってもらったし。ありがたいことです。須走口はのんびりしていて、やっぱりいいですね。ただ、最後に駐車場まで戻る登りの道が、疲れた身体には苦しかったです。 ★ペットボトルを凍らせる時は、少し中の水を減らしてください。水が膨張しますからね。
5:05 登山開始
6:20 本五合・林館
7:00 六合目・瀬戸館
8:10 七合目・大陽館
9:00 本七合目・見晴館
9:45 八合目・江戸屋
10:05 本八合目・胸突江戸屋
12:00 山頂
13:30 測候所
14:40 下山開始
16:00 砂走りの途中の大きな岩
16:40 砂払い五合目・吉野屋
17:25 五合目到着
|
富士山 |
日 | 2001/7/7 |
時 | 03 | 06 | 09 | 12 | 15 | 18 | 21 | 24 |
気温(℃) |
2.5 | 3.5 | 7.1 | 9.9 | 10.1 | 7.9 | 6.4 | 5.6 |
風向 |
| NNW | NE | WNW | WNW | WSW | W | SSW |
風速(m/s) |
12.3 | 9.2 | 9.7 | 2.6 | 2.6 | 3.6 | 3.6 | 4.1 | |
天気 |
− | − | 薄曇 | 薄曇 | 薄曇 | − | − | − |
↑当日の山頂の気象。山と渓谷社のHPより。
所用時間:登り6時間55分、下り2時間45分
★教訓:体力の個人差を改めて知る。
(2001/7/13)
|