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 みんなの登山記01−5 須走口
 tiさんから須走口登山のご報告をいただきました。登山中の心理状態が克明に記述されています。
 


須走口(01年8月6日)

富士山はじめて登山報告

 仕事の関係で外国人が日本に来て観光がてらに富士山に登って、Have you gone to the top of Mt. Fuji ? No? Why Not? Are you Japanese ? 大きなお世話じゃ!一度は登ったるわい!と心ひそかに決めつつも、ドライブで五合目までは行くもののその先はなかなか実行に移せないでいました。
 そんな折、私の友人が"富士山に登ってみたいんだよね"、という一言。"じゃあ行こうか!"ってことで話がまとまり、もう一人の友人を加え、サラリーマン(30代前半1名:後半2名)3人が富士山登山を決行しました。

 Week endと周辺の道路規制がある期間をはずし、お互いの休みが合うということで8月6日(月)に登ってきました。なお、ルートはあっぱれ!富士登山のHPを参考にして、"人が少ないのでゆっくり登れる"、"ベストルート"、"1粒で二度おいしい"、という言葉を信じ、須走口ルートとしました。(帰って来て再びHPを見たらHP Ownerの方の登山記に"初心者にとってもベストなのかどうか、ちょっと疑問に思い始めました。"との語録があって、ちょっとびっくり・・・。)


 御殿場ICを降りあざみラインへ。あざみラインを走っている間中、霧、霧・・・霧。前を走っている車もいないし、とにかくフォグランプに映るセンターラインと道路距離表示を目安にひたすら走る。突然正面に"第3駐車場"の看板・・・えっ??車を降り、確認。ありゃ、下にも駐車場(第二駐車場)があるぞ!登山道の入り口はどこ??あまりにも霧が深くて上まで行ってしまったのでした。

須走口 AM1:30着

(登り)

 出発をAM3:30と決め、体慣らしと出発前に軽く腹ごしらえをし、準備をしているうちに今度は霧雨状態に。最初からレインウエア着用とは先が思いやられる。30分ほど様子を見るが変わらないので出発。

AM4:00出発。

 意図的にゆっくりのペースで登ることにする。まだまだ先は長いし、徐々に体を慣らしていかないと高山病にかかる!というHPの忠告を守ることに。森を抜け樹木の背が低くなり山の頂が見える頃、辺りも明るくなって霧も晴れてきました。(と言うか、"雲の上"に出たのですね。)鳥のさえずりを聴きながらハイキング気分。(まだこのころは余裕がありました(笑)) 朝焼けの富士。とっても綺麗でした。でも山頂はまだまだ遠〜いなあ。

本五合目 5:20着(休憩5分)
 綺麗な高山植物の花(花の名前なんてわかりません^^;)を見ながら(男ばっかりでは、似合いませんね!)余裕を持ちつつ??ゆっくりと(息があがらないように)登っていきました。瀬戸館で杖を購入(1,200円)

六合目 6:00着(休憩10分)
 ここら辺りまで登ってくると、富士山がぐっと近づいたって感じと自分の目線と"空の高さ"が同じになって、登ってきたぞ!という実感が湧いてきますね。でもだんだん登るのがつらくなってきました。七合目に到着する少し前から一人のペースがちょっと鈍って来ました。ちょっと心配。

七合目 7:10着(休憩20分)
 七合目を過ぎると高山病が牙をむき出してくるのでしょうか?七合目前からペースが落ち始めた一人がかなりのペースダウンです。私の到着より遅れること25分、本七合目到着です。かなり顔色も悪く、本人も体調不良(頭痛など)を自覚しており、ここで断念することに。う〜ん、残念。。。

本七合目 8:15着(休憩35分)
 本七合目からちょっと登ったところに遭難者の碑。思わず目礼。すでに一人が断念したし、すでに3,200mを超えているんですよね。先行する一人はやはり普段から体力作りをしているだけにいいペースで登っていく。無理は禁物と自分のペースを守ってひたすら登り。それにしても何でこんなに苦しい思いをしているの?何が楽しいの??

八合目 9:10着(休憩5分)
八合目を過ぎると本当に高さを実感しますね。 "雲海で"地球の丸さを感じられるんですから。

本八合目 9:40着(休憩10分)
ここまで来ると今まで"点"にしか見えなかった山頂までの人の流れがはっきり見えて"目標"がはっきりしてきて、よし!がんばろう!という気になってきます。でも体はシンドイし、息はハアハア。最後の登りの前に御来光館前でエネルギー補充。空き腹になっているけど、疲労のせいもあり、おにぎりは咽を通りづらく飲み物で無理やり流し込んだ。バナナはおいしかったな。

八合五勺 10:05着(休憩15分)
八合五勺からの登りは正直つらかった。大きな岩場。岩の高さの分"足を持ち上げ"、"体を引き上げ"なければなりません。これまでのように歩幅を狭くしてとか調整が出来ない。山頂は"すぐそこ!"とわかっていながら進まないもどかしさ・・・。頼みは自分の気力のみ?途中で何人もの人が横たわったり、座り込んだりしていたけど高山病?ここまで来て発症すると、後戻りできないし厳しいだろうな〜。

山頂 11:25着
ついに山頂!!今まで登ってきた山小屋、登山道、そして見渡す限りの雲海(雲がなければ下界が見渡せるのでしょうね。)が一望。今までの苦しさが本当に吹き飛びます!!山頂制覇!を実感。神社での頂上印の打刻の音が耳に響きます。

(下り)
時間と下山の体力のことを考えてお鉢廻りはやめ。しばしの休憩後、さあ、下山です。
山頂 12:30発

下山道をひた歩き。何だかあっという間に降りちゃった(^^;って感じでした。あの登りは何だったの??
本八合目 12:50着
八合目 13:05着
八合目から本七号目の間の登山道と下山道が交差するところで、登山道を下山していくことに。登頂を断念して見晴館で休憩している友人と合流するためです。登山時に青黒い顔色をしていた友人もすっかり回復しており、まずは一安心。(やっぱり原因は睡眠不足でしょうね。)

本七合目 13:15着(休憩20分)

再び下山道に戻り、一気に降りる。
七合目 13:50着(休憩5分)

ここから"砂走り"ってやつですね。最初は、ざっくざっく、とふ〜ん、これが砂走りか〜なんて悠長に下山していましたが、途中から、無言・無言・・・無言。下っても下っても景色は変わらず、ただひたすらに、転ばないよう前に足を出すのみ。長い!!!時折強く吹く風だけでなく一緒に降りて行く人、先を降りている人たちの巻き上げる砂埃も容赦なしに襲ってくる。休みのポイントになるようなものも なく、給水のため止まっても休んだ気がしない! 止まると膝が"笑っている"。とにかく長い!!!ようやく休憩所にたどりつく。富士のすそ野は長い!を実感。

砂払い五合目・売店 14:45着(休憩10分)
"さあ、あと30分だよ"の声を背に下山道の鳥居をくぐって最後の樹林帯へ。ここから"雲の下"へ入り天候は霧。体感温度もぐっと下がり、疲労の体にはこたえます。霧の森の中では汗も蒸発せず、体力も一気に消耗する感じです。ようやくのことで神社の前へ。無事の下山を感謝。朝4:00に出発して約11時間30分。よくも歩き通しました。これで、Have you gone to the top of Mt. Fuji ? YES!!と胸を張って言えるぞ!
須走口 15:30着

(番外) 登山口からバス停の前を通り、駐車場へ・・・上り坂・・・何よこれ!最後まで苦しめてくれるのね。登るときには気にも止めなかった駐車場から登山口までの坂がこれほどまでにきついとは!


とまあ、こんな感じでした。
富士山に登ると決めたものの、何を準備してよいかもさっぱりわからず、準備〜ルート選択とすべてをHPのお世話になりました。おかげさまにて無事山頂にたどり着き、下山できました。あんなに登るの大変だったのに、今度は"やっぱり御来光を見なきゃ"とか、"お鉢廻りをしなきゃ"なんて考えている私たちです。。。(笑) 途中で断念した友人も"行かねばならない所ができた"とリベンジを誓っています。

須走口から登りましたが、HPにもあるように、人も少なく、河口湖口と合流する前まではペースの速い人たちや、登山道途中で休憩後の合流などで気を遣うことも無くマイペースでゆっくり登れたのはとてもよかったですね。(この利点で須走口を選んだのは正解!と思ってます。)
今回は、登山口夜中着、明け方前登山開始、日帰りで戻るスケジュールで、また、初めてということもありペース配分もわからず、特に下り(砂走り)は精神的にきつかった感じがしました。どうせなら昼間から登山を開始して、樹林帯の森林浴を楽しみながら登り、途中の山小屋で一泊、可能なら御来光もしくは早朝登山〜お鉢廻りを楽しんで下山というのが精神的、体力的にいいかもしれませんね。

その他、ちょっと気に留めておくといいな〜と思った点(当たり前のことですが。。。)

暑さと汗
今時、空調の効いたオフィス・自宅、乗り物にばっかりいるので汗をかく機会が非常に少ないですよね。登山中は日焼け防止や温度変化に対応して長袖シャツを着ていたりしますし、ちょっと汗をかくだけで、バテてしまいます。当たり前のことですが、登山前に暑さと汗をかくことに慣れておくことは必要ですね。

日焼け止め
日中登山の人は、顔や腕だけでなく、手の甲、耳(裏側も!)〜首筋も忘れず!!手の甲は岩場での怪我防止で手袋をつけたりはずしたりしていて塗るのをすっかり忘れていました。耳の裏側が焼けるなんて初めての体験。確かに背中側からもまともに太陽くらってましたね。帰りの温泉でシャワーを浴びたときにヒリヒリ。。。(^^;

下山道でのマスク
下山道でのマスクは必須。(HPの注意事項通り^O^)
私達が下山しているときはそれほど強風ではなく、風が砂埃を巻き上げている状態ではありませんでした。しかし、一緒に歩いている人、先を歩いている人が巻上げる砂埃だけでも凄まじかった!!
汗と吐く息でマスクもベトベトになるので替えも必要。給水でマスクをはずしたときに、またベトベトなのをするのはちょっとイヤですものね。

高山病の予防の一例。
発症の引き金は千差万別だと思いますが、基本的には体内への酸素取り込み不足が原因ですよね。空気を体内に取り入れるためにはまず、意識して"息を吐く"のがいいみたいです。
普通の生活では腹式呼吸なんてやっていませんから、腹をぐっとへこませながら息を吐くと言う動作はなかなかしんどいものです。でも吐かないと空気は体内に入らないんですよね。
私も六合目直前くらいで高山病の予兆?らしきものがありました。立ちくらみと急な動悸、そして体が急に重くなったのです。また、頂上に上がったときも、若干の頭痛、立ちくらみ、がおきました。こんなときに、"息を吐くことを"繰り返しやっていたらしばらく経つうちに,自分の中でも急に体が軽くなって症状が改善したのをはっきり覚えています。もっとも軽い症状だったからそれで済んだのかもしれませんが。また、登山はきつい"有酸素運動"。呼吸を出来るだけ一定に(呼吸法は各自ばらばらだと思いますが)保ち、乱さないことも高山病の予防にもなると思います。息が上がり始め呼吸が乱れたら、体が無理をしているということですね。歩幅を狭める、一旦停止などしてペースを落とし、息を整えることですね。



★管理人のコメント

 須走口はおすすめなのに初心者にはどうか、なんて曖昧なことを書いてしまい、申し訳ありませんでした。自分なりに熟考しまして「須走口は一般的な脚力の方には文句なくおすすめだが、他の登山道に比べて五合目の標高が低く、また、山小屋が少ないので休憩しづらいため、富士登山が初めてで、体力に自信がない方には、やや不向き」という意見でHP内をまとめたいと思います。

 須走口の駐車場への登り返しはしんどいですよね〜。よくわかります。

(01/8/12)

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