宝永火口から大砂走り
2001年9月6日(木)早朝に弟の車に同乗して御殿場口五合目に行ってきました。特に登るつもりもなく、夏の登山シーズンの名残を惜しみながら、なんとなく散策してみようということで。駐車場付近は霧の中で御来光も拝めませんでしたが、登って行くうちに霧が晴れ、やがて見事な富士山の偉容が見え始めました。1時間ばかり歩いたのですが、そのまま山頂へ行くつもりもないし、大砂走りを体験するにしても、2800mまで約3時間は登らないと行けないし、ということで引き返しました。途中、2台のブルトーザー(富士山ではトを濁らずに言う人が多いようです)が通過していきました。荷台に乗って眠っている人の姿も。目が覚めたら山頂、なんてのはいいですねえ。
上の方は快晴なのがわかったので富士宮口五合目へ向かいました。新六合目の売店は2軒とも営業していました。新六合目からは通行禁止の標識が出ていましたが、けっこう大勢登っていました。私も用意していたら、登ってみたくなるほどの晴天。ただし富士宮口は山小屋が全て閉まっているのでトイレも使用不可。女性だと大変です。山頂をめざしているのに、通行禁止の看板を見て、宝永火口方面に向かっているグループが短時間に2組もいました。
宝永火口を登って御殿場口の大砂走りを下りることにしました。弟が車を再び御殿場口の駐車場へ回してくれるとのこと。宝永火口はシーズンオフの平日とあって誰もおらず、なんか心細かったのですが、せっかくの機会なので、やってみることにしました。8:25に宝永火口の底(標高2420m)からスタート。この写真の中央あたりで、登山道と下山道が分岐します。下山道は直線的で距離が短いのですが、砂礫がずるずる滑って登りにくいので、結局、左方向の登山道を進みました。雄大な火口の中にひとりぼっちでいると、なんだか圧倒されそうになります。下山を、御殿場口経由で富士宮口五合目へ戻るにはこの斜面を逆に下りてくるわけです。
登山道は、やや地面が湿っていたせいもあって、さほどずるずると滑ることもなく、また先日富士登山をしたせいか、足腰がしゃきっとして妙に体調が良く、結局9:00に分水嶺まで登り切ってしまいました。宝永山(標高2693m)にちょっと足を延ばしました。なにやら信号機のようなものが。これはいったいなんじゃらほい? ここでおにぎりを食べ、スパッツを装着して大砂走りへ突入。
ひさしぶりの大砂走り。ただ、今回は砂礫がちょっと湿っていて重く、前回のような浮遊感はありませんでした。それに一人だとなんか味気ない。砂礫が深いので、歩くとかえって疲れる。仕方なしに走って下りました。日差しが強く、腕が日焼けするのが気になりました。
でも、途中からいきなり霧になり、視界5mほどに。日焼けをしなくてすむので大歓迎。気温も急に下がって、これまた好都合。でも、眼鏡に水滴がつくので外しました。こうなると頼りは、地面に横たわっている道案内のロープだけ。
下り始めて20分もしないうちに、建物が見えてきました。気象庁避難小屋(使われていない様子)です。これが大砂走りのゴールの目印。なんだ、もうついちゃったのかあ、という感じ。そのうち人影が。「こんにちは」と声をかけると「こんにちはじゃないよ」という声。なんだ、失礼な奴だな、と思ってそのまま通り過ぎました。しばらくして、さらに寒くなったので、ウインドブレーカーを着るために立ち止まってデイパックをごそごそやっていますと、後ろから弟がやって来た。なんだ、あの人影がそうだったのか。霧による視界不良と眼鏡を外していたせいで全然気づきませんでした。彼はてっきりゴール地点で待っていると思っていたので。お出迎えご苦労さまです。
以前、御殿場口登山をした時は、すっかり足腰が疲労し、膝も痛くなったので、ずいぶん最後の直線が長く感じましたが、今回は疲れていない分、あまりたいしたことはありませんでした。霧の中を大石茶屋に到着。地元の中学生が清掃活動とかで、大勢集まっていました。数人から挨拶されました。特に、かわいこちゃんから挨拶された時は、とてもうれしかったです。たぶん、登山したことをねぎらってくれたのだと思いますが。ごめん、おじさんは途中から下山しただけなのよ。というわけで、標高2700mから1440mまで下るのにちょうど一時間でした。
五合目の売店は最初「V2」と読むのかと思っていたのですが「1/2」なのですね。看板にはHALF MOUNTAIN と書いてある。しゃれてます。でも、御殿場口のイメージからすると「ふもと屋」みたいな感じの方が良いかも。右の写真の下半分に映っているのが2001年に新しくできたトイレ。右端が身障者用ですが、一晩中ドアが半開きになっていたせいか、蛾がたくさん室内に入り込んでいました。夜通し点灯しているので、その明かりにつられたのでしょう。身障者用トイレには赤ちゃんのおむつ替え用のテーブルがありましたが、こんなに蛾がいたのでは怖くて使用できないですよ。トイレの内部を常夜灯にしなければよいのでは。
(追記)2012年8月16日にこのトイレを見に行ったところ、扉に「虫が入るため開放厳禁」という注意書きが貼られていました。そのため、内部には数匹しか虫がいませんでしたが、閉めきっているため、アンモニア臭がちょっと強かった。でも、大量に虫がいるよりはマシです。