■2008年8月20日(水) 御殿場口
今年2回目の「みんなの登山記」への投稿です。
一般には富士山の登山口は吉田口(河口湖)、富士宮口、須走口、御殿場口の4ルートだと言われ
て居ます 「あっぱれ富士登山」にもその様に紹介されていますが、その他に須山口、精進湖口、
村山口が有ります。私は一昨年から其の7ルートを登ろうと思い現在、富士宮口、村山口、須山口
、須走口、の4ルートを登り、今回は御殿場口を登って来ました。
御殿場口は健脚ルートと言われ日帰り登山は初心者には難しい様ですが、はたして73歳の私に日帰り
登山が出来るか、「あっぱれ富士登山」の御殿場口の紹介では7時間30分となっていますが、私の脚力
は富士宮口を登るのに6時間前後を要し最高は5時間35分です。6時間と言っても休憩も含んでの時間
で富士宮口の場合5合目から山頂まで登るのに腰を下ろしての休憩は皆無8合目で立ったまま10分休憩
するのみ、しかし立ち止まって休憩するのは数え切れないほどで8合目を過ぎると2〜3歩、歩いては
立ち止まり2〜3歩、歩いては立ち止まりの連続で其の累積が1時間いや其れ以上になるかも知れません。
富士宮口が6時間だとすると御殿場口は其の2倍12時間は掛るだろうから夜が明けて明るくなってから
登ったのでは日帰りは到底不可能、それで午前3時をスタート時間と決める。御殿場口の駐車場に3時30分
に到着御殿場口は初めてその上夜なので様子が良く分から無いそこは「あっぱれ富士登山」の御殿場口登山道
の写真を思い出しながら予定より40分遅れたが3時40分登山をスタートする。
写真に有った鳥居を潜り登り始める、この辺りは傾斜も少なく平地を歩く様なものだ、10分ほどで大石茶屋
の正面の階段を上がって右へ回るのか左に行くのか分からない取りあえず左に行くと決め進むとベンチが並ん
でいるこれは写真で見た風景だから此方が正解だと思い左に行くが少し様子がおかしい。周りを見ると双子山
登山道の標識が有ったので20mほど引き返し御殿場口登山道の標識を発見し登り直す。
当夜は半月の月灯りでヘッドライトが無くても良いほど、砂地の道は歩き難いと聞いていたが踏み固められ
た足跡の上を歩くと意外に歩き易いが私の歩幅と合わないので出来るだけ硬い所を歩く、要所要所に標識も有
りロープも張られている、と言っても富士宮口の様に支柱では無く地面に直接這わせて有るが蛍光塗料を塗った
かの様に良く見えるので初めて其れも夜行登山の私でも迷うことは無かった。
黒い砂地の暗く周囲の風景も見えない単調な登りを1時間20分ほど続け双子山と同じ高さまで登ると日の出
も近くなり景色も見える様になる、東の空も赤く染まり始め5時10分完全に太陽が顔をし富士山頂も赤く染
まって見える、5時35分には6合目まで1時間20分と書かれた標識の所まで登り6時18分登山道と下山
道の分岐点まで到達。
此処からが御殿場口の本格的登山と言っても過言では無い、砂漠の様な砂地のジグザグの曲がりを数え切れない
ほどを繰り返す登りが始まる、後で国土地理院の2万5千分の1の地図を見ると大石茶屋から6合目まで左右
60回合計120回の曲がり角があった、最初は曲り角を曲がる度に山頂を眺めるのでのなかなか山頂に近づ
いた感じがし無い、そこで5〜6回曲がっては山頂を眺めると少しは近づいた実感が沸くので以後それを繰り
返し登る。
6合目まで3時間を要した此れが私のペースで順調な登りだ、此処で砂漠の様な砂地の登山道から岩と小石混じ
りの登山道に一変し傾斜も強くなる、後ろを振り返ると今まで私の一人旅だったのが後ろから若い元気な登山者
が追って来て見る見るうちに近づき宝永山と同高度の辺りで追い抜かれる、彼は私が長田尾根を少し過ぎた辺り
を登って居る時にはもう剣ヶ峰まで登り引き返して来た若さには勝てない。
此れまで山頂は雲も無く晴れていたのに7合目に近くなると霧が出たり晴れたりの繰り返しが続くが登るには涼
しく好都合だった「至7合目」の標識が有る所から左から裏に回り込む様に登ると左に大砂走りが見えて其処に
は砂煙りを立てながら下山する人達の列が見えた、9時30分登山道と下山道の分岐点まで登る、此処からは登山
道と下山道が一緒になるので御来光やお鉢巡りを終えた登山者が続々と下山して来て挨拶を交わしながら登る、
10時40分7合5勺砂走館へ到着此処で初めて腰を下ろし20分の休憩。
砂走館からは岩と小石混じりの道をジグザグを繰り返し登るが此の辺りで疲労が強まり、はたして登頂出来るか登頂
出来ても無事下山出来るかの不安が頭を掠めるが、気を取り直し一歩一歩8合目赤岩八合館を目指す、11時35分
赤岩八合館到着。
赤岩八合館から長田尾根まで少し平坦な道が有るので疲れた体には休憩した様な気分になり、その上霧が出て涼しく
なり疲れた体を癒してくれたが此処から最後のジグザグの登りが待ち構えている、砂走館で休憩したので山頂まで
休憩無しで登る予定のところが此処で体のバランスを崩し膝をついてしまう、何時もなら直ぐに立ち上がれるのに
疲労の為か立ち上がれない此処でそのまま10分休憩する。
休憩後登りを再開ジグザグの坂を登り始めると此処にお父さんと登る小学生らしい少女が休んでいた、こんなに幼い
少女が此の過酷な御殿場口を登って来たのかと驚いて話を聞くと、少女は9歳小学4年生だったが此方の方が登り
易いと富士宮口の8合目からトラバースして来たと言う事だった。言われてみれば富士宮口の石の階段をよじ登る様
な道より車が坂道を登る様にジグザグを繰り返して登る此方の方が楽かも知れない。
少女に負けじと最後の力を振り絞りジグザグの坂道を這いずる様に登り14時42分御殿場口の鳥居を潜り山頂へ到着
赤岩八合館から3時間を費やし駐車場からは11時間42分で登頂成功、予定より1時間早かった。
山頂は登山シーズンも終盤で平日の為か登山者は少なく、浅間神社、郵便局、頂上富士館も皆閉まっていた、剣ヶ峰へ登
るには体力的にも時間的にも無理なので此処で昼食を兼ねて70分ほど休憩して16時に下山を開始する。
赤岩八合館、砂走館も休憩無しで通過し大砂走りも快調に下るが此の時間帯に下山する登山者は誰も居ないゴールの
駐車場まで私の一人旅。
順調に下って来たが刻々と薄暗くなり後2km辺りで完全に真っ暗ヘッドライトを付けての下山だが月灯りも有り
地に這わせたロープが良く見えて不安はない、此処で幻想的な体験をするそれは何かゆらゆら揺れる物体が下山道の
両側に点在し或る者は犬か兎の様な形をして其れが私を追いかけて来る様にも見え一瞬疲労から幻覚症状を起こした
のかと疑い其の物体にライトを当てるとオンタデだと判明した、オンタデが月明かりに照らされるとこんなに見える
のかと初めて知った。
下山は山頂から駐車場まで休憩無し、と言っても例のごとく立ち止まっての休憩は数え切れないほどでしたが、
19時35分無事下山、登り11時間、下り3時間35分、合計14時間35分で予定より1時間も早く登頂成功。
写真は下記アルバムに有ります。
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