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 みんなの登山記2014−8
 投稿者:ちわさん

■2014年7月24日(木)〜25日(金) 須走口

今年は7月24日、25日で登頂してきました。
 富士登山デビュー2年目ですが、昨年3回登頂しているので今回の登山は4回目のチャレンジになります。
今回の登山コースは樹林帯があって人出が少なくゆっくり楽しめる須走口です。
宿の予約は5月中に済ませてあったのですが、梅雨明けが遅れるとの噂や、台風の襲来で天候がどうなるのか心配していましたが、日頃の行いが決して良くないにも関わらず、梅雨明け宣言の三日後というベストタイミングになりました。

 マイカー規制は25日からですが、24日は規制前なので車で五合目まで行くことができます。朝8時ごろ、ふじあざみラインを車で上がっていくと、五合目駐車場の数キロ手前から、路上駐車の車がいます。
駐車場が満車でこんなところまで戻されたらいやだなぁ・・と思いながら上がっていくと駐車場手前で係員が立っています。「やっぱり戻るのかぁ」と思ったら、“上に行け”のサイン。ラッキーな事に駐車場の数台の空きスペースに誘導されました。

 すぐに出発したいところですが、高山病対策で五合目にしばらく滞在します。
昨年と同じ五合目山小屋でソフトクリームを食べながら休憩です。お店のお姉さんに「下山したらキノコそばを注文するからお願いします」と告げると、愛想笑いで「オーダー入れておきますねぇ」と返してくれました。まるで本気にしていません。
 一時間ほど過ごし、出発する前に山小屋の若旦那Y氏にご挨拶。すると「今日は、デンツウが登るから早めに山小屋に到着した方がいいですよ。とは言ってもデンツウは三時に五合目出発ですけどね」との情報。
 後で知ったのですが、Y氏の言うデンツウとは、大手広告会社のD社の事で、毎年新入社員の研修で、新人さんが富士登山をするイベントがあります。今年は約330人の新人さんが山頂を目指したそうです。
 さていよいよ出発ですが、登山道入り口の小御嶽神社で登山の無事をお願いします。今回は神社の扉が閉まっていて、お賽銭は無しとなりますがどうか御利益があります様に。
 樹林帯の中を進んでいきますが、なぜか今日は足取りが前に進みません。意識してゆっくり登っていくのですが、すぐに息が切れます。歳のせいでしょうか、日頃の怠慢のせいでしょうか、とにかくつらいのです。
 そうこうしているうちに、見通しの良いところに出て長田山荘の鯉のぼりが見えてきました。昨年は目標が見えて気合が入ったのですが、今年はまだ遠いなぁという気分です。 少し気落ちしていると、下から小学生のグループが登ってきました。「こんにちはぁ」と元気に声をかけてくれます。仕方なくこちらも「はぁい、こんにちは」と返してあげますが、なにせ30人ほどのグループですので、いちいち挨拶を返さなくてはなりません。でも挨拶をしているうちにこちらも元気をもらって、気分もやる気になってきました。この小学生のグループとは瀬戸館まで抜きつ抜かれつを繰り返しますが、その度に挨拶をしてくれました。“さっき挨拶したでしょ”とも思いますが、これもありがたいことです。この小学生のグループは瀬戸館で引き返したそうです。

 瀬戸館で休憩をしていると年配の男性二人組とお会いしました。「今日はどこまでですか」と聞くと、「大陽館までです」
 「そうですか、それでは夕飯の豚汁が楽しみですね」「え?豚汁が出るんですか」「そう、お替り自由らしいですよ」「それは楽しみだ」
二人組はゆっくり行かれるとの事でしたので、私は先に行くことにします。

 次の山小屋、大陽館ではやっぱりあの“豚汁”を頂きます。これがまた美味しいこと。
持参のコンビニのおにぎりで少し遅いランチにします。30分以上大陽館で休憩をしていましたが、あの二人組の方はまだ登ってきません。
 次の山小屋の見晴館のチェックインには少し早いのでもうしばらく、のんびりしていると、小さな女の子二人づれの家族が来ました。「頑張って上がってきたねぇ。お幾つですか」と聞くと「上の子は7歳で下の子が5歳」との事。5歳で富士登山とはすごいなぁと思ったら、上の子も5歳で富士山デビューをして今年で3回目との事。恐れ入ります。
「今日はどこまで行くんですか?」と聞くと、「予約していないんだけど、上江戸屋か下江戸屋にしようと思います。」
 そのやり取りを聞いていた近くの方が「今日はどこも満室だよ」と声をかけてきました。聞くと、その方は私と同じ見晴館に泊まるのだが、数日前に予約の手配をしたときには、ほかの山小屋は満室だったとの事。その家族は「何とかしますよ」と、のん気である。

 声をかけた方に「見晴館までご一緒しますか」と聞くと、「のんびり行きますからお先にどうぞ」と言うので先に出発しましたが、結局その方には途中で追い越されて、私が見晴館に到着した時には、すでに山小屋の中でくつろいでいらっしゃいました。
 「健脚ですね」と言うと「自衛隊上がりだから訓練には慣れているんだよね」との事。
お名前はAさんでお歳はちょうど80歳との事です。富士登山は28回目で、とにかく“おもしろおかしく”をモットーに楽しく登るのだそうです。
 Aさんとお話ししていると、後から男の子二人づれのHさん家族がやってきました。男の子は小学校5年生と4年生で、Hさん家族は今回が初めての富士登山だそうです。「高山病にならないようにのんびり登ってきました」とおっしゃっていましたが、五合目出発は私とほぼ同じ時刻です。結局、子供にも年配者にも、このくらいのペースがいいのかもしれませんね。

 翌日はご来光を山小屋前で見て山頂を目指します。水平線がオレンジ色になり、いよいよご来光の瞬間となる直前、山頂から“ばんざぁ〜い、ばんざぁ〜い”の歓声。山小屋で待機していた人たちが一斉に振り返ったら、すでに山頂の方は赤く染まっています。ほどなく山小屋前でもご来光。今年も素敵なご来光を見ることが出来ました

 さぁて、これから山頂を目指します。登り始めてすぐ、昨日お会いした年配の二人組に遭遇。「こんにちは、大陽館はどうでしたか」「あぁ、よかったですよ。」「今日はお鉢めぐりできそうですね」「あぁ、私たちはのんびり行くので。ここから山頂まで4時間を目標に登ります。」との事。山は逃げないのでのんびりマイペースがいいですね。

 私は、見晴館から山頂まで3時間かかりましたが、お天気がいいのでお鉢めぐりにも出発。剣ヶ峰では、“三角点”、“写真スポットの石碑”、“最高点の岩”の三点セットを写真に収めました。

 登ったからには下山しなければならないのが登山の宿命。苦労してここまで登って来てこの雄大な景色をいつまでも見ていたいものです。
 下山の際にチェックしておきたいのが、今年から江戸屋の下山道が変更になったことです。江戸屋まで下っていくと、須走口へ下る道がロープで通行止めになっており、江戸屋の前を通って、吉田ルートの方へ一旦案内され江戸屋を過ぎたところで須走ルートは右下に下ります。
 これなら、吉田ルートに行く人が須走ルートへ行ってしまうことが減るかもしれません。逆に須走ルートへ降りる人が、吉田ルートに行ってしまうかもしれません。
 私は当然須走口へ進みます。

 私だけかもしれませんが須走ルートの下山で気を使うのが砂走りです。大砂走りとは違って、礫の下に所々に岩が隠れていいます。ここに足が乗ると足だけが前に滑って転倒します。私もこのトラップの餌食になって転倒。背中から転倒したのですが、運よくザックがクッションになってくれました、ザックの中の空のペットボトルが“ガチャ”と悲鳴を上げて身代わりになってくれたのです。

 砂走りが終わってほっと一息、ようやく吉野屋に到着です。ここまで来るとトイレの心配がないので、たっぷり水分補給ができます。持っていたペットボトルの水と購入したカルピス・ソーダを飲み干しました。

 ここから樹林帯をしばらく下ると小御嶽神社までもうすぐです。・・と言いながら、この道のりは結構長く感じられます。そしてこの時間帯でもこれから登る人たちとすれ違います。若い女性3人組に「今日はどこまで行くんですかぁ」と聞くと「大陽館で〜す」と返事をしてくれました。山小屋到着はきっと夕食時間ぎりぎりでしょうね。

 小御嶽神社の少し手前で、“とても山頂まで行かないだろう”と思われる家族5人組に会いました。手ぶらでズックやサンダルスタイルです。すれ違いそうになったので「どこまで行くんですか」と声をかけたらようやく止まって「小富士までです」との返事。「この先は大きな富士山ですよ。小富士は下から分岐の道ですよ」と教えてあげましたが、私が声をかけなかったら、大きな富士山まで行ってしまったかもしれません。

 小御嶽神社で無事の下山を報告します。相変わらず扉が閉まっています。お賽銭は無しでしたがご利益はあったようです。

 五合目の山小屋に到着すると、お店のお姉さんが私のことを覚えていてくれました。「キノコそばですよね」と言ってくれましたが、その前にソフトクリームを注文して一息つくことにします。もちろんキノコそばもおいしく頂きました。

 やれやれ、これで今回の富士登山も無事終わった・・・と思いきや駐車場までの登りが待ち受けています。誘導員のお姉さんと目が合ったので「この登りが一番辛いんですよね」と言うと「これから(富士山に)登るんですか?」とトンチンカンな返事。近くにいた先輩の誘導員さんが「山から下りてきて、この坂を登るのがキツイと言うことだよ」とフォローしてくれました。お心遣いありがとうございます。

 駐車場に戻ると、出発の時はいっぱいだった車もまばらにしか停まっていません。マイカー規制で五合目まで上がってくる車が無いからです。自分の車から少し離れたところに停まっていた車に見晴館で会ったHさんがいました。「もう到着されたんですか。お鉢めぐりできましたか」と尋ねると「子供たちがいるので山頂からすぐに下りてきました。」

 「Aさんとはどこかで会いましたか」と聞くと「さっき、子供たちがAさんの車を見たそうです」との事。Aさんも無事に下山されたようです。

 今回は昨年よりも体力的にしんどかったですが、最終的には楽しい山旅を経験させていただきました。

(管理人)
ちょうど電通富士登山の日でした。今年で87回目。やはり山頂の方が先に御来光が見えます。その朝は電通の人たちがいたので、特に歓声が大きかったかもしれません。ちわさんは気軽にいろいろな人と会話を楽しめて良いですね。



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(14/8/15)