■2006年8月13日(日)〜14日(月)
2回目は8月13日・14日の両日、御殿場口往復です。「夕方から宵の内にかけて雨」と
いう予報がでていましたので、朝7時出発、赤岩八合館泊まりとしました。
この時期ですから御殿場口といえども駐車場はほぼ満杯、と思いましたが、意外にも
第1駐車場に空きがありました。大石茶屋では金剛杖を買い、赤岩八合館に電話をい
れ、定時に出発したことを伝えました。この時は空が晴れ渡り、山頂までよく見通せ
る情況で、次郎坊がすぐ近くに見えます。次郎坊小屋まで2時間30分という標識があ
りましたが、これが本当でしょう。御殿場口の標識はほとんどが健脚な方のペースに
基づいているようですが、この標識だけは一般向けのようです。
五合五勺の手前にて軽装で登る親子(?)に追いつきました。持っている水は二人合
わせてあと1リットルとのこと。ちょっと次の山小屋まではもちそうにありません。
お父さんはというともう足が動かないとのことです。私が次郎坊で休憩しながら下を
見たときには姿が見えませんでしたので、おそらく五合五勺から引き返したのでしょ
う。ちなみに次郎坊までは2時間、標識より30分早い到着となりました。
その先2時間近く、建物はおろかその跡さえ見当たらない砂礫のジグザグ登山道を進
みます。黙々と、では寂しいのでラジオを聴いていたら、笑ってしまい深呼吸ができ
なくなり、立ち止まることも。少し苦しくなったら息を整え、30分に一回小休止を入
れて水分補給。これを繰り返して11時、避難小屋にたどり着きました。大砂走りを行
く方々が見え、少々羨ましい気分になります。一方、ひと月前あそこを下っている時
に「登るのは大変だろうな」と思った登山道を今こうして登っていると思うと、感慨
もひとしおです。
さらに砂礫のジグザグ登山道は続きます。次に現れる小屋もまだ日の出館ではありま
せん。が、下山道がだいぶ近づいてきましたので、七合目が近いことがわかります。
その前に六合目小屋跡に到着、ちょうど正午です。持参したおにぎりで昼食をとりま
した。ラジオで「午後から天気が崩れる」と繰り返し言っている上に霧も濃くなって
きましたので、早々に出発。
さらに30分少々登って、ついに下山道と合流しました。「このみち〜は〜いつかきた
み〜ち〜」と頭の中で歌いながら、七合目日の出館に到着。早速ペットボトルのお茶
を買い、体に流し込みます。ここでは焼印はやっていないとのことです。腕時計とにらめっこしつつ、砂走り館ま
で来た頃には霧が一旦晴れたので、少し休憩。焼印を押してもらい、また冷たいお茶
を飲み、体をリセットして出発しました。
途中の七合五勺付近に建物がありますが、ここで若者8人くらいが野営の準備をし
ていました。うち4名は次郎坊の少し上から、私と抜きつ抜かれつで登ってきていた
グループのようです。テントその他があったのでは、いくら体力のある若人といって
も私と同じくらいのペースにならざるをえないのでしょう。……それはともかく、富
士山は野営禁止じゃありませんか?今回の登山では頂上富士館裏でも2パーティーが
野営しているのに出くわしました。
午後2時20分、赤岩八合館に到着。受付の時、まず聞かれるのが「御来光はどうさ
れます?」。朝食は山頂で御来光を拝み、戻ってきてからでもOKとのことですの
で、1泊2食でお願いしたところ、6500円にバイオトイレ運営費として200円、計6700
円とのこと。まず安いのに感謝です。宿泊者はこの200円で、あとは何回使ってもい
いそうです(他の方はその都度200円)。また焼印がサービスとなります。さらに受
付の時にお茶を接待してくださいます。
汗だらけの下着を替えて、一休みのあとベンチに腰掛け、雄大な風景を肴にビールを
ゴキュッ!今回は出発まで11時間以上ありますので安心して飲めました。ただやはり
回りが速く、夕食まで時間があるのでひと寝入りすることに。上段に入っていた二人
連れの方が私の顔を見て、「もうビール飲んでる」と笑いながら、温かい甘酒をオー
ダーしていました。(この二人連れはラストシーンで再登場します)。
時々体を起こしながら外の様子も見ていたのですが、夕方5時近くになって予報どお
り雨が降ってきました。トイレに行くにも雨に打たれます。続々と入ってくる登山者
の皆さんも大方ずぶ濡れ。
「夕食ができていますのでセルフでどうぞ」ということで、とっても美味しいカレー
を大盛り2杯いただきました。
消灯は9時、前回富士宮口九合目では午前3時に一斉に点灯して起こされました
が、今回は2時10分に出発したため、暗い中手探りで支度して出発しました。
山頂まで1時間30分との標識がありますが、やはり健脚な方の場合です。天気はとい
うと、前日夕方の雨がウソのような澄み切った月夜。近くは御殿場市や富士市、遠く
は小田原市や伊豆の国市の夜景を堪能しつつ、お気楽登山です。しかし標高が3000
メートル以上あるので、少し歩いては息を整え、の繰り返しです。たどり着いた山頂
の左手は、富士宮口を登ってきた方々でごった返しています。そこで右方向へ行き、
視界の開けたところで御来光を待ちました。
午前5時近くになって、雲海の中から太陽が姿を現しました。何枚か写真に収めて、
混雑する中を剣が峰へ向かいます。前回お鉢めぐりをしていますので、今回は剣が峰
往復としました。馬の背で
「2度も見られるなんて幸運はまさか」と思っていたら、天子山地や南アルプスの方
向に浮かぶ三角形の影が!これを撮っていたら、すぐ脇で東南アジア系と見られる若
者二人が、手すりの外の岩場で記念撮影なんぞしていました。どうも危ないマネした
がるのは日本人に限らないようです。
剣が峰から戻り、奥宮の行列に並びました。ただ、意外に待ち時間は短く、銀明水を
買い金剛杖に刻印をいただきました。再び人込みをかき分けて御殿場口頂上へ。もと
来た道を下ります。
先行しているグループはマナーをご存知ないのか、登りの方に道を譲らずさっさと降
りています。ただペースは遅く、私が登り客を待避しながら下っても、長田尾根まで
に追いついてしまいました。
今回赤岩八合館まで山頂から約1時間でした。朝食はハムと卵、漬物に昆布佃煮、そ
して大根と人参の味噌汁。ご飯と味噌汁が温かく、過去2回は山頂で冷たい弁当を食
べていたのに、と感慨にふけるのでした。そんな私のすぐ近くで団体さんが朝食の後
のティータイム、横になっている方もいますが、1時間もたたずにこの方が恩人にな
るとは、この時は予想もしていませんでした。
スパッツを装着して「お世話になりました」と赤岩八合館を後にしました。20分ほ
どで砂走館に到着、ペットボトルのお茶を2本買い、1本は飲み干し、1本はザック
に入れました。前回下りで脱水症状を起こしかけたことが頭にあったためです。そし
て次の日の出館でも念のため水を1本買っておきました。その直後、下り始めた私を
呼ぶ声が。日の出館の奥様が、赤岩八合館からの連絡を受けて呼び止めてくださった
のです。なんと携帯電話を置き忘れてきていたのです。また戻るのは時間・体力とも
かかるので、「あれに乗っていけば」と奥様が指したのはブルトーザー。他の登山者
の手前もありためらっていると、「なら降りてくる人に預けてもらったら」とのこと
で、すぐ連絡を入れてくれました。そして50分後、「おーい!」と金剛杖を振りかざ
し、私の携帯電話を届けてくださったのは、さきほど赤岩八合館で朝食の際、近くで
横になっていた方でした。気さくな方で、「お礼にお茶でも」と申し出ましたが、
「団体だからいいよ、それに山のことだから」と有難いお言葉をいただきました。
改めてお礼を申し上げ、日の出館の奥様にもお礼を述べ、砂走りに歩を進めること20
分でまた忘れモノに気づきました。赤岩八合館に「無事届いた」旨連絡していない!
携帯電話は「圏外」。通じたらすぐ入れよう、と気に止めつつ砂走りを行くこと20
分、今度は足元に違和感を覚えました。砂が入ってくるのです。スパッツ付けている
のにおかしいな、と思ったら靴の裏にかけるヒモが擦り切れていました。これでは用
をなしません。一度砂を出し、下ってまた限界か、という頃に次郎坊小屋がみえてき
ました。そのまま一気に駆け下りて、須山口下山歩道の標識前で腰掛けて砂を出しま
した。そして携帯電話を見ると、何とアンテナ3本立っています。すぐ赤岩八合館に
お礼の電話をいれました。
それから五合五勺まで一気に下りましたが、やはり砂の流入がひどく、休憩がてら排
出。2回でダメになるとは、スパッツももっと良いのを用意しないといけません。
五合五勺からの下りは広々として気持ちのいい、これぞ富士登山のラストシーンと
いった感じです。前回の須山口の下りはこれよりはるかにハードでした。途中、前夜
赤岩八合館の上段に泊まっていた二人連れに追いつきました。大石茶屋で、河口湖口
五合目と間違えてやってきたという方がおり、1時までにそこで待つ団体に合流しな
ければならない、ということでしたが、この二人連れの男性の方が送ることを申し出
ていました。私の携帯電話の件といい、この件といい、山では助け合いが大切なので
すが、助けてもらってばかりでこの時送って差し上げられなかったことは、少々気ま
ずい思いがしました。都合よく考えれば、携帯電話の一件は前回の「歯磨き袋飛散防
止」のお返しだったのかもしれませんが。
須山口を往復できたのだから、御殿場口も何とかなるはず、という考えでのチャレ
ンジでしたが、実際に終えてみると、須山口の方が標高差は10m短いものの、ずっと
ハードだったように思います。つまり「御殿場口を往復できたら、次は須山口」とい
うことです。が、私の場合富士宮口から始まって時計と反対回りに来ていますので、
次回は須走口にしようかと考えています。
(管理人)
私は昨年御殿場口を登った時は高山病気味でカレーは少ししか食べられなかったのですが、M.Hさんは豪快に大盛り2杯。元気です。
富士山では確かに「ブルトーザー」と呼ばれることが多いです。
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