[登山記の目次に戻る]

 みんなの登山記2007−32
 投稿者:E.Mさん

■2007年8月8日(水)〜9日(木) 村山口

 72歳男性
 富士山登山歴7回
 昨年自宅静岡市から3日に分け富士山に登る。(みんなの登山記 06-23
 村山口(村山古道)に興味を持ち昨秋全コースを探索、今回登山を実行する。

 8月8日 4:30 自宅(静岡市)
      6:00 村山浅間神社 (500m)
      9:00 天照教(1000m)
     10:20 中宮八幡堂(1280m)
     10:40 富士スカイライン(西臼塚駐車場東 1.6km 1350m)
     12:00 富士スカイライン(高鉢駐車場東700m 1600m)
     13:00 笹垢離跡(1860m)
     14:00 中宮祠跡(2150m)
     14:30 宝永山遊歩道(2360m)
     14:50 富士宮口新6合目(2500m)

村山浅間神社の西側駐車場の左に、六道坂と呼ばれる舗装された立派な道が富士山に 向かって 北に伸びている。六道坂を挟んで反対側にも駐車場が有り、其の左奥に富士山村山口 と掘られ た石碑が建っている。石畳が敷かれて其処が村山口のスタート地点でも此の石畳の道 は200m 程で六道坂に戻ってしまう。一旦六道坂に戻り進むと再び富士山登山道石畳道村山口 の案内板 が有り其処を入ると此の道は入り口部分しか石畳は敷かれて居ない。此の道を出た所 に篠坂北 井久保線の四辻が有り正面に道標と案内図が建っている。勿論石畳道を省略して六道 坂を直進 しても良い。

案内図に従い左に農家を見て進むと、整備された檜の植林地帯に入り500mほどで鎖が 張られた 進入禁止の札が下がった場所に出る、左に幅の広い立派な道があるが、此処は進入禁 止を無視し て通らせて貰う。道は未舗装だが大型車も通れる様な立派な道で500mほど進むとまた 正面に鎖 の張られた木材の集積場が有る。昨年は唯の原っぱだった、此処は鎖の張られた左の 土手に沿い 左折する。

此処からは人が一人しか通れない様な細い道で、草が生い茂り踏み跡も定かでない。 左の涸れ 沢に沿って進むと、高圧送電線用の鉄塔が有り電線の下を通り抜けて進む。前方の林 の正面に 紫色のビニールのテープが張られているので、突き当たったら左折して直ぐに今まで 並行して 登って来た涸れ沢の沢底の道に入る。道は苔の付いた露岩で滑り易く歩き難い、所々 に丸木橋 が架かった様に倒木が道を塞いでいるので其の下を潜り抜けて進む。突然枯れ葉と枯 れ枝で出 来た絨毯の様に、フワフワした道になると舗装された林道富士裾野線に出る。

向かい側の道標に従い林の中に入ると直ぐに、平仮名の「し」の字の形をした杉の大 木が有り 其処から右手の溝路に入り進む。道は腰丈程に草が生い茂り其れが露で濡れ下半身が ズブ濡れ になってしまった。草が少なくなり道幅が少し広くなると、溝路から右に上がる道標 が有るの で右に上がる。其処は良く整備された檜の植林地で伐採した木材の搬送の為か車も通 れる様な 立派な道が、交差していて実際に100mほど上を車が通っていた。植林地帯を抜けると 道は細 くになり林道北井久保線に出ると、斜め右向こうに「御殿場市印野財産区所有山林」 と書かれ た標柱が有る。

標柱の左に「印」と白ペンキで書かれた檜の左から登山道に入ると、細い道に板切れ が散乱し ている。何だろう、右斜め方向にも車も通れる様な立派な路が伸びているが、此処は 板切れの 散乱している細い道を直進すると正面にしめ縄の張られた欅の大木が現れる「札打場 跡」と呼 ばれる所で奥に丸太のベンチが2台設置されている。

札打場跡の右奥から溝道に入り溝路、植林地、自然林、と変化に富んだ登山道を登っ て行くと 右方向から上がって来た舗装された林道の終点に出る。左斜めに森の中へ入り道標や マーキン グを頼りに登って行くと、溝路の幅が急に広くなり正面に大きな石のケルンが現れ る。其の右 が「天照教」の庭園で朽ち掛けた丸木橋の様な物の手前で、左の土手を上がり若い植 林地を抜 けると富士山麓線に出る。右斜め向こうに道標と案内図が有り其処を入るのだが、右 に20m ほど行くと天照教正門が有る。

案内図に従い登山道に入ると、此の辺りは富士山麓山の村のオリエンテーリングの常 設コース になっているので、アルファベットと数字が書かれたオリエンテーリング用の標識が 何本も出 て来る。背丈ほどのスズ竹や自然林の間を縫って進むと吉原林道に出る、出口の右手 に「林班 界標210/17」と書かれた標識が有る。

斜め右から登山道に入り溝路を進むと、鋼鉄製の立派な吊り橋が有り其の手前で土手 を左に上 がると吊り橋の向こうにログハウス風の野鳥観測小屋が建っている。吊り橋を右手に 見て正面 の一段高くなった所へ上がると、其処には一面苔で覆われた苔庭の様な風景が展開す る。苔庭 地帯を抜け自然林の中を進むと「富士山麓山の村」の緑陰広場に出る。正面に緑陰広 場の標柱 が有り、中央にベンチが多数設置されている。昨年は広場の右奥にあった白い壊れ掛 けた百葉 箱は撤去されていた。

広場の右奥から登山道に入ると、右手にモダンな建物が二棟見える。富士山麓山の村 の宿泊施 設らしい。溝路の真ん中に30Cと書かれた、オリエンテーリング用の標識の手前に 左右に上 がる立派な路が有るが此処は直進すると左手の小広くなった草むらに馬頭観音が有 り、更に進 むと大渕林道に出る。道標に従い再び林の中に入り登ると、「中宮八幡堂」に達す る。

奥に石の祠と右に由来書が書かれた案内板が有り、右奥の出口にスカイライン迄40 分と書かれ た標識が有ったが実際には20分で行く事が出来た。富士スカイライン(西臼塚駐車 場から東へ 1.6km)へ出ると其処には中宮八幡堂まで30分と書かれた標識があった。

道路の向かい側の道標に従い、登山道に入ると此処からは苔庭の連続で踏み跡も定か でない。 苔を踏まない様にマーキングを頼りに進み、苔庭地帯を抜け出ると自然林地帯にな り、最後に急 な坂を登りきると富士スカイライン(高鉢駐車場から東へ700m)へ出る。

下り車線側の案内図が有る登山道に入ると、2mも有るスズ竹と樅の木が多い林で 所々に大き な倒木が道を塞ぐ様に倒れているがチエンソーで切って通り易く整備されて居る。さ らに進む とハイキングコース(ガラン沢高・高鉢コース)に突き当たるので右折して3mほど 行って今度 は左折する。左が崖になった細い道になり注意して登ると、傾斜の少ない平坦な林に なり右に櫛 のオバケの様な物が有る。此れは積雪測定器だそうだ、此処から上で数個を確認した が全部で何 個有るのだろう。平坦な傾斜も少ない森林浴には最適な道を登って林を抜けると突然 青空が開け 目の前に富士山頂が姿を現わす。

周囲はさながら倒木のジャングルで異様な風景だ(異様などと大袈裟な表現ですが最 初に見た時 は正に其の通りでした、此の区間高鉢〜新6合目は、3回登り復路も数えると今回が 6回目にな るので、最初の時の程の感動は薄れましたが、でも他ではあまり見る事の出来ない風 景である事 に間違い有りません)石像が4体有る平坦な所に出るが「笹垢離跡」と呼ばれる所で 其処の石像 の真ん中を通り抜けると一旦倒木は少なくなるが再び倒木地帯が現れる。今度は地表 一面、白い 花が咲き乱れお花畑の様だった。お花畑を抜けた後は尾根の左斜面を谷に近づきなが ら登って行 くと道標が有る「横渡し」と呼ばれる所で此処の道標も昨年は無く赤いリボンのマー キングだけ が有った。此処で左の谷を渡って反対側の尾根に取り付くと其処にも道標が有る。

此の辺りが全コースで最も分かり難い道で、マーキングを頼りに登ったが迷ってしま い一旦引 き返し再度マーキングを確認してやっと「中宮祠跡」に辿り着いた。おそらく此の春 の大雪崩 で様相が変わったと思われる。中宮祠跡の右奥を廻り込むように登ると、宝永山遊歩 道に突き 当たる。此処で初めて人に出遭った、右に行けば宝永山、左に行けば富士宮口5合目 だが此処 は直進する。周囲の木々の背丈が段々低くなって、下は芝生が伸び過ぎた様な草で覆 われフサ フサして歩き易く快適だ。左手に石垣の残った窪地が有る、此れが村山口の3合目跡 で其処を 過ぎるとハイ松地帯になり其の前方に富士山頂が姿を現すと直ぐに今度は富士宮口新 6合目の 山小屋、雲海荘と宝永山荘が現れる。村山口登山道は此処迄で新6合目以上は富士宮 口と同じ になる。

 8月8日  18:00 富士宮口新6合目
      21:00 8合目
 8月9日  4:00 山頂
      7:00 お鉢巡り
      9:00 御殿場口下山
      10:30 赤岩館
      11:50 宝永山頂と火口の分岐点
      14:00 富士宮口5合目駐車場
(此の行程時間は特殊で参考にはならないと思います)

此処まで約9時間歩いて来た、予定では21時頃まで休憩してその間、昼寝が出来た ら最高と 思いながら山小屋の下のハイ松の木陰に潜り込んで、横になるが眠れないので17時 頃山小屋 のベンチで休んでいると今から登ると言う中年のご夫妻に逢った。話を聞くと山頂で の御来光 に間に合う様に今から超スローペースで登り山小屋には泊まらないとの話だった。其 の手も有 るかと、私も其れを真似て18時に登山を再開する。

此の時間帯に登るのは初めてだが、一味違った風景を見ることが出来た。超スロー ペースで登 り8合目に21時頃着いて休んでいると寒くなった、人一倍寒がりの私が山頂で長時 間御来光 を待機するのは難儀だと思い此処で日が変わる迄待機する事にする。山小屋の軒下で ラジオを 聞きながら横になったり座ったりしながら約5時間を過ごすが、此の時間帯に此処を 通り過ぎ て行った登山者は4〜5組だった。

日が変わり9日の1時を過ぎると途中の山小屋に泊まった人や20時を過ぎてスター トした人 達が増え賑わって来た。私も2時に山頂を目指しスタートする。9合目を過ぎ胸突き 八丁に差 し掛かると今まで経験した事の無い疲労感を感じる、昨年は此れほどでは無かったの に一年で こんなに体力が衰えたかと思ったが良く考えたら、昨年よりは高度差で2000m、歩行 時間で約 9時間余分に歩いて来たのだから疲れるのも当たり前だと思った。

御来光には余裕で間に合ったが、直接見える御殿場側へ行く気力は失せて駒ケ岳で御 来光を拝 む。浅間神社で高齢者記帳(昨年も記帳をしましたが、過日神社から平成18年度に記 帳した人 の名簿が送られて来て、其れを見ると男性の最高齢者は100歳、女性は93歳でした。 世間には 超人が居るものです、登山記が有ったら拝見したいものですね。私の知る93歳の男性 は須走口 を2泊し帰りも1泊して登って来ました。それにしても驚きです、私など其の歳まで 生きられる か疑問です)を済ませた後郵便局の裏で1時間ほど横になって休み、7時にお鉢巡り スタート絶 好の天気に恵まれて、360度何処でも見渡せるので写真を撮りながら2時間で巡 る。

9時御殿場口を下山スタートする、帰りも超スローペースで歩くが相変らず御殿場口 の登山者は 少ない、登山道と下山道の分岐点迄に出遭った登山者は10人足らずだった。ブル ドーザー道と 下山道が交差する地点を少し過ぎた辺りでアクシデントに遭う、歩きながらペットボ トルの水を 飲んでいると誤ってボトルを落としてしまう、落とした場所が悪く砂礫の斜面を10 mほど転が り拾い上げた時には少量しか残って居なかった。

此れだけで水の有り付ける富士宮口新6合目まで持つか熱中症に成らないか心配にな ると、新6 合目が自棄に遠く感じられた。火口底への入り口まで来ると一滴も無くなってしま い、もっと早 く歩こうと焦るが、そうすると余計に体力を消耗し喉が乾く様な気がして普通の速度 で歩く。6 合目の自販機で買って飲んだお茶の何と美味しかった事。水分を補給し一気に5合目 駐車場へ、 でもまだ一仕事残っていた。車を村山浅間神社へ置いて来たので、新富士行き登山バ スを富士宮 市篠坂で降り其処から約3.8km歩いて村山浅間神社へ、更に車で80km走り8月 9日18時無 事帰宅。

私は此れまで60歳までは10年に一回、富士山に登って来ましたが、70歳からは 毎年登り 全登山口を登ろうと計画しています。其の登山記を「あっぱれ富士登山」に投稿出来 ましたら 幸せです。

登山経験の豊富の方は別として、村山口は始めての方は事前に一度探索をお薦めしま す。

ウェブリアルバム に写真が有ります、興味のある方はご覧ください。


(管理人)
 村山古道は2004年に100年ぶりに復興された登山道です。富士宮口新六合目がゴールかと思って読んでいたらそのまま登頂されたので驚きました。



BACK  TOP  NEXT

(07/9/7)