■2008年8月8日(金)〜9日(土) 富士宮口
静岡市の「サッカーおやぢ」と申します。
二年前、急に山登りに目覚め、昨年富士登山を計画しましたが膝痛で断念。今年は
息子が小学6年ということもあり、来年は一緒に登れないだろうと思い、8月22日
に西臼塚で車中泊し、明け方シャトルバスで新五合目まで行き、日帰り登山の計画を
立てましたが、22日が泊まりの仕事になり、急遽8日車中泊で9日登山の計画に変
更しました。9日よりマイカー規制が始まりますが、マイカー規制前で5合目駐車場
が混むと判断し、日付変更前でも当初の予定通りの計画にしました。
仕事が終わり西臼塚に行くと閑散としており、シャトルバスは水ヶ塚からとの表示
があり、そちらに向かうと富士登山道に「新五合目駐車場の渋滞 0km」の表示が
あり、ラッキーとばかり新五合目に向かいました。半日後過酷な試練が控えていると
も知らないで。
駐車場には午後9時ころ着きましたが、上は一杯でも下は余裕があり、明日に備え
寝ることに。しかし缶ビール2本飲んだのに一向に寝られません。息子も一緒で寝ら
れないようです。完全に遠足の前の日のドキドキ状態です。それでも息子寝息を立て
ていたので若干睡眠はとれたみたいですが、肝心の私は全くダメ。寝ようと思うと逆
に目がさえてきます。そんな中、朝の4時になったので、支度をし、午前4時半登頂
開始しました。夜明け前、星が綺麗でした。私は睡眠不足もありゆっくり登山を心が
けましたが、息子は早くも高山病の影響が出たのか、やたらと気持ちが悪くリバース
しそうだと訴えました。ここは息子のペースにあわせ、発汗しないのでさしたる水分
補給もせずに登り続けました。しかし軽装の人が多いのには驚かせられました。ピク
ニックスタイルの人はまだましで、着替えはおろか水も持たないで登っている人もい
ました。8合目、9合目で意識朦朧の表情で座り込んでいる子供たちを何人か見まし
たが、同伴の親御さんはかなり頑丈そうな人たちだったので、親のペースに合わせて
体調を崩したのではないかと思いました。自分の息子も九合五勺と頂上の中間くらい
で、もうこれ以上動けないと訴えましたが、どうも水分を摂っていなかったようで、
水と持参の塩(100均で売っていた、てんぷらにつける塩)を舐めさせると力が戻っ
たようで、午後零時半頂上に着きました。もしそのとき引き返していたら、後で考え
るとゾッとします。前兆は9合目でありました。急に雹が降り、雷鳴も聞こえました
が、しばらくすると天候が回復しました。9合目から二人ともレインスーツを着まし
たが、息子は通気性の悪い素材なので着ているものが濡れてしまいました。山頂で寒
さを訴える息子に私のスーツの上着(ミズノのベルグテック)を与え、自分は息子の
上着を(ツンツルテンです)使い、雨が降ったらやり過ごそうと思いました。山頂に
は1時間くらいいましたが、火口を見ていると雷鳴がとどろき、近くの人が静電気を
感じたと言ってました。天候が悪化しないうちに下山しようと午後1時半ころ下山を
開始しましたが、すぐに雹が降ってきて、ほどなく雷がビカビカ光始めました。完全
に近いところで鳴っています。目の前に太い稲妻が登山道のはるか下に落ちたのを目
撃。雹はますますひどくなり、周りで雷が光っています。すぐに止むだろうと思って
登山道で体を屈めていましたが、止むどころかますますひどくなります。正直死を覚
悟しました。自分は構いませんが、子供のことを考えたらとりあえず次の行動を判断
しなくてはなりません。山頂から50mくらい下っていましたが、山頂に戻る判断を
しました。山頂の食堂には人がひしめき合っていましたが、子供を中に入れてもら
い、私は軒先に避難しました。雹はそのうち雨風の嵐になり、雷も止まず、いつまで
続くのか心配になりました。先に書いたとおり子供に上着を貸していたので、私の服
はずぶぬれになりました。おまけに猛烈に寒いのです。本当に夏なのか?誰かが3度
と言ってました。このような状態が1時間くらい続きましたが、食堂がもうじき閉店
時間だということで、避難している人も出て行かざるを得なくなりました。ここに来
てようやく雨が小降りになり、下山できるレベルになりました。まだ雷は光っていま
すが、どうやら遠くに行ったようです。下山途中の周りは銀世界です。九合五勺の小
屋までともすればアイゼンが必要な箇所もある始末です。遠くに行ったはずの雷も時
たま近くで光りますが見ないようにしました。とにかく圧雪されて登山道が気になり
ます。小屋を過ぎてから白いものは少なくなりましたが、新七合目くらいまで残って
いました。こんど息子が疲れて動けない、と訴えてきました。荷物を持ってやりなん
とか下山したのが午後7時でした。登頂に8時間、下山に4時間半かかりましたが、
無事帰宅できホッとしています。まったくなんて日に当たったと思いました。一歩間
違えていたらとんでもない事態になっていました。登頂を断念し、あのまま引き返し
ていたら雷の真っ只中にいたことでしょう。逆に富士山のダイナミズムに接すること
ができ、有意義でした。
最初の計画ではまったく予想しない事態が起こりましたが、今回の体験は次回の登
山に役立つと確信しています。例えば水は子供1・5リットル、私は2.5リットル
持っていきましたがかなり余ってしまいました。また着替えも雨に濡れて使えないも
のがあり、昼間の登山であってもコンパクトな防寒着が必要です。山頂は一歩間違え
れば冬です。今回の降雪は新記録になるみたいですが、軽いものなら用心にこしたこ
とはないでしょう。服装ひとつとっても富士山を舐めている人が多いと思います。何
とか今シーズンにもう一回登りたいです。
最後になりましたが、今回の富士登山には「あっぱれ!富士登山」の情報に大変お世話
になりました。心から感謝申し上げます。
(管理人)
当日は富士宮口6〜7合目で落雷で落命された方がいました。本当に大変な日でした。山頂へ引き返した判断が的確でした。当日、雷は北西から南東へ流れていったので、下山していると後から追いかけてくる形になっていたようです。
東京電力の雷レーダーの当日14時の落雷の様子
(赤い部分が0〜12分前に落雷があった場所)
|