吉田口(山麓から)
よしだぐち 標識の色:黄色
■歩行距離と所用時間(元気な人の場合)
北口本宮富士浅間神社→馬返し :
8.0km 2時間30分
馬返し→六合目(標高差1000m):
4.5km 2時間30分
六合目→頂上:(標高差1270m):
5.5km 4時間30分
★
登山道の地図のページに吉田口登山道の詳しい地図があります。
富士スバルラインができて五合目まで自動車で行けるようになるまでは最も利用された登山口です。河口湖口登山道とは六合目で接続しています。途中には茶屋跡や神社があり、昔の富士登山をしのぶことができます。登山客の激減によってすっかり衰退しましたが、2002年に大規模な登山道の整備がなされました。
世界文化遺産に登録となれば、五合目から登るのではなく、山麓からの神社、史跡も見て、富士山信仰に関心を持つべきなのでしょう。元気な人なら馬返しからなら六合目まで2時間半ですから、体力と時間に余裕があれば、山麓からの登山も良いと思います。
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吉田口は富士吉田市の
金鳥居(かなどりい)、あるいは
北口本宮富士浅間神社(標高860m)からスタートしますが、
馬返し(1450m)までは車で入って行けます。馬返しには30台ほどは止められそうな駐車スペースがあります。ただ、ここでは数年前は車上荒らしが多かったという話がネット上で散見できます。現在はどういう状況なのか不明なのですが、この点はちょっと気にしておいた方が良いかもしれません。古くはここが俗界と聖地の境界で、馬に乗ってこられる最終点でした。まさに馬を返す場所だったのですが、後には五合目まで馬で登っていたそうです。
★登山バス運行開始
2011年から富士山駅(旧・富士吉田駅)から馬返しまでバスが運行しています。
これを使えば一合目からの登山が安価で容易になります。
(富士急バスの時刻表)
富士急バス・富士山駅~中の茶屋・馬返(馬返バス)
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馬返しからすぐに、両側に狛犬ではなくてお猿さんが立っている鳥居があります。そこからさらに500mほど登ると一合目(1520m)
鈴原天照大神社に着きます。古くは大日如来を祀っていました。「富士山の神である浅間明神が仏では大日如来にあたることを知らしめるために登山道最初の社に安置した(登山道の案内板より)」のだそうです。その後、明治初期の廃仏毀釈で天照皇大神を祀ることになりました。
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さらに30分ほどで二合目(1700m)
御室浅間神社が見えてきます。966年に建てられた富士山では最古の神社なのだそうです。この神社の里宮が南都留郡勝山町にあるため、周辺10ヘクタールが勝山町の飛び地になっています。登山道はよく整備されています。吉田口は、自衛隊富士演習場に近く、演習日には雷のような大砲の音が響いてきます。途中で林道を横切りますが、そこに「女人天上」と書かれた立て札があります。かつては女性は二合目までしか登山を許されませんでした。
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二合目から20分ほどで三合目(1840m)
三軒茶屋に着きます。かつて3つの茶店があったそうです。ここは中食堂とも呼ばれました。早朝に富士吉田を発った道者たちがここで昼食を取ることが多かったからです。彼らはほとんど宿泊先の御師(おし)にお弁当を作ってもらったので、お茶だけを所望することがほとんどだったとか。
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三合目からは約30分で四合五勺(2150m)
井上小屋に到着。小屋には「五合目御座石」と書かれています。御座石とは小屋の左側にある大きな岩のことです。やがて滝沢林道と合流。左へ進むと中の茶屋へ至ります。少しだけ右方向へ舗装された道を歩いて、また樹林帯の中の登山道に入っていきます。そこからすぐの五合目(2230m)
佐藤小屋は雪山登山をする登山家たちの宿泊場所としてもよく利用されています。馬返しから実際に営業している山小屋はこの佐藤小屋が最初です。
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佐藤小屋から富士スバルライン五合目方面へ進む道がありますが、ここまで来たらせっかくなのでもう少し登って日蓮上人の像を見に行きましょう。その途中、佐藤小屋から少し登ったところに
里見平・星観荘があります。
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さらに登っていくと、かつて日蓮上人が修行をした
経ガ岳へ。日蓮上人の像が建立されています。脇の小道を下りていくと、日蓮上人が修行に使った「姥ケ懐」という岩穴にお堂が造られています。
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元の道に戻り、登り続けていくと、六合目(2380m)の
富士山安全指導センターに到着。富士スバルライン(河口湖口)五合目からの登山道との合流地点です。
吉田口はところどころに古い建物が残っていて、いにしえの雰囲気をたっぷり味わえます。ただ、地表が固く締まっていて、また坂が直線的な場所では下山時には足に衝撃が来てちょっとつらいです。なお、馬返しを過ぎると佐藤小屋までトイレがありません。
吉田口のさらに詳細な情報が欲しい方は以下のHPがおすすめです。北口本宮富士浅間神社からの登山記が掲載されています。
・
はじめての富士山-吉田口の登山記録