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 みんなの登山記03−3 富士宮口
 投稿者:H.Sさん
 
■2003年7月26日(土)〜27日(日) 富士宮口

はじめに

 2週間前から友人からお誘いがあり、梅雨が開けるのを考慮しながらスケジュールを考えたが、ツアーも山小屋も満杯ということで、残された御来光拝観(徹夜)にて登る事に決定をした。土曜日の朝に、福島から友人が単独で私の居る横浜まで車で移動、天気予報を確認後、まずは予定通り須走口に向かい天候を探ることにした。
 9時過ぎに須走口に到着、駐車場はそれなりに車が止まっているが所々空きがある状態。車を止めて外に出ると合羽が必要なぐらいの小雨、登山道入り口に向かうと丁度山小屋が閉まる所、今ごろ下山する人もちらほら居ました。
 車に戻り2人で検討をする、「標高が高い富士宮口に行って天候を見よう。」と車で移動、途中土砂降りの雨になり、中止の気配が濃厚になった。
富士宮口に10時過ぎに到着、駐車場は5分の1が埋まっているような状況、路肩駐車はまだ無かった。天候は小雨になりつつも止む事は無く、様子を見ていると11時になると雲の切れ間から時より星空が見えてきたので、登頂を開始する事にした。

装備

 装備は、ザック、トレッキングシューズ(ゴアテック)、水2L、代えのTシャツ、ズボン下に履く薄い運動ズボン、フリース、合羽上下(3千程度)、食料(オニギリ2コ、ドライフルーツ、クッキー、板チョコ)、LEDランタン、LEDライトといった所、キャットアイのLEDライト(自転車用)はザックの肩の部分にガムテープで止めると非常に広範囲を照らしてくれます。これとLEDランタンでかなり明るく広い視界で登る事が出来ました。お勧めです♪

 

新5合目〜新七合目

 霧雨が降る中を登りだすとすぐに新六合目に到着、晴れたり霧雨になったりの天候、暑いので思い切って合羽を脱いで7合目を目指す。      
 しかしすぐに霧雨で服が濡れてしまった。天候がはっきり回復するまでは合羽を脱がないほうが良かったと後悔。すぐに合羽を着て登り始める。7合目までは急な斜面は少ないが、岩場よりも砂の様な斜面に、足が滑って登るのに体力を使った。混み具合は、渋滞もなく、たまに歩くペースが遅い人が居るぐらいで、大きな集団を先に行かせると静かになるくらい。
 7合目が近づくに連れて、友人に遅れが見えてきた。自分のペースを保ちつつ、途中で友人を待つ事を繰り返す。
 気温はこの辺りでもまだ寒くは無く丁度いいといった感じでした。

 
  (ヘッドライトが綺麗でした♪)

新七合目〜七合目

 さすがに新7合目を超えると、若干人が多くなってきているのを感じました。7合目は砂の斜面が非常に多く、足が滑って登るのにさらに体力を使った。新7合目から7合目までは感覚的に近いのでは、と思いがちだが結構時間がかかった。上を見上げると7合目の小屋の明かりが見えるのだが、登っても登ってもなかなか近くになってくれない。この辺りで、すでに疲れてぐったりして休んでる人や高山病でふらふらしながら登る人などがちらほら見られた。自分も高山病にならないか心配だったがその気配は感じられなかった。どちらかと言うと眠気が完全に抜けないのか、暗さの為か、たまに足元がおぼつかない瞬間があったりしたのが気になった。
 友人も明らかにペースが落ちて来ている、こちらに気を使わせないように先に進んで待つパターンで登る。
 七合目に到着すると人でかなりの賑わい、ここでやっと500mlの水が無くなった、2Lのペットボトルから、ボトルに水を補給する。
 ここでオニギリ2個を頬張った。

七合目〜八合目

 
登りはこの辺で疲労が前進に現れる事と、七合目〜八合目までは岩場が連続していて最も疲れを感じた。この辺りになると体力の差が歴然とする為、早い人に付いて登ると体力を消耗しやすい。
 両手で這うように登ったりするぐらい急な斜面もあり、それが連続したりすると結構息が上がった。ちょっと無理にペースを上げるとすぐに息が上がるのが解る。友人もよりペースを落とし始めた。
 中には、息を「は〜ァ、は〜ァ、ゼぇゼぇ」と本当に辛そうに登ってくる老人もいた。念の為、休憩を多めに入れて足をマッサージしながら八合目に到着した。
 さすがに八合目になると人が沢山いて、休憩する場所を探すのが大変なぐらい、少し休憩をして友人に体調を聞くと、ここで断念するとの事、後で聞いた話だが、「呼吸が苦しい」といういわゆる高山病の症状が出ていた。
 自分はと言うと、かなり温存して登ってきた為か、普段から自転車で峠道をトレーニングしている為か、すこぶる調子が良かった。山小屋に泊まるという友人に別れを告げてここから一人で山頂を目指す事にした。
 この時点で確か2時半ぐらい、さすがにここまで来ると気温が低く、濡れたシャツを脱いで、Tシャツの上に長袖フリース、その上に合羽を着て、下はズボンの下にもう一枚薄いズボンを履いた。

八合目〜九合目

 
所々、ペースの遅い人で渋滞が出来ていたが、まあまあのペースで登れた。七合目〜八合目の登りに比べるとかなり楽なので、ついペースを上げたくなるが、今後のことも考えて周りのペースに合わせて登った。
 天候はすっかり回復して綺麗な星空が上空を多い、時よりそれに気がついた登山者が歓声を上げているのが見られた。
 九合目も小屋の明りが山の上に見える。人も多くなってきたのでヘッドライトの列でどのくらいで九合目か解る。
 2度ほど休憩をして九合目に到着。人が多く休憩をしている場所も無かったので、写真を撮ってすぐにまた登り始めた。

九合目〜九合五勺

 
この辺になると、渋滞が当たり前になってきた。しかし完全に止まってしまうほどでもない。休憩をしていると少し寒さを感じるぐらいに気温が下がっているが、予想していたよりも寒くは無かった。
 渋滞が始まるとさすがにイライラ感が漂うが、そこは登山なのでぐっと抑えてのんびりと登る。渋滞のおかげというか、この辺になると自分のペース以下になるのであまり疲労する事は無かった。
 高度が高くなった為か、疲労が蓄積してるからか、休憩している人も、立ったまま同じ姿勢で止まってる人(?)、しゃがみ込んで泣いている女の子、完全に横になって眠っている人、さまざまな人が見られた。
 
九合五勺に到着、凄い人だ!!これはもしかして・・・・

   

九合五勺〜頂上

 すぐに登山道を登り始めるといきなり渋滞でSTOP、もはや牛歩戦術の様に歩いてはしばらく止まるといったペース、さすがにご来光を目前にこのペースでは、と焦りを感じたがもうどうすることも出来ない。
 中には、無理に抜こうと列を抜けて駆けて行く人もいた。しかし、それでも明らかに一人しか通れない幅の所で止まってしまっていた。
 

 渋滞を見ながら良く考えると、それほどご来光にこだわる必要は無い、と登る前に考えていた事を思い出した。しかし眼下に広がる雲海が段々見えてくると、見たいという気持ちが強くなった。だが、ここの斜面からは丁度山裾に隠れて太陽が見ることが出来ない。河口湖口、須走口側の方だと見れたと思うと残念だ。

 山頂まで後少しというところで、日の出の為ライトが要らなくなった。やっと回りの景色が見えてくると、今自分がこんな所にいるのかというのが解ってくる。やっと山頂までたどり着いた、しかしここからはまだ太陽は見ることが出来ない、少し東側の斜面を登らないと見えないのだが、岩場の端のほうからかろうじて太陽が見える。眼下に広がる雲海を見ながら、「登ってしまった♪」と一人喜びに浸っていた。


 (岩場の端によって何とか太陽を写す)


  (眼下に広がる雲海は凄く綺麗だった)

しばらくご来光を満喫した後、頂上を眺めると多くの人でごった返していた。
よく見ると測候所があったがかなり登りそうな場所にあるのでPASS
お土産にも興味が無いしお腹も空いてないのでお店は見ないでPASS
とりあえず火口を見てみることに、予想以上に火口がでかい!!しかも反対側に居る人が米粒みたいに見えた。一周1時間はかかるのは解る。
お鉢巡りも考えたが、一人では寂しいので止めて早々に下る事にした。

 

頂上〜8合目

 すぐに登山道を下り始めるといきなり福島の地元の友人にバッタリ!!
余りにも偶然で2人で驚きの声を上げる(笑)
 「1年ぶりぐらいなのになんでこんな所であうのか♪」
下りは予想以上に早い、あっという間に下っていく、しかしここで足に非常に負担が掛かっている事に気がついた。ちょっと早歩きで走ろうものなら、がんがんひざに体重がかかる、疲労が出てきている足にはかなりキツイ。
 まだ登ってくる人も沢山居たので挨拶をしながら下る。
 友人がどうなっているか気になったので少し飛ばしつつ下った。
途中に、登るときは暗くて解らなかった残雪があった。
 


 (一部にかなり多くの雪が残っていた)

8合目友人と合流

 八合目に到着、友人を探すとまだ寝ている様だったので山小屋の人に話をすると、7時まで起こす事は出来ないという。他のお客さんを起こさない為の気遣いだろうか?
 仕方なくイスに座って30分ほど待つことにした。さすがに飛ばして下ってきただけあって足がだるい。ここでふと・・・・・
 3人ぐらいの若い女性が登ってきて8合目に到着、するともう一人が高山病で診察を受けているらしく、なにやら騒々しい。その3人は、イスを大きく占拠するようにザックをおいて荷物の整理を始めた、タバコを取り出して吸い始め景色を見たり、電話をかけたり座る気配が無い・・・・・明らかに5人は座れるスペースを自分たちの荷物で占拠したまま、なんと20分近く荷物を置いたままにしていた。疲れて降りてきた人、登ってきた子供などがその荷物の為、座れないでいるのに全く気にとめない気が付かない。子供が湿った地面に座りこんでいても・・・・
 明らかに自分勝手な行動に注意しようと思ったが、関西弁でしゃべる様に結局注意できなかった(涙)
 しかも、その3人は高山病になった1人を山小屋に置いて上ろうとして、山小屋に断られていた・・・・・なんて人達なんだろう。

 しばらくすると友人が元気に起きてきたので早速下る事にした。

八合目〜七合目

 登りがきつかったから・・・・と思っていたらやっぱりここの下りも岩場が多くキツイ。
足への負担が大きいのがわかる。ここで飛ばすと足を痛めそうなので、ゆっくりのんびり下る事にした。ここでトレッキングシューズがしっかり岩を噛んでくれる。
ゴアテックとは言っても安いトレッキングシューズだったが、その効果は十分にあった。
もしスニーカーなどで下っていたらちょっと滑って足をひねっただけでも下山が困難になる。しかし実際にはスニーカー、しかも室内競技用のソールを履いてる人が居るのには驚く。

七合目〜新五合目

 
山小屋を休憩ポイントにする必要も無いので、自分が休もうと思った場所で休みながら下る、七合目を過ぎると雨がポツポツと振ってきて再び合羽を着た。
 登りが砂で苦労した分、ここは下りは足への負担が少なくて楽だ。
 休息を十分取った友人はスイスイ下っていくが、自分は足の疲労と戦いながら一歩一歩ゆっくりと下った。夜中に登ったので、同じ道でも初めて通るような感覚だった。
 斜面には植えたかのように沢山の植物があって凄く綺麗だった。

 この辺りになると、朝から登ってきた人とすれ違う、多分頂上は目指して居ないと思うがかなりの軽装に驚く、合羽すら持ってないでずぶぬれになってる人、皮のファッション重視のスニーカーの女性も居た。なかには半そで半ズボンで上がってくる2人組みの外人が居たり・・・・
 そうこうしているうちに駐車場が見えてきた。
 駐車場に到着すると2人で無事帰れた喜びの握手をした。

駐車場は・・・

 
雨が降っているので急いで車に戻り着替える、駐車場からはこれから登る人が居て、どうでしたか?なんて会話をした。時計を見るとまだ8時40分、余りにも凝縮された時間を過ごしたので、体ではもうお昼の12時を過ぎているとしか感じられなかったぐらいである。
 温泉に入ろうと車で下ると、昨晩とは違い路上駐車の列が・・・・しかもかなり長い列になっていた。今日のこの雨でこれだけの車という事は、最盛期には一体どうなってしまうのか想像が付かなかった。
 それと、雨の中、夜も昼も誘導をしていた係りの人に感謝です。
 ありがとうございます。


(路上駐車の車が続く)

登って思ったこと

 @高山病
 自分は全く平気であったが、頭痛や呼吸苦しくなるといった症状の人を沢山見かけ、しかもそれは山頂に行けば行くほど状況悪化して居る人が多く居ました。
 立ったまま微動すらしない人を見ていると、見ている方が心配になってしまいます。中には完全に嘔吐している女性もいました。やっぱり無理だと思ったら休憩して、そして回復しなかったらあきらめるというのが大事だと思います。自分の体を守るのは自分ですから。富士山は逃げませんし、また登れますから。

 A靴
 
自分はホーキンズのゴアテックのトレッキングシューズを履いて登りました。安売りで3980円ですが、靴擦れも無く、滑って転ぶ事も無く非常に楽に登れました。靴はちゃんとしたトレッキングシューズを履いていった方が良いと思います。ケチるところじゃないと思います。岩場、ガレ場では差が大きく出ます。
 なかには、室内運動用のスニーカー(ソールがまっ平)など、1時間も濡れた岩場を歩いたらどうなるか解らないです。しかも子供になると大部分が汎用品のスニーカーでした。

 B合羽
雨が降らなくても、2980円の安物でも、在るだけで全然違います。
自分は2980円の合羽を着て登りましたが、防寒、防水供に大変役に立ちます。ちょっと登るだけと考えてる人にこそ持ってもらいたいです。スブ濡れで子供を登らせている親が結構いました。


 C水
2L持っていきましたが、結局1Lも飲みませんでした。
この辺は天候、スケジュールに寄りますので各自の判断になると思います。

 D徹夜登山
自分は普段、自転車、ランニングで少しはトレーニングをしていて体力があった為か、初登頂でも難なくこなせましたが、一泊で登った方がゆっくり登れて楽しいと思います。
 徹夜での登山は自分との戦いみたいになってしまいますから(

 私は結構好きですが・・・・・


(管理人)
 そのままご自分のHPに掲載できるほどに、きれいにHTML化したファイルを送っていただきました。



 


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(03/7/31)