■2007年8月7日(火)〜8日(水) 富士宮口
全員が富士登山は初めて、登山経験なしの初心者グループで、徹夜登山にチャレンジしてきました。メンバーは私(男性40代前半)、後輩(男性30代)、それと女性3名(全員20代)総勢5名です。「一度は富士山に登ってみたいよね〜。」、「ご来光が感動らしいよ〜。」など単純な理由から思い立った次第です。しかし「やるからには立派にやれ!」「準備はきちんとせねばいかん!」ということで、まずはガイドブックを購入。そして当サイトを念入りにチェック。詳細な計画を立てます。どうやら山小屋に一泊するのが一般的とのこと。しかし、山小屋の宿泊環境は私には無理。絶対、眠れそうにありません。どうせ眠れないなら、徹夜で歩くしかないと覚悟を決めました。
次に我々にとってベストな登頂ルートを考えます。最終的に河口湖口か富士宮口かで迷いましたが、河口湖口はご来光直前に登山道が大変混雑すること、下山道がきつい等の感想も見受けられたことなどから、最短最速ということで富士宮口に決めました。またメンバーは全員が富士山初体験。無事に登頂できるか不安がありました。登山道と下山道が一緒なら、万一、途中で誰かがリタイアせざるを得なくなっても山小屋に置いて、他のメンバーは登山を続けることができます。可哀想ですが、下山時には合流できます。もし全員が登頂出来たら、下山道を御殿場口から宝永火口経由で、6合目に戻る計画をたてました。同じ道を下るより気分的に楽だし、部分的にでも砂走りを通ることで身体的な負担を軽減できるかと思ったからです。
当日、千葉市内某所に午後3時、集合、出発。途中、東名高速・足柄サービスエリアにて夕食、着替えを済ませ、午後8時、富士宮口新五合目に到着。
駐車場は上半分のエリアがほぼ満車でしたが、運良く登山道入口脇に駐車出来ました。早速、他のメンバーは車内で仮眠。私は準備に手間取った上、眠くならないので、すぐ前の仮設トイレに。中を見ると唖然、汚い。即、レストハウスのトイレに向かいました。こちらは綺麗。
空を見上げると、満天の星空、流れ星も見えます。風はほぼ無風、絶好の天候です。
午後9時45分、登山開始。ゆっくりとしたペースを守りながら6合目、20分かけて到着。5分の休憩後、1時間で新7合目着。ちょっと疲れたので15分休憩。さらに45分、元祖7合目に。ここまでは、事前に立てたタイム・スケジュール通り、時間ピタリです。しかし、ここでメンバーの1人が何やら不吉なことをポツリ。「何だか、気持ち悪い・・・。」メンバー内に不安がよぎります。10分ほど休憩すると少し回復したようだったので、出発。しかし、その後、彼女のペースは上がらず、何度か登山道脇にしゃがみこみ、かなり苦しそうな様子。みんなでフォローしながら何とか8合目に。この区間50分の予定が1時間半以上かかりました。「もう無理。ここに泊まる。」とのこと。池田館に相談すると、「今からでも宿泊できます。朝7時までいられます。」とのありがたいお言葉。仕方がないので、彼女を預け、出発です。「帰りに寄る。」と言い残して別れます。これで、下山道を御殿場口から宝永火口経由に取る計画はなくなりました。
このとき時刻は、2時15分。ご来光まで残り2時間半。普通のペースで登ることが出来れば、間に合いそうですが、メンバーが減ったこと、計画時間をオーバーしたことで不安がよぎります。「場合によっては9合5勺の胸突山荘でご来光を見ればいいや。」と最悪のケースをも想定し、とにかく行けるところまで頑張ることにしました。九合目まで40分。10分の休憩を取ります。しかし、さらにメンバーの1人が体調不良を理由にここで脱落。「食堂でお茶して待っているから、帰りに寄って。」とのこと。見ると万年雪山荘の食堂は開いており、中で休めそうです。残念ですが、またお別れです。残った3人で頂上を目指します。35分で九合五勺へ到着。そして遂に4時20分登頂。出発からの所要時間6時間35分、エベレスト・アタック隊のように中継地点毎にメンバーは減ってしまいましたが、ご来光に間に合いました。登山道は平日だったせいか、全体的に空いており、渋滞はありませんでした。そのためマイ・ペースで登ることが出来たと思います。
さて早速、我々はご来光を見るべく、頂上富士館前、駒ケ岳の岩場にかじりつきます。寒いとは聞いてはいましたが、なるほど、これは寒い。早速、ダウンを着用します。心待ちにしていたご来光でしたが、結局、見ることは出来ませんでした。雲海から太陽が徐々に姿を現し、神々しいほどに輝く。そんなイメージを持っていましたが、太陽が厚い雲に隠れ、姿を見せないまま、空が明るくなってしまいました。当然、周囲からの歓声もなく、盛り上がりは一切なし。ご来光などめったに見ることが出来ないと知ってはいたのですが・・・。ただメンバーの1人はご来光を撮影すべく、重い一眼レフを背負っての登山でしたので、誠に残念。我々はしばらく空を見つめていましたが、寒さに耐えかねて、頂上富士館に避難。食堂で800円のカップラーメンを頂きました。 値段はともかく、この暖かさはありがたい。メンバーを残して来たこともあり、お鉢周りなど思いも寄らず、早々に下山することにしました。
しかしここで驚いたことが・・・。外に出て下山準備をしていると、9合目の万年雪山荘に残ったはずの彼女が、微笑を浮かべ立っているではありませんか。「あれっ?どうした?」「食堂で休憩したら、回復したの。元気が出てきたので、登ってきたのよ。山頂に着いてから電話したんだけど、つながらなくって。仕方ないから、一人で剣が峰でご来光を見て、神社でご朱印を押してもらってきたのよ。」「えっ、そうなの?すごいっ!?」 実は彼女が一番元気だったのでは?という気がします。
そんなこんなで6時ちょっと前に下山開始です。登山道と同じルートです。来た道を戻るのは面白くありませんが、景色は楽しめました。登りは夜で何も見えませんでしたから。予定通り7時に8合目で、残してきたメンバーと合流。彼女の話によると、山小屋は割合空いていて、よく眠れたそうです。体調もだいぶ良くなったようで、山小屋の前でご来光も見たそうです。その後はみんなでゆっくり下山、10時前に5合目に到着しました。下山の所要時間は約4時間でした。
帰りは富士宮市街の日帰り温泉に寄って、休憩。その後、沼津市内で遅めの昼食を取って帰宅の途につきました。
ご来光を見られなかったこと、全員で登頂出来なかったことは、残念でしたが、天候に恵まれ楽しく登ることが出来ました。今度は別ルートで登ってみたい。今まではただ遠くから眺めるだけの富士山でしたが、登頂後は違った感慨を持って見ることが出来るのではないかと思います。
(管理人)
「風はほぼ無風、絶好の天候」なので登山には好都合でしたが、雲が残ってしまうので御来光の可能性が低くなります。風の強い日の方がきれいな御来光が見えやすいようです。八合目に残った方は体調が快復して良かったですね。
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