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私の富士登山記・6

6回目の富士登山

 1998年7月24日(金)〜25日・富士宮口

 よく一緒に酒を飲む仲間たちと富士宮口を登ってきました。六合目まで一緒に行って山小屋に宿泊するつもりで参加するY君が、さっさと自分の人脈で車を調達してしまいました。メンバーはY君の他に、彼の友人のT君、S君。T君とは普段、よく一緒に酒を飲む仲間です。

 しかし、当日は天気が悪い。下界では所々雨が降っていました。ただ、今回の主催者のY君はもともと六合目の山小屋に宿泊するつもりなので、とりあえず行ってみましょう、ということで富士宮口五合目へ。そこから20分ほどで六合目の雲海荘に到着しました。Y君とS君はここで宿泊。T君と二人で山頂アタックをすることになりました。

 天気はすっかり回復していました。今回から私は登山装備にちょっと工夫をこらしてきました。まず登山用ステッキを購入。それからトレッキング・シューズの中に、衝撃吸収用のソルボセイン中敷きを入れました。さらに軽量のリチウム電池ヘッドランプ。赤く点滅するピカチュウキーホルダー(コンビニやおもちゃ屋さんで売ってます)、さらに、一回り大きなナップザック(でも、腹が出ているのでウェストの紐が足らないのです。とほほです)。私の住んでいる鶴見には、登山用具の有名専門店IBS石井スポーツがあるのです。そこまで歩いて20分。思えば、なんと便利な場所に住んでいたのかしらんと、再認識した次第です。

 3度目の富士宮口ですから、ペースはよくわかっています。特に八合目までが異常に長く感じるということも。そして、今回は少しは登山歩行方法を研究してきました。とにかくだらだらとゆっくり歩く。同行したT君が、「このペースでいいの?これなら大丈夫だ」と安心したように言いました。ただ、途中でT君が気圧変化のために耳が痛くなったということで座り込んでしまいました。とりあえず次の山小屋まで先に行って、彼を待ちました。ところがここで衝撃の事実が!なんと、まだ宿泊者が寝ている時は山小屋では飲料を売ってくれないのです。し、知らなかった・・・。飲料は山小屋で買えば良いというのが持論の私はなにも飲み物を持っていません。仕方なく次の山小屋まで登ることに。

 ところが、次でも同じことになってしまいました。途方にくれる私にT君がキリン・サプリをくれました。6度目の登山だというのに、初めてのT君に助けてもらうことになってしまいました。また彼が持参したおつまみ類の塩気がおいしい。全て山小屋で買えばよいという私でしたが、やはり少しは水やおやつを持参するべきだ、と、この時点で悟ったのであります。

 自衛隊の人たちが大勢登っていました。ただ、他の登山客にも十分配慮し、速いペースの人が来たら道を開けたりしていて好感がもてました。自衛隊の服ですから色も地味で質素に見える。寒そうですが、案外あれで最先端の素材を使っていて寒くないのでは。女性隊員もけっこう多いのですね。

 今回はA君と同行しなかったせいか、完全にマイペースで登ったおかげで、頭痛もなく精神的にも楽に登ることができました。いつもA君が先に行ってしまうのですが、それでもやはり私も少しは無理してつきあってしまう気持ちがありオーバーペースになっていたようです。やはりグループで行くと、遅い人は速い人に遠慮してオーバーペースになります。速い人がかなり意識的にペースを落とす必要があると思いました。その点、T君は私とペースが同じぐらい遅い。おかげで、ご来光の時間には九合五尺までしかいけませんでしたが。

 ここまでくると、すでに宿泊者は出発した後なので、逆に山小屋ではどんどん飲料を売ってくれます。呼び込みまでしてます。この九合五尺で焼き印を押しているおじさんを、私は「タタタのおじさん」を呼ぶことにしました。ある外人女性がゴミをゴミ箱に入れようとしたら、それは分別の種類が違っているらしく、おじさんが大声で「たたたた!」と叫んだのです。日本人の私でも何が起こったのか?と思ったぐらいですから外人女性はわけがわからず、でも、なにか注意をしているらしいことがわかったので、別のゴミ箱へゴミを入れて事なきをえました。でも、怒声に聞こえた。たぶん、あの外人女性は「オー、アイ ヘイト ジャパニーズ」とか思ったのではないかと、国際親善の観点からちょっと心配。でも、その「たたた」というのは単に、タタタのおじさんの口癖だったのですが。

 ようやく山頂へ。疲れていましたが、がんばって測候所をめざしました。富士宮口から来たのならやはりゴールは測候所でしょう。河口湖口と須走口からなら遠すぎるので無理してくることはない、というか、お鉢巡りをせざるを得ないわけで、大変です。山頂は素晴らしい天気で駿河湾の絶景が楽しめました。あんなに天気予報も悪く、来るときは雨が降っていたのに。山の天気は本当にわからないと思いました。

 登山用ステッキのおかげで下山が楽ちん。また背中を丸め、体勢を低くして、膝のバネを最大限に利用して下山するという方法をとったところ、とりあえず膝への負担が激減。膝が笑い出したT君が「先に降りて二人を安心させてくれ」というのでどんどん下山しました。雲海荘に着いた時、二人は宝永火山を見物に行ってましたがやがて戻ってきました。そしてしばらくしてT君もなんとか下山してきました。やれやれ。

 さて、本当ならすぐに帰宅して眠りたいところですが、六合目に泊まったY君は元気そのもの。田子の浦へ行って海の幸を食べようということで大回り。車のクーラーも故障。でも、そのおかげで体を急激に冷やさなくてすんだので体調を落とさなくて済みました。今回の登山はかなり楽でした。それはやはり本当の自分のペースで登れたこと、それなりの装備をしてきたこと(特にステッキ)、下山歩行方法の工夫などでしょう。やはり予備知識の有無は登山のつらさに大幅に影響するようです。

★教訓:深夜は山小屋で飲料を売ってくれないことを知る。

(1999/8/1)

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