■2005年9月10日(土)
山梨県 男 T.K 38歳 9月10日(土)登山決行
河口湖口より単独日帰り登山
同じ山梨県に住み毎日のように見ている富士山であり、一度は頂上までという気持ちはあったが、なかなかふん切りがつかないまま30代もそろそろ終わりを迎えようという今年ついに一大決心をし、家族や友人に登頂宣言をし、道具を買い揃え、着々と準備を進めた。
登山を決めてから毎日のようにこのHPを見てイメージトレーニングをしてきた。職場ではどんな場合も必ず階段を使い、週に1〜2回プールの通い。しかし、当初予定していた日程は様々な都合により延び延びとなり、結局9月の登山となってしまった。高い山への本格的登山はこれが初めて。しかも単独ということもあってできれば8月の登山シーズンにと思っていたのだが・・・。(-_-;) HPの体験談の中でも9月登山の話題があまり載っていなかったこともあって期待以上に不安が大きい中での出発となった。
2005年9月10日(土)、今回は河口湖口からの日帰り登頂を目指す。富士スバルラインの規制は解除され、AM3:00には通れるということなのでそれにあわせてぐっすり眠る家族を残し家を出発。睡眠時間は3時間程しかとれなかったが割とすっきりした気分でまずは5合目を目指す。まだ真っ暗闇のスバルラインはどこか神秘的で冒険気分を充分に味わうことができた。往復2000円なり!
AM4:00に5合目到着。9月とはいえ週末ということもあってかすでに駐車場には何台か車がいて少しだけ安心。おそらくほとんどが登山客であろう。防寒の面が心配であったが明け方が近いというのにあまり寒さを感じず拍子抜けした。せっかくだから6合目以上でご来光を拝みたいと思い、軽く体操をしたあとまだ薄暗い中を歩き始めた。
途中、ご来光を待つ何組かには会ったが登山者らしき人は前にも後ろにも確認できず、暗がりの初登山でまたしても不安がよぎる。しかし6合目に着く頃にはだいぶ明るくなり前を行く登山者がちらほらと見え始めやっと安心して登山に集中できるようになってきた。そしてご来光の瞬間。風もなく寒さもない絶好の天気。下に見える雲海がオレンジ色に染まっていく中、太陽が顔を出した時は本当に来て良かった!と感じつつ、いつかは頂上で見たいとも思った。しかしこの絶好の天気はのちのち私の体力を奪い、ひりひりの日焼けを残すもとになるのであった。
7合目までは実に快調であったが、途中から始まった岩場あたりから、やはり日本一の山は甘くないということを実感させられるのであった。岩場の段差ときつくなる傾斜に加えて、容赦なく照りつける太陽は、最初のやる気、元気を体力とともにどんどん奪っていく。初登山ということもあり用心のため荷物が少し多かったことも今になってみると反省すべき点であった。途中ぽつりぽつりと山小屋が開いており、トイレに困ることはなかった。あいているトイレにはできるだけ寄るようにしたが、どこも予想以上にきれいで嬉しかった。山小屋はなんとなく入りづらいのでトイレの中がとても落ち着く場所であった。
長く休んでしまうともう二度と歩き出せなくなるような気がして、短い休みを数多くとるように心がけながら進んでいった。上を見るとその距離に愕然となるので、なるべく足下だけを見て進んだ。まわりの景色を見たり写真を撮る余裕も少しだけあったがこれまで歩いたどんな場所よりも苦しくきつかった。携帯酸素は持って行ったが心配していた高山病には全くかかることはなく、本当にゆっくりではあるが少しずつ少しずつ進んでいった。
いよいよ頂上手前の胸突き八丁。既に息はあがり足は思うように上がらない。若者が次々に追いついてくるので道を開けながら「あと10年若かったら・・・」などと余計なことを考える。上半身裸の外人青年にこされたが思わず「寒くないの」と聞くと、逆に「アソコガチョウジョウデスカ」と質問され、「メイビー」と答えたが通じただろうか。
AM11:00ついに登頂。人目をはばかりながらも小さく拳をあげてガッツポーズをした。(^_^)/~ 5合目スタートから6時間半、平均7時間と聞いていたが、それをきることができたことも嬉しかった。頂上では持ってきたおにぎりを2つたいらげ、遠慮がちに飲んできた水を思い切り飲んだ。風は少し強かったが太陽のおかげでほとんど寒さは感じなかった。頂上は山小屋も神社もすべて閉まっていたが、その分この場所が俗世間から遠く離れた場所であり、天候や体調、スケジュールの調整等様々な条件がクリアできて初めて来ることができる場所であることを余計に感じさせてくれたのであった。さすがにこの感激を誰かに伝えたくて携帯電話で妻に報告。この天界でも電波は届くのであった。ちなみに私の携帯はNTTドコモです。
とにかく無事登頂できたことに大満足。(^_^)お鉢巡りをする体力は下山にまわすことにした。下山がかなり大変であることをこのHPを通じて感じていたので・・・。
PM12:00下山を開始。すでに足がガクガクな上にきてのあの下山道は本当にまいった。あれならまだ登り坂の方が足への負担は少ないだろう。決して大袈裟ではなく100回以上転びそうになり、3回尻もちをついた。使わないかもしれないと思いつつ念のためストックを買ってきたが、もしストックがなかったらどうなっていたかと思う。トレッキングシューズも買っておいて大正解!!本当につらい下り坂であった。あの下りがあると思うともう2度と河口湖口からの富士登山はないだろう。絶対ない!!
最後の坂をノンストップで上りながら、これから出発という大きな団体と3組ほどすれ違う。みんな期待感と不安感の入り交じった顔をしていて、朝の自分を見ているようだった。
そしてついに5合目駐車場へ。PM2:30生還!5合目は観光客でごった返していた。とりあえず車の陰で着替えをし、ふらつく足でトイレへ行き顔を洗い、水分をとった。ふとなにか登頂の記念になるものが欲しくなり富士山の絵があるメダルに名前と日付がはいるものを1000円程度で購入し帰途につく。
終わりに・・・
1人だと自分のペースで動けるという利点がありますが、励まし合ったり助け合ったり登頂を喜びあったりする仲間もいていいかなとも感じました。もっとゆっくりペースなら楽な登山になったかもしれませんが、とにかく中途半端な気持ちでは登れない山だと思います。「登らない馬鹿、2度登る馬鹿」という言葉がありますが、登ってみてはじめてこの言葉の意味を実感しております。でも、違うルートだったら2度登る馬鹿になってもいいかも・・・。
(管理人)
雨の登山はもちろんつらいですが、天気が良すぎてもどんどん発汗して体力を奪うので登山がきつくなりますね。でも、絶景を満喫できたのはなによりでした。
|