■2003年7月18日(金)〜20日(日) 河口湖口
1 登山の経緯
以前、職場の先輩から、「子供の10歳の誕生日に、成人式の半分ということで富士登山をしたところ、思いがけず親子の絆が深まりとても良い経験となった」という話を聞き、「いつか自分も」と思っていた。長女の10歳の誕生日に思い切って富士登山を提案すると、「べつにいいよ」とあっさり決まってしまった。
2 行程
[計画]
18日 20:00自宅(千葉県)出発
19日 0:00河口湖口五合目着
6:00登山開始
20日 4:36ご来光(山頂又は山小屋前)
10:00〜12:00五合目着
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[結果]
18日 22:00自宅(千葉県)出発
19日 2:00河口湖口五合目駐車場着(仮眠)
8:00登山開始
15:30白雲荘着(泊)
20日 4:37白雲荘前にてご来光
6:30白雲荘出発
11:45久須志神社着
13:15下山開始
17:30五合目駐車場着
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3 装備
今回は、子供と一緒であることや私が初心者であることを考慮して、「お金で買える安全は、小遣いを削っても揃える」ことにして、「あっぱれ」等のHPで推奨されている装備を一通り準備。出発前には、ちょっとやり過ぎたかな、と思っていましたが、結果として無駄なものは何ひとつ無かったので装備の大切さを痛感しました。
4 詳細
《18日》
20:00 帰宅後、夕食、入浴を済ませていざ出発、と思った矢先に大問題発生。荷物の最終確認で、砂避けのスパッツを買い忘れていることが判明。近所のスポーツオーソリティーで購入して仕切りなおし。
22:00 予定より2時間遅れで千葉県松戸市の自宅を出発。気ばかりはやるが、安全運転で首都高から中央高速へ。ミニバンの座席をフラットにしておいたので、茜はいつの間にか眠ったようだ。乗り物酔いを心配していたが、酔い止めのせいか良く寝ている。
01:00 談合坂付近から心配していた雨が降り始める。五合目で天気が回復しなければ引き返すつもりでスバルラインへ。料金所の1kmほど手前から濃霧のため視界は30m程度となり、ノロノロ運転を余儀なくされる。4合目を過ぎて10分ほどすると徐々に霧が薄くなってきた。そういえば、「あっぱれ」の以前の記事で、3連休初日は4合目付近に駐車させられたと出ていたが、今年は悪天候のためか極端に車の量が少ない様子。
02:00 スバルライン5合目着。予定より2時間遅れで到着したが、ロータリーの奥の駐車場にすんなり車を置くことができた。濃霧の中を下山するのは嫌だったので、翌朝まで仮眠して引き返すことにした。寝袋を布団代わりに広げてタオルケットを2枚重ねたが、まだ寒かったのでフリースに着替えた。
《19日》
06:00 結露したガラスを空けると、奇跡が起きていた。大げさなようだが、前夜の雨が嘘のような景色が目の前に広がっていたのだ。五合目の真下は雲海の中なのに、山頂まで雲のない空間が続いている。あわてて、出発の準備を始めた。
08:00 山頂にめざして登山開始。気温は、フリースに合羽の上下を着てちょうど良い程度なので15℃前後と思われる。ほぼ無風で、快適に6合目を通過。途中の休憩で輪唱をして、腹式呼吸の練習をする。思った以上に外国人の姿が目立つ。彼らの目には、茜はよほど幼く見えるらしく、カワイイーとかスゴイネーなどと良く声をかけられる。
11:10 7合目到着。6合目を過ぎた途端、断続的に強風が吹くようになる。その都度、しゃがみ込んで通り過ぎるのを待ったので、茜は疲労が出始め山小屋のベンチに崩れるように座り込む。高山病を心配したが、おしるこ(インスタント400円)を食べると復活してまた歩き出した。下を見ると、安全指導センターのすぐ下までガスが上がってきている。山頂を見上げると、8合目から上がガスに覆われている。上下からガスが迫ってくるようで、少しあせりが出てきた。
12:50 8合目を目前にして、二人ともバテ気味。甘―いホットミルクを飲んで休憩。茜の顔色が悪く、唇も白っぽくなってきたので、ペースを守るため、ツアーの人たちが途切れるのを待って出発。2本700円の酸素を吸わせてみると、効果てきめん。茜によると少し苦しくなったときに4回吸うと楽になるとのこと。7合目から8合目までで一本目を使い切った。その後は、順応したらしく不要に。まさか、残る一本にお父さんがお世話になるとは、このときは想像もしていなかった。
13:30 本格的な岩場を前に昼食を取る。自宅から持参したパンを頬張る。岩場での休憩時に、折りたたみ式のマットが大活躍。どこでも、岩の凹凸を気にせず座れて本当に助かる。ここからは、両手を使っての岩登りもあるので手袋を着用し、荷物はお父さんが預かることにした。
15:30 白雲荘着。到着しても、すぐに小屋に入らないでクールダウンした方が良いと聞いていたので、小屋の前を10分ほどうろついて受付へ。荷物を整理する間もなくベッドに案内される。二段ベッド上段の畳2枚ほどのスペースに大人3人子供1人を詰め込まれたが、長さは充分あるので体を伸ばしても足が出ることはなかった。少し経つと、案内係のお兄さんが、隣の同じスペースに大人2人子供3人入るのでもっと詰めるようにと言ってきたが、一度横になるともう動きたくないので、体を揺すって詰めたフリをする。ゴメン! 受付から30分ほどで夕食。缶詰の辛いだけのカレーだったが、食べないと持たないと思い茜が残した分も無理やり食べた。(これが大失敗で、以降胸焼けが夜中まで続くことに・・・)
21:00 山頂でご来光を迎えるツアーの人たちの到着ラッシュが始まる。点呼と注意事項の説明が繰り返され、眠れない。朝日・読売・毎日等の新聞社系列の旅行者が目立つ。
《20日》
0:00 今度は、山頂をめざしての出発組みが動き出す。会話の様子から、団体客が登山道を占領する前に、山頂に行ってしまおうということらしい。結局、この騒ぎは、明け方まで続いた。茜を起こして山頂に行くかどうかを確認したが、眠くてダメとのことなので、しばしの安眠を楽しむことにした。
4:00 起床。外は強風のため、ギリギリまで室内で待機。茜が「初日の出のときより寒い」と言っていたが、体感温度はマイナス10度といったところか。強風対策に用意した帽子とシャツをつなぐヒモが役に立った。待望のご来光は、雲海からの日の出で少し残念だったが、とてもきれいで感動的だった。
6:30 山頂へ向けて出発。歩き出してすぐに、お父さんの体調が悪くなり始める。2晩続きの睡眠不足と昨日のカレーのダブルパンチで、胃の具合が悪くつらい。一方、茜は元気になりお父さんを励ます余裕も出てきた。下山時の埃対策に買ってあったマスクが強風時にも役立った。辛くなったときに深呼吸できるだけで全然違う。
7:50 本8合目富士山ホテル着。体調は全く良くならないので、荷物のほとんどを預けることにする。お父さんの休憩中、茜は手持ち無沙汰になり、おじいちゃんに電話で様子を報告する。また、ここから岩場が減り、両手が空くので、茜用に金剛杖を一本購入。焼印押しという具体的な目的が加わり、ますます元気。ここを逃すと山頂までトイレは無いと思い、3件ある小屋の一番手前の小屋を利用したが、臭くて汚くてひどかった。上の2件は、新しいエコトイレで、しかも料金も同じ100円だったのに・・・。
11:45 山頂到着。登頂の喜びにひたる暇もなく、お父さんは売店前の休憩所でダウン。その間、茜はみやげ物の物色・焼印・はがきの発送手配・昼食等で精力的に動き回る。1時間ほど休んだが体調は回復せず、強風に加えガスも出てきたのでお鉢めぐりは断念し、下山開始。
18:30 5合目着。下り始めのオーバーペースがたたり、曲がり角ごとに休憩を取りながら必死の思いで下山。茜は「ゆっくりでも、歩いてればいつかは着くから大丈夫だよ」などとお父さんを励ますほどの余裕を見せる。その後、想像以上に時間がかかり、途中でお茶がなくなり大失敗。多少重くても、下りは売店が無いので水は多めにあった方が賢明だった。
19:50 山中湖の保養所に到着。連絡もせず大幅に遅れたため、随分心配を掛けた様子であった。事情を話してお詫びする。入浴だけして就寝。久しぶりの熟睡と湖畔の薬屋さんで処方してもらった漢方薬が良く効いて、翌日は、お父さんの体調も回復。
《21日》 茜は、山頂で食べ損なったソフトクリームの代わりに有名店のアイスを買ってもらい大満足。そのあと、がんばったご褒美にテディーベアミュージアムとペーパームーンのケーキをゲットしてリゾートの1日を満喫し帰路へ。(一番楽しかったのは、みやげ物店に1時間放し飼いにされたことらしい。)
5 まとめ
○ 装備等の有用度
・ 合羽セパレート(絶対必要。子供用も専門店でモンベルを奮発して正解)
・ リュック内の小分け用袋(100円ショップでジプロックもどきの収納袋を購入したが、山小屋内での荷物の出し入れ等での騒音軽減効果もあり、とても重宝した。)
・ 酸素ボンベ(早めに使用することで効果があった。山小屋では地上の4倍以上なので是非出発前に買うべし)
・ モチベーション(子供は、焼印・お菓子・おみやげなどささいなことで結構がんばれるので、ぐずりだす前に目標を小出しに与えることが大切。そういう意味では、大人の方が難しい)
・ 水(子供連れの場合、洗顔やうがい用に少量でも真水を持っていくことをお勧めします。)
・ スパッツ(砂走り以外のルートでも、必要。例えば、河口湖口下山道は、固い道の上に砂が積もった構造なので、子供は必ず転倒します。砂が入った靴で靴擦れになり、立ち往生している子が続出していました。)
・ 手袋(今の季節に子供用手袋は入手困難なので、伸び縮みするチビ軍手が安上がりでした。)
○ 山小屋は、5月の連休時点でほとんどが満室状態で予約がなかなか取れなかった。ツアー用の枠を先取りするためのようですが、私の場合は断られた小屋の方に、空いていそうな山小屋を教えてもらいました。
○ 何はともあれ、山頂までたどり着けたことは幸いであったが、今思うと五合目の車中泊は無謀だった。もし、混雑していて登山口から遠い駐車場に駐車させられていたら、下山後は悲惨なことになっていた。
(管理人)
茜ちゃんが、がんばりましたねえ。五合目の車中泊は十分に高所順応できたので、結果的には良かったですね。
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