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 みんなの登山記2012−10
 投稿者:Minさん

■2012年8月5日(日)〜6日(月) 富士スバルライン

登山者:Min
40代女性。同年代の友人と二人でバスツアーに参加しました。初富士山です。

頂上でのご来光に執着がなく、団体のペースについていける自信もなかった私は、
できればツアーによる登山は避けたかったのですが、「私たちは初心者なんだから!」と
友人に説得され、新宿発の一般的なご来光&お鉢めぐりツアーに参加することに。

以来、5月からほぼ毎週末、東京近辺の低山(高尾、奥多摩、丹沢、秩父)に登り、
人並みの体力獲得に励んできました(友人に比べ、半端ない運動不足だったので)。

当日、五合目の気温は20度ちょっとで、東京の暑さがウソのようなさわやかさ。
レストハウスで登山に関係ない荷物を無料であずかってもらい、昼食後に全員集合。
添乗員さんからの説明では、下山は各自のペースで自由下山になること、
下山後は何より先にレストハウスに貼られた下山リストに記入することを、
繰り返し強調されました。
聞けば、過去に須走側に降りてしまった人や、 途中の山小屋で眠りこんで、下山に11時間かかった人がいたとか。
(ちなみに、須走⇔吉田間は、タクシーで2万以上かかるそうです)

そんな下山説明の一方、登山前のストレッチなどはまったくやらず、
「え、いきなり歩き出しちゃうの?!」とちょっとビックリ。
(はりきっていた私たちは、自己流のストレッチをすませていましたが…)

登山初日は、曇りで時折り晴れ間ものぞくという絶妙な天気で、
紫外線や雨に悩まされないいい登山日和となりました。
でも団体行動では、トイレ休憩もなかなか大変。
10分休憩の予定のはずがトイレから戻らない人がいて30分にもつれこんだりと、
宿泊先である東洋館に到着したのは、16時を回るころでした。

東洋館はWebで見た通りログハウス風のきれいな建物でしたが、
噂にきいた夜のタコ部屋状態は他の山小屋さんと同じようで…
寝返りもままならないきちきちのスペースで横になったのが17:30頃。
うとうとしては目が覚めるを繰り返し、「登山再開!」と起こされたのが22:30。
とにかくすぐトイレをすませて外へ集合!ということで、
朝食のお弁当も手をつけられず、あわただしく準備。
この段階で、体調不良により3-4人がここに残ることになりました。

この時点では、寝不足ながらなんとか体も動き、人生初のヘッドライトをつけて
岩場にとりついてる自分を面白がる余裕もありました。
しかし8.5合目を超える頃、休憩後立ち上がるときに立ちくらみがしたのをきっかけに、
息が極端に切れてヒューヒュー変な音を立て、明らかに人より遅れはじめました。
ガイドさんの後ろについてゆっくり歩かせてもらっても、とにかく呼吸が続かない!
呼吸に肺がおいつかない、というのは初めて味わう感覚でした。
添乗員さんに「頂上に行くかは自分で決めていいですよ」といわれ、
改めて自分の状態を検討しましたが、
息はあがりまくっていても足はまだまだ動くし、頭痛も吐き気もない。
「遅れても、なんとか登頂します」と迷わず答えていました。

まだまだ体力を残している友人にフォローを受けながら、
ツアーメンバーより遅れて頂上に着いたのは、ご来光がまさに始まるタイミング!
しかし激しい呼吸がおさまらない私は、ご来光でもりあがる人たちを尻目に、
売店の奥であったかいお茶を注文。
「ご来光っスよ!お茶飲んでる場合じゃないっしょ!」と兄ちゃんにいわれながら、
力なくお茶をすすってました…

風のせいかスケジュールがおしたのか、お鉢めぐりツアーは中止となりましたが、
どちらにせよもうそんな体力は残っていませんでした。
登頂から30分後には皆に合流して下山の注意を受けましたが、
このときが眠気のピークで、立ったままうとうとし始める始末。
それでも「登れたんだ…」という気持ちと、友人の気配りに支えられ、
なんとか下山を開始しました。
なのに8合目から7合目にさしかかるころには、なぜか吐き気が…。

今思えば、前日の夕方に山小屋で食事したあとは、
水とアメ、ナッツ少々くらいしか口にしていなかった私。
睡眠不足とエネルギー不足で、いいかげん体力の限界に近づいていたのでしょう。
トイレ休憩のおりに友人ともはぐれて、
あとはひたすら自分のペースで黙々と足を動かすのみ。
最後の6合目からは雨まで降り出して、ずぶぬれのフラフラになりながら
五合目に到着したのは、下山開始から4時間を過ぎたころ。
意外なことに、ツアーの中では早めの到着でした。

現金なもので、到着してからはすっかり体調も良くなり、
立ち寄った日帰り温泉(ゆらりの湯。いいお湯でした!)では
友人とビールでお疲れ様の乾杯!
ほぼ21時間ぶりの食事にありつき、元気に帰路につきました。

下山後に振り返ると「本意ではないツアー参加」といいながら、
ツアーに甘えて自己管理ができていなかったなぁ、と思います。
ストレッチこそすませていましたが、睡眠不足は元からわかりきっていたことだったし、
そのぶん食事管理をきっちりすべきでした。

次に登頂する機会があるなら、今度はツアーではなくフリーで。
夜間登山は避けて睡眠を充分にとり、山小屋の近くでゆっくりご来光みて、
お鉢巡りにもぜひともチャレンジ!
それに夕方の日の入りも見ておかなくては…といろいろ願望がふくらみっぱなしで、
シーズン中にもう一回行ってしまいそうな勢いです。
(私よりずっと余裕を残して登頂した友人は、「とうぶん山はいい」と呟いていましたが…)

余談ですが、登山ダイエット効果を期待して帰宅後体重を測ったら、
500g増えていたのには驚愕しました。
あれだけの運動量と食事の少なさで、体重増加って…
さすが日本一の山、すべてが予想の斜め上をいく初登山でした。


(管理人)
東洋館に限らず吉田口の山小屋では、混雑時の寝床の幅は45センチですから寝返りは難しいですね。高所で空気が薄くなっても頭痛、吐き気が出なかったのは幸いでした。



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(12/8/15)