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  私の富士登山記・21


 2004年7月2日(土)・須走口

 須走口から弟と一緒に登ってきました。しかし、今回は弟が熱っぽく体調が不十分。とりあえず登れるところまで、という気持ちで須走口新五合目へ向かいました。シーズン始めとはいえ天気が良いので駐車場は7割ぐらい埋まっていました。ちょうど深夜0時に登り始めました。

 1時半に最初の山小屋、長田山荘(旧・林館)に到着。ここは順調なら1時間ほどで着くところなのでやはりペースがちょっと遅い。なお、ここは本五合目だったはずなのですが六合目になっていました。それに加えて驚いたのはこの時期にすでに営業していたこと。林館の頃は以前は人出が多い時期だけ営業していたのですが、これからは本格的に営業するようです。御主人によると、このあたりは雪が多いので、よく建物がつぶされてしまうのだとか。次の六合目・瀬戸館は本六合目になるそうです。

 瀬戸館はまだ営業していませんでした。それから山小屋の廃屋を通過して、七合目をめざします。山の稜線の少し上に、満月がものすごく明るく輝いていました。一度、照明とまちがえてしまったぐらいです。登山道は整備されています。しかし足に力が入らない。弟もめまいがするとかで、これはとても一気に山頂をめざすのは無理だと思い、3時半頃にようやく到着した七合目の大陽館で素泊まりすることにしました。薄暗い灯りの山小屋内に「泊めてください」と入っていくと、バイトのおにいちゃんが迎えてくれました。中はストーブがあるので暖かい。生き返る思いがしました。素泊まり5000円。

 寝床の方は暖房が入っていないのでちょっとひんやりしていますが、眠るにはちょうど良い。うとうとしていると、山小屋の人が「御来光30分前です」と宿泊者に起床をうながしました。私は疲れていてもはや御来光どころではないのでそのまま睡眠続行。次に朝食の美味しそうなにおいで目が覚めましたが、すぐにまだ深い眠りに。結局、7時頃までぐっすり眠りました。
 
 出発時に、おかみさんとちょっとお話をしました。大陽館は6月初旬から営業していますが、今年は雪が少ないので登山客が6月でも多かったそうです。ここで飼われている犬の富士太郎くんは今年17才になりましたが、まだまだ元気。今年も自分で麓から登ってきたそうです。

 須走口は、この大陽館まで来ると山頂まで見えるようになるので、「登ってきた〜!」という感じになります。見晴館は営業前でした。滑りやすい砂礫の道を登りながら八合目へ。吉田大沢の方からものすごい強風が。こいのぼりのポールがしなっていました。山頂に向かって左上に登っている時は、風が背中を押してくれるような感じ。逆に右上に登っているときは、風で舞い上がった砂埃が目を直撃。サングラスをしていても、時々目に入ってきて困りました。今回は、登るのが大変でした。たぶん睡眠不足、体力不足だったのだと思います。それだけに、山頂が近づいて来た時は、よくここまで登ってきたものだと感慨深いものがありました。

 今回は天気が良すぎて、水を大量に飲んだのですが、失敗したのは、いつもなら持ってきていた「食塩」を忘れてしまったこと。水だけでは塩分が補給できないのです。とにかく塩分を補給せねば、と山頂の食堂でラーメンを食べました。しかし、すでに脱水症状になっていたのだと思いますが、スープは飲み干せても麺が半分しか食べられない。持参のゴミ袋に麺を入れて、器を返却しました。


 天気が良いのでお鉢巡りに出発。測候所の方からやや強い風が吹いています。我々はお鉢巡りをする時は時計回りにすることが多いです。反時計回りの方が、馬の背の急斜面を登らなくて良いから楽だという意見もあるのですが、その場合でも測候所へ至る斜面がけっこう長く、きつい。それなら馬の背の部分だけ集中して我慢した方が良いという考え方です。測候所前は登山者で賑わっていました。やはり天気が良いせいでしょう。

 登ったからには下山しなくてはなりません。12時45分、下山開始。砂走りまで約55分、駐車場に到着したのが14時55分ですから2時間ちょっと。これでも、私のペースが遅く、弟にかなり待ってもらいました。今回は下山がきつかったです。というのは、須走口は直線的に下山するので下山道の斜度がきつい。砂走りのように砂がふかふかしていれば楽なのですが、やがて砂走りが終わり、地面が固くなると、途端に足に負担がかかり、痛くなるのです。息が苦しいとかではなく、足の痛さゆえにペースがあがりませんでした。弟が「一番楽な下山ルートは、御殿場口から宝永火口を経由して富士宮口に至るルートだろう」と言ったのですが、私も同感です。(ただし歩行距離が長いので誰にでもおすすめするわけではありません)

 
 砂払い五合目で偶然、会社の同僚のHさん、Aさんに会いました。この広い富士山で知人に会うとなんだかうれしいですね。彼らは我々より後から登り始め、大陽館で我々が寝ている時に追い越していったようです。なお、下山道が新しくなっていたのですが、従来の下山道ではなく、ブルドーザー道へ直結するようになっていました。駐車場へ登り返さなくて良いので、我々はブルドーザー道を利用して下山しましたが、砂払五合目の売店が営業を始めれば、店の人が従来の道へ誘導するのだろうと思います。

 今回は、パルスオキシメーターを使ってみました。血中酸素濃度を測定する器械です。 買うと高価なので、(株)ウェックトレックでレンタルしました。平地では酸素濃度が98%以上を示しますが、登山途中で苦しくなると77%ぐらいまで低下していました。


富士山で開栓したペットボトル。下界まで持ってくると気圧のせいでぺちゃんこになります。

0:00 登山開始
1:30 六合目
3:30 七合目
7:30 七合目出発
9:00 八合目
10:25 山頂
登山所用時間
10時間25分
12:45 下山開始
13:40 砂走り
14:20 砂払五合目
14:58 駐車場
下山所用時間
2時間13分
富士山 07/09
0306091215182124
気温(℃) 4.0 4.6 4.3 4.6 6.1 5.8 7.7 6.2
風向 WNWWNWNWNWNWNNWNNWNW
風速(m/s) 11.314.313.3 8.7 7.79.79.77.7
天気 快晴曇り快晴
↑当日の山頂の気象。山と渓谷社のWEBページ(各地の天気・富士山実況)より。

★教訓:体力不足で徹夜登山をするのはきびしいことを知る。
(2004/7/3)


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