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 みんなの登山記2009−3
 投稿者:かぶらさん

■2009年7月19日(日)〜20日(月)富士宮口

今回はツアーで富士宮口、フリープラン

こんにちは! 兵庫県在住の かぶら、バスツアー一人参加でついに10回目、です。 今年も宜しくお願いします。

バスツアーの種類が増えてますねー。ついに富士宮口、須走口からのバスツアーも出現! 夜行バスで、朝五合目に着いて、フリーで登り、翌日10時に河口湖口五合目で集合。というコース。富士宮は九合五勺の小屋で仮眠予定なので、夜行登山の時間が少ないのが魅力でこれに決めました。

結果は・・・・・     はなまる付きの大にじゅうまる! 穏やかな天候からスタートして、午後から次第に冷たく強く吹きすさぶ風に、富士の過酷さをあじわい、翌日が不安でしたが仮眠後からは雲ひとつない星空と夜景。頂上であかるいご来光。剣が峰も登れて、例年よりもぐんと残雪の多い火口、など 10回記念にふさわしい印象深いものになりました。 このところ私は 運のいい富士が続いてます。神様ほんとにありがとうっ!

はじめて富士宮口を登ってみた感想は、
●道のりが単調。でものぼりやすい。 河口湖口(今年からは吉田ルートだっけ)の方が登るにつれてバラエティ豊かに変化がある分おもしろいかも。
●道幅が狭いところばかりなので、下山者との行き違いに時間がかかる。ツアー向きではない。
●むかしながらの小屋が静かでいい。夜の照明が少ないので、星空をじっくり眺めていられる。今回泊った九合五勺の胸突山荘の親父さんたちが、それぞれに個性的なオトコマエでかっこいい。客の少ない日だった余裕もあるけれど、人情味のある対応が印象的でした。

リタイヤの許されないツアー
42人ほぼ満員のバスで添乗員さんから、このコースは「富士経験者に限る」という条件付きです。と言われてびっくり。募集の形態がいろいろあるので、私の申し込んだサイトではその言葉はなかったように思いました。でも確かに富士宮から河口湖口へという一方通行のコースでは絶対に頂上まで登らないと進めないので、ある程度の覚悟はしていました。万一タクシーで河口湖口まで走ることや、最悪、自力で帰るために新幹線など乗ることも予想して多めの現金とカードを用意。けがに備えて、掛け捨ての国内旅行保険もかけました。富士が初めての人が半分以上を占める今回のバスで、このコースの持つ怖さを分からないまま申し込んでいる人は多かったのではないでしょうか。 ちょうど富士宮五合目での落石事故、北海道のトムラウシ登山での死亡事故と続いた後なので、添乗員さんも余計に不安があったでしょう。企画や、募集に直接かかわっていない添乗員はどこまで責任を負えるのかなぁと疑問に思います。


落石事故のあった周囲が土嚢で囲まれていました。

朝7:45富士宮五合目に着。レストハウスでの食事の後、各自フリーで登山開始。添乗員さんは10時半まで待って、皆さんの最後からここを出て様子を見ます、との話でした。 私は8:50分登山開始。楽しみにしていた宝永火口へも寄り道して、雄大な赤い斜面を蟻のように人が進んでゆく光景に「富士」を感じました。清掃登山など、大勢の人が行きかう道をゆっくりマイペースで、みんな楽しそうです。ところが、うす曇りで快適だったのが、昼過ぎから次第に荒れてきました。

八合目あたりではかなり大荒れで、下りてくる人に何度も「上部は立っていられない風なので降りたほうがいいですよ」などの声をかけられます。風で飛ばしたタオルやペットボトルの落し物がやたらと多い。けど、拾っている余裕がありません。 途中から同じツアーの男性Kさんと二人になって歩いていたので少し心強くなりましたが、とにかく登らないとしようがないと割り切って、岩陰で風を避けたりしながら何とか進んでゆきました。九合目を過ぎると前後に人もほとんどいなくなって「遭難」の文字が頭の中にちらついたりもしました。この程度の風、富士では珍しくはないのでしょうけどね。4時50分ようやく小屋に着。小屋前のベンチにも人影はなし。中へ入ると渋い親父さんたちが「よくのぼってきたなぁ」と声をかけてくれるのがホッとしてうれしかったです。

クーポン券で受付をすると「あー○○ツアーさんね。添乗員さんから電話があって、ケータイなどで連絡のついた29名はツアー中止になって富士宮口へ下りました。こちらへ着いた人は、そのまま明日予定どうり河口湖口五合目へ向かってください。とのことでした」だって!

えーっ。リタイアじゃなくて中止ぃ?
 私たちふたりともSoftbankで、ずっと圏外!!。
山に残っているのが13人とすると小屋の人の話ではまだあと何人か着いていない。
明日も天候がこれ以上ひどかったらどうしよう・・など不安はつのります。
ストーブのそばに座ってひとやすみ。カレーで夕食になったときに、温かいお茶でKさんと乾杯して無事にここまでたどり着いたことを祝いました。
そのあとにもう一人、同じツアーの一人参加の20代の女の子Mちゃんが到着。ほとんど人の姿のない中をひとりで声出して頑張って登ってきたとか。怖かっただろうねー。明日は3人で一緒に登ろうと約束しました。
暗くなったころにもお母さんが小、中の3人の子供をつれてびしょぬれになって転げこんできました。末の女の子は小屋に着いた安心感から泣き出して、お姉ちゃんがかいがいしく世話を焼いて頼もしい。さすがです。戸の隙間から見える外の様子は相変わらずびゅうびゅう・・・・ 明日はどうなるの
  ああ、なんて不安でドラマティック。

そんな気持ちを抱えてとりあえず寝よう。意識して「はっ、はっ」と強く吐き出す呼吸をします。けっこう眠れたけれど、やはり小屋の夜はつらいです。

がんばった、ご褒美
夜中3時前、トイレに出てたMちゃんが「外すっごいキレイ」と興奮して起こしに来てくれました。「うそっ」と飛び起きあたふたと服を着替えようとすると、・・・・あ、やっぱり今年も起き抜けの吐き気がやってきたっ。でもだいじょうぶ。ちゃんと袋の用意があるので間に会いました。今回も出してしまえばすぐにすっきり。ラッキーです。

しっかり着こんで外に出ると、思わず声が出ました。きのうがんばったご褒美でしょう、一面に広がる下界の夜景と空の星。金色に輝く三日月。雲ひとつありません。このひと時が私の今回の富士登山のクライマックスになりました。冷たく強い風はあいかわらずだけど、もう不安はありません。すでにご来光を目指す渋滞が始まっていて、頂上へ光の列が続いているので急いであったかく支度をして3:20ごろ3人で出発。もうウキウキです。

仲間はいいなぁ
渋滞でゆっくりペースなのがちょうどらくちん。1時間で頂上に着き岩場でご来光を待つ。3人なのでお互い写真を撮ったり、はしゃいだり、たのしいです。今回はそんな面白みのあるスナップがたくさん撮れて、写真の面でもよかったです。 下山してから数日目の今、お互いとメールなどで写真のやり取りを楽しんでいます。



ご来光を拝んで、郵便局のポストにはがきを投函。まだ5時前だけどあいてて、若いふたりとも山頂郵便局100周年記念の切手シートなどをゲット。局の中は狭いとこなんですねぇ。人が込み合う前にと剣が峰の斜面に向かうときれいに影富士も見えました。 剣が峰で3人の記念写真をとってもらい、まずはすべての目標が達成できました。 ほんとによかった。あとは時間内に河口湖口に到着が目標です。

今回も日本一高いところでの朝御飯を食べようと、剣が峰でお弁当。胸突山荘のお弁当は、ごはんもちゃんとやわらかいし、佃煮や漬物など塩気のきいたおかずがおいしかったです。ここで食べようと持ってきたプチトマトにMちゃんが大受けしてくれました。 いっぱい動いた後のトマトは、おいしいですよー

御飯のあとは下山に向けて反時計回りで出発、10時に五合目着めざして短い休憩をはさむだけでどんどん下ります。二人は富士山初めてということで、私が引率さん気分。「へへへ」とたのしそうに笑う声がかわいいMちゃんと、飄々としてるKクン。気の合うお仲間と歩く下山は、いつもと同じ3時間半でもすごく楽しいものでした。

9時前で7合目の公衆トイレ通過。10時ぎりぎりになりそうということで添乗員さんにMちゃんのDocomoから連絡を入れてみました。すると驚きの言葉が・・・・
「昨日中止になって、私たちはもう大阪へ帰っていますので、申し訳ありませんが別の添乗員がお世話します。」!!   ・・・えーっ、バスが先に帰っちゃったー?私たちどこに乗るの?もしかして別のツアーの補助席だろうか?不安ですー
10:08、五合目着。雲上閣にいっぱい張り出された名簿の中からツアー名を探してチェックをいれるとまだあと何人か。はぁー間に合った。

最終的に全員が揃って、11時に若い添乗員さんから「バスが来ましたよー」と案内されたのは乗ってきた大型バスと同じ型の「臨時便」。13人だけで広々と使うので、申し訳ないくらい贅沢な帰り道となりました。
中止で帰った方々にはまた別のいろいろなドラマがあったことと思いますが、私にとって、すごく印象に残る楽しい富士になりました。お世話になった方々、ありがとうございました。

今回の目玉商品
五本指の靴下が、指同士が擦れないのでまめになりにくくて便利と気に入ってました。それに足裏のクッション性を高めるには厚みのあるのがいい、ということで、前回その2枚を重ねてはいたら・・・・ちょっと窮屈なんですよね。 そこで今年は、古いシャツなどの布を長さ8センチほどのひも状に切って、足指の間に上下に絡ませてから厚手の靴下をはきました。快適だしこれから夏場の水虫対策の人にも応用可能。いかがですか?

伝言ノート、置けませんかね。
昨年の投稿のふじ子さんの「スイカ登山」おもしろかったですねぇ。同じ日近い時間で降りてたので、私もスイカのおすそ分けにあずかりたかったなと思いながら読みました。 お友達とはぐれて、あれだけ肝の据わったふじ子さんでも走り回って探して、しかも会えないまま帰った不安な感じがよく伝わってきました。 実際いたるところで待ち合わせがうまくできなくておろおろしてるケースを見かけます。ケータイが確実に当てにできるとは限りません。 バスツアーの場合は五合目にチェックシートが張り出されるので少なくとも五合目までたどり着いたかどうかは確認できます。 このシステムを個人にも応用できないですかね。

各山小屋や、五合目などで、後に来る人に伝言などを残しやすい形、というと、ノートくらいかなぁと考えるのですが、切羽詰まったときにだけでも利用できると、助かるかと思います。もちろん維持管理はどこがするかとかが難しくて今までできていないという経過があるのでしょうけど。なんとか方法はないでしょうか?

そんなこんなで10回目も無事成功。さて来年は?

(管理人)
富士宮口から登って河口湖口へ下りるという、まさに「リタイヤの許されないツアー」です。いろいろなツアーが登場してきましたねえ。



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(09/7/26)