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 みんなの登山記2010−27
 投稿者:YKSさん

■2010年8月5日(木) 富士スバルライン

 関西在住+子供連れ+日帰り+初登山の報告をさせていただきます。他の方の参考になれば幸いです。

 父・母40代、娘10歳。家族全員、普段よりテニス・ランニングをします。関西近郊の低山ハイキングも度々。
 私は定期健診で若干の貧血傾向ありと診断されたため、1ヶ月前から「鉄剤」を服用しています。
 母は万年貧血で献血不可状態、不安材料です。
 「景色を楽しみながらゆっくり」、「ご来光にはこだわらない」ことから日帰り登山 での挑戦です。
<目標>ただ、山頂に立ち、帰還する。それだけ!
    +娘の自由研究のネタ収集(各合目でスナック菓子の袋の状態を確認、気温測定)

 前日の8月4日の早朝より関西から移動、樹海や洞穴、富士山博物館を巡り、翌日に向けて気分が高まってきます。
 この日は昼あたりまで雨模様でしたが、午後には上がり、夜は富士山がくっきりと見えました。夜間登山のライトの光線を見ながら
「本のまんまやっ!」と変に感動しました。

 さて、8月5日登山当日です。天気は晴れ・無風。
 朝4時に宿泊していた山中湖ペンションを出発し、東富士五湖道路を経てスバルラインへ向かいます。当日はマイカー規制前日で既 に5合目駐車場は満車、5合目から1.5kmの地点に駐車となりました。
 軽く朝食を済ませ、5合目に向けて散歩気分で出発しました。
 日の出後の雲海を眺めながら少し肌寒い空気の中、5合目に到着。ここで高度順応のため少し時間をとりました。


(左)雲ひとつない絶好の登山日和、(右)5合目時点でも結構パンパンです

◎5合目出発 6:10
 小御嶽神社へ登山の無事を祈り、いよいよ頂上目指して登山開始。6合目まではなるほど散歩の延長です。
 娘曰く「これなら楽勝!!」
      ⇒はっきり言ってナメテマシタ…

◎6合目到着 6:50(5合目→6合目 40分)20.7℃
 6合目からつづら折の登山道を登り始めて、数回目の曲がり角あたりで先ほど「楽勝!」宣言をした娘に異変が、「気持ち悪い…」 吐くにも吐けないらしく、曲がり角2つおきに座り込み、酸素缶を使っています。
 明らかに高度障害です。登頂どころか、7合目を見ずに撤退かと思いました。
 馬に乗り7合目に向かうグループに遭遇。4頭連なるお馬さんは圧巻でした。さすが、お馬さんはグングン上って行きます。

通った後はひづめの跡がくっきりでした

◎7合目到着 8:45(6合目→7合目 1時間55分)30.1℃
 何とか7合目に到着し早速長めの休憩をとりました。
 だましだまし時間を掛けて上ったのが良かったのか、7合目到着後に食べたおにぎりが効いたのか(ハンガーノック状態だったのか もしれません)、休憩後はケロッとしていました。恐るべし子供の順応力!ひとまず安心です。
 このあたりでは河口湖、山中湖がきれいに見渡せます。
 気温は各合目の到着直後にPROTREKで測定しますが、ザックに装着していたため、ずっと太陽を背に登っていると結構、高い 温度で測定されてしまうようです。


(左)河口湖、(右)ザックが若干窮屈です…

◎8合目到着 10:20(7合目→8合目 1時間35分)23.2℃
 7合目からは岩場になりますが、娘の「得意分野」らしく猿のように登っていきます。
 3000mを超え、母が酸素缶を使うようになりました。体調はなんとかキープのようです。父は何も感じず、いたって平常です。
 時よりガスのような雲がスッと流れてきて心地よい冷気を運んできてくれます。
 気圧実験のために持参したでスナック菓子の袋が「ボン!」とザックの中で破裂しました。


(左)天気がよく各山小屋では布団干し 、(右)スナック菓子「大」無念…

◎本8合目到着 12:03(8合目→本8合目 1時間43分)17.1℃
 登頂に向けてワクワク感が増してきます。すっかり復活を遂げた娘と馬鹿話で盛り上がりながら上っていきます。(母は少し先を息 を整えるため無言で上っていきます。マイペースです。)

◎9合目到着 12:43(本8合目→9合目 40分)19.3℃
 頂上の前の9合目にも鳥居があることは学習済みでした。娘は「ニセ鳥居」「残念な鳥居」(バチあたりです…)と称して「本物の 鳥居」を目指します。
 ここまでは下界の景色も楽しみながらでしたが、このあたりはガスが出ていて下界は見えません。鳥居の前で一瞬立ち止まり、休憩 をしましたが、ズンズン上っていきます。もう、視線は上へ!上へ!です。

◎山頂到着 13:20(9合目→山頂 37分)16.8℃
 狛犬があります。「本物の鳥居」です!あぁ達成感・爽快感。
 7時間10分かけて、全員無事に登頂できました。
 久須志神社でスタンプを押し、東京屋でラーメンを食べ、一息入れました。
 火口も剣ヶ峰もくっきりと見渡せましたが、下界側は雲で見えません。
 火口は富士登山HowTo本でも見ていましたが、実際に自分の眼で見てみると桁違いの大迫力・大感動!!。吸い込まれそうな感 じです。外人さんは「ワォ〜ッ!」連発でした。


(左)後ろにも外人さんの団体が控えています 、(右)スナック菓子「小」なんとか頂上までもちました

 天候も比較的穏やかで風もほとんど無く、「お鉢巡り」が出来るコンディションでしたが、下山時にライトを使う時間帯になるのは 避けたかったので、今回は断念しました。

◎下山開始 14:41
 数回の休憩後、娘の膝内側にこぶし大超の落石が当たりました。谷側すれすれに下山している人たちが居てどうやらその者たちが発 生源のようでした。本当に危険です!
 幸い打ち身程度で大事には至りませんでしたが、ゾッとした瞬間でした。念のため、持参していた膝サポーターで圧迫固定しました 。
 本8合目あたりからは再び下界の景色が開け、大パノラマです。

◎5合目帰還 18:03(山頂→5合目 3時間22分)
 出発から12時間。皆、よくがんばりました!
 娘は緊張から解放されたためか、軽い腹痛を、母も若干の頭痛を訴えていますが、達成感で一杯のようです。
 これから登山のグループもたくさん居て、「がんばって!」のエールを送ります。
 偶然なのか、年を召された方々のグループが思いのほか多いなぁと感じました。体力的なことや、夜間の暗い中をヘッドライトを頼 りに上っていく様を想像すると大丈夫か?と思ってしまいます。
 この日は山中湖へ戻り、「きのこほうとう」で登頂祝いをしました。

帰還時の赤富士。最後まで晴天、ありがとう!

◎おわりに
 我が家も全員無事に初登頂を果たせ、夏休みの良い記念になりました。
 早い段階での娘の高度障害でどうなることかと思いましたが、終わってみれば本人も涼しい顔をしており、「次は砂走りしてみたい !」などと頼もしいことを言っております。
 母はいつ、自分発信でリタイア宣言となるのかハラハラしていたらしいです。
 私自身は鈍感なのか、空気が薄いことすら感じないほど体調良好で、天気を含め「運」が良かったと思いました。

◎参考に…
・日焼け対策で首にタオルを巻いていましたが、帽子がキャップ型だったため、耳が隠せず、耳の皮がべろべろ・かさかさです… 帽 子はハット型が良さそうです。
・「鉄剤」の服用は効果があったのかもしれません。
・「酸素缶」の効き目「絶大」だそうです。(父のみ未使用のため、現場の声です)
・酸素タブレットも利用しましたが、空気が薄いことすら感じなかったため効き目は「?」です。
・水分・塩分摂取のため、努めてスポーツドリンクや塩分チャージタブレットを摂りましたが、ゼリー飲料も含めてどれもがフルーツ 味(グレープフルーツ/マスカット/アップル味など酸味系)なので次第に飽きてきました。  下山中は単純に「お茶」が欲しくなりました(日本人だと実感)。
・おにぎりは前日にコンビニで調達しましたが、「鶏五目ごはん」など炊き込みご飯系のものが塩気がきいていて美味しく感じました。
・東京屋でラーメンをいただきました(900円)。インスタント袋麺に葱でしたが、さすがに美味です。
・翌日、筋肉痛はふくらはぎとアキレス腱に若干ながらきました。

・持ち物
  父:スポーツドリンク(500ml)×2本、ゼリー飲料×3個
    おにぎり×2個、塩分チャージタブレット・ブドウ糖・酸素タブレット
    酸素缶(未使用)
  母:スポーツドリンク(500ml)×1本、お茶(500ml)×1本(おにぎり用)
    ゼリー飲料×2個、おにぎり×1個、アンパン×1個、チョコ・キャンディー多数、酸素缶
  娘:スポーツドリンク(500ml)×1本、ゼリー飲料×2個
    おにぎり×2個、チョコ・キャンディー多数
    酸素缶

 貴サイトには準備段階からお世話になり、様々な方々の登頂記を含め、とても参考にさせていただきました。ありがとうございまし た。  次回、砂走りが実現された折、再度ご報告させていただきます。

 ※たしかに、癖になりそうですね!「富士登山」※


(管理人)
天気に恵まれ、そして、貧血の奥様が軽い頭痛ですんで良かったです。落石は怖いですね。大事がなくてなによりでしたが。登山者の誰もが落石を人為的に発生させないよう配慮する必要があります。



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(10/8/15)