[登山記の目次に戻る]

 みんなの登山記2006−28富士宮口
 投稿者:ゆたかさん

(ご注意)シーズンオフの登山記です。山頂の寒さ、地面の凍結など、
シーズンオフの登山の危険性がわかる内容なので参考のために掲載致します。


■2006年10月7日(土)〜8日(日)

9月2日に須走口から初めて富士山に登りましたが、
徹夜登山のため、眠気と疲れでぼーっとして道を間違い、
八合目から下山道(ブルドーザー道)を登ってしまいました。
そのため9時間もかけてなんとか登頂はできたものの、
お鉢巡りは断念せざるを得ませんでした。→登山記

来年は日中に登ってお鉢巡りもしようと情報収集していたところ、
山頂の「石の落書き」と、それを一人で片づけている方のブログを見つけ、
雪が降る前なら私も手伝いに行けるのではないかと思い、
体育の日の連休はちょうど天気も良さそうなので、行ってみることにしました。

今回は山頂で落書き清掃の作業時間がとれるように、
最短距離で行ける富士宮口にしました。
前回は徹夜とはいえ登頂に9時間もかかってしまったので、
念のため五合目で車中泊し、日が出てから登ることにしました。

10月7日の夜に出発して11時半頃富士宮口の新五合目に到着。
富士山スカイラインでは道路脇をシカが歩いていました。

不思議なことに、上から降りてくるクルマが何台もいて、
こんな時間までなにしてたんだろう、と思いましたが、
夜景を見に来た人たちで駐車場は結構混んでいました。

ちょうど満月で、月が明るくて星はほとんど見えませんでしたが、
富士宮市などの夜景はとてもきれいでした。
ちなみにこのときの五合目は5度くらいだったようです。

夜景を楽しんだ後、明日に備えて車中で4時間ほど寝ることにしました。
しかし寒くて困りました。防寒具を着てどうにか就寝・・・
エンジンをかけて暖房を入れるべきでした。

5:31:スタート
8日は5時に行動開始のつもりで4時半に起床。
そろそろ東の空が明るくなってきていました。
登山の人も結構いるようで、先に登っていく人たちを見ながら
準備体操したり装備を確認して5:31にスタート。

新六合目の手前でちょうど日の出を見ることが出来ました。
富士宮口ではもっと上まで行かないと見えないと思っていたのでラッキー♪

5:49:新六合目到着
この辺まではスカイラインが閉鎖になる11月下旬まで、
宝永山などを見に来る一般観光客も来ることが多いようです。
小屋の脇に登山道があり、通行止めの看板を横目に上へ向かいます。
強い風が吹き下ろしてきて寒く、ホコリが目に入ります。
ゴーグルがあれば良かったかも。

6:38:新七合目到着
ここから上の山小屋は全て営業終了しているのですが、
看板まで撤去されていて小屋の名前も分からなくなっていました。
風は強いものの、小屋に身を寄せると風が来なくなるので、
休憩している人はみんな小屋に張り付いていました(笑)

ここを通過してしばらく行ったとき、猛烈な風が吹いて思わず耐風姿勢に。
ずっと強風でしたが、危険を感じたのはこのときが初めてでした。
上から下りてきた人たちに聞くと、八合目で引き返してきたとのこと。
私も引き返すか・・・とりあえず行けそうなところまで行くことに。

後で聞いた話では、レーサーの片山右京さんも上っていて、
強風のため八合目でテントを張ったという噂です。

ちなみにお天気は快晴で、夏より空気が澄んできたためか、
相模湾や箱根の山々、伊豆半島や伊豆大島、
駿河湾から御前崎まできれいに見えていました。
ここで引き返してもきれいな景色をおみやげに出来そうなくらいでした。

7:21:元祖七合目到着
宝永山を見ると向こう側から砂煙が上がっています。
反対側にある須走口は五合目でも砂嵐で大変だったそうで、
富士宮口にして正解だったようです。

7:57:八合目到着
だいぶ山頂に近づいたはずですが、見た感じあまり変わりません。
頂上を見上げると、時折ガスが北から流れているように見えましたが、
後で考えるとあれは頂上の雪が風で吹き飛ばされたものみたいでした。

風は相変わらず強いものの、下とそれほど変わらないくらいで、
時折突風が来ますが耐風姿勢を取れば問題ないと思いました。
既に観光登山どころではありませんが、このまま頂上を目指すことに。

8:47:九合目到着
ここは石に山小屋の名前が書いてありました(万年雪山荘)。
富士山にも万年雪ってあるのかな。9月に行ったときは火口の中にも
雪はなかったように見えましたが・・・
山頂まで90分の標識があります。まだ先は長いなぁ。

9:26:九合五勺到着
九合五勺の手前くらいから、コースロープに氷が着くようになってきました。
以前御嶽山でも見ましたが、空気中の水分が凍って石やロープに着くのですね。
山頂まであと30分の標識、もうひとがんばりです。

10:09:登頂
4時間38分で富士宮口の山頂に到着しました。なんと前回の半分です(笑)
気象条件を考えればまずまずといったところでしょうか。
鳥居と「やったぞ!富士は日本一の山」の看板が出迎えてくれます。



山頂の直前くらいからは雪があり、初冠雪直後という感じでした。
山頂のフラットなスペースは雪に覆われていて半ば凍っていました。
浅間大社奥宮の影に身を隠して一休み。山頂には他にも5人ほどいました。

山頂にいた東南アジア系の方が「サムーイ!」と言っていました(笑)
神社裏のこのしろ池にも厚い氷が張っています。

ここまで来たらぜひ剣ヶ峰にも行きたいですが、
神社と頂上富士館の間から剣ヶ峰を眺めると、猛烈な風で体が押し戻されます。

どうしたものか迷いましたが、先に行った女性パーティーが見あたらないので
たぶん剣ヶ峰に行ったのだろうと思い、私も行ってみることにしました。
ちょうど剣ヶ峰から戻って来る人がいたので話を聞くと、
風は強いが止み間を見て進めば大丈夫でしょう、とのことでひと安心。
さらに馬の背は雪が飛ばされているので、案外簡単に登れそうです。



しかし寒い。顔がこわばってまともにしゃべれません。
冬用手袋なのに手もかじかんで困りました。バラクラバとカイロが欲しい・・・

馬の背を登り始めると、先ほどの女性パーティーが元気に下りてきました。
途中雪のない斜面では、石に氷が着いて花のようになっていてきれいでした。
風が強い時はじっと待ち、止んだ隙を見て前進、を繰り返して無事測候所へ。

測候所の脇に「日本最高峰富士山剣ヶ峰」の石碑があります。
あいにくと三脚を忘れてしまったのですが、風で倒れそうだし、
測候所の建物とザックを利用してどうにか記念撮影できました。

展望台にも氷が張り付き、上るどころではありません。
写真を撮ろうと思って見ていたら、氷の固まりが落ちてきてヒヤッとしました。

ふと見ると、飲み物が凍ってシャーベットになっています。
帰ってから調べたら、この時の気温は-7.5度でした。
風があるので体感温度はさらに下だったことでしょう。

北海道の襟裳岬にある風の館というところには風速25mの風を体験できる
えりも風体験というコーナーがあるのですが、明らかにあれより強風です。
風速30m以上はあったと思います。油断すると風に体を持って行かれそうです。

ここから金明水の方へ行けば石の落書きがある場所に行けますが、
そちらからは猛烈な風が間断なく吹き、斜面は雪が凍結しているようでした。
アイゼンやピッケルも無い「なんちゃって冬装備」でしたので、
これ以上は危険と判断してここで撤退することに。



神社へ戻りおにぎりを食べましたが、冷えていてまずかったです。
でもみかんを持っていけばデザートは冷凍みかんになりますね(笑)

やはり行動食は羊羹が一番だよね、などと思いながら食事を済ませ、
寒さ対策にタオルで覆面をして11時40分下山開始。
なんだかんだで1時間半も長居してしまいました。

山頂からほんのちょっと下ったとき、落書き清掃のブログ主に会えました。
私が「暖かければ赤、寒ければ黒のジャケット」とだけ書いたので、
それらしき人に声をかけながら上がってきたとか。申し訳ない。
ブログ仲間の方と一緒に、3時間で上がってきたそうです。すごいなぁ。

私は落書きのある場所へは行けそうもないので、ここでお別れしました。
帰ってからブログを見たら、彼らも強風で作業は断念したそうです。
でもブログ主さんは翌9日も登って一人で落書き清掃してきたとか。

下る途中、マウンテンバイクを分解してかついだ人に遭遇。
「ブルドーザー道を下りるつもりだけど、今日の風じゃ危ないかな」、
と言いつつ上がって行かれました。
確かに自転車だと急には止まれないので危険ですよね。

14:18:下山完了
さくさくと下っていくと、新六合目の少し上あたりから人が増えてきました。
登山ではなく、観光客がちょっと足を伸ばしてみた、という感じです。
五合目には14:18到着。2時間38分で、まあまあ標準的なタイムでしょうか。

駐車場に戻ると満車状態、入庫待ちのクルマが列をなしています。
レストハウス付近も人がいっぱいでびっくりしました。
観光客ばかりで、登山スタイルの自分は明らかに浮いています。
下に下りるとき、駐車場から7km以上も渋滞していました。
あの様子だと、最後尾の人は駐車場に着く前に日が暮れていそうです。

近くの天母の湯で汗を流し、富士宮焼きそばを食べて帰宅開始。
白馬岳や奥穂高などでは遭難が相次いで大変だったようですが、
幸い富士山は快晴だったおかげか、事故もなかったようで良かったです。

そんなこんなで2回目の富士登山、どうにか無事に終わりました。
お鉢巡りと落書き清掃は出来なかったけど、
日本最高峰剣ヶ峰の碑も見たし、いちおう成功としておきましょう。
でも来年はもっと楽に上りたいです(笑)
  (管理人)
 10月になると天候の急変で強風や吹雪で山頂で足止めされている間に登山道が凍結して降りられなくなることがあります。実際に登頂500回を達成した大貫金吾さんの著書の中にそういうグループを救出した話が紹介されています。



BACK  TOP  NEXT

(06/10/30)