タロー君(3)(愛犬と富士登山)
■飼い主・山田勝敏さん
(山田さんのメールより
今年は猛暑と台風の当たり年だったようです。天候を見計らって狙っていたのです
が、なかなか実行出来ませんでした。
やっと台風16号の通り過ぎるのを待って、9月2日に登り始めたのですが(表登
山道)すごい風に吹き飛ばされそうになり、7合目手前で退却しました。5合目まで
降りてくると日差しはあって、それから登り始めるグループもあったのですが、日程
の関係もあって断念しました。
もうそのまま、今年は止めておこうと思ったのですが、何か残念でまた15日に再
挑戦しました。私は今年はまだ登っていませんし、タローには迷惑だったかもしれ
ませんが彼に来年があるかどうか分かりませんから。
昨夏以来、タローの様子は特に変化は無いようでしたが、今年の2月頃から毎週の
金剛登山に2度ほど登高中に脱走して、先に車のところへ帰っているということがあ
りました。それ以来ずっと繋いだままで登っているのですが、登り始めは厭々歩いて
いるのが他の登山者にも判るくらいです。でも半分くらいまで来ると先が分かってく
るのか元気に登るようにはなるのですが・・・。
またこの5月には私どもが10日間ほど旅行をして、その間の世話がおろそかにな
ると昨年同様、散歩を嫌うようになっていました。でもそれも運動を無理にやらせる
と体力はすぐに戻ったようです。たちまち元気を取り戻して、私が怠けて自転車で行くときなど最初の2・300mは走って引っ張るほどには回復しました。
それと暑さで餌を摂らないのには気を遣いましたが、何とか13回目の登頂は成功
して来ました。
当日の天候は無風、晴天。5合目以下は雲海でした。登り始めや休憩の後は、金剛
山と同じででのろのろと厭そうでしたが、すぐ元気よくなってなって歩いたので今ま
で同様、特に支障なく約5時間で剣ヶ峰まで登りました。1時間ほどの休憩の後,お
鉢めぐりをして下りにかかったのですが、予想に反して下りを渋るのです。普段のこ
ちらの
山では、登りに渋ることはあっても、下りは元気一杯で心配することは無かったの
で少し慌てました。
いよいよ駄目かと観念して抱いて行こうとしましたが、いつもそんな可愛がり方を
し
ていないものですから、暴れて噛み付こうとしたりします。仕方が無いので無理に
引っ張り降ろしましたら、まあ何とかなりました。どうも各合目の小屋からすぐは、
石積みで急な下りになっているので、渋ったようです。それもそれだけ体力が落ちて
いる証ですから哀しいことです。
今回は途中何回も「足の裏は傷つかないか」と心配してくれる人がありましたが
そちらは大丈夫でした。しかし、当日と明くる日の午前中はなんとも無かったのです
が、その午後から三日ほどはひどい筋肉痛だったようです。歩行はよろよろですし、
しかも小さな凹凸にも脚をとられて、つんのめったり横転したりといったことが続き
ました。
現在は元気で一見昨年までとなんら変わらないようですが、耳の遠いのが進
行したこと、それから小便をするのに時々四脚で立ったままやっています。また急に
涼しくなった最近は朝の散歩が待てないらしく、つながれたまま犬小屋の側で放尿し
たりしています。
私も夜中に便所には何回も通いますし、4歳の孫に挑まれる小便の飛ばし合いは
連敗中で勝負にならず、タローとともに老いの悲哀を身に滲みて感じているところで
す。
登山者は好天なのに少なかったのですが、その人達がタローを見ての反応は
二つあったように思います。
一つは「富士なんか1回登ればお終いだと思っていたけれど、犬もこんなに頑張っ
ているのだからこれっきりにせずに、また来る必要がありますね」と言うのと
例の胴巻きを見て「これはこの犬が13回登ったと言うのですか?」と質問される
二通りがありました。あとの方は何かタローもわたしも信用されてないような感じで
少し不愉快でした。
以上のようなことでタローの13回目の富士山は終りました。普段の街での散歩は元気そのものですが、果たして来年はどうなりますことやら・・・。少し頭の痛いことです。ではまた。