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 みんなの登山記2007−15
 投稿者:いかじゅうさん

■2007年7月21日(土)〜22日(日) 須走口

日本最高所を目指して....その2?
いきさつ

私は一会社員で今年になって、何気なく富士登山がやりたいと思っておりました。遡ること15年前。私はまだ中学生頃でしたが、バスツアーで富士登山しました。結果は8合目で高山病になって時間切れ、、リタイヤ。こういった経験があった為か、いつかは富士登山をやりとげようと心に思ってたわけです。それがふと、今年になって具体的になり実行したいと思いました。しかし、当時は周りにまかせっきりであったのでどうすれば良いのかわかりません。そこで富士登山に関するサイトを参考にして頂き、あっぱれ富士登山さんにもお世話になりました。すると、登山道は山梨県側と静岡県側にいくらかあることがわかり、どういった特徴があるのかなど鮮明に書かれておりました。まったく登山については無知だった私にとって大変参考になる情報でした。私は関西駐在ではありますが、いろんな変化に富んで混雑しにくいという須走口から挑戦したいと思いました。当初、学生時代の友人と7月の3連休から行く予定でしたが、あいにくの台風で泣く泣く中止となりました。その友人とはなかなかお互いの都合がつかず、今度はいつ共にいけるのかわかりません。(今年はもう無理です)この3連休、私のように計画がやむなく中断した人も少なくはないのではないでしょうか?逆にこの連休に行った人の体験記も見たい気がします。

出発前

一週間後、再度行こうと思いました。このまま中止だと心のこりですから。ただ、またしても梅雨の影響で天候が思わしくありません。はたしてどうなるのか。計画は前夜に麓で泊まりバスの始発で5合目まで行き日帰りで麓に帰る予定でした。時間を有効的に使いたい為、会社に登山荷物一式もって行き、会社が終わった日に御殿場まで行きました。駅前のホテルで一泊し、明日にそなえました。未明から雨が降り出し、「これは晴天は期待できないな・・」と思いつつ就寝。朝になっても厚い雲があって薄暗かった。天候はあまり期待していなかったのでせめて風雨などにはさらされないでくれと祈りつつ、一番早いバスに乗る。富士あざみラインを登ってゆくと段々と日がさしてきて「あれ?」って思いました。なんと晴れ間が見えてきたのです。もしかして梅雨の雲の上に来たのかもしれません。5合目ではちょっと霧がかかっておりましたが、なかなかすがすがしい陽気でした。雨が降りそうな気配はありません。ちょっとうれしい誤算です。

準備→本6合目

まだ朝食がまだでしたので山荘菊屋にてきのこうどんを食べてから小休止した後に出発です。 東富士山荘に小さめの杖があったので購入、これは杖というより焼き印を押す為だけにあるようだ。高度にある程度慣れてから行った方が良いと聞きましたので。。最初は森林地帯から。普段よく歩いているような山道という感じでまずは足慣らしといったところでしょうか。小鳥のさえずりなどがあって心地よいです。だんだんと山肌が見えてきたりしましたが、さすがに山頂付近は雲に覆われており見えません。ただ、時折青空が見えたりして良かったです。雲海も梅雨雲があってか豪快に流れ見ていて飽きませんでした。なかなかのペースで新六合目に到着、ここで小休止。本六合目までもそれほどかからずあっさり順調にすすみそうだなと思っておりました。本六合目から上になると木々はなくなり岩山と高山植物だけの景色となった。濃霧に包まれたりめまぐるしい天候の変化だったが、幸いにも雨はまったく降らなかった。 7合目からはさすがに疲れはあったが、まずまず計画通りといったところか。。ここで麓で買ったポカリスエットがなくなったのでスペアを買う。

七合目

7合目を超えたあたりから妙に体がだるくなってきた。身体がうまく動かない。すぐに息切れがしてくる。私は体力がある方ではないが、1,2歩、歩いただけではあはあと息切れがしてきた。後ろから来た人にどんどん抜かされていった。。。疲れからもあると思うが、この辺から山の傾斜も激しくなってきたような印象がある。多分この辺からまったく足が動かなくなったように思う、動悸もはげしく休んでもまったく治らない。苦しくはあったがゆっくりと確実に高度を上げていった。本7合目の山小屋にたどり着く。ここで焼印を押してもらった。立つこともままならない。さらに眩暈がしてきて頭痛がしてきた。耳がキンキンして気持ち悪い。。。 8合目からは明らかに空気が薄いのであることを体感した。いくら呼吸してもしんどいし足を上げることすら難しい。。。いくら体力がないといっても情けなすぎる(汗1歩歩いて数十秒休んでまた一歩。。。牛歩戦術に徹した。いや、もうこれでしか歩けなかった。(なさけない)ここでまた断念しては15年ぶりの富士登山がまた断念という結果に終わる。。これでは悲しいのでとにかくゆっくりでも良いから少しずつ登る。どんどん抜かされる。。されどゆっくりと登る。

8合目から

8.5合目の最後の山小屋で焼印を押してもらい。とうとう最後の丘。。。これがとてつもない壁だ。寒い、苦しい、頭がいたい、足が動かない。。。この日はどちらかというと好条件での登山だったと思うがそれでも富士登山というものの過酷さを痛感させられた。はっきりいってハイキング気分で来るところでない。覚悟を持って挑まないと不可能だと思う。周りの人があの鳥居のところが頂上だと言ってたのでひたすら鳥居を見ながら進む。。鳥居はほんの50m程先に見えているのにまったく近づかない、むしろ遠ざかっているように錯覚するのだ。もう立ってられない。。。倒れるように岩山で休憩する。。もう周りを気にする余裕などない。しばらくして気をとりなおしてひたすら鳥居を目指すのであった。。。最後の直線。。あせらずにゆっくりと。。。到着。。。ようやくほっとした。。。頂上は雲の中で風が強かった。ついたとたん、いきなりシャッターを頼まれたりして休ませてくれ〜と思ったりも。フラフラなものでなかなかうまくシャッターをきれずいろいろおしえてもらった。そして待望の頂上の印鑑を押してもらい、隣の山小屋で小休止したのちに降りる。このとき午後5時だった。

登り8時間。。。5時間30分が標準なんでかかりすぎである。これでも7合目までは順調だった。 8合目からが勝負というのがわかる気がします。8合目から上は条件が劇的に難しくなり、たとえ距離や道が同じであっても空気が薄かったり悪天候に見舞われやすいと思われます。

下山

下山道で少しは楽になると思われましたが、やはり山頂付近は空気が薄いのか走って下れません。そこでもゆっくりと一歩一歩歩いておりてゆきます(どんどん抜かれながら。。)ちなみにもうボロボロでした。私は自転車ツーリングが趣味でアウトドアを満喫するのが好きな方ではありますが、まるで体力が間に合ってないようです。下山道でもやはり倒れました。あそこに人がいるよ〜みたいなことを言われてましたがお構いなしです。ようやく頂上付近の雲から抜けて視界が見えてきました。しかし6時も過ぎていてだんだん夕暮れの景色になってきました。 日帰りを考えておりましたが、絶対に間に合いません。しかも朝から出たから余裕で戻ってこれるだろうと舐めてかかっていた為、懐中電灯なども持ってません。さすがに焦りました。どうしようかと。須走口から下ると最後の方が森林なんで真っ暗な中を走らなければなりません。となると安全そうな河口湖口から帰ろうかということも考えました。いずれにせよこの時間帯に下山道を使う人が少ないと思われるので電灯なしでは心細いです。

山小屋に泊まることに

7合目まで下ると頭痛などの症状はやわらぎ、ある程度は余裕が出てきました。しかしもう日が暮れます。開いているかどうかわかりませんでしたが、7合目の大陽館に泊まれるかどうか聞いてみたところOKでしたので泊まることにしました。もし泊まれなければ夜の森林地帯(濃霧)を下山しなければならなかったので良かったです。お金はかかりますがこのまま夜の下山を続けるよりマシです。すでに最終のバスは行ってしまってますから。。。やむをえません。山小屋は緊急の飛び込み客の為に予約で一杯にはしないのかもしれません。現に飛び込み客が来るかもしれませんのでその際はつめてくださいとのことで聞いておりました。ちなみに夜中に一人客がきて私の隣で寝ました。ここの晩御飯のことは聞いておりましたので驚きませんでしたが豚汁は確かに美味でした。あれは何杯でもいけそうです(食べすぎはいけないので3杯食べました)私の隣の人ははずれくじでした。。。イビキがひどいのでまったく寝れません。夜はなんと星空が広がっていて最高でした。こんなにきれいな星空を見れたのは久々です。朝はご来光が見えるであろう時間帯に起こされました。外の様子を見に行きましたが残念ながら霧があってご来光は見えませんでした。ただ、当初は悪天候を覚悟してましたのでこれでも充分です。

朝食を食べて再度1時間ほど仮眠した後に下山を開始しました。ここからはひたすらまっすぐ下ってゆくようです。滑り降りるように下山してゆきました。このとき初めて気がついたんですが、腕と顔がひりひりします。かなり日焼けしてしまいました。日焼けについてまったく考えていなかったんですが登山などで高所に立つ場合は紫外線も強くなるのであろうことを実感しています。山はいろいろと条件が違ってくるので様々な準備が必要です。途中から霧に覆われてきましたが、どこからか小鳥のさえずりなどが聞こえてきてなんともいえない幻想的な空間だったなあと思います。こういういろんな景色を楽しむことが出来ることも登山の醍醐味ではないでしょうか?

下山道の5合目の小屋までゆくとあと30分らしい。ここで飲料を飲んでしばらく休憩。ここから先は登山時のような森林地帯であった。ここをたんたんと進んで30分程で到着。山小屋の従業員がおかえりなさいときのこ茶をふるまってくれたことがうれしかった。また、おばあちゃんがいて日焼けのことを心配してくださって水を頂けました。こういう心使いがボロボロに疲れきった心身の癒しになりました。いろいろと多難ではありましたが、なんとか無事生還出来たのであります(笑)今度機会がありましたら、お鉢めぐりや他の登山道に挑戦してみたいですね。

ちゃりたいむ 自転車ツーリング、旅行情報サイト


(管理人)
途中で無理をせず一泊されたのは適切な判断だったと思います。隣客のいびきは残念でした。最初から泊まるつもりなら耳栓の用意もできますが。富士山ではいろいろな状況での準備が必要なので大変です。



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(07/8/4)