■2007年8月5日(日)〜6日(月) 須走口
2007年2月のある日、私(35)は突然、5歳の息子と二人で富士山に登りたくなりました。というより、息子の「5歳で富士山登頂」という感動体験に私も乗っかりたくなったのです。
早速パソコンを開き、「あっぱれ!富士登山」などで調べてみると、そのくらいで登っている子もいることが判明。よし、決まり!
妻に打ち明けると予想通りの反応。
「なぜ富士山じゃなきゃいけないの!?、まずは鋸山(ノコギリヤマ 千葉県 標高300m台ハイキング向け) にしたら!? そもそも富士山なんてのは低い山で経験を積んでから・・・」
全部正しいです。ハイ。
また実家の親兄弟も猛反対。「登れるわけがない」「かわいそう」「そもそもあんた登山なんかしたこと無いくせに」。
でもね、5歳で富士山登ったら、なんか、カッコイイじゃん♪
私が言い出したら聞かない性分であることをよく知っている妻は、結局渋々承諾。
一方、肝心の息子とはすぐに意気投合!「日本一じゃなくて世界一のほうがいいなあ」とボヤいてはいましたが。
当日は絶対無理せず途中で引き返すことも選択肢に入れておくこと、万一の場合はおぶって下りなきゃいけないかも知れないから体力(脚力)をつけておくこと、できる準備はしっかりすること、などを妻と約束。
それから週1回1時間程度下半身中心のトレーニング。普段の生活でも階段も、ふくらはぎを目いっぱい使って上り下り。
気分はすっかり息子と富士登山! この時点で既に嬉しくて仕方なくなっていました。
息子との会話も富士山モードに。
「日本一高い山から見える景色ってどんなのかなぁ。本当に雲が下に見えるのかなぁ。」
「大きな喜びの前には必ず大きな苦労があるんだって。その苦労を乗り越え人だけがその喜びを手に入れることができるんだって。」
「あきらめなきゃ失敗じゃない、あきらめたらそれが失敗。俺たち頂上まで絶対あきらめないよな。」
休日には二人で富士山の絵を描いたり、雑誌から富士山の写真を切り抜いて画用紙に貼って勝手な吹き出しをつけたり・・・
当初富士宮口から日帰り登山も検討したのですが、大事をとって山小屋一泊コースに。登山口は景色が変わる楽しそうな須走口から。
混み合うお盆や週末を外すことにしたものの、平日に2日は仕事休めないなぁ・・・と、日曜から月曜にかけて登ることに決定。
持ち物の準備は一通り抜かりなく。千葉の津田沼にあるヨシキスポーツさんには感謝、初心者の私たちにもとっても親切に対応してくれて、本当に必要なものだけを勧めてくれました。
早起きが習慣の私、当日は早朝4時起きの先手必勝パターンで出陣することにしました。
「早起きするコツは、前日にその時間に起きること」ということで、前日から息子と朝4時起き。2人で近くのファミレスで朝食。ついでに早起きのご褒美ということで、乗り物好きの息子に合わせて千葉都市モノレールで早朝の千葉を周遊。既に富士山の旅はスタート。
8月5日(日)いよいよ当日。家族4人で4時起き。妻と娘(2歳)の見送りに励まされ千葉の自宅を車で出発。
日曜の早朝ですから道路は順調。途中で海老名SAに立ち寄り、ベーカリーで朝食のパンを購入。
8時頃に須走口5合目に到着、駐車場には入れず路肩の空きを見ながらゆっくり下りるがなかなか空きが無く、随分と下ったところに駐車。
息子はこれからの大冒険を知ってか知らずか妙にテンションを上げてきた!
駐車場所から30分以上歩いて登山口に到着。休憩所でお店の方に許可を得て買ってきたパンを食べる。
十分な高所順応を終え、いよいよ5合目を出発!
直後に小学3年生のお兄さんとそのご両親のチームと合流(?)、人懐っこい息子はペースを合わせて話しかけたり、結局見晴館まで付きまとってしまいました。
少々疲れてきた6合目で息子がカミキリムシを発見、ちょっとご機嫌になりパワーアップ。
心配する妻へ、携帯電話で要所要所の写真と短い文章を送りました。返信はいちいち心配そうな文面。。。 しかし、本6合目に着いた時には驚きに変わり、見晴館に到着した時には既に感動。頂上まで登るっちゅうねん(笑)
見晴館では敷き布団1枚のスペースに息子と2人。息子は父親に似て非常に寝相が悪く、寝始め早々心配していた通りゴロゴロ・・・。私は一晩中寝ずに息子の手脚を「気をつけ」に直す役割。「足がいたい〜」という寝言には慌てましたが、何とも無かったようで一安心。両隣はご理解のある優しい方で救われました。
8月6日(月)朝4時頃に周囲のザワつきに合わせて起床。十分な防寒にヘッドライトを着用し、見晴館を出てご来光を拝みました。よく見えました〜!
ここからずっと手をつないで登りました。息子は少々グチっぽくもなりましたが脚は止めずによく頑張りました。
私はず〜っと笑顔満面。だって最愛の息子と富士山頂上まであと少しなんですから、まさに夢心地です。
「絶対あきらめないぞ〜 絶対てっぺん行くぞ〜」を合言葉に頑張りました。息子も妙に楽しいイントネーションで「富士山日本一〜♪」。
見晴館から3時間ちょっとで登頂!
そもそも登れると思っていたせいか、感動という感じではなく「ああ〜やっと着いたなぁ」と笑顔で抱擁。
息子は山小屋のお土産を見るや否やすぐさま物色開始。家族親戚へのお土産を一通り購入しました。
気温は16度で風も弱く、天候には非常に恵まれました。
山小屋で木のハガキに両家実家に手紙を書きました。(郵便局に投函してくれるというサービス付きだったので)。
お鉢めぐりは見送り。山小屋で軽い昼食を済ませて、いざ下山。
登りで自信をつけた息子は、下りの3時間は本当にいい顔をしてました。グチも一切無し、時に私の少し前を大手を振ってスタスタと。
砂走りは手をつないだまま何度もズッコケては二人で大笑い。
砂走りが終わりかける頃、息子が大きな石に足首から思いっきりぶつかり「痛ー!」と叫んでうずくまるアクシデントが。それまで自分のリュックを自分で背負い自力で歩いていた息子。(もはやここまでか) 初めて「荷物持とうか?おんぶしようか?」と尋ねると、力強く「あるく!」とすくっと立ち上がり、再びザクザクと歩き始めました。息子がまた1回りお兄ちゃんになった瞬間、この時はさすがに胸が熱くなりました。
そして下山。五合目の登山口が見えてきたところで、思わずギュッと抱きしめました。
「お前はパパの誇りだ」 「ホコリって?」 「ん〜すごい自慢ってことかな」 「じまんは、よくないよ」
幸い高山病などにもかかることもありませんでした。早めに五合目に到着して十分高所順応に時間を取ったこと、休憩の度に酸素タブレットを摂ったことなどがよかったのかも知れません。
また、天候には最高に恵まれました。俺たちの気持ちがお天気を引き寄せたんだよな、なんて言ってました(笑)
私はさすがに3日間ほどは脚に張りが残りましたが、息子の方は何とも無かったようです。子供って本当にすごい!。
■親子での富士登山という視点から
親子での富士登山はある意味「子育ての縮図」ではないかな、というのが一番の感想です。
そもそも登山を楽しめる人は頂上に着いたときの爽快感なんかを知っている人だと思うのですが、ふつうの子供はそんなもの持ち合わせていないため、山登りはただ歩き続ける、しんどくて退屈なこと。そりゃグチっぽくもなりますよ。
そこで親の出番!想像もつかない登頂の爽快感や下山後の達成感、苦労を自分の力で乗り越えてこそ本当の喜びに出会えること、それらを子供が少しでもイメージできるように手伝ってあげる。言葉や表情や背中を通して。叱咤激励するのではなく、正論を振りかざして追い込むのではなく、既に持っている力を自ら引き出せるように。それこそ親としての醍醐味ではないでしょうか。
次は、下の2歳の子が5歳になった夏に家族全員で登る予定です。
こんな素晴らしい感動をくれる富士山に感謝。このような機会をくださった「あっぱれ!富士登山」にも感謝です。
■およそのタイムテーブルを記します。
●8月4日(土)=前日
4:00 起床
●8月5日(日)
4:00 起床
5:00 千葉を車で出発
6:00 海老名SA到着
8:00 車で5合目到着、準備開始
9:10 徒歩で5合目(登山口)に到着
9:40 5合目出発
11:20 新6合目到着
12:30 本6合目到着
13:40 7合目到着
15:00 本7合目見晴館到着
18:00 就寝 (といってもすぐには寝つけませんでしたが)
●8月6日(月)
4:00 起床
4:58 ご来光拝観
6:10 見晴館出発
6:35 8合目到着
7:15 本8合目到着
8:10 8合5勺到着
9:30 登頂!
12:10 下山開始
14:30 砂走り到着
15:20 砂払い到着
16:00 5合目登山口到着
22:00 千葉の自宅へ到着
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