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 みんなの登山記2008−4
 投稿者:KABAZOUさん

■2008年7月20日(日)〜21日(月) 須走口

横浜市在住のKABAZOUといいます。昨年8月15日にバスツアーで河口湖口から登り、無事に登頂でき、きれいなご来光を拝み、お鉢めぐりも経験することができました。しかし、ランニングシューズで登ったため下山で爪を痛め、親指のつめは両方とも剥がれてしまいました。そのときは「富士山はもういい」と思いましたが、このサイトで皆さんの登山日記を読んだりすると、また登りたくなりました。今度は家族と一緒がいい思い、その後、少し富士登山に興味を示した妻や中学生の娘と一緒に、遊び半分で河口湖口7合目まで登ったり、御殿場口の双子山に登ったりしましたが、妻は7合目で頭痛が生じ、少し高山病に弱いようです。
そこで今年は、妻と一緒に、まずは無理せず8合目を目指すことにしました。昨年剥がれた親指のつめは、今ではすっかり生え変わりましたが、その時の経験から、今年はハイカットの登山シューズを新調しました。
2007年のこのサイトでS.T.さんが、須走口5合目の菊屋に前泊して登頂された話を見て、次のような計画を立てました。菊屋に前泊し体を慣らせる。夜明け前に出発してどこかでご来光を見る、とりあえず8合目江戸屋まで登る。8合目で妻に高山病が出るようなら無理せず下山する。体調がよければ行けるところまで行く。須走口は、8合目以上は河口湖口と同じで、私は昨年一度登っているので、なんとなく安心です。

7月19日から21日までの3連休を利用し、連休初日は混雑すると予想したので20日の日曜日に菊屋に泊まり、21日月曜日に登山することにしました。
20日は菊屋に泊まるだけなので、お昼頃家を出発し須走口5合目を目指します。3連休とはいえ中日のせいか、東名もさほど渋滞はなく、順調に足柄PAに到着して昼食をとりました。ここの背脂とんこつラーメンはなかなか美味しいです。妻は桜海老てんぷらそばを注文し、二人で半分ずつ分けました。
御殿場ICで降り、富士あざみラインに入って登って行くと、馬返しを過ぎたあたりで渋滞です。30分くらい待っても全く動く気配がありません。仕方がないので妻を歩かせて前に方の様子を調べに行かせました。実は、夜間登山の人の車が路肩駐車しているので、路線バスが降りられなくなっている為、お巡りさんが登りの車線を制限しているのでした。路線バスが下りてくれば通してくれることがわかりました。それから20分ほどして路線バスが下りてきたので、交通制限が解かれて、登ることができました。登る途中で見てみると、確かに下山方向の車線に車がたくさん路肩駐車しており、完全に1車線の状態です。これでは下りの路線バスが対向車線の車と離合することは不可能と思いました。

5合目まで登ると、すごく霧が出ていて、10mも視界がありません。まさに五里霧中の中、下の駐車場に車をとめ、3時過ぎに菊屋に入ることができました。菊屋の主人の話では、前日は満員で、あふれた人は食堂に寝てもらったそうです。20日は結構余裕があり、30人くらい収容できそうな大部屋に10人程度でした。

6時までのんびりし、それから夕食をいただきました。すき焼き風牛肉の煮物、ポテトサラダなど、とてもおいしくいただき、お腹いっぱいになりました。
その後さっさと就寝することにしましたが、店の前で呼び込みの声がひっきりなしに聞こえており、また隣の人のイビキなどで、私はなかなか眠ることができませんでした。しかし、日頃から寝つきのよい妻は、すっかり熟睡しています。うつらうつらするうちに、3時過ぎになり、すっきりと目覚めた妻が私を起こしてくれました。

昨日は霧が出ていたので、様子を見るために外に出てみると、満天の星空です。菊屋の前を親子3人連れが通っていたので、「これから登るのですか」と聞いてみると、「ハーイ」と元気な返事が返ってきました。早速部屋に帰り、登山することを妻に伝えました。
着替えて下の食堂に降りると、歌子さんが登山を目指すパーティーにお握りを渡しています。私達もおみおつけ、梅干をいただき、元気百倍勇気百倍になり、お握りを持って4時前に出発しました。まだ暗いのでヘッドライトを付け、登山道を登って行きます。古御岳神社に参拝し無事登山を祈念しましたが、古御岳神社の扉はまだ閉まっていました。



見上げると、昨日の霧はすっかりと消えて、富士山頂と満月がきれいに見えています。もう少し登ると樹林が途切れて見晴らしがよくなったので、ここでご来光を拝むことにしました。

とにかくゆっくりと登って行きました。6合目長田山荘はまだ営業されていないようでしたが、トイレが開いていたので利用させていただきました。途中の山小屋で休憩しながら山頂を目指します。今日は天気がよくて、山頂まで見渡すことができます。万が一に備えて持ってきたレインコートや防寒着は、まったく必要ありません。



本七合目見晴館で休憩した時に持参したお菓子を取り出すと、見事に膨らんでおり、気圧の低さを実感しました。

7合目からは登山道と下山道が重なっていたりして、ずるずる滑りながらでしたが、ついに今回の目標である本八合目まで登ることができました。 胸突江戸屋で休憩していると、山頂でご来光を見た人たちが下山してきました。妻がその人たちに山頂の様子を聞くと、やはり「山頂まで行くととても感動する」とのこと。ここまでくれば、後はゆっくりと登れば必ず登頂できると励ましてくれます。妻もその気になったらしく、「山頂まで行こう」といいますが、なんと私がめまいを感じるではないですか。少し吐き気もします。これは高山病だと思い、もう少し休憩することにしました。めまいが回復しないので、ダメもとで酸素を吸うことにしました。吸った直後はなんともなかったのですが。5分位経つと、めまいがすっかり治まって、パワーが戻ってくるのを実感できました。酸素がこんなに効くとは全く予想していませんでした。個人差もあると思いますが、この時は本当に酸素の効果を実感しました。 胸突江戸屋の隣のトモエ館は昨年泊まった山小屋です。そこから山頂までは昨年経験していますが、その時は午前2時頃からの夜間登山だったので、景色はまったく分かりませんでした。それでも、ここを曲がったところ皆で小休憩したとか、なんとなく雰囲気は覚えており、気分的に楽でした。 八号5勺のご来光館はトイレが工事中らしく、ここでトイレを使う予定にしていた家族連れの方が大変困っておられました。

ゆっくりと登ることを心がけ、途中ではまだ残っている雪に感激しながら登りました。

ところが、最後の場にさしかかるところで、とうとう妻が貧血気味になってしまいました。ゆっくりと休憩し、水分補給、酸素吸入を行ったところ、何とか少しだけ気分が回復したようです。そこからは本当に10歩進んでは休憩するように登りました。最後の岩場も、四つん這いになって登りました。そしてとうとう、山頂まで登ることができました。 山頂は直射日光がもろに当たってとても暑く、東京屋で飲み物を買って休憩しました。

ここまでくれば満足なので、お鉢めぐりは断念し、山小屋で休憩してから下山することにしましたが、登頂した人だけが見ることができる大内院や、対岸の馬の背、富士測候所跡も遠くに見ることができました。大内院の内側には雪が残っていました。

午後2時20分に下山開始。砂走りを下りて、5時20分に菊屋に到着です。3時間かかりましたが、まずまずでしょう。 砂走りは、私には快適で、走って下りることができましたが、年配の女性や子供には少し厳しいように思いました。途中で、足を痛めたらしく仲間に介添えされて降りている女性グループもいました。砂走り以外に、女性や子供でも降りられるルートがあってもいいと思いました。また、砂走りには「あと少し」とか「あと20分」などの表示がありましたが、下りる速さで時間は変わるので、ぜひ「あと何キロ」のように距離で表示していただいたほうが、気分的に楽になると思いました。 砂払い吉野屋では、「あと2km」と繰り返していました。砂走りを走ってきた身には、残りの下山は少しつらい残り道でした。河口湖口でも思いましたが、富士登山は下山の最後の残り道がきついですね。

菊屋でコケモモソフトを食べ、体についた砂を吹き飛ばしてもらって、駐車場に向かいました。駐車場で振り返ると、山頂まできれいに見渡すことができました。

体中が汗でべとべとなので、帰りに裾野の「気楽坊」で温泉につかり、リフレッシュしてから帰宅しました。

「8合目まで」のつもりでゆっくり登山し、予想外に山頂まで登ることができました。本当に充実した富士登山でした。


(管理人)
夜明け前に五合目を出発するのは、暑くなく、登山道は空いていて、景色も楽しめる等、メリットの多いスケジュールだと思います。砂走りの距離表示は同感です。



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(08/7/30)