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 みんなの登山記03−10 河口湖口
 投稿者:S.Nさん


■2003年8月10日(日)〜11日(月) 河口湖口

 進ちゃんとの富士登山の後、やはり今年中にもう一回行っておこうと思い、台風が通 過するのを待って8月10日、河口湖口へ。勝手知ったる富士急バス新宿駅19時50分発。去年より20分遅くなっている。このバスは都心から5合目に行くのに、最低価格(2600円)の公共交通機関。そのせいかは知らぬが、外国人比率が高い。今日もフランス語が飛び交っている。

 このバスは、2年前から使っているが、便利なことこの上ない。夜中寝ないで歩くの はつらいが、満点の星あり、頂上でのご来光あり、翌日昼過ぎには東京に居られるは で富士山を最低料金、最短時間で楽しめる。他の須走口、富士宮口などに東京都心か らの直通バスが無いのは需要が無いからでしょうか。

 22時25分出発。この道は7合目までは汗をかき、その後凍りつくことがわかっている。まめに着替えることを旨として、本日は短パン、Tシャツの出で立ち。ヘッドランプの明かりを頼りに、22時52分六合目。トイレが立ち並び安全指導センターの係の方が河口湖口の案内図を配ってくれる。適度に汗をかき気持ちが良い。そのままぐいぐい高度を稼ぎ23時25分、七合目の山小屋群の前で10分休憩。少し寒くなってきたこともあり、ここで重装備に。長ズボンを履き、羽毛のチョッキ、防風用にゴアテックスの雨着、耳当ての着いた冬用帽子をかぶる。

 今日は混んでいない、寒くないで自分のペースで歩き続けられる。星ははっきりせ ず、下界の灯りも見えるところが一部のみ。目の前に浮遊しているのは雪のように見 えるがまさかねえ。ははあ、自分は今、湧き上がる雲の中を歩いているのか、と納得。そのまま調子よく歩き0時15分七合目の小屋群を過ぎて10分休憩。このまま行ったら3時過ぎには頂上についてしまうのではないか、という心配はやはり杞憂であったことがすぐ判明。0時48分八合目太子館に着く頃には、行列が動かなくなる。

 霧雨の中を星を探しながら歩いていたが、やがて徐々に雨がなくなり星がたくさん見 えるようになる。同時に鈴なりの人が一歩も動けずにじっとしている状態も長くなる。白雲荘前で1時30分から10分休憩。2時30分富士山ホテル通過。3時ご来光館で10分休憩。歩いているより止まっている時間のほうが長いのは同じだが、去年までと違い寒くない。七合目の服に加えフリースの手袋、フリースのジャケットを着けているが、快適。呼吸 は楽ではないが、頭痛がしない。昨日1日家に居て出歩かなかったのが勝因か。上が るにつれて星が数を増し流れ星も見え始めた。雲も本八合まで上がって来られないよ うだ。「頭を雲の上に出し」そのままだ。そのまま歩き続け4時40分頂上に。

 強風の中多くの人たちとともに、雲海の上に荘厳に上ってくるご来光を有り難く見 る。これで5回目となるが、今日のは飛び切り姿かたちの美しいご来光。富士山は何 回来てもそれぞれ違った姿を見せてくれる。雲の上に完全な姿が出たところで万歳三 唱が聞こえてくる。

 山口屋で持参のおにぎりとともにうどん(800円)を食べ、力を蓄えて5時30分出発。 今日の目標は富士山最高地点を踏み、御殿場口から降り、五合目バス停に9時まで着 くこと。写真を撮りながら剣が峰に向かう。2年前、測候所が現役だった頃には上れ た階段が通行不能で残念。八ヶ岳、南アルプス、遠く北アルプスまで、選ばれし峰々 のみが覇を競う如く雲海の上に浮かんでいた光景を思い浮かべる。今日は雲が多くそ こまで目視できない。

 御殿場下山口まで戻り6時35分下山開始。ガイド上は3時間かかるところを2時間半で 降りなければバスに間に合わない。ここは2年前、家内が激しい高山病に襲われ一歩も歩けないという中、家内のザックを胸に背負い、抱きかかえながら降りた道。大砂走りを快調に降りてみたいという思いで本日は下山口としてここを選ぶ。何組か上ってくる。 ここは降りるのも長くてしんどいが、登るのはもっと大変なはず。それでもこのコースを選んだ人は尊敬もし、親近感を覚えてしまう。7時35分、七合目日の出館で5分休憩。結構急いで降りてきたのにほぼガイドと同じ時間がかかっており、先が心配。何しろ9時を逃すと次のバスは12時まで待たなければならない。しかし七合目の付近であと1時 間半、の表示を見て安心する。

 七合目からは壮大な稜線を見ながらの大砂走り。重力に任せた自然なカーブを目の当たりにして感動。ガスが湧いてきて行く手の視界を遮るも、時折さーっと晴れると青空に屹立する頂上から下界の樹林帯まで一望できる。砂も須走口と比べて細かく柔らかいため、砂走りの醍醐味という点では圧倒的にこちらが楽しい。

 予定より早く8時45分、バス停に到着。砂を落とし顔を洗って一路東京へ。御殿場で一時間近く電車待ちがあり、ホームのベンチでウィスキーを飲みながら心地よい風に吹かれる。雄大な景色と砂走りの魅力のため、この御殿場口というのは富士山一の降り口であることは間違いないと思うものの、来年は富士宮口もトライしてみようなどと夢を持って今年のシーズンは終了です。

 なお、砂走りの際の足回りに関してアドバイス。登山靴をはいている人はショートス パッツをつければ、ほぼ完璧に砂の靴への侵入を防ぐことが出来ます。スニーカーな ど、スパッツを着けられない人は、布製ガムテープを足首から甲にかけて念入りに貼 ります。底まで貼り付けるのは滑りやすくなりそうでやったことはありません。進 ちゃんも朋子もこの方法で問題がありませんでした。河口湖口を降りた際も小石が靴 に入ってきて苦しめられました。サランラップが良いなどと聴いて試してみました が、結局布製ガムテープに優るものはありません。一度お試しあれ。


(管理人)
高山病の奥さんを抱きかかえて御殿場口を下山されたことがあるとは…。すごいの一言です。本当に高山病で動けなくなることがあるのですね。


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(03/8/17)