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 みんなの登山記2007−41
 投稿者:ねこあしさん

■2007年8月25日(土)〜26日(日) 御殿場口

●なぜに御殿場口

富士山に登るのは今回で四回目になります。去年は須走口と御殿場口、そして今年は須走口からと、いずれも登頂してお鉢めぐりも二回やりました。普通ならもう十分と思うところかもしれませんが、実は定番中の定番である山頂でご来光ってのはまだやってないんです。別に定番にこだわることもないのですが、でも一回ぐらいは体験しておいてもいいかな、と思って行ってみることにしました。 日程は、8月25日と26日の一泊二日、土日なので混雑は必至です。そこで比較的空いている御殿場口ということになりました。まあ一日目に三時間よけいに登ればいいだけのことですから。 というか、行くと決めたのが直前の木曜日だったので、他の登山口では小屋が予約できるはずがないってのが本当のところなんですが。

●ところが御殿場口

さっそく七合九勺の赤岩八合館に電話を入れたのですが、「満員なんですよー」と断られちゃいました。えーーーー御殿場口なのにーぃ・・・いくら土日だっていっても御殿場口なのにぃー。こりゃ徹夜登山か?との思いが頭をかすめましたが、気を取り直して七合五勺の砂走館にかけてみるとこちらは空きがあったのでお願いしました。
そして当日、朝9時過ぎに新五合目に着いてみると、なんと第一駐車場は車でいっぱいです。まさかそんな、一台や二台分の空きはあるだろうと入っていったのですが、正真正銘の満車でした。しかたなく第二駐車場は・・・工事で閉鎖(シーズン真っ最中だぞ)だったので第三駐車場に入れました。さすがにここはスカスカです。
そして小屋の方はというと、こっちも満員でした。着いた時にはまだ空きがあったようですが、その後予約なしの人も含めてどんどん埋まっていき、砂走館もめでたく満室です。赤岩八合館はすでにいっぱいなので、富士宮八合から渡ってくる人も砂走館まで降りてきてもらうという状態でした。この日は赤岩八合館のおかみさんが砂走館の切り盛りをしていたのですが、「シーズン終わりの土日とは思えない」と言ってました。
(みなさんご一緒に)御殿場口なのにーぃ!

●砂走館もなかなかいいぞ

御殿場口の赤岩八合館といえばカレーライスのおかわりで有名ですが、ここ砂走館も持ち主が同じなのでやっぱりカレーはおかわりできます(セルフサービスなので量はお好みで。ただし残しちゃだめです)。福神漬けとらっきょうはテーブルに出ているのでこれもお好みで。朝食のご飯とみそ汁もおかわりできます。そして朝食は山頂でご来光を見て降りてきてからでも食べられます。これは砂走館と赤岩八合館独特のシステムです。もちろん普通に食べてから出発ということもできるし、おかずが弁当容器に入っているので自分でご飯をいれて弁当として持ち出すこともできます。ただし、暗いうちに小屋を出る時はお弁当にしてもらうことはできません。
ここまでは赤岩八合と共通です。で、砂走館のいいところは前庭が広いところですね。座るところがたくさんあって景色がいいので、ちょっとした時間にくつろぐことができます。寝床はぎりぎりに狭いので、こういう形ででも共有スペースがあるのは助かります。天気が良ければですが。 ところで、ここの焼き印は4種類あります。1個200円ですが、4種類全部は400円とお買い得。富士宮口から登ってこっちに降りて来た人は思いがけず焼き印が増えたと喜んでました。


●夜登りはやっぱり疲れる

山頂ご来光が目当てなので暗いうちに出発です。道が渋滞する心配は全くない(御殿場口で徹夜登山ってのはないでしょう)ので、時間はわりとぎりぎりでも大丈夫。日の出が5時ころで山頂までは2時間半くらいと読めているので、2:15に出発しました。ここで一つ注意を。御殿場口の山頂とその直下の登山道からは日の出は見えません。山頂までの時間に加えてご来光ポイントまでの移動時間を含めておかないと失敗します。
初めての夜登りは・・・疲れます。道にはロープが張ってはあるのですが、片側だけのところが多いので道の外を歩くこと1回と、曲がり角でロープが入れ替わるのに気づかず登り過ぎること数回と、パターンが読めるまではコースアウトの危機がありました。また、昼間なら周りを見ながら段差が小さくなるように足を置いていくのですが、暗いのでそれができずに段差をまともにまたいでいくことが多くなります。技術よりも脚力勝負の世界です。時間的にはそれほど遅くはならなかったのですが、感覚としては疲れ二割増くらいでした。

●それでもてっぺんはすばらしい

暗い中をそれでも着実に高度を上げて、いよいよ山頂が見えてきました。
え、それってもう明るくなってるってことじゃ・・・で最後だけちょっと急いで御殿場口頂上に到達。さて右に行くか左に行くか・・・富士宮口のほうはすでに人が鈴なりだったので、右に登って東安河原へと進みました。ほんとは剣ヶ峰ご来光をちょっとだけねらっていたのですが、この人の多さでは入るのさえ無理です。
ひとまず開けたところに出たので、ご来光は見られる。だいぶ明るくはなったけど、日が昇るあたりはまだ赤くはない、もう少し時間はありそう。このまま道を進んでもいいけど、あそこのこんもり盛り上がったところに上がればもっと良く見えそうだ、というわけで勢志ヶ岳に登って待つことにしました。
日の出方向の雲はほぼ水平なのですが、すぐ上に一本薄い雲がたなびいています。これが変なふうにからんでくるとやだなあとか思いながら岩に腰掛けて一服して待っていると。

出ました。


結論。山頂でのご来光は山小屋で見るご来光と変わらない。同じものを見てるはずなんだけど山頂で見るほうが三倍くらいうれしい。なんでだろ(それ結論になってないよ)。

ただ、ものすごく寒いです。郵便局裏の水たまりは凍ってました。人がたくさんいます。トイレも神社も測候所も行列です。剣ヶ峰ぐらいは行こうかと思っていたけど、萎えました。 山頂のご来光はうれしいけど、お鉢巡りをするならもっと遅い時間のほうがいいなあと思いました。


●ライターについて

登山記の21番でNさんが書かれていたとおり、高山では電子着火は効かなくなります。がりんこライターなら火は着きますが、ガスライターはあまり風に強くないです。風に強いのはオイルライターですが、寒いところでは火付きが悪くなるので体温の伝わるところで持ち運びしないと使えなくなります。
寒さや気圧に関係なく火がつくのはマッチが一番なのですが、普通のマッチは風や濡れには弱いです。そこで防風防水マッチの出番です(登山用品店などで買えます)。火薬が仕込んであるので風に負けずに勢いよく燃えます。火がないと困るという人は保険の意味で用意したほうがいいかも。ちょっと値は張りますが。
どんどん原始的な方に進んでいきますが、山登りってのはそんなもんです。

●砂走りは走らない

御殿場口といえば大砂走りです。砂走りというくらいだから走って降りる人もいます。まあどういう降り方をしてもここでなら迷惑にならないので(普通の登山道を走って降りるのは迷惑です)別に構わないのですが、砂走りを走るのはものすごくもったいないです(ものすごく矛盾してますが)。 砂走りが楽なのは、普通の下山なら足にかかる負担を砂が崩れることで吸収してくれるところにあります(そのために傾斜をきつくして距離を短くできるということもあります)。走ってしまうと砂の崩れを利用できないので、せっかくの砂走りもかえって疲れてしまいます。 そんならどうするかというと、普通に平地を歩くような感覚で足を前に出していくだけで充分です。あとは砂が適度に崩れて面倒を見てくれます。まあ足元が次々と崩れていくので平地よりはバランスをとることが余分に必要ですが、それ以外は砂に任せてしまって大丈夫です。最悪転んでも尻餅つくだけで済みます。

●今回の新装備

ハタキです。去年は雨のすぐ後だったのでそれほどでもなかったのですが、今年は砂ぼこりがすごかった。先日の須走口では大変な目にあったのでさっそく買って車に入れときました。ちなみに五合目の大石茶屋にはハタキの用意がありました。そういえば砂走館ではホウキで砂を払うようになってたっけ。

●流れは変わったのか

いくら土日でも8月終わりの御殿場口、のつもりで行ったら結構混んでいてものすごく意外でした。まあ人がたくさんいるだけなら今年は梅雨明けが遅かったから全体的に後の方へずれたのかなあってことで納得するのですが(天気も良かったことだし)、どっこいここは御殿場口です。まともに下から登ってくるにしても富士宮八合から流れてくるにしても、普通にガイドブックを読んでここに来るってことはあまりないはず。いくらかは下調べをしてこのコースを選ぶということをしないとたどり着けないところです(なんとなく流れて来ちゃったあという感じの人もいましたが)。 バスツアーとか簡単なパンフレット的ガイドブックに乗っかるんじゃなくて、自分でいろいろ調べて自分に合った計画を立てて来る人が増えたとか、あるいは前に登ったことはあるけど他にもいろいろな切り口から攻めてみたいリピーターが増えたとか、その人なりのやり方で富士山を楽しもうとする人が多くなった結果だとしたらいいことだと思います。

しかし御殿場口の詳しい情報って紙にはあんまり載ってないし、特に富士宮八合から渡って来るなんて裏技はネットにしかないと思うんですが。 ネットが富士登山を変えつつあるってことなのかなあ。



(管理人)
 その時期に砂走館が営業していてなおかつ満員というが驚きです。第一駐車場も満車だそうで、本当に今年は登山者が急増したようですね。



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(07/10/8)