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みんなの登山記03−13 富士宮口
 投稿者:セナさん


■2003年7月29日(火) 富士宮口

 初登山! 徹夜! 単独登頂! 最悪の天気!    
   2003年7月28日(月)〜29日(火)初登山で富士山の徹夜単独登頂に無事成功しました。事前に「あっぱれ!富士登山」や関連リンクのサイトからたくさんの情報をいただいたおかげです。ありがとうございました。

  はじめに
 私は、滋賀県大津市に在住しております40代の中年男です。一応、妻と子供2二人の4人家族ですが、子供も大きくなり夏休み恒例の家族旅行も今年はスケジュールが会わず少し寂しいですが中止と成りました。

 1年半前から犬を飼い始め、毎日30分以上散歩する習慣つき、最近何だか体力に自信がつき出した頃、書店で「富士山ブック」 (山と溪谷社)が目にとまり富士登山の単独登頂を計画しました。しかし、本格的な登山経験は全くありません。地元の伊吹山には、ドライブウェーで9合目まで車で行き頂上を極めた事がありますが何の役に立ちません。早急にガイドブックを読み、富士山関係HPを検索・情報収集しました。登山口は、歩く距離が短く関西方面からのオススメの富士宮口に決定!

準 備
 今回購入した装備は、登山靴・レインウエアー・スパッツでゴアテックス製を選びました。ステッキ・LEDヘッドランプ・速乾性の繊維の下着と靴下など富士登山の推奨品を中心に購入しました。
 上着・ズボンは、ユニクロのドライ・クールマックス仕様(化繊100%)でキメました。登山専用品のズボン1本の価格で、上下服とフリース・帽子が揃いました。7・8月の富士登山はこれで十分ではないでしょうか? ザックは、35Lで子供のお下がり。
あと軍手・フリース手袋・ダウンジャケット・着替えTシャツ・トイレットペーパーの芯を抜いたもの・携帯ラジオ・カメラ・ウエストバッグです。

 食料は出発前に、食べる酸素、500mlスポーツドリンク4本(高山病予防のため2本は登山までに飲む)、ウィダーインゼリー3個(1個は出発前に飲む)、プチ塩せんべい、ねり梅、チョコレートなど準備。 富士宮市内のコンビニでおにぎり4個(2個は出発前に食べる)と500mlお茶1本を購入。

決 行
 6月末からネットで、富士山頂・静岡側・山梨側の天気とライブカメラで毎日チェックしていましたが、今年は太平洋側の高気圧の  張り出しが弱く日本全体の天気がイマイチ良くありません。登山日が、仕事の都合と安定しない天気でなかなか決まりませんが、8月に入ると公私ともに忙しくなるので、益々登山に行ける可能性が低くなってしまいますので、天気予報はあまり良くありませんが7月28日〜29日にご来光目的の徹夜登山に決めました。(山頂にも何方かライブカメラを設置し下さい!天気を予想するのに便利かも?)

 仕事を終え、シャワー・夕食を済ませ家族に見送られ午後7時に自宅を出発、名神・東名高速で富士ICへ西富士道路経由して富士山スカイライン新五合目駐車場に午後11時スギに到着、登山口から150メートル位の所に無事駐車できました。

 心配した天気もここでは、風もなく満天の大変綺麗な星空で少し肌寒い感じです。
まわりはたくさん車がありますが真っ暗闇です。平日ですが今から登ろうとする人達がいて、初めての登山でしかも単独徹夜で登る私には心強い限りです。 はやる気持ちを抑えつつ着替え、持ち物の点検、軽食を食べながら約1時間2400メートルの高度に慣らしました。(時間的に少ないような気もしますが、富士山スカイラインを入る手前から運転しながら約40分位、深呼吸を意識的に繰り返しました。後々これが登頂成功の1つと思います。)

登山開始
 午前0時に登山開始。定石どおり歩幅を狭くゆっくりと登り始めました。すぐに新六合目を通過、砂や小石で想像していたよりも最初は歩きやすい印象とLEDヘッドランプの明るさにも感心しました。体調も良さそうですし、富士市あたりの夜景がハッキリ見ることが出来ます。暗くて全体は把握出来ませんが、矢印とロープのガイドで登る不安は薄れていきました。新七合目あたりから岩場になりはじめ、少し息苦しい感じもしますがこまめに水分補給・間食での気分転換と短時間の休憩を繰り返しました。

 七合目を過ぎたあたりで風が出はじめ、頂上付近からガスが急におりてきました。アッと言う間に一面真っ白!まさに風雲急。取りあえずレインウエアーの上だけを着る。人が多く八合目の山小屋を通過。しかし急に息苦しくなり始め意識して深呼吸をする。何せ初めての本格的登山?ガス発生も「地上の霧」と同じ感覚でいると大きな間違いで、これは「雲の中」に居るわけですから水分の粒子も大変大きく気がついたときはすでに遅く、ウエアー全体が濡れてる状態です。周りの人もペースが落ち渋滞気味で、登山道の途中でレインウエアーのズボンを履ける状態ではありません。

 結局九合目まで我慢しましたが、幸い速乾性繊維の御陰であまり不快感はありませんでした。自分の判断の悪さを反省しました。途中で軍手からフリース手袋に交換しましたが寒さは完全に防げますが、あまり防水性は期待出来ません。今後登山を続けようと 思われる方はゴアテックス製の手袋オススメします。同じく帽子も夏用と冬用(共に防水性の有るもの)2種類を用意したいものです。

 九合五勺(3550m)では完全に雨。この時点でご来光は諦めました。山小屋の前では、寒さと寝不足で疲れ果てた方々が数多く居られました。その方達には大変申し訳ないのですが、気象条件が悪化してくると装備の差がハッキリと現れる事が身をもって体験いたしました。私もザックカバーの購入を止めたのを後悔しました。ザックの中は登山用の防水バッグと大型ゴミ袋の2重にしていましたので全く問題なかったのですが、完全に雨になるとザック全体が濡れ大変重くなってしまいます。晴れていれば何の問題もない富士登山だと思いますが、山では早めの判断と用具の装着が必要だと実感しました。
 
 九合五勺から山頂までは、看板では30分と案内されていますが完全に無理です。
人が少なくても登山道は、超スローペース慣れて無いと追い越しも無理、しかも雨も下から降り出しました?まさに「胸突き八丁」で一歩一歩登る感じです。
 
登 頂
 何回も限界を感じつつ、空の明るさと人の気配がなくなるとそこは念願の山頂でした。
所要時間4時間40分。心配していた高山病も出ず達成感からお腹が急に減ってきました。
 雨と風が大変ひどく山頂富士館の食堂は、富士宮口から登った人達で満杯状態です。
雨も気にせず富士館前の木製ベンチで、おにぎり2個と塩せんべいを食べましたが、疲れた体には最高の味わいでした。
 
 お鉢巡りはとても無理でしたが、強風の中でも河口湖口側に行くことが出来たので、山口屋で30分ほどザックを下ろしゆっくりと休憩させてもらいました。各登り口と下山道を確認し山頂のレイアウトも頭に入れ今後の参考にしました。また、外国人の登山者が比較的多いのに驚きました。
 ご来光はだめ、お鉢巡りもだめ、景色もだめ最悪の条件でしたが、何とも言えない達成感が味わえる富士登山をこれからの私のライフワークの1つとして加えることに決めました。
 
下 山
 気を取り直して金剛杖を購入して、浅間大社奥宮で朱肉の刻印を授かり、各山室の焼き印を集めながら下山することにしました。午前6時45分に再び富士宮口より下山開始。しかし、下方から凄まじい風雨が登ってきます岩陰から横に見ると巨大ダクトからドライアイスの煙が送り込まれて居るみたいです。
 
 下着が濡れないように、しっかりとレインウエアーを着込み直し下山。九合目あたりから次第に段差がきつく感じられて、各山室の焼き印の時に休憩をとりました。下山するほど雨も弱くなりましたが、七合目からは濡れたザックの重みと濡れた手袋・帽子で疲れが大きくなり、下りの大きい段差は苦痛とかわり末端の登山装備の重要さも思い知らされました。濡れた地面は、気を抜くと滑りやすく4〜5回転けました。下山時の体力も温存する事も大切なことも分かりました。

 午前10時10分やっとのおもいで五合目駐車場に無事到着!
見事に泥だらけの服を雨の中、車のリヤゲートを開け、着替えながら改めて思いましたが、「あっぱれ!富士登山」をはじめ各サイトの情報が無ければ、この悪条件ではとても成功しなかっただろうと感謝の気持ちで一杯でした。富士山スカイラインを下り、富士宮市の「天母の湯」に立ち寄り登山の汗を流し、東名高速の富士川サービスエリアで昼食と仮眠をとり、午後4時30分自宅に到着しました。
 
最後に
 悪天候で見える範囲は限られていましたが、色々な意味でやはり「日本一の山」でした。実際登山に行って見ると、気象条件や昼夜を問わず多くの登山者いますし、登山道も整備されています。また、気軽に登れるわりには、岩が崩落しそうな危険なところが沢山有りますし、高山病になって辛そうな方もいました。
 私は、全く初めてでも富士登山は成功しましたが、最低限の知識・ルール・装備・マナーなど多くの大切な情報を得た御陰だと思います。
これから毎年1回は、富士山に登り経験を積みたいと思います。ありがとうございました。
 
追 伸
  8月25日(月)〜26(火)に河口湖口より登頂に成功しました。
ご来光、お鉢巡り、景色も最高でした。富士宮口より下りがキツイです。


  (管理人)
 数年前には夏期だけ山頂ライブカメラが設置されたことがあります。また復活してほしいですね。悪天候なのに4時間台で登頂とは健脚ですね。


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(03/9/8)