2015-2 ふじ子さん
■2015年7月11日(土)〜12日(日)
村山道―富士山スカイライン―富士宮口
『チャレンジ3776』
今年もまた富士登山の季節がやってきました。2003年の初登頂以来、毎年恒例行事のように登り続けてきましたが、去年は我が家の年老いた愛猫(♂16才)の介護に追われ、断念せざるを得ませんでした。
今年は去年の分も登ります。16回目は海抜0mからの富士登山です!
地図を広げてコース選び。海から歩けばどこからでもいいんですが、過去に歩かれた方の登山記などを色々と読んでいると、田子の浦からというのが圧倒的に多いことが分かったので、私も田子の浦をスタート地点にすることに決めました。
さて、そこからどうしよう。とにかく距離が長いので、最短コースで富士山本峰に向かうか、いやいや、見知らぬ土地でそれをやると迷子になるかもしれないから、多少遠回りになっても幹線道路をひたすら歩くか…。で、散々迷った結果、今回も富士登山情報サイト『ROUTE5』のお世話になることにしました。以前、船津口から登った際に参考にさせていただいたサイトで、とても詳細な情報が得られます。村山浅間神社には絶対立ち寄りたかったので、とりあえずそこまでは、東海道―村山道―東見附ルートの最短コースを行くことに。そこから先は村山古道を歩いてみたかったんですが、やはり未だ整備されてない区間が残っているらしいので、あきらめて県道72号線、県道180号線(富士山スカイライン)とたどり、グリーンキャンプ場バス停からいったん登山道に入って高鉢駐車場までショートカット、再びスカイラインを歩いて富士宮口五合目に向かうことにしました。
以下、今回のプランです。
前半戦
7/11(土) 自宅最寄り駅から初電に乗り吉原駅へ → 田子の浦東岸(8:00) → 鈴川の富士塚 → 富知六所浅間神社 → 村山浅間神社(11:00頃) → グリーンキャンプ場(14:00頃?) → 高鉢駐車場(夕方?) → 富士宮口五合目(日没前?)
後半戦
富士宮口五合目(20:30) → 7/12(日) 剣ヶ峰(翌未明) → 下山(未定)
なんとまあ、ざっくりプランだこと。プランと呼べるかどうかも怪しいですが。 所要時間、歩行距離は…全くわかりません(笑)。いったいどうなりますことやら。 さあ、いってみよう!!
◎ 出発! 〜村山浅間神社
7月に入ってからほとんど日照時間のない今年の梅雨ですが、今朝は見事に晴れています。早朝、自宅(川崎市内)を出発、電車を乗り継ぎ、まずはJR吉原駅へ。私の勝手なイメージでは、改札を出て左方向に進めばすぐに海にたどり着き、砂浜が広がっている…、てなかんじだったんですが、…う〜ん、いきなり坂のある住宅街にぶちあたりました。昭文社の都市地図『静岡県10 富士市』を手にうろうろ。 しばらく歩くと…、なんだこれ? 『富士山登山ルート3776』と書かれたステッカーが、地面の所々に貼られていることに気付きました。しかも『富士市』の文字も。さすが富士山のお膝元。よほどの物好きしか手を出さなそうなことを、市を挙げて推奨しています(笑)。
数分で田子の浦に出ました。さあ、海水にちょんと靴を浸そう! ところが、テトラポットがびっしり立ち並び、どこへ降りていいのやら…。迷っている時間はないので、近場で行けそうなところから強引に降りて波打ちぎわへ。テトラポットの隙間から寄せては返す波。風情がありません。てゆーか、何だか怖いです。タイミングを見計らって水にタッチ! みなさん、波の高いときはやめましょう。山に登ろうとして海で事故。笑うに笑えませんから(笑)。
時刻は8時。それでは富士山頂を目指してしゅっぱ〜つ!!
元来た道を戻り、まずは鈴川の富士塚へ。ここにも先ほど見かけた『富士山登山ルート3776』のポスターが貼られていました。富士市の観光課推進のイベントのようで、よくよく見ると、7月10日出発とあります。先発隊がいるということなんでしょうか? 『ご自由におとりください』とガイドマップが置かれていたので、1部いただきました。奥にある富士塚にお参りして先に進みます。
足元のステッカーの矢印に従って再び吉原駅へ。ところが、矢印はここであらぬ方向を示しています。どうやら私のとるコースとは異なるルートのようなので、早くもここでお別れです。
富士市の地図を手に旧東海道を進みます。名勝左富士を通過。吉原商店街に入ります。ここは東海道五十三次の宿場町、吉原宿跡で、今も所々にその名残が残っています。時々目にする『つけナポリタン』と書かれたのぼりが気になります。富士市のご当地グルメだそうで、機会があれば食べてみたいですね〜。
9:40富知六所浅間神社を参拝。ここから道は北へ。古い道しるべをたどって村山浅間神社へ向かいます。
幹線道路ではなく、完全に脇道・小道のため、地図に引いたマーカーを外さないように慎重に歩きます。
伝法の住宅地を進みます。早くもここで傾斜が出てきました。金剛杖を持って歩いてる私を見て、近所の方が「流行ってるんだね〜」と一言。流行ってる? これが!? やっぱ、おそるべし富士市! 夏祭りでしょうか。テントの下で町内会の方々が準備をしています。どこからか盆踊りの曲も流れてきました。もうすぐ夏本番ですね。
10:10東名高速道路をくぐります。西富士道路の上(中原橋)を渡り、しばらくすると道は二股に分かれます。ここに最初の道しるべがあり、『左 むら山道』とあります。『ROUTE5』によると、このような道しるべが村山浅間神社まで続いているらしいんですが、古くて文字が読み取れないものもあるとのこと。迷うんじゃないかと不安だったんですが、すぐ脇に現代版も設置されているじゃありませんか。現在地から次の道しるべまでの簡易地図まで載せてくれていたので助かりました。道しるべに導かれ北へ。
新東名高速道路を超え、11:00釈迦堂前を通過。新富士病院の横を過ぎると、富士市と富士宮市の境に出ました。しばらくはこの境の道を進みます。この間も道しるべは数百メートル間隔で置かれています。その他にも、石仏や道祖神なども点在していて、周辺の茶畑の景色にとけ込んでいます。
県道158号線を渡り、このあたりで少々道に迷いましたが、何とか正規のルートに戻ることができ、東見附跡を通過。国道469号線の下をくぐり、12:45村山浅間神社に到着です。
◎ 〜五合目
思ったより時間がかかってしまいました。身に付けている歩数計を見ると、20km歩いたことになっています。が、のんびり休憩している場合ではないようです。すぐに神社を参拝。その奥に続いている、しめ縄のかかった村山古道をのぞき、「いつかは歩きに来ますね」と約束し、先を急ぎます。
神社の隣に観光案内所らしき建物があるので寄ってみました。中に入ると、案内所の女性にトレラン姿の男性が村山古道の状況についてたずねているところでした。えっ? そのカッコで行くんですか!? 2人のやりとりを聞いていると、やはり整備されていない区間が多く、場所によっては道が分かりづらい所もあるとのこと。昨日も山岳救助隊が出動する騒ぎがあったとか。自信のある方は、向かいの山本商店で村山古道の地図を購入できるそうなので、チャレンジしてみてはいかがでしょう。私は地図ではなく、お茶2本と食料を買い足しました。この先五合目までお店はなさそうです。
神社の前の道を西へ少し行くと、県道72号線に出るので北へ。数十分ほど歩くと、ついに富士山スカイラインに合流しました。と、ここで信じがたいものを目にしました。
『富士宮口登山道まで27km』
……(笑)。私の足でも6時間以上かかりそうです。さあ、おもしろいことになってきました。延々上り坂、日没との競争になりそうです。ではGo!
今日からマイカー規制が始まったので、水ヶ塚の駐車場に向かう車が次々上がって行きます。みな一様に、こんな場所を歩いている物好きに目を奪われています(笑)。それにしても暑い。水、足りるかしら…。
この富士山スカイラインは細かいつづら折りが多く、地図上の見た目以上に距離があります。ついついつづら折りの数を数えてしまいます。
14:50一合目を通過。標高は1000m。
ひたすら歩いていると、周囲がだいぶ薄暗くなってきました。いつの間にか、雲の高さまで登ってきたようです。
15:00前方に人影を発見。この先のグリーンキャンプ場の利用者かと思ったんですが、どうやら登山者のようです。男女6、7人のグループで、年齢は20代〜30代くらいでしょうか。このあたりの遊歩道を歩いているのかと思いきや、『富士宮口登山道まで〇〇km』の看板の下で写真を撮っているので、まさかの0から登山者!?
「こんにちは〜」「こんにちは〜」。お互い、思わぬ場所での遭遇に興味津々の表情に。どちらからともなく、「どちらから歩いて来られたんですか?」と同じ質問。私が先に「田子の浦からです」と答えると、「あー、同じです!」とグループの男性の方。記念に一緒に写真を撮っていると、「よかったらこれ…」と手渡してくれたのが、なんと今朝富士塚でもらったガイドマップ。昨日出発した、例の富士市のイベントの先発隊だというんです。出会えることはないだろうと思っていただけに、もうびっくりです。
もっとお話ししたかったんですが、何しろ時間がやばいので、早々にお別れすることに。お互いにがんばりましょう!
少し歩くとグリーンキャンプ場に到着。時刻は15:30。すぐに登山道の入り口を見つけました、が…。何だか鬱蒼としていて、道は落ち葉に覆われ、明らかに誰も歩いてなさそうな雰囲気。コワイ…。でも、ここを通らないと気が遠くなりそうなスカイライン歩きが待ち構えています。どうする、私!? ここへ来て登山地図とにらめっこ。霧がだいぶ出てきました。悩んでいるひまはありません。意を決して登山道へ。数歩進んで……、やっぱりこわーい!!! 転がるように戻ってきてしまいました。疲労と霧と15時半という時間が私を弱気にさせました。もう日が暮れるのを覚悟で文明の道(スカイライン)を行くことにします(涙)。
西臼塚駐車場前を通過。水ヶ塚方面への分岐を目指します。
遠い! とにかく遠い! 地図を見れば見るほど絶望的な距離です。
かなり霧が深くなってきました。数十メートル先が見えません。夕方になり、交通量も減ってきたようで、文明の道とは言え、こちらもかなり寂しい状況になってきました。心細いよ〜。先ほどの方々は、あの後どうされたんでしょう。聞いておけばよかった…。
分岐点に到着。直進すると水ヶ塚へ。五合目に向かうには、左上方面に折れます。旧料金所に誘導員の方が2人立っていました。「お気をつけて〜」「ありがとうございます」。人に出会えてホッとしたのもつかの間、周囲は霧で真っ白に。こわいよぉ〜! 車、通りかかってよ〜! あ、マイカー規制中だった…。じゃあ、バス来て〜!!
うぅ…、おなかすいた。ザックから柿ピーを取り出し、歩きながらポリポリ。ちょっと元気が出たかも。
17:25二合目通過。標高1600m。高度が上がり、周辺が明るくなってきました。もうすぐ雲の上に出ます。
高鉢駐車場バス停前を通過。ここから再び、スカイラインのつづら折りに入ります。このうねうね、真っ直ぐ伸ばしたら何キロあるんだろ…。またまたいらんことを考えてしまいます。
完全に雲の上に出ました。それと同時に、日没が迫っていることを知り焦ります。
18:40三合目通過。標高は2000mを超えました。私を追い越していくバスの乗客が、信じられないものを見た的な表情でこちらを見ています。
19:15、正面に富士山頂が今日初めて姿を現しました。山小屋の灯りもともっています。
19:20四合目通過。標高2300m。とうとう、手元の地図が読めないほど暗くなってしまいました。同時に急激に気温が下がってきました。がんばれ、あと少し!
そして19:45、最後のつづら折りを折り返し、ついに富士山スカイライン終点、富士宮口五合目に到着しました。完全に日が暮れて真っ暗の中、レストハウスや駐車場のバスの明かりがやけに明るく見え、何だか泣きそうになりました。
前半戦終了。
◎ 五合目にて
今朝、田子の浦を出発してから一度も休憩していないので、とにかく腰を下ろしたくてレストランに向かいましたが、やっぱり…。営業時間はとっくに過ぎてしまって入れず。外のベンチは寒いので、こそこそと建物内の階段に座って一息。もう、はらぺこです。のどもカラッカラ。ザックの中のありとあらゆる食べ物飲み物を胃袋に流し込みました。 …さむい。建物内とは言え、結構外気が入るので、体が冷える前に長袖Tシャツを着て、ゲーターを装着、靴下も厚手のものに履き替えました。少し休んだらだいぶ復活したので、売店に入り、今夜の食料の買い出しです。パンと…、眠気覚まし用にトムヤムクン味のポテトチップを買いました。
さて、この後どうしよう。「こちらは何時まで営業してますか?」。売店の方にたずねると、21時までとのことなので、ギリギリまでいさせてもらいましょう。今朝は3時半起きなので、絶対どこかで睡魔に襲われるはず。それが八合目、九合目以降だと、寒くて止まれず悲惨なことになるので、とにかくゆっくり登りたいんです。できるだけ標高の低いところで夜明けを迎えたい。それにはあまりにも不向きな富士宮口(苦笑)。 いっそのこと、さっさと登ってしまい、一気に剣ヶ峰まで行き、吉田口側の山小屋に転がり込んで夜明けを待つって手もありますが…、体力的に無理だろうなぁ。まぁ、ゆっくり登ることにしましょう。
また、こそこそと階段に座り、足を休めつつザックの中を整理して後半戦に備えます。今眠くなってくれればいいのに…。そううまくはいきませんね。おめめパッチリです。 「そろそろ閉めますねー」。21時になりました。お守り代わりに、普段ほとんど口にしないコーヒーを飲んで準備OK。さぁ、行くぞー!!
◎ 山頂へ!
外に出ると、満天の星空が広がっていました。今夜はいつになくきれいです。一方、麓は一面雲に覆われ夜景は見えず。ライトを点けて、ゆ〜っくり歩き始めます。7月2週目の土曜日ですが、人は少なめです。
すぐにトイレを発見。たいして行きたくもないのに立ち寄ります。時間稼ぎです。中は暖かく、とても清潔です。ここに泊まりたい…、本気でそう思いました(笑)。ムダにのんびり過ごし、再び外へ。微妙に風があり、少々冷えます。
21:45六合目に到着。山小屋の前だけは全く風がなかったので、5分ほど小休止。「すいませーん。焼印お願いしまーす」と、入口で声をかけている親子がいましたが、「今日はもうおしまいなんですよー」と断られていました。吉田口と違って、こちらは24時間営業ではないんですよね。
23:15新七合目に到着。ここでも山小屋前で時間稼ぎのための小休止。夜明けまでまだ長い。絶対に眠くならないぞー!
まだ体調に問題はありません。至って順調です。でも調子に乗らず、のろのろペースを維持します。後から後からあくびが出ますが、人目をはばからず大胆に口を開けて酸素を取り込んでいるためか(笑)、それほどひどい眠気ではありません。
日付が変わり7/12(日)、0:40元祖七合目に到着。五合目で買ったトムヤムクン味のポテトチップを食べることに。辛さで目が冴えるかしら…。しばらくパリパリ食べていると、刺激で鼻水が垂れてきましたが、ただそれだけでした(爆)。ま、おいしかったからいいか。
2:10八合目に到着。恐ろしく遅いタイムです。でも、今日はこれでいいんです。風が断続的に吹いているので、手足の冷えが気になってきました。体温を維持するためにも動き続けないと。
九合目に到着しました。時刻は3:30。ここまで来ればもう安心です。後1時間ちょっとで夜が明けるでしょう。いや〜、今回は何のトラブルもなく、上手に登ることができました。よかったよかった! 万年雪山荘のトイレに腰を下ろしてホッと一息。(使い方が間違っている) 考えてみたら、昨日から便座にしか座っていないことに気が付きました。あ、それと五合目レストハウスの階段か(笑)。登頂して山小屋で堂々とくつろぎたい! 残りわずか、がんばろう!
意気揚々とトイレを出ると、景色が一変していました。きれい〜! 東の空が焼けています。こうなると急に欲が出て、ご来光を拝みたいという気持ちが強くなってきました。富士宮口は山頂まで行かないと見られません。時計を見ると3:45。どうする? 行っちゃう!? 行っちゃおう! そうと決まればギアチェンジ。これまでののろのろペースから一転、ガンガン登っていきます。これまで体力を温存してきたので、おもしろいくらい体が動きます。
前を行く登山者を次々追い越し、4:15九合五勺通過。間に合うか!? どんどん明るくなる東の空を右に見ながら最後の登りです。息が上がってきました。ぬおぉ〜!!! 山頂の鳥居をくぐり、そのまま駒ヶ岳へ駆け上がります。
4:45、ピークに立った瞬間、目の前の成就岳から朝日が昇りました。何というタイミング! まるで私を待っていてくれたかのようで、嬉しくて涙が出てきました。あちこちのピークで万歳三唱が起こり、この時ばかりは山頂は不思議な一体感に包まれました。 しばし感傷に浸り、最後の目的地に向かいます。
ゴールはもちろん剣ヶ峰です。海抜0mから出発した今回の富士登山。もうすぐ3776mを登り切ります。馬の背を歩き、もはや恒例となった記念撮影待ちの行列に5分ほど並び、5:25とうとう剣ヶ峰に立ちました。長かった〜。でも楽しかった〜。『日本最高峰富士山剣ヶ峰』の標柱がいつになく眩しく見えました。バンザーイ! 今年も登ったぞー!!
◎ 山頂にて
さすがに疲れました。いいかげん、どこかでちゃんとした休憩を取らないと。昨晩あたりから、東富士山荘のキノコ料理が頭から離れないので、下山は須走口ということに決め、山梨側へ向かうことに。馬の背を下り、お鉢を左回りに歩きます。
それにしてもいい天気です。風も穏やかで暖かく、眼下には雲海が広がっています。こんな日に登ることができて幸せです。のんびりと雲上の散歩を楽しみ、6:30山小屋が立ち並ぶエリアへ。
う〜ん、どこにしようかな? 大半の登山者は、日の出とともに下山するかお鉢めぐりに出発してしまうので、この時間どこの山小屋も空いています。比較的よく入る、小ぢんまりとした扇屋へ。脱水気味になっていることに気付いたので、いつものヤツ、おやくそくのカレーはやめ、しょうゆラーメンを注文。待つこと数分、扇屋のお姉さんがあったかそうなラーメンを運んできてくれました。「いつも扇屋に来てくれますよね?」「えっ!?」。年に一度のことなのに、顔を覚えてくれたようなんです。「あっちの子達(若い男性従業員)も覚えてるって」と言われ、何だか嬉しくなりました。あー、髪の毛がやたら短いからか(苦笑)。
食後しばらく畳の上でウトウトさせていただき、だいぶ体も休まったようなので出発します。扇屋さん、また来ますね〜。7:15下山開始。
◎ 下山 須走名物『砂歩き』?
鳥居をくぐり、ひとたび下り始めると、あっという間に遠くなっていく山頂。いつも寂しくなるひと時です。小さくなっていく鳥居を何度も振り返りながら、高度を下げます。特に急いではいないので、登り同様ゆっくり歩くことにします。
すぐに本八合目を通過。そして、すぐ下の下江戸屋脇の分岐を須走口方面へ。急激に気温が上がってきました。雲ひとつない青空の元、陽射しも強く、五合目まで延々直射日光を浴び続けることになりそうです。ついさっきまでのせんちめんたるふじ子はどこへやら、うぇ〜…、あつい〜…と、早くもグダグダになってきました。かといって、さっさと下る気力もないので、だらだらと惰性で下り続けます。
砂走りに突入する手前あたりで、何やら足に異変が…。痛い…。どこがというより、足首から先、靴の中全体がとてつもなく痛い。そりゃ、これだけ歩けば当然か…。 砂走りに入っても痛みは増すばかり。砂走りを砂歩きしています(笑)。いたいいたいいたいいたい…。それしか言葉が出てきませ〜ん。たまらず斜面のど真ん中でストップ。地図を取り出し、現在地と五合目までの所要時間を確認すると、絶望的な気分に。いつもなら何でもない距離なのに…。
六合目と本六合目、何で六合目が2つあるわけ? 1つにしてよ(怒)! 八つ当たりです。
やっと雲の中に入ってきました。陽射しが遮られ、暑さから解放されたのがせめてもの救いです。
延々とも思える砂歩…いや、砂走りも終わりが見えてきました。11:40やっとの思いで砂払五合目に到着。崩れるように吉野屋のベンチに座り込みました。両足がけいれんしています。近くにいた登山者がギョッとしているので、両手で上から抑え込んでみましたが、なかなか治まりません。はぁ〜、困った…。取りあえず、靴を脱いで休憩しよう。足を休めつつ、あんぱんとお茶でおやつタイム。やっぱ、食べると元気が出ますねぇ。泣いても笑っても残り40分。もう行くしかないでしょー。
靴を履こうとして…、あらあら!? 足が入りません。ひどくむくんでいます。靴ひもを少し緩めてみましたが、それでも入りません。かつて経験したことのないような、ひどいむくみようです。これでもかというほどガバガバに緩めて、ようやく収まりました。あー、ビックリした。こんなの初めて。
数歩歩いて足が楽になったことに気付きました。あれ?痛くない。どうやら、疲労によるものではなく、むくみすぎて靴ひもに締めつけられたことによる痛みだったようです。何事もなかったかのように足が動きます。なーんだ、早く気付けばよかった。さっきまでの地獄のような時間は何だったんだ…。
ウソのように軽くなった足で軽快に樹林帯を駆け下り、20分足らずで古御岳神社の鳥居をくぐり、その先の石段を下って12:20須走口五合目に無事到着しました。そのまま東富士山荘へ。「食事をしたいんですけど。」「どーぞ〜」。ヒゲのおやじさんが出迎えてくれました。色々とメニューが豊富で迷いましたが、キノコごはんとキノコピザを注文。キノコごはんは300円でどんぶりサイズ、キノコピザも具だくさんで、どちらもとってもおいしかったです。
おやじさんが私の金剛杖に押された『古御岳』と書かれた扇型の焼印を見つけ、「ずいぶん古いヤツだねぇ。いつの?」と声をかけてくれました。「10年くらい前です。もう使っていなかったものを、お願いして押していただいたんですよ。」と話すと、「そうだよね〜」と懐かしむ表情に。田子の浦から歩いてきたと話すと驚かれました。「まさか、この後も歩いて田子の浦まで帰るの!?」「あはは、ここからバスに乗ります。もう疲れました〜(笑)」「そうだよね〜」。
また来てね、と見送っていただき、山荘を後に。お隣の菊屋のおばあちゃんも「お帰りなさい」と声をかけてくれました。今年もお元気そうで何よりです。
13:00発の御殿場駅行きのバスがすでに止まっていたので、すぐに乗り込みました。発車前、前日富士塚でもらったガイドマップを何気なく眺めていると、思わぬ事実が分かりました。富士山スカイラインで追い越した先発隊のみなさん、私の前をずっと先行していたのかと思っていたんですが、実はそうではなく、出会う直前に脇道の大淵林道という道からスカイラインに合流してきたらしいんです。つまり、ほんの少しタイミングがずれたらあそこで出会うことはなかったわけで…。こんな偶然もあるんだな〜と感慨にふけっていると、バスが動き出しました。
富士山、また…zzz。言い終わらないうちに夢の中へ。今回も充実した富士登山でした。ものすごく大変でしたが、とても晴れ晴れとした気持ちで終えることができました。 富士山、また登りに来るからねー!!
◎ 海抜0mからの富士登山を考えている方へ
どのルートを歩くにせよ、万全の状態で臨みましょう。装備はもちろんのこと、道路状況や、周辺のお店の有無などの情報収集も必要です。それと…、必ずどこかで宿泊しましょう(笑)。
富士市推奨の『富士山登山ルート3776』のルートで登られる方は、富士市のホームページにガイドマップ等詳細が載っているので、参考にしてみてください。こちらは4日かけて山頂を目指すプランなので、体力に自信がなくても大丈夫だと思います。
0から登って富士山の大きさを体感する山旅、いかがですか?
/おしまい
(管理人)
『富士山登山ルート3776』は3泊4日の行程です。それを徹夜で一気に登るのですから、すごいの一言。須走口の下山では、私も毎回のように足が痛くなるのですが、むくみが原因かもしれないです。次に機会があれば、靴紐を緩めてみます。
(15/7/25)