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 みんなの登山記2005−1須走口
 投稿者:くまちさん


■2005年7月9日(土)〜10日(日)

富士山に初めて登ってきました。
登る前には「あっぱれ!富士登山」は参考にさせていただきました。
須走口の駐車場でたまに星を見ているので、天気の不安定さや高山病には簡単になってしまうのを知っていたのですが、やはりあそこは単に入り口なんだなぁと実感しました。 先はあんなに長いんですね。

今回はコージツで出会ったハイドレーションシステムにはとても助けられました。プラティパスの容器には水以外は入れたくないので、ミネラル補給のポカリスェットは粉末を小分け容器に入れて舐めるという形にしましたが、これはなかなかいい作戦でした。

2005年7月9日
天気図を見ると下り坂なので、少しでも荒れないうちに登り始めよう!と決めて、とりあえず仮眠でもいいから寝ようと思ったのに、気持ちが高ぶって眠れないので夜中に移動。今回は須走口から登ります。

体力がないこと、体温が上がると調子が悪くなること、汗をかきすぎると調子が悪くなることから、ゆっくりペースで登ろうとは思ってたけど、自然とふつうのひとの二倍ゆっくりペースになりました。これはそんじょそこらのお年よりも断然遅いです。岩場をふたつみっつ超えると端っこによってぜーはーしてるのの繰り返し。
初めはひとりひとつのザックだったんだけど、あまりにしょっちゅう休むので、ダンナが両方持ってくれました。後ろにはわたしのハイドレーションシステム装備の新型ザック、前にはダンナの長年ご愛用のザック。めちゃくちゃ汗かきですぐに脱水症状を起こすから、自分で背負ってたんだけど、位置エネルギーを稼ぐには体力がなかった... 登り始めてすぐに上着を脱ぎまくって、Tシャツ一枚。ダンナは見てて寒かったらしいけど、とにかく暑くて!

砂地の上りになると、「ゆっくりでも一定のペースで大またに」とかテレビで見た専門家のアドバイスが頭をよぎるんだけど、ゆっくり=歩幅を小さくというのが習慣づいてるようで、ちょこちょこ早歩きしちゃうみたいでなかなか難しい。 あと、登る前に股関節をほぐしてなかったのは失敗。無意識で利き足に体重をかけちゃうからか、痛かった。

とにかく一定の早すぎないペースを作ろうと思って、頭の中で「un・deux・trois」と唱えて20回くらい繰り返すとそこで一回休み、みたいな感じの超スローペースです。がんがん抜かされます。ときどき後方確認して休憩してるあいだにばんばん抜いてもらいました。狭い道だからね、抜いてもらうのがお互いのためでしょう。

ダンナは歩くペース自体はわたしより速いので先の方で待ってる時間の方が長かったかも。ダンナが一気に登って待ってるところまでわたしは少なくとも3回は休んでやっとたどり着くって感じ。しかも「あんまり長い時間休むのはよくない」という登山の常識を無視してたっぷりめに休憩。だって、休まないと進めないから。逆に自分は休めば動けるというのはわかってたから気にせず休みましたが、岩場に座るというのはしないようにしてました。
立ち止まってやったことは
・水を飲む
・小分け容器入りの粉末ポカリを舐める
・食べる酸素をかじる
・ドリンク剤を舐める
・ボンベ入りの酸素を吸う
そろそろ休憩終わり〜と思ったら、深呼吸を5つして、また踏み出す。の繰り返し。
酸素は効かないというひともいるけど、わたしにはよく効きました。吸った直後は歩ける距離が長くなるのを実感します。

予約してあった八合目の「江戸屋」さんに着いたころは、霧の中なのか雨なのか服はびっしょり。予定よりずいぶん早い午後2時ごろ到着だったけど、とりあえずチェックインして寝かせてもらって。
1時間くらい寝たらけっこうすっきりしたので、明日の方が天気が崩れそうだし、これは上まで一回行ってこようか、という話になったけれど、外は強い風と雨。
宿のひとに上に行ってこようと思う、といったらなんて無謀なという顔をされましたが、天気が下り坂ならいまより悪い状況がやってくるんだからって感じで出発。

防水の手袋がないので、両手びしょ濡れだったけど、いつもぽかぽかの自分の手が冷たいというのは気持ち悪いので、にぎにぎしてました。ダンナにも凍傷予防ににぎにぎしてねっていわれて、そっか、凍傷か。
本八合の「胸突江戸屋」さんに着くまでに予定の時間の二倍かかってしまっているので、上まで行くのは諦めて、ココアを飲んで一息つきました。ほっとしたー。

「江戸屋」さんに戻ってご飯食べて寝るぞーという感じなんだけど、ダンナは高山病による頭痛がひどくて食欲もない。夕飯は定番メニューといわれるカレーライスだったんだけど、ほぼ手をつけられず。
とりあえず寝て、どうするかは起きたときに考えようってことで寝ましたが、午前2時ごろのご来光目当てのひとを起こす声かけには起きられず、午前4時ごろの日の出に合わせた声かけにはちゃんと起きて。
建物から出たとたんに頭痛が治まったのはちょっとびっくり。寝てる間は呼吸が浅くなって高山病がひどくなるとはいうけど、あの人数が寝てるんだもん。酸素薄いよね。
雨はやんでたけど風が強くて雲の動きが激しい!雲海が広がってるんだけど、山中湖の姿はほとんど見えました。

朝ご飯はパック入り炊き込みご飯とレトルトの牛丼だったけど、ダンナまたもやパス。だ、大丈夫か?!でもとりあえず、ここまで来たのにあとちょっと登らないと後悔するぞーというので「江戸屋」に荷物を預けて出発(一個300円)
んが、風が強い!風圧でなかなか前に進めない。
飛ばされちゃうかも〜と思いながら登ろうとしたんだけど、いつものクセでシャツの裾とかをちゃんとズボンの中に入れてなかったり、前歯にある虫歯が寒風で激痛を起こしたりで一時退却。富士山の山頂でまだ日が昇ってから時間が経ってないし、東京の真冬の寒さなんですね。ダンナはそこまで下がってないでしょうといったけど、わたしの虫歯がそういってるのだっ!
呼吸するのにどうしても口は開いちゃうし、そのたんびにフリーズしてたらほんとに体がフリーズしちゃう。いやーな感じの頭痛もしてきたし、下山することにしました。 ダンナは一瞬ぶーたれたけど、彼自身体調はあんまりよくないし。さっき預けたばかりだけどと思いつつザックを受け取って、今度はわたしもひとつ背負って下山です。

下山はもちろん砂走りから。砂ぼこりがものすごいすごいといわれるけど、雨が降ったおかげでそんなに土ぼこりはたたないかな??
まだまだ風が強い!あまり端っこを歩くとあおられて転がり落ちそうです。
わたしはバランス感覚があまりよくないので、着地したときの体勢の立て直しがきついとか、ざっかざっか下りていくのに足がついていかないだろうなぁ、と下りる前から辛いだろうなぁと思ってましたが、予想通りでした。しっかりした靴だったので、足首をひねるとかはなくて、お約束のしりもちくらいで済みましたが、砂走りは合わないようです。
下りだから平気だろうと思ってたけど、途中で息が苦しくなって休憩しないと動けない状態なのは上りとらずのろのろモードです。風が強くて砂粒が飛んでくるので、今回は座り込んで休憩。水を背負ってるダンナが待ってるところに近づくと先に下られるという
「お前は逃げ水か?!」
という仕打ちを受けました。いや〜辛かった。

途中休憩から復帰しようとしたらなにか大きな物が高速回転で飛んできました。しばらく先で休憩してたら女の子がひとりで下りてきて
「リュック見ませんでしたか?」
強風にリュックを持って行かれたようです。まぁ、ひとにぶつかってないみたいだからある意味不幸中の幸だなぁって思うけど。
岩の多い山道って感じの道に戻ってからもバランス感覚やばいなって感じで、バランス崩したりしたのでゆっくりゆっくり足下を確認しながら下る。

やっと戻ってきたー!と須走の「東富士山荘」と「菊屋」でしいたけ茶をごちそうになる。普段から出してくれるんだけど、美味しいと思ったことなかったけど、今回はしみじみおいしかった〜!塩気って大事よねっ

下から見ると、小指の先ほどもないあの距離を登れなかったのか!と思うけど、今に見ていろ富士山っまずは虫歯の治療をせねば!
停めてある車の数はぐぐっと減ってたけど、ほとんどの車のタイヤの下の方になんか筋状汚れがついてる。「菊屋」のばーちゃんも夕べの雨はすごかった、山道から川みたいに雨が流れてきてたっていってたから、その洪水状態の跡だったようです。前線が通過したスリリングな天気をすり抜けつつの富士山だったのね。


  (管理人)
雨と強風の中の富士登山。リュックが風で飛んでくるとはすさまじい。ご無事でなによりでした。雨天時に軍手では確かに濡れて冷たくなりますね。カビ取り掃除の時につかうビニールの手袋を重ね着すると良いかもしれません。リュックを二つ持ってくれるとは優しいダンナ様ですね。


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(05/7/12)