[登山記の目次に戻る]

 みんなの登山記01−6 河口湖口
 加古川のカブラさんからの富士登山のご報告をいただきました。バスツアーに実際に参加されて、その様子が詳細に記されています。バスツアーを予定されている方には参考になるでしょう。
 

バスツアーで富士登山だぜ!
自己紹介  主婦40代 兵庫県在住
20年前,大山と奥穂高に登ったきり。
ミレニアム富士を思い立ってからの道具を揃えたり、本で調べたりの
行く前のドキドキワクワクが楽しくてやみつきに。
山はしんどかったけれど、あの非日常が比較的安全に味わえるのが魅力です。
交通オンチの私では,一人で乗り物を乗り継いで五合目までたどり着けないので
万事お任せのツアーはありがたいです。費用も安いしね。
仕事は、500軒ほどの新聞の集金と、30軒分の団地の朝刊配達です。
たった15分の階段登りでも毎日継続の効果はすごい!
1年前から主人も運動不足解消のため配達に参加。体調いいですよ。
お小遣いつきのトレーニングで'楽しく健康な中年'を準備するのだ!!


バスツアーの経験   2回 平日ねらいで1人で参加
2000/8/10〜11(金,土)
2001/7/13〜14(金,土)
大阪発の(夜行登山で頂上でご来光を待つ)河口湖コース
8月のときは、お盆休み前半に入ってて、五合目から頂上,下山まで
まったく人が途切れず、岩場でもひどい渋滞で、下山道を使って登頂しました。
道路の渋滞や、日の長さも違うのでできれば7月中がおすすめ。

バスツアーのおきて    とにかく時間と場所に合わせること。
トイレ,おみやげなどの下車のたびに、集合時間のメモの習慣を。
大きなパーキングではバスだらけ。バス会社名、ボディの色、場所を確認。
登山中は先頭にガイド,最後を添乗員が守るが、まず八合目の宿泊所までは
リタイアできない。どんなスローペースでも添乗員が付き合って上げていきます。
途中で混雑にまぎれてはぐれたり、ご来光を待つ間に体調不良で連絡がつかず、
バス乗車まで探し回るケースもあります。
非常時にどう連絡をとるか、バス車中の質問のときにしっかりと聞いておこう。


服装計画
1. 薄手で足が曲げやすい長ズボンと薄手の山用の半そでTシャツ 
 ジーンズの人もたくさんいますが、雨に遭うと怖いですよ。
山用シャツなら雨に降られたり汗で冷えても安心です。
半そでなら人前で脱げるのでどこでも着替えがOKです。
2. 登山開始時&下山時の日よけ用長袖シャツ
 風を通す素材が快適。エリがあるほうが首筋が守れる。
夜に着替える分も欲しい。
3・アクリルなどの軍手  リュックを背負うので背中は暑いけれど
手先が一番に冷える。荒天時のために保温性の高いものも欲しい。
4・薄手で風を通さないベストかジャケット
5・フリース類の長袖と薄手のニット帽
6・レインウェア上下  スキーウェアなど綿の入ったものは不適

荷物計画   カバンを3つに分ける
A 常に身につけるウエストバッグなど
ボールペンが必要。
カメラは気軽に出し入れできる小型がベスト。
トイレ用品、貴重品
B  登山時のリュック
バスの網棚に厚みのある荷物はむり。
行きの車中で必要なものはCにまとめ、座席に余裕があれば
リュックは席か足元に。だめならトランクへ。
C 車中用と、お風呂での着替え類 汚れ物もいれるのでゆとりが必要。
軽いサンダル   下山後は登山靴がキツイ。おみやげやさんめぐりは
バスツアーのさだめなので、そんな時ラクチン。
空気マクラ    バスで寝るとき首がラク
うちわ
化粧品      登山リュックには日焼け止めと口紅くらい、で残りは
こちらに。シャンプー類はおふろについてます。
冷房対策の長袖,長ズボン  車中の冷房が直接当たる半そでなどは
つらいときもあります。日差しと寒さ,両方に対応できるうす手の物が重宝です
お風呂上り用に兼用してもいいし、山での着替えに使うなら
五合目で降りるとき忘れずに。


行動計画1日目  乗車から八合目仮眠まで
乗車すると席が指定してあります。添乗員さんからコースなどの説明と
1, 2日目の昼食の予約取り。予約しとけば安心ですが現地で好みの物を
選べるほうがたのしいかも。
後は「体力維持のためにとにかく寝てください」と言われます。
トイレ休憩はたびたび入れてくれます。山でのおやつなんぞも
仕入れておきましょう。土地のおもちや、おいなりさんなんかもGOO!
スバルラインに入るとしだいに雲が足元に。窓から大沢崩れも見えます。



五合目着  4時前後
約1時間の予定で男女各1部屋が用意されてそこで登山用の着替え。
不要な荷物をバスに収めてから早めの夕食。
集合時間になると前の広場で点呼を取ってガイド(強力)さんから
説明を受けて出発します。
この五合目に付いてから荷物をがさごそしていては時間がもったいない。
スバルラインあたりで天候,気温に見当をつけられるなら
登山の持ち物の整理を車中で終わらせて、不要品をそのまま車中において
下車すれば着替え後バスに戻らなくて済む。
家族連れで全部お母さん任せの人たちなどが男女別の部屋を
荷物を取りに走ったりしてます。隣だけどね。
もたついてるとバスが駐車位置に移動してしまいます。
私は服装は2までの状態で家を出たので,ここでは山用ソックスのはき変えと
汗取りにバンダナを巻くだけなので5分でOKでした。

食後のゆとりの時間で
1・トイレを済ませる(大が済ませられると身軽なんだけどねぇ・・)
2・谷側の山小屋風建物1Fに郵便局がある。営業時間内に着けば
身分証明と印鑑で通帳も作れる。時間外でも各種のはがきなどを
売ってるので自分宛てに下山した感想など書いてここの角の赤いポスト
から投函するのも好い土産。時間があればここで宛名は書いておこう。
住所録のメモをもっていこうね。宛名シールのアイデア、いいですね。
3・ここの外階段から展望台に行ける。真正面から富士を見る。
店内にも見るもの多し
4・広場からの山並みもたのしもう(足のストレッチでもしながら・・)
金剛杖は,焼印スタンプが目的ならここで買うべきですが
はっきり言って登りでは邪魔。家族分の杖を紐でくくって岩場を担ぎ上げてる
お父さんも見ます。短く出来るストックが道具としてはベスト。 
五合目出発時にありったけの装備をつけてる人もありますが、暑いし邪魔です。
スパッツも杖も登りではいりません。服は少し寒いくらいでOK。
後は休憩ごとに調整。立ち上がったら必ず落し物チェックを習慣に。
ゴミを落とさないことにもなります。
時間になって、みんなが集まってきます。ほかのツアーと間違えないように。
遠慮無くガイドさんの傍でしっかり説明を聞き、点呼には大きな声で元気に
返事しよう。このときに水のペットボトルを配ってくれたこともあります。



出発
明るい間はほとんどなだらかでまだまだ余裕です。
安全センターでチラシをもらったあたりから富士らしくなってきて
こたえてきます。岩場も始まり手袋をしましょう。
河口湖コースでは山小屋がたくさんあって、比較的トイレもきれいに使いやすいです。
感謝の気持ちで100円を入れましょう。
岩場はコースが狭いので普通でもだんご状態。他のグループの人たちと
混じってしまいます。調子が悪く遅れがちになったら、自分から進んで添乗員さんに
状態を相談。歩いているときもここにいるよ〜とアピールしているほうが良いです。
気づいてもらうのを待ってたら駄目ですよ。

八合目の宿に到着
宿に着くとまず大きなビニールの袋を渡され靴を入れ、明日のお弁当(おにぎり2個と
焼きしゃけや漬物)を配られそれをぶら下げて布団の敷き詰めてあるところに案内され,
「はい!あなたここ。あなたはこっちに・・」とリュックや靴が頭の上に並ぶ空間に,
頭と足を交互に布団をかぶせられて、その間5分。
はっと気がつくと,トイレも行きたい。汗びっしょりの服も何とかしたい・・と
思っても周囲はすでに人の海。
それから漸くわれに返った皆さんが布団のジャングルの中で
足を拭いたり荷物をひっくり返したりし始めるのですが・・・・・
おすすめは、
1.宿に入る前にガイドさんか、小屋の人に一言断ってトイレにいく。
下の小屋で済ませればなおよろし。
2・小屋に入ったら明かりのある部屋の隅でさっと半そでになって別の服を着る
ソックスも替えておく。(何せ隣の人の顔の前に突き出すので・・・)
3・もらったお弁当は袋に入れてからリュックに。ばらした経験あり。
4・ライトを出したり着替えをしまったり完全に荷造り完了してからふとんのへやへ。
てきぱきやらないと小屋にも迷惑をかけますが子供づれの場合などやむをえないかも。
後は出発時間に起こされるまで'じっと我慢の子'。
すぐにいびきかいてる人もいてチョ−うらやましいけど、とにかく寝付かれないって
つらい。動けないのも体が痛くなってくる。・・・・がまんできずにごそごそ。
小屋の前では、ずっと登山客が途切れることなく続いています。
こうやって、なかなか進まない山小屋の夜がふけていくのです・・・。



行動計画2日目  山小屋出発から解散まで
12時前後、時間差で出る別のツアーもあって、約束の時間よりだいぶ早くから
みんな動き始めます
でもなるべくがまん。部屋も集合する場所も順にツアーが出ないと混雑しますので。
節々が痛む体をストレッチしながら、準備を始めましょう。
体調に不安があればここでリタイア。ここからでも十分ご来光が拝めるので
明日の朝小屋の人に起こしてもらうまでもう一休みして,ゆっくり下山できます。
明け方は足がつってで悲鳴をあげてる人もいます。痛いもんね〜。さすりましょう。
頭に巻くバンダナは汗取り、保温、両面で便利です。ヘッドランプも安定します。
大き目が2,3枚あると帽子,マフラー、包帯、風呂敷、なんでもこいです。

手袋、ライト,電池など小物をチェック。布団に忘れ物はないですか?杖は?
小屋から出て小さく固まって点呼。出発で〜す。まだまだ岩場が続きます。
混んでくるとどうなるか分かりませんが、次々と現れる山小屋ごとに小休止。
2時ごろにはガイドさんが山小屋に全員は入れるようにしてくれて、
食事休憩を取ります。昨日もらったお弁当や持ちこんだおやつを食べますが、
ぜんざい,ラーメンなど,小屋の軽食も取ってあげたほうが良いでしょうね。
熱いものがおいしい。私はこんなときのカップヌードルがたまりまへ〜ん!
うれしくて、カップ掲げて写真を撮ってもらいます。へへっ

食べた後も岩場がつづく。酸素を吸う人、道端にへたり込んでる人も増えてくる。
ひんぱんに休憩は取ってもらえるけれど「出発〜!」の声に「えっ,もう行くの〜」
の悲鳴が上がる。もし自分でペースを作ってるとだらだらと休みすぎてよけいに
きつくなってるかも。しかし,足が弱い人にとっては、やっとたどりついたら
ゆっくり休みきれないのにまたすぐ出発。の繰り返しで,かなりきつい。
やはりツアーでは、平均的体力のある人でないと楽しくはないと思う。
ちょっと恥ずかしい話をひとつ。個人差があると思うけれど
山頂でお菓子の袋が膨れてくるのとおんなじで、
人間もおなかが張ってくるようなのです。
プライベートな空間なんてないしねぇ。
岩場を登りながらおならが出そうで冷や汗ものでした。たはは・・・

や−っと鳥居が見えてきて空の色も微妙に色づいてきました。
少しの段差にもぜーは−と言いながら何とか鳥居をくぐれたときは
最高にうれしかったなぁ〜。
どこにでも座り込みたかったけれど、久須志神社をバックに
写真を撮る人の邪魔にならないように脇のほうへ座りました。
後は下山の集合場所と時間を再確認してから自由行動。
ガイドさん指定の山小屋に入ったりして暖を取ったりしながらご来光を待ちます。
この辺で、あるもの全部着こんでいい加減かも。動きが止まるとぐんぐん冷えます。
でもアノラック姿に混じっているんだよね、半ズボン、Tシャツ姿。えらい?
高山病で青い顔をしてビニル袋を抱え込んでいたり、目をつぶってゼーゼー
してる人もいてあまりはしゃいでもいけませんが
体調に合わせてせっかくの富士山頂を楽しもう!
実は私、1回目は「寒いから山小屋で暖かいものでも食べてご来光を待ってください」
とのガイドさんのお言葉に忠実にしたがって、火口も,浅間神社も(下山道から
きたもので・・)どこにあるかわからないままにおりてしまいました。
ただ小屋の奥にあるドアを開けたら石積みの遠く向こうに富士山ドームが見えて
幻想的で印象に残ってます。すぐそこにあったのに下調べ不足で残念でね〜。

山小屋の並びに沿って進んでいくと小屋の途切れた右側奥が火口。すごいところです。
風が吹き上げてくるし,石ばかりの不気味な色。生き物はいるのかなあ?
正面左よりに旧測候所のドームも見えます。プロジェクトXで見たあれです。
小屋の横に戻ってちょうど向かいにある屋根に石を積んだ建物がトイレ。
ちなみに使用後がどうなっているのか,谷側の観察もお忘れなく。
今年から近くにバイオトイレも設置されたそうですが,維持のために
ペットボトル1本づつでも水の持ち寄りが呼びかけられています。
何かで協力できるとうれしいね。

さあだいぶ明るくなってきました。小屋の反対のある小高い丘へ登ると
下山道の鳥居をシルエットにご来光を拝むベストポジション。
風に耐えつつ,雲海の様子や刻々と変わる空の色をあじわいます。
あまりに寒いと小屋のほうへ退避〜!混みますけどね。



日が昇りきると、とたんに周りが慌しくなってくるのでトイレや、
キーホルダーに刻印してもらうのは日の出を待つ間に。
集合時間を確かめてツアーの人たちの集まり具合なども眺めながら
再度日光の元での火口見物やトイレの見学等,体力に応じて動いてください。
しかし平らでもここは頂上、走ったりするとその高度を思い知らせてくれます。

全員がそろうまで「凍え死ぬ〜」などと言いながら小屋の前で待ちます。
ガイドさんやツアーの人たちと記念写真を撮り合うのも楽しいです。
頂上ならではの顔をして写ってますよ。
下山時はかなり下まで小屋が無いので水が足らない人が続出。
頂上で買うのも記念でしょ。
トイレは山小屋なら、本八合目の胸突江戸屋と、
須走口との分岐点にある八合目の江戸屋の2カ所。
他には、下山道をかなり下ったところにある公衆トイレしかありません。



下山
点呼終了後、下山開始。添乗員が先頭,ガイドが最後で
江戸屋の須走口への分岐を間違いなく曲がったのを確認後は
目標時間までに各自のペースで降りて行きます。
下りは単純。大半がざっくざくの砂礫の道をひたすら飽きるほど歩きます。
下山中でズボンもリュックも赤茶にそまります。風に備えてゴーグル、
工事用マスクは使わなくても持ってたほうが安心でしょうね。
1回目に杖を使わずとてもつらかったので今回ストックを買いました。
足を不安無く踏み出せるので無理な力がかからず楽になりました。
足もとの赤、ベージュ、茶など石の色の見事さや、樹海の景色、
上を見上げれば手に取るように登山中の人の列も見えて、
暗かったからこそ平気に行けたかな?と何日も前のように登山中を思い出します。

歩いている間にメンバーはかなりばらけます。
それだけ個人差が大きく、ざざーと気持ちよく走っていく若い人もいれば
以前にいためた膝をかばいながら、とかマメの出来ちゃった脚を引きずって
死にそうな顔でよたっている人もいます。靴はやはり何度か距離を歩いて
はき慣らしておいた方がいいですね。

日が昇るに連れてぐんぐん気温が上昇。寒さ対策から暑さ,日よけ対策に向けて
休憩のたびに次々とぬいでいきます。風で飛ばさないように。
飛ばしたくないものに安全ピンがお役立ちです。
小さな帽子では照り返しでまぶしく、タオルで「姉さんかぶり」をしてみました
顔も首筋もカバーして頭に風がとおって快適でした。これ用にモンベルの
日本手ぬぐい買ったけど、モデルがモデルだけに「たんぼのおばちゃん」でした。

道の脇に植物が見え,さらに降りると木も生えてきます。
ここまでくるとようやく人間の世界に近づいた実感。
この段階でもうヘロヘロの人は,馬の利用を考えたり
ガイドさんの監視から漏れてしまったら、元気そうに歩いている人に
五合目で待っている添乗員さんへのことづけを頼むなど対策を立てましょう。

最後になだらかだけどやっぱり苦しい登りを終えたらやっとなつかしの五合目。
小屋のドアに張り出した名簿に到着のチェックを忘れずにいれたら
夢に見た、つめた−いジュースなど買って座り込んじゃいました。
お世話になったガイドさんに挨拶したり,はがきを出したり、
荷物の整理を終えたらバスへ。

五合目バス出発後はみんな爆睡。
お風呂に起こしてもらうまで静か−です。Cの荷物とAを忘れずに。
お風呂の規模が小さいと、シャワーやおけが足らなくて待つこともあって、
直接,湯船からお湯を汲んだりしてやりくりしました。
ふろあがりにシップ薬を貼りまくると、もー快感です。

そのあと,食事やおみやげに何度か起こされて名前を書いた土産の紙袋で、
バスのトランクは膨らむばかり。写真を送ったりお便りしたい人たちと
住所の交換などして、旅が終わっても楽しみがいっぱい。
うーん思い出すとやっぱり面白かった!また来年も行っちゃうかも。
きっと行くなあ・・・またよろしく!



★管理人のコメント
 さすが、実際にバスツアーに参加された方ならではの、様々な知恵がちりばめられていて、役立つ情報が満載でした。カブラさん、バスツアー参加者ならではの貴重な情報をありがとうございます。私もバスツアーに参加したいはと思うのですが、やはり山小屋で窮屈な思いをするのがダメです。

(01/8/25)

BACK  TOP  NEXT