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吉田ルート

富士スバルライン五合目から登るルート
吉田ルートマップ
吉田ルート標識の色は黄色です。

五合目の標高
  2305m

良いところ
  山小屋がたくさんあって休憩しやすい。
  山頂まで行かなくてもご来光を拝める。
  交通アクセスが比較的良い。

難点
  ピーク時の登山道の大混雑。
  歩行距離が長い(富士宮口、須走口よりも長い)
  下山道八合目の須走ルートとの分岐でまちがえやすい。

歩行距離
  15.1km (登り:7.5km 下り:7.6km)
所要時間
  登り:6時間(休憩時間含まず)
  下り:3時間(休憩時間含まず)

もちろん個人差はものすごくあります。
 (登りは半分で行く人もいれば、2倍以上かかる人もいます)
  御来光目的の登山の場合、山頂付近の大渋滞で
  ものすごく時間がかかることがあります。

 ・バス旅行で富士登山を計画されている方は、バスツアーについてもご覧ください。



 富士スバルライン五合目からスタートするコースです。以前は「河口湖口」として知られていましたが、現在は「富士スバルライン五合目」と呼ばれています。六合目で山麓からの吉田口登山道と合流します。下山時、八合目の須走ルートとの分岐で間違えないように注意が必要です。

吉田ルート・五合目
 ここの五合目は他の登山口のどこよりも都会。大きなレストハウスが立ち並んでいて、気分がうきうきしてきます。郵便局、外貨両替所もあります。週末には観光バスが列をなし、登山客や五合目だけの観光客でにぎわっています。以前はピーク時の駐車場不足の問題が深刻でしたが、近年はマイカー規制が長期になったので緩和しています。高地順応のために1時間ぐらいはゆっくり休憩するのが良いです。まずは、小御岳(こみたけ)神社で登山の安全を祈願します。

泉が滝
 登山道は、最初は平坦な道で始まり、その後、泉ヶ滝というところまでゆるやかな下りが続きます。だから気分がさらにうきうきしてきます。そのためついつい早足になり、それがあとになって高山病を誘発しやすくする要因となります。意識的にゆっくり歩くのが賢明です。特にグループのリーダーは気を付けないと、同行者を六合目でリタイアさせてしまう可能性が高くなります。

これから登り
 1キロほど平坦な道、緩やかな下り道が続いた後、泉ヶ滝からいよいよ登り道が始まります。これまでのルンルン気分が一気に吹き飛びます。泉ヶ滝から六合目までは歩行距離にして約700メートルの登りが続きます。

吉田ルート・六合目
 六合目(標高2390m)で吉田口登山道と合流します。吉田口登山道は山麓から登ることができる歴史のある登山道です。六合目にある富士山安全指導センターでは、登山情報、天気情報などが掲示されているので確認して下さい。係員が安全な登山のためのパンフレットを配布している時もあります。その時は必ず一読しておきましょう。なお、六合目といっても頂上と五合目を均等に五等分しているわけではありません。「なんだ、もう五分の一も登ったのか。富士登山なんてちょろいちょろい」と勘違いしないように。(実際は17分の1ぐらいしか登っていません) 

七合目までのジグザグ道
 六合目から七合目(標高2700m)の最初の山小屋である花小屋までは整備されたジグザグの坂道が続きます。約1時間かかります。吉田大沢の落石を防護する大きな壁がいくつも作られており、その脇を登っていきます。

七合目の山小屋群
 七合目の山小屋群が近づいてくると、気持ちが高揚してきます。花小屋の手前までなら引き返すのは容易ですが、そこから先は岩場なので下りにくいです。かつては五合目から七合目まで馬に乗って登ってくることができたのですが、現在はその乗馬コースはなくなっています。

七合目の岩場
 花小屋が建っている場所から岩場になります。ごつごつした溶岩の上を手で支持しながら登る場所もあるので軍手が必要です。ただ、恐怖を感じるような急な場所はありませんから安心して下さい。鎖は登山道の目印であり、あまりしっかりとは固定されていないので体重をかけないようにして下さい。このあたりは山小屋の密集地で、ちょっと登るたびに何度も休憩ができます。それを繰り返しているうちに、いつのまにか、結構な高度を稼ぎ出していることに気づき、おもわずにんまりしてしまいます。
 七合目には救護所(開設期間:7月下旬~8月下旬)もあります。花小屋からは、日の出館、七合目トモエ館、救護所、鎌岩館、富士一館と続き、ちょっと間があって、鳥居荘、東洋館と続きます。東洋館はよくバスツアーで利用されています。富士山の山小屋の夕食はカレーライスが定番ですが、ここではハンバーグ定食が供されます。

太子館が見えてきた
 太子館が見えてきたら標高3000mを越えています。八合目に到着です。山小屋の名前は、聖徳太子が白馬に乗って富士山に飛来したという伝説に由来しています。太子館には救護所が開設されます(7月下旬~8月中旬)。

元祖室
 やがて岩稜の登山道から砂礫の滑りやすい道へと変わります。蓬莱館、白雲荘を経て元祖室へ。富士講行者の食行身禄(ジキギョウミロク)を祀った烏帽子岩神社が隣接しているため、現在でも富士講の人がよく利用する山小屋です。SMAPの木村君と草なぎ君がスマスマ富士登山で仮眠をとった場所でもあります。

八合目トモエ館
 富士山ホテルの脇を通過して、本八合目(標高3350m)の八合目トモエ館、江戸屋のある地点で須走口と合流します。しかし、もともと吉田ルートの登山客が圧倒的に多いので、急に混雑してとまどっているのは須走ルートで登って来た人たちです。このあたりの山小屋では荷物一時預かり(有料)をしてくれます。不要なものは預けてから山頂をめざしましょう。ここから山頂までは約70分。高地のため個人差が大きくなる場所です。また混雑時(週末、夏休みの御来光前の時間帯)には最高3時間近くかかることもあります。トモエ館と江戸屋の間の登山道を進みます。

御来光館
 次の八合五勺、御来光館が山頂までの最後の休憩ポイントです。ここから山頂までは特に落石に注意してください。御来光館のホームページでは営業期間中は標高3450メートルからのライブ映像や富士山の天気、状況の情報を配信しています。最新の富士山の状況を知るのにとても役立ちます。

八合目より上部を見た風景 山頂付近の岩場 山頂の鳥居
 九合目に石室がありますが、それは小さな祠です。視界が悪い状況時には、九合目の鳥居を山頂だと勘違いしてがんばる人多数。ピーク時(週末、お盆休み)には頂上付近の登山道はものすごいラッシュとなります。午前1時頃からご来光を山頂で、という人たちが一斉に山小屋から飛び出してくるため、その混雑たるやすさまじいものがあります。行列が遅々としてなかなか前へ進めません。あげくの果てに山頂目前でご来光を迎えるケースも。(参考→富士山は大混雑

ご来光の時間は(おおまかですが)7月初旬が4時半、8月下旬が5時頃です。

山頂

吉田ルート・頂上風景
 ついに登頂。標高3720m。山頂には4軒の山小屋が並び、賑わいをみせています。富士宮口側よりもずいぶんと観光地の雰囲気です。久須志神社では数え年が70才以上の登山者は記念品をいただけます。ただし、シーズン終わりには記念品の在庫がなくなっている場合もあります。
 山頂でご来光を見るなら、左の写真奥に写っている成就岳という場所がベストとされています。以前は大日岳と呼ばれていました。火口の反対側に富士山測候所が見えます。現在は「富士山特別地域気象観測所」と呼ばれています。また、火口に突き出した「虎岩」が目をひきます。詳細は「お鉢巡り」のページを見てください。
 吉田口側の山頂には郵便局がありません。そこで、山頂のある山小屋では火口の反対側(富士宮口側)の山頂郵便局へ代わりに手紙を運んでくれるサービス(有料)があるそうです。たいていのバスツアーではお鉢めぐりをしませんので、そういう場合に重宝するサービスです。

下山

 下山道は登山道とは別です。時々、登山道を下ろうとするする人がいますが、混んでいる時は登山客の邪魔になりますし、岩場なので下りにくくて大変です。下山道はブルドーザーが通れるように整備されているので楽に下山できます。下山道は売店の並びを過ぎたあたりにあります。上の写真の奥の方です。

吉田ルート・下山風景 吉田ルート・下山分岐標識

 砂礫の道です。滑りやすいので注意して下さい。乾燥した日が続くと、ものすごい砂埃が立ちます。マスクやタオルで口や鼻を塞いで砂埃を吸い込まないよう注意が必要です。また、他の登山者が近くにいる時は砂埃をなるべく立てないように静かに歩いて下さい。
 下山道は本八合目で登山道と大接近するので、本八合目の山小屋(胸突江戸屋、八合目トモエ館、富士山ホテル)に荷物を預けていても問題なく受け取りに戻れます。
 下山道には赤と黄色を配した標識がいくつも立っています。吉田ルートのシンボルカラーは黄色です。

<分岐点に注意!>

 下山時の要注意点があります!!!
 それは下山時に道なりに降りてしまうと、まちがって須走口の方へ行ってしまうことです。

※2014年は下江戸屋を過ぎたところに分岐点がありましたが、また以前のように下江戸屋の手前に戻りました。

分岐ポイント 河口湖口・須走口との分岐

 八合目の山小屋、下江戸屋の脇を回り込むようにして吉田ルートにつながっていますから、写真の標識には十分に気をつけていなければなりません。この写真の標識をぜひ覚えておいてください。しかし、やや離れた場所に立っているので、視界が悪い状況では見逃すことが多いです。まちがったかもしれない、と不安になったら、すぐに周囲の人に尋ねて確認してください。

 登山道ごとに色が指定されています。吉田ルートのシンボルカラーは黄色です。下山時は黄色い標識、「吉田口」「吉田ルート」「スバルライン」などの文字が記載されていることを確認しながら注意して下山して下さい。須走ルートは赤です。

 江戸屋という山小屋は二つあります。上が「胸突江戸屋(上江戸屋)」。ここで説明しているのは下の「下江戸屋」です。

「下江戸屋」の脇を通っていくため、わかりづらいです。実際に間違える人が続出していますが、見事に切り抜けて下さい。外人さんにとっては「すばしり」と「スバルライン」と、どちらも「SUBA-」と表記されるので間違えやすい。

■ラストチャンス!!!
吉田口・須走口との分岐
 上記の分岐点でまちがって須走ルートへ降りてしまった場合、100メートルほど下ったところにも標識が立っている分岐点があります。吉田ルート(富士スバルライン五合目)から来た方は、必ずここで左方向へ進んで下さい。登り坂です。さっきの分岐点から下った分だけ登り返さなければなりません。この標識まで見逃してしまうと、かなりきびしいことになります。
 まちがって須走口五合目へ下りてしまった場合、そこからスバルライン五合目までタクシーで戻ろうとすると、2万円近くかかります。

 下山時、分岐するまでは黄色の標識に最大限の注意を払って下さい。
吉田ルートの標識

下山道はまだまだ続く

吉田ルート・つづらおり下山道
 下山道は、延々と、つづらおりの道が続きます。砂走りではないので地面はやや固め。とにかく長い。それはもう気が遠くなるような長さです。くりかえしますが、途中に売店がないので晴天の暑い日には、水を持っていないと日射病で脱水症状をおこす危険性もあります。くれぐれも水をお忘れなく。地面が乾燥していると砂埃が凄いので、タオルやバンダナで鼻と口を覆いましょう。うっかり忘れると、後で鼻をかんだ時に真っ黒な鼻くそが出てきてびっくりします。

緊急避難所 七合目のトイレ
途中に緊急避難所、そしてつづらおりの道の終わりにトイレがあります。

吉田ルート・下山道
 やっと一番下までたどり着いたかと思っても、そこは五合目からかなり離れた場所(獅子岩)であり、今度は横方向に向かって延々と歩いて行かなければなりません。途中、沢を横切る部分では落石除けのトンネルが造られています。横方向になってから1キロあまり歩くとようやく六合目に到着。そこからさらにゴールの五合目までは1.7キロほどあります。そして最後には緩やかな登りがあります。横方向といっても、下りの坂道ですので、足を痛めている場合は距離の長さゆえに辛く感じます。

 なお、横方向の部分だけ馬に乗ることができます。獅子岩から数百メートルほど五合目寄りに馬が待機しています(いないこともあります)。料金は12000円。結構なお値段ですが、足を痛めて歩けなくなった場合、最後の手段として馬に乗れるよう、お金を用意しておくと良いでしょう。吉田ルートは特に下山道の距離が長いので足をいたわりながらあせらず歩いてください。

吉田ルート

吉田口の地図
・富士スバルライン五合目から泉が滝までが約1㎞です。
・六合目で吉田口登山道に合流。
*山小屋については、当サイト内・富士山の山小屋を参照して下さい。

この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。(承認番号 平15総使、第64号)


下山道について
 なぜ下山道がこんなに登山口から遠いのかという疑問を抱く方も多いと思います。また、出発前に年輩の登山経験者の方から「下りは砂走りだから楽ちんだよ」とアドバイスを受けたものの、実際は違っていたので帰宅してから一悶着という方もいるようです。実は、以前は上記の地図の「吉田大沢」が下山道として利用されていました。しかし、昭和55年にそこで大落石事故が発生したために、現在の場所に下山道が造られました。そういう経緯です。

お馬さんがいっぱい、ということは・・・。
吉田ルート・馬糞  五合目と六合目の間には乗馬用のお馬さんがたくさんいます。でも、まさか馬専用のトイレがあるわけではないですから、必然的に、下山路には馬糞が散乱しています。くさいです。でも、それはそれで風情というか、普段嗅ぐことのできないにおいなのでよしとしましょう。足下にはたえず注意して馬糞を踏んづけないようにしましょう。でも、ときどきは上方からの落石にも注意する必要があります。こりゃ大変だ。
乗馬料金表
七合目までのコースがなくなりました。(2012年撮影)

ツアー先導のおにいさんが素敵
 お客さんの命を預かっているため、先導のガイドのおにいさんは、危険(特に落石事故)にシビアです。ときどき、登山道をはずれて登ろうとしたり、休憩している人がいますが、これは落石を誘発して本当に危ない。ガイドのおにいさんは「こら、登山道からはずれるな!」と本当に厳しい口調で叱りつけます。まったくの正論なので言われた方は何も言えず不満そうに、すごすごと登山道に戻ります。ぜひ、ガイドのおにいさん(もちろん人によりますけどね)のそばで、痛快な叱責を楽しみましょう。逆に叱られることのないよう、登山道をはずれないようにしましょうね。

登山道の呼び名に注意
 これまで一般的に「河口湖口」と呼ばれてきましたが、2009年より行政的に「吉田ルート」という呼び方に決められました。公的な標識には「吉田口」「吉田ルート」と記載されており、「河口湖口」とは記載されていません。

■4コママンガ
ショーちゃんの富士登山
親子登山の様子を描いた4コママンガです。富士登山の雰囲気が分かります。ぜひ、ご覧になって下さい。

■ルート別解説
富士宮ルート
須走ルート
御殿場ルート
吉田ルート

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