■2003年7月23(水)〜24日(木) 須走口
《一度も登らぬバカに2日続けて登る大アホ》
【はじめに】
昨年は10年越しで念願の登頂を果たし、一シーズンで2度挑戦するなど、すっかり富士山の魅力に取りつかれた1年でした。そして、このホームページに登山記を掲載していただき、更には6月に発刊された『るるぶ』にも登山記が掲載され、ますます富士登山への意気込みが湧き上がってきている私です。
そこで、今年の計画。昨年同様、単独、複数でそれぞれ1回ずつ登る計画は変わらず。登山道は、落ち着いて登れるし大陽館に泊まりたいという理由で、須走口は候補から外せません。
昨年一緒に登った友人と共通する今年の大きな目標は、『頂上からご来光を見る!』です。 しかし、須走口から登ると、8合目から河口湖口の登山者と合流し、大渋滞に巻き込まれて頂上に到達できない恐れがあったので、確実に頂上でのご来光に間に合わせるためには、空いている登山道を選ぶ必要があります。かと言って初めての登山道を夜間に登るのは、先が見えないため時間の計算ができないなど、いろんなデメリットがあるので、友人と登る前に一度下見をしておく必要がありました。そして決定した計画が「まず須走口から大陽館泊で登頂し、その翌日に、友人と登る際の下見を兼ねて富士宮口から御殿場口を経由し登頂する」という自分でも”本当にやる気か?”と思うものです。
日程は当初、7月16日〜18日を予定していました。しかし、週間天気予報で登山予定日が雨天続きと発表されていたので、7月13日に予定を1週間遅らせ、7月23〜25日に延期する決定をしました。日程を変更したのはいいのですが、いざ週が明けてみると日本列島に停滞していた梅雨前線が太平洋上に南下し、当初の予定日が晴天続きになったのでした。そして、
変更後の日程の週間天気予報が梅雨前線の北上に伴い、日を追うごとに雨天続きに変わっていく・・・。もう悔しいのなんの。けど、これ以上日程は遅らせられないので、新調したレインスーツの効果を試すんだと自分に言い聞かせ、その日の天気と同じもやもやした気分の中、7月22日22:40に三重県の自宅を出発しました。
【登山前】
自宅を出発してから7時間50分後の7月23日6:30に須走口5合目着。駐車場は空いて
います。特に3駐車場は山小屋関係者の車がほとんどで、登山者のものと思われる車は数台でした。天気は曇り。それでも7合目あたりまでは見ることができました。1度の給油と朝食の買付以外は休憩せずに車を運転していたので、到着の安心感と同時に疲れがどっと表れて、朝食後まもなく深い眠りにつきました。睡眠不足は高山病の元です。睡眠は十分にとりましょう。
【登山開始】
10:30に起き、じっくりと時間をかけて登山準備。忘れ物の無いことを確認し、11:45に5合目発。その頃は山全体が雲に覆われ、今にも雨が降り出しそうな状態でした。いつ雨に降られてもいいように、最初からザックカバーを付け、レインスーツを着て出発しました。私以外の登山者は、50代と思われる男性3人組のみ。須走口からの登山は4回目(全て平日)ですが、いつも少ないですね。それだけ落ち着いて登れるから、私は須走口が好きです。一昨年、高山病でとても辛い目に遭っているので、意識的にペースを落として歩き続けました。そうしているうちに、2組のカップルに追い越されました。2組ともかなりペースが速く、しかも軽装。よほど自信があるのか、逆に登山を甘く見ているのか・・・。その結果は後で知ることになります。
13:00 本5合目 林館着。須走口4回目にして、初めて営業していました。営業していない状態しか見たことが無かったので、何だか得した気分。先行したカップルのうちの1組が休憩
していました。この頃からポツポツと雨が降り始めましたが、このカップルは雨具を持っていないようです。お店の方の勧めで小屋内で雨をしのいでいました。どうやら先ほどの疑問の答えは後者のようですね。ここで着ていた長袖シャツを脱いで、Tシャツにレインスーツで登山再開。林館の方たちは、とても気さくでいい感じでした。
13:55 6合目 瀬戸館着。雨は本5合目を出て間もなく止んでいましたが、また少し降り始めました。瀬戸館の少し手前で、もう1組のカップルを追い抜きました。私のペースはゆっくりなのですが、休憩は立ち止まって水を飲む程度で、ザックを下ろしての大休憩は、着替えを出し入れする時以外は1回だけです。長い休憩は、登山再開直後が辛いです。
今回は、各山小屋の写真を撮りながら登ることにしていました。瀬戸館も写真に収めようと思ったら、看板のそばに「看板料 50円〜」の文字が。残念ながら、これで須走口の山小屋の写真が揃うことはなくなりました。
14:50 7合目 大陽館着&宿泊。約11ヶ月ぶりの大陽館です。山小屋の前に売店ができるなど、いろいろリニューアルされていました。雨は大陽館到着の30分ほど前から、かなり強くなっていました。風も出始めています。去年2回目の修行登山を思い出しました。山小屋のストーブでTシャツの汗を乾かしていたら、小屋の前に先ほどのカップルが到着。雨具を手に入れていましたが、コンビニで500円程度で手に入るような、とても山登りには向いていない代物。雨と寒さでかなり辛いようです。しばらく軒先で休憩した後、上を目指して歩いて行きました。
その後どうなったのかはわかりません。
汗が乾いて落ち着いてからは、ひたすら爆睡。食事でご飯と豚汁を3杯ずつおかわりして、
また爆睡。明日に備えます。夕方6:00頃から風雨が強くなり、特に雨は叩きつけるような土砂降りで、明日登頂できるかどうか心配になると同時に、日程を遅らせたことを改めて悔しく思いました。
余談ですが、大陽館の奥さんが、去年の会話(三重県のとある地方のこと)を覚えてくれて
いました。とても嬉しかったです。
翌日、ご来光が4:50ということで、4:30頃から
山小屋前で待機。雨は奇跡的に止んでいて、雲の
間から山中湖も見ることができました。しかし、時間を追うごとに雲が増えてきて、肝心の太陽は知らない間に出ていました。
雲の右下に白く小さく見えるのは、5合目の駐車場
です。
7:00 大陽館発。雨は降っていませんが、風が強い。頂上は見えません。頂上の天気に期待せず登山再開。大陽館の前で一人の登山者が休憩していました。聞けば明け方に5合目を出発したとか。これって結構速いペース?
7:30 本7合目 見晴館着。非常に風が強くて立ち止まると寒いので、水分補給のために数分滞在しただけです。私以外に登山者は誰もいません。
7:50 8合目 江戸屋着。山小屋の前でバイトのお兄ちゃんたちがしゃべっていたので、ふと思い立ったように焼印を押してもらいました。風は少し弱くなりましたが、相変わらず私以外の登山者はいません。
8:10 本8合目 胸突江戸屋着。河口湖口登山道と合流し、登山者が増えてきました。それでも、天候のせいか昨年に比べるとずっと少ないです。同じ理由で、下山者も少なかったです。ご来光目的のツアー客は、昨晩の段階で登頂を断念せざるを得なかったのでしょうか。
8:25 8合5勺 御来光館着。前日のことを思うとかなりペースが速いものの、疲れや息切れはありません。限りなく平地に近い体調です。この先9合目の山小屋跡で、大陽館を私より40分ほど早く出発した東京の若者5人組に追いつきました。彼らは初めての富士登山だそうです。ペースはゆっくりですが、高山病にもならず楽しく登っているようでした。
9:05 山頂着。7合目を出発して約2時間。こんなに早く着けるとは思いませんでした。周りは霧で何も見えません。視界は10m程度です。霧が晴れることを期待し、頂上の山小屋で少し休憩。10分ほどして、東京の5人組もやってきました。初挑戦で体調を崩さず全員が登頂できるなんて、いい記念になるのではないでしょうか。
しばらく様子を見ていましたが一向に霧が晴れそうな気配が無いので、足跡を頼りにお鉢巡りを敢行。何も見えない、何も聞こえない状況でしかも1人。不安のあまり途中で引き返そうと思っていたら、前から人が。聞いてみると「(お鉢を)回れるよ」と言うので、安心してお鉢巡りを続けました。
10:10 剣が峰着。霧で周囲が見えないうえ、周りには誰もいません。とりあえず記念写真を、セルフタイマーを使って撮影しました。
せっかく山頂まで来たのに、周りが何も見えない
んじゃ面白くない。明日もう一度来る予定とは言え、このまま下山するのも釈然としない。そんな気持ちで15分ほど誰もいない剣が峰で過ごしました。
他の登山者が数名やってきてしばらく経った頃、
先ほどまでの霧がウソのように晴れてきました。
待った甲斐があった!!それからは写真を撮りまくり
です。結局、剣が峰で1時間近く滞在していました。
その間、大陽館を出発するときに休憩していた方と
偶然顔を合わせ、しばらく山の話をしていました。
この方は山口県から来られていて、いろんな山に登っているそうです。私は富士山以外の山にはほとんど登ったことがないので、聞く話の全てが未知の世界で、とても興味深かったです。
富士宮口の頂上では、東京の5人組に会いました。とても礼儀正しく活発な若者たちでした。
こんな書き方をすると、よっぽど私が年上なような?年の差は10歳以内だと思うけど。
【下山開始】
12:00 下山開始。山頂での滞在時間は約3時間。お気楽な一人旅だからできるこの余裕。下山は翌日のことを考えてスローペース。そのため、去年は大陽館まで40分で下りましたが、今年は1時間かかりました。大陽館でコーヒーを飲みながら休憩していると、山口県の方が来られました。ここでは30分以上休憩していたと思います。この付近で「救護班」と書かれた帽子をかぶった一団と遭遇。この人たちは、明日(25日)に開催される富士登山競争のスタッフ?
先に出発した山口県の方を追うように、私も10分ほど遅れて出発。砂走りはゆっくり歩くと
かえって足に負担がかかるような気がしたので、一気に駆け下りました。標高2300mあたりで山口県の方と合流しました。その後、砂払い5合からの下りをどうするか相談。樹林帯を下るのは結構しんどいだろうということで、ブル道を下りることにしました。砂払い5合のおばちゃん
の「そっちは下山道じゃないよ」という声を背に、少し後ろ髪を引かれる思いをしながらブル道を
下山。いや〜、ここは楽だ。急な斜面があり、少しつま先に響きましたが、樹林帯を抜けることを
思えば足への負担は全然違います。駐車場まで最短距離で行けるし、一石二鳥でした。ただ、
ここはあくまでブル道なので、広く一般にお薦めしていいのかどうかはわかりません。
14:40 5合目着。大陽館で長い休憩をしていたわりには早く着きました。砂払い5合の手前から一緒に下山していた山口県の方も、15時のバスに間に合ったようです。「今回の登山の様子をホームページに投稿する」と話したのですが、見てくださっているでしょうか。
15:30 着替えやお土産の購入を済ませ、宿へ。5合目の売店で電通富士登山のご一行と鉢合わせになりました。ずいぶん軽いノリで軽装の人たちが多かった気がしますが、大丈夫だったのでしょうか。7合目付近で見かけた一団は、この一行の救護班でした。
【終わりに】
翌日に備えて余力を残していたつもりでしたが、少し疲れました。宿の近くのお店でチョコレートなどの嗜好品を購入し、早めに就寝。翌日の天気予報は確か雨だったような気がします。
もし朝起きて雨が降っていれば、2日連続の計画は中止しようかなと考えながら爆睡zzz
つづく
(管理人)
確かに砂払五合目からは樹林帯の下山道を通るよりブルドーザー道を通る方が、段差がないので、はるかに楽なんですよね。でも、正規の道じゃないから広く告知するわけにもいかないなあと思っていたら、後悔しない富士登山さんが堂々と紹介しちゃいました。私も(本音では)従来の樹林帯の下山道は下りづらいし、自然破壊を助長するので、ブル道を正規の下山道にすればいいのにとは思っています。
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