あっぱれ!富士登山 みんなの登山記

2021-1 Y.I.さん


■2021年8月5日(木) 精進口

63歳男、横浜市在住。19回目の富士登山です。昨年はコロナ禍のために登れなかった富士山。待ちに待った今年は、距離がやたらと長い精進口からの登山道に挑んでみました。

●樹海の植生変化が面白い
JR中央本線から富士急に乗り入れている特急「富士回遊」で河口湖駅に到着し、巡回バスで精進湖最寄りの赤池へ。降車したのは私1人でした。気温はすでに28℃を超え、日差しは強烈。登山口はやや分かりにくいものの、地図を頼りに看板を見つけました。ここがゼロ合目(標高913m)。いわくつきの青木ヶ原樹海に初めて突入するのです。

樹海の中は日差しが穏やかになり、ちょっとホッとします。しばらくは舗装道が続き、森に迷い込む心配はありません。森の中は丸っこい溶岩があちこちに散らばり、そこに濃いコケが張り付いています。樹海ならでは風景がえんえんと広がります。森が明るくなるとシダが目立ち、やがてササがとって代わります。この植生の変化はなかなか面白いです。

県道や林道との交差を経て、ようやく天神峠の一合目(1360m)に到着。3時間半もかかりました。登山道の傾斜はゆるやかですが、とにかく道のりが長く、暑さがこたえます。水は2.2リットルを持参し、約1リットルを消費しました。木陰に腰を下ろして休んでいたら、いつのまにかウトウト。あらあら40分の大休憩となりました。

●プランBのバス利用
登山再開。じりじりと高度を上げ、森は普通の山らしい風景に変わっていきます。二合目(1535m)までは50分ほどでしたが、疲労はたまる一方。山小屋到着の時間が心配になってきたため、秘策のプランBを発動。富士スバルラインを走る登山バスの三合目バス停(1700m)で、本栖湖からの登山者とともに終バスに乗り込みました。

バスは20分で五合目(2305m)に到着。徒歩なら3時間はよけいにかかったでしょう。五合目広場はコロナ禍で登山客が激減したとみえ、レストランや土産物屋が店じまいを始めています。ハイシーズンなのに、数年前なら考えられないことです。きょうの宿は吉田口五合目の佐藤小屋(2230m)。閑散とした登山道を少し下ってたどり着きました。

この小屋は麓と道路でつながっており、軽トラを使って自力で物資補給できるのが六合目以上の小屋とは違うところ。具たっぷりのおいしいカレーを夕食にいただき、板で間仕切りした寝場所でぐっすりと眠ることができました。玄関口とトイレが常夜灯なので、夜中でもライトを持たずに安心して出入りできるのはありがたいです。

●所要8時間半でやっと登頂
翌日は早朝、小屋の前でご来光を拝んで登山開始。少し曇っていい感じです。六合目でスバルライン口からの登山道と合流すると、外国人がやたらと多いことに気づきました。みんなしっかりとした装備をしており、当然のことながら観光客ではなく、国内に住んでいる人たちです。ほかの山ではほとんど見かけないので、さすがは富士山と納得しました。

気温は高くはなく、いい風も吹き、登山条件は絶好のはずですが、どうしても足は進みません。前日の後遺症でしょうか。七合目花小屋(2690m)まで1時間半かかり、15分も休憩。その後も山小屋1つおきに長く休憩し、所要8時間半でやっと登頂(3710m)しました。なぜか八合五勺から元気が出て、シャキシャキ歩けたのが唯一の救いです。

飲み水が足りなくなり、途中の山小屋で1.5リットルを買い求めました。当初予定では剣が峰に行くはずでしたが、時間がないのでまたもプランB。山頂滞在たった30分で下山開始です。砂礫の下山道を少しゆっくりと急ぎ、2時間半で五合目に到着。コケモモのソフトクリームをおいしく味わい、高速バスで自宅近くまで戻ってきました。


(管理人)
プランを複数用意しておけば、体力、状況によって対応できます。


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(21/8/19)