■2007年8月11日(土) 御殿場口
御殿場口から日帰り
横浜市在住、49歳男性です。今回が6度目の富士登山。主要4ルートのうち、御殿場口の登りだけ経験していません。このところ運動不足で体力低下を痛感しているのですが、思い切って日帰りで挑戦してきました。単調な登りの無聊を慰めるため、わが愛機の
プロトレック君(腕時計です)を使って、高さ100mごとのスプリットタイムを計ってみました。
新5合目に着いたのは、夜中の零時半。駐車場は半分も埋まっていません。ほかの3ルートではマイカー規制が始まった当日だというのに、さすがの不人気ルートです。そのまま仮眠。5時ごろに目覚めると、空は雲ひとつないドピーカンで、めでたくご来光を拝むことができました。振り返ると、山頂まで延々と続く登山道。あんな遠くまで本当に歩けるの? ため息が出てきます。
コンビニのサンドイッチを食べ、4リットル用意した水(2リットルのアクエリアスとポカリスエット)を2口飲み、おっと日焼け止めを忘れてはいけない。SPF50を顔にたっぷり塗りました。プロトレック君の高度表示を1440mにセットして0530に出発。大石茶屋ではお姉さんにソイジョイの試供品をもらいました。最初の1時間は砂礫の道でも傾斜はゆるく、ゆうゆう400mの高度を稼いで楽勝気分。
しかし、次郎坊を過ぎて本格的なジグザグ道に入ると砂礫が深くなり、足が動かなくなりました。次の1時間では300mしか登れません。その次の1時間も同じ。なにしろ暑い。このあたりでは何人かに追い抜かれ、何人かを追い越すといったペースです。追い越した人たちに尋ねると、みんな初めての富士登山とのこと。結果的に彼ら彼女らは山頂にたどりつけずリタイヤした模様です。いきなりの御殿場口日帰りは難しいみたいですね。
須走口5合目に相当する2000mには0710、河口湖口5合目に相当する2300mには0819、富士宮口5合目に相当する2400mには0845到着。改めて御殿場口の過酷さが身にしみます。富士宮口からの登山だと、3時間分以上の体力が温存されることになります。これはとてつもなく大きいですね。休み休み歩いて日の出館にたどり着いたのは1102。ちょうど2リットルの水を1本飲み干しました。
日の出館の標高は山小屋には3100m、「あっぱれ!富士登山」には3040mと表示されています。あれれ?わがプロトレック君は2930mと控えめ。どうやら100mほどの狂いが生じているようです。よたよた歩いて赤岩八合館には1225到着。そこからさらにペースダウンして、頂上(3720m)に着いたのは出発から約9時間後の1428でした。疲弊しました…。プロトレック君の表示は3570mで、狂いは150mに広がったようです。
山頂は暖かく微風(後で調べると12℃でした)。コンビニのおにぎり弁当を食べ、銀明水わきのベンチで背を伸ばしてしばしうたた寝。つらかった登りに耐えた自分をほめながら、しばし至福の時を過ごします。そこへ「スミマセン、写真撮っていただけますか」と外国人の流暢な日本語。目を開けると、栗色のあごひげを蓄えた穏やかな物腰の男性がカメラを持っています。快諾して火口前でパシャリ。私も銀明水をバックに撮ってもらいました。
知的な雰囲気をただよわせているので、「大学の先生ですか」と尋ねると「翻訳家です」。フランス人でした。「アラレちゃんの翻訳ですか」「もっとマジメなの」「じゃ、村上春樹」「いえ、企業概要とか新製品とか」。ビジネス翻訳を手掛けている方でした。去年は須走口から登ったものの、同行者が体調を崩して途中で断念。今回は御殿場駅から朝イチの登山バスで新5合目まで来て、そのまま6時間で初登頂を果たしたという健脚でした。
吉田口から下りるという彼と別れ(名前はお互いに聞きませんでした)、1515下山開始。すぐに「あっぱれ!富士登山」に寄稿するよう頼めばよかった、と後悔しました。100本以上の登山記が集まる当サイトですが、外国人のはまだありませんよね。彼なら可能だったのに。気を取り直して早足で下り、日の出館まではたったの1時間。スパッツ装着で手間取りましたが、大砂走りを駆け下りて1743に大石茶屋に到着しました。
結局、登りの所要時間は9時間、下りは2時間半でした。河口湖口でも須走口でも下りは2時間ちょっと。自分は下りに強いタイプなんでしょうか(でも丹沢・大倉の馬鹿尾根の下りにはしっかり3時間かかります)。水は最後に300ccぐらい残ったので3.7リットルを消費。トイレは登山前の駐車場と、下山時の日の出館わきのバイオトイレの2回でした。あ、ソイジョイは登りの2300mでいただき、栄養補給になりました。
★タイムスケジュール
新5合目0530→0540大石茶屋→0650次郎坊→1102日の出館1110→1129砂走館1131→1225赤岩八合館1230→1428頂上1515→1554赤岩八合館→1609砂走館→1615日の出館1641→1711次郎坊→1743大石茶屋1800→1805新5合目
プロトレック君の下山時の表示は日の出館で2940m、大石茶屋で1495m。登山時とそれほど変わりません。途中で突風などは吹かず、終日安定した大気圧でした。身に着けていると気温の変化もあまり関係ないので、高度表示の変動要因は最小限だったと思います。ということは、プロトレック君は1500m上ると100m、2000m以上で150mの狂いを生じるんじゃないか、というのが結論です。
とりあえず、高さ100mごとのスプリットタイムは以下の通り。1600(16)とあるのは、標高1600mの到着または通過の時点で100m下の到着または通過から16分かかったことを意味します。100m単位なら誤差はほとんど無視でき、ペース配分の目安になると思います。
★スプリットタイム
1600(16)、1700(15)、1800(15)、1900(20)、2000(20)、2100(26)、2200(18)、2300(25)、2400(26)、2500(23)、2600(27)、2700(32)、2800(26)、2900(29)、3000(32)、3100(30)、3200(37)、3300(25)、3400(34)、3500(34)
ところで、いろいろ巡回しているうちに、富士山登山者のデータを見つけました。
http://www.sizenken.biodic.go.jp/park/article/fix/1158059591/paper.pdf
これによると、2006年は吉田口54%、富士宮口28%、須走口14%、御殿場口4%という比率になります。2005年は吉田口52%、富士宮口28%、須走口16%、御殿場口4%でしたから、だいたい各年ともこんなものでしょう。吉田口がメーンルートだということがよく分かります。
では、「みんなの登山記」はというと、1999年から07-26までに148本が掲載されています。内訳は吉田口(河口湖口・精進口を合算)49本、富士宮口(須山口を合算)46本、須走口41本、御殿場口12本。比率にして吉田口33%、富士宮口31%、須走口28%、御殿場口8%です。登山者数に比べて吉田口は20ポイントも低く、須走口と御殿場口は2倍になっています。
私見ですが、河口湖口は団体ツアーが多く、自分で登山口を選んだとは言いがたいので、思い入れがやや弱い。須走口と御殿場口はわざわざ長い距離を選んだので、思い入れたっぷり。その差が登山記の比率に反映しているのではないでしょうか。
ちなみに、管理人さんの「私の登山記」は吉田口19%、富士宮口26%、須走口48%、御殿場口8%。須走口大好きということですね^^;
9月10日ごろには今年の登山者数が発表されるでしょう。どんな数字になるか楽しみです。