■2006年9月23日(土)〜24日(日)
須走口から1泊登山
「初心者だけの9月登山は全くおすすめしておりません」というのがこのサイトのポリシーです。登山記は今のところ9月中旬までしかありません。とはいえ、下界ではまだまだ暑い9月下旬の富士山がどんなものなのか、皆さんもご関心があるでしょう。8月末の登山予定がずれにずれ、秋分の日に登ったときの様子を天気を中心に記録しておきます。
48歳男性。今回が今年2度目、通算5度目の富士登山。須走口からは初めてです。この週末には台風14号が八丈島付近まで接近しましたが、しだいに東方に逸れていくという天気予報を信じて登山準備をしました。宿泊は、3000m級ではもうここしか営業していないという大陽館(太陽館ではありません)を前日に予約。当日朝の天気予報で問題なさそうなことを確かめ、車で気温25℃の横浜を後にしました。
東名御殿場ICから国道138号線に進み、須走の交差点からふじあざみ道路に入ります。路肩のあちこちにキノコ取りの車。13時半に登山口から少し離れた駐車場に到着しました。天気は午前中の曇り空から穏やかな晴天に変わっています。標高2000mの気温は11℃と少し肌寒い。水を2リットル用意し、気息を整えて14時すぎに新五合目を出発。樹林帯にはキノコ取りの観光客しかいません。
六合目長田山荘前でちょっと休憩し、さわやかな空気を満喫しながら歩を進めます。汗を少しかく程度。欧米人にしては珍しく、装備万端の男性の2人連れが少し前を行きます。眼下に広がるのは山中湖の全景と演習場。本六合目のあたりから雲の中に入り、七合目大陽館に到着する直前に雲の上に出ます。小屋の前で、夕日が雲海のスクリーンに富士山の影を落とすきれいな「影富士」を撮影しました。
この日の宿泊人数は20数人とのこと。意外に多かったです。過去の中旬の登山記からすると5、6人かと予想していました。20数人のうち、少なくとも5人は初心者風の若い女性。ツアー客も工事関係者もいませんでしたが、上の山小屋が閉まっている分、ここに集まってくるのかなと思いました。とはいえ、シーズン中の混雑とは程遠く、寝床は1m間隔でゆったり。名物の豚汁をお代わりして早めに床に就きました。
夜半2時を過ぎるころから三々五々と登山者が小屋を出ていきます。心配された天気ですが、快晴微風。放射冷却が起きていないので、それほど寒くありません。ダウンジャケットを着込みましたが、すぐに暑くなって脱ぎました。星空とふもとの灯りを楽しみながらゆっくり登ります。ただヘッドランプをつけても、八合目の手前あたりの登山道と下山道の区別がつきません。砂礫が深い下山道で、何度も滑りかけました。
本八合目の山小屋前にテントが出現。色からして先行していた欧米人コンビのものらしい。ちゃっかりしたものです。気がつくと外国人の多いこと。不思議なことに欧米系ばかりで、夏にはあれほど目立ったアジア系を全然見かけません。4時半を過ぎると、だんだん明るくなってきます。石の上に霜が降りていますが、相変わらずの快晴微風。頂上寸前で御来光となりました。5時45分に登頂。登りの所要時間は5時間半でした。
頂上は少し冷えはしますが、なんといっても見晴らし360度の絶景。9月下旬が最高のコンディションになるとは思ってもみませんでした。大陽館のお弁当を食べ、いよいよお鉢巡りです。前回は反時計回りだったので、時計回りを選択。剣が峰の馬の背は、足場が悪くて難渋しました。富士山測候所跡でしばし贅沢なうたた寝。展望台に出るとまたも「影富士」に出会いました。朝日と夕日で見るのは珍しいのでは?
うら暖かい山頂には結局3時間もいました。後でアメダスデータをチェックすると、気温は約0℃。そうそう、奥宮近くの火口わきの水たまりに薄氷が張っていました。でも直射日光が当たっていたので、10℃ぐらいにも感じました。強風にあおられた2カ月前の前回より体感温度は高かったということです。アメダスでは風も日差しも測れないので、登山に必要な情報を現在入手できないのは残念です。
9時に下山開始。ステッキが強い味方となり、砂礫の下山道を瞬く間に下ります。砂払い五合目まで1時間半と順調。しかし、そこからの樹林帯通過に30分もかかりました。06-22の方が14分でここを駆け抜けたとは驚きです。下山所要2時間。水はちょうど飲み切りました。トイレは新五合目で2回、各100円。大陽館で夜に1回。大陽館ではトイレ券をくれました。下山時にも無料でトイレが使えるものですが、自分は使いませんでした。
ということで、天気さえよければ9月下旬でも十分に登れるということを体験しました。ただし、快晴微風なんて好コンディションにいつでも巡り合えるとは限りません。今回は大変ラッキーでしたが、悪天候のときはいつでも中止・撤退する勇気は持っていたほうがいいと思います。今シーズンはこれで終わり。残るメインルートは御殿場口の登山だけ。さて、来年はどうしよう…。
タイムスケジュール
新五合目14:05→15:02六合目長田山荘(営業)15:10→15:39本六合目15:42→16:28七合目大陽館(営業)2:40→3:14本七合目3:28→3:58八合目4:00→4:28本八合目4:30→八合五勺4:50→九合鳥居5:15→日の出5:37→5:45山頂(弁当)6:00→6:45剣が峰8:00→下山口9:00→本八合目9:17→八合目9:23→9:43七合目9:55→六合目横10:07→砂払い五合目10:30→11:00新五合目
(管理人)
当サイトでは初心者は8月末頃まで、経験者は八合目のトモエ館が営業を終了する9月中旬までを「観光登山としての富士登山」の区切りとしています。9月下旬になるとトモエ館が終了するので、大陽館から行って戻るまでトイレがないことに留意して下さい。
もちろん健脚のベテランなら雪が降るまで登れるでしょうし、雪が降っても雪山登山の装備が万全のエキスパートなら登れるわけですが、当サイトは基本的に初心者向けの内容なので上記のような区切りにしています。
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