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 みんなの登山記2008−40
 投稿者:温たまさん

■2008年8月15日(金)〜16日(土)富士宮口

富士宮口→山頂→宝永火口→富士宮口

  <はじめに>
 午後からの雷雹により須走口本七合目で登頂を断念した8/9の登山の再挑戦として、8/12の19:40から須走口夜間登山を試みた。夜間は涼しく、急な雷の心配もなく快適に登頂することができた。剣ヶ峰から御来光を迎えることができたのだが、太陽は直ぐに雲の中に入ってしまい、この時は影富士を拝むことは叶わなかった。
 下山後、静岡の実家に立ち寄ると父母(62歳)も一度は富士山に登ってみたいと申すため、須走口夜間登山との比較を兼ね、両者を連れて富士宮口夜間登山を決行することにした。なお、両者とも山歩きには慣れており、装備は万全である。

<富士宮口新五合目まで>
 新富士駅から往復バス乗車券を購入し、17:30発富士宮口新五合目行き最終バスに乗車する。お盆の金曜日ということもあって、座席に座れない乗客もいたが、富士宮駅で臨時バスに乗り移ることができたようである。なお、我々が乗車したバスは路線バスタイプであったが、臨時バスは高速バスタイプの4列シート、リクライニング付きで、少し羨ましく感じる。
 途中キャンプ場でトイレ休憩をした後、19:30分富士宮口新五合目に到着。お土産物屋はまだ開いていたが、食堂は既に閉店している。月明かりが、眼下に広がる雲海をやさしく照らしている。高度順応と時間調整のため、写真などを撮りながら21:00まで時間を潰す。


写真1 富士宮口新五合目より月と雲海

<新五合目〜八合目>
 21:00登山開始。須走口に比べ、山頂を間近に感じることができる。この日は月明かりがあるため、ライトを点灯せずとも十分登山道を認識することができる。21:20六合目宝永山荘に到着。実は小腹が空いていたので、山菜そばを注文する。大変感じの良い接客である。
 21:40六合目出発。いよいよ本格的な富士登山が始まる。両親は登山に慣れているとはいえ、富士山は初めてだ。筆者が先頭に立って、ゆっくりゆっくり、深呼吸を促しながら高度を稼いでいく。できるだけ歩幅を小さくし、ダラダラと登るつもりであったが、須走口登山道とは違い岩場が多いため、意識したような足運びが物理的に困難な箇所が多く、時折息苦しくなることがある。
 22:40新七合目通過、23:40元祖七合目山口山荘到着。ここでトイレ休憩をしようと思ったのだが、夜間は宿泊客のみの利用とのことである。00:30八合目池田館到着。ここでトイレ休憩とする。既に雲海は消え、街明かりがこうこうと輝いている。

<九合五勺、高山病>
 01:20九合目通過、02:10九合五勺胸突山荘に到着。ここで父が高山病の洗礼を受けてしまった。度々北アルプスなどに登山する父ではあるが、富士登山の恐ろしさを理解していなかったようである。確かに富士山は技術的に難しい山ではない。しかしながら、他の山にはない低気圧・低酸素という悪条件がある。登山慣れした父には思いがけない落とし穴であったことだろう。ここで時間調整も兼ね、一時間ほど休息し、父の荷物を母と筆者で分担する。山頂のトイレは混雑が予想されることから、出発前にトイレを借りようと思ったのだが、ここも宿泊客専用であった。

<九合五勺〜山頂部>
 03:00九合五勺を出発。御来光を目指す登山客が大勢見受けられるが、河口湖・須走口登山道八合五勺からの登山道のような大混雑はない。ストレス無く、各人自分のペースで登ることができる。  ところで、三日前の明け方に、須走口登山道八合五勺からは登山道を登った。また、一昨年前に山頂からの御来光を目指して河口湖口(吉田口馬返し)から登った時は、同八合五勺からバスツアー団体の後に付いて、下山道を遡行した。結論から申し上げると、山頂直下では「河口湖・須走口下山道遡行」が最も楽で、次いで「富士宮口登山道」、そして「河口湖・須走口登山道」が最も困難であるように感じた。河口湖・須走口下山道遡行は、ズルズル滑るものの、歩幅を小さくすれば、酸素を無駄に消費せずとも登ることができるので、行程は長いものの、いずれは山頂に着くことができる。河口湖・須走口登山道は、ご存じの通り大渋滞で、岩場も多く、自分のペースを保つことが困難である。日中の空いている時間帯であれば、別の評価結果となるかもしれない。(下山道の遡行は、原則禁止であると思われるので、御来光前のバスツアー団体に付いていく場合のみ。)

<御来光>
 03:50何とか全員山頂部に到着することができた。今日の山頂部はやや風があり、肌寒い。御来光まで1時間ほどあるので、浅間大社奥宮の風の当たらない場所で夜明けを待つことにする。
 しばらくして、東の空が明るくなり始めたので、東安河原へ移動する。快晴ではあるが、低空の雲が気になる。05:00ころ、雲上から御来光を迎えた。残念ながら三日前に見た御来光に比べると美しくはない。しかしながら、影富士が期待できそうである。
 父は体調が更に悪化したため、御殿場口七合目の砂走館まで先に降り、そこで待つことにした。


写真2 山頂からの夜明け

<お鉢巡り>
 母と2人でお鉢巡りを開始する。途中、浅間大社奥宮と馬の背の間にある公衆トイレを利用した。午前4時に開放される。待時間ゼロでとても清潔である。河口湖口山頂部のトイレ待ち行列を考えると、ここは穴場ではなかろうか。
 富士登山最大の難所である馬の背を登り、05:30剣ヶ峰に到着。石碑前の行列は、まだできていない。ちなみに、三日前に剣ヶ峰にて御来光を迎えたが、30人程度しかおらず、意外と空いていた。
 展望台に上がると雄大な影富士が地上に映し出されている。富士山に登っている間は富士山そのものを実感することができないが、影富士を見て初めて自分達が富士山頂に立っていることを実感させられる。


写真3 剣ヶ峰より影富士

<山頂から宝永火口>
 お鉢めぐりを終え、浅間大社奥宮様を参拝した後、08:00御殿場口登山道から下山を開始する。砂走り館で父と再開し、更に道を降る。大砂走りに入り、宝永山の稜線で富士宮方面に分岐するところがある。ここの稜線を少し上から見ると富士宮口に至る道が上り坂のように見える。実際に行ってみると平坦、いやむしろ下っているのだから面白い。
 御殿場口と富士宮口の分岐点に到着すると、宝永火口が大きな口を開けて出迎えている。上述のように下り道なので、御殿場口新五合目に降る方も、是非ご覧いただきたい。恐竜の背ビレのような溶岩が突出しており、雄大な景色を楽しむことができる。


写真4 宝永山稜線、矢印は先端まで下り傾斜

<宝永火口下から富士宮口新五合目>  宝永火口の下部まで達した時、振り返ると宝永山の絶壁が迫っている。写真には納まらないスケールの大きさに圧倒させられる。傾斜が急であり、富士山頂に登るよりも宝永山に登る方が体力的に厳しいかもしれない。
 宝永火口下からは再び登りである。一見かなり高いところまで登るように見え、長い降りで疲労した足には辛いように感じるが、むしろ登りの方が膝に負担が掛からず楽である。御殿庭上からは高山植物や低樹林が見られ、アルプスの稜線を歩いているようである。
 11:00ころ六合目宝永山荘に到着。キノコ雑炊を頂き新五合目を目指す。往路の新五合目から六合目間の登りはそれほど大変ではなかったのだが、復路のこの区間の下り坂は意外と足に負担がかかる。  12:10新五合目到着。路線バスで新富士駅に向かう。

<まとめ>
 長々と書いてしまったが、以下に特筆すべき事項をまとめる。
◆登山バスについて
 混雑する日は、富士宮駅から臨時バスが出るようである。通常のバスは路線バスタイプであるが、臨時バスは高速バスタイプであった。
◆夜間トイレについて
 富士宮登山道では、一部夜間のトイレ使用が制限される。夜間宿泊客専用だったのは、元祖七合目山口山荘と九合五勺胸突山荘。宿泊客以外が使用できることを確認したのは、六合目公衆トイレ及び八合目池田館。その他の山小屋については未確認。
 なお、富士宮口山頂公衆トイレは、午前4時に開鍵される。御来光後もほとんど待ち時間が無く、清潔で快適である(200円、釣り銭あり)。
◆富士宮口と須走口登山道の比較
 お盆の金曜日から土曜日にかけてであったが、富士宮口登山道は山頂まで停滞することはなく、全体的にストレスを感じることはなかった。健脚者にとっては、短時間で登りやすい登山道であると考える。剣ヶ峰がすぐ近くにあるのも魅力的である。
 剣ヶ峰にこだわらず、かつ、スローペースで登ることを前提にするならば、体力的に楽なのは、断然須走口登山道である。ただし、河口湖口登山道との合流以降は、大混雑のため相当体力を消耗する。邪道ではあるが、下山道を遡行する方が楽であろう(原則禁止であると思われるので、御来光前のバスツアー団体に付いていく場合のみ)。混雑していない場合は、登山道を行く方が当然楽である。
◆下山道について
 下山については、時間が短く体力的に楽なのは須走口であるが、砂走りを楽しみつつ景色も楽しみたいのであれば、御殿場口登山道から宝永火口を経由し富士宮口に抜ける道に軍配が上がる(この景色は、下山時以外は、富士宮口からの宝永山登山時にしか見ることができない)。いずれにせよ、山頂部まで辿り着いた者にとっては、登りよりも降りで富士登山の困難さを実感することは間違いない。


(管理人)
60才代のご両親と一緒に登頂とは素晴らしいですね。夜間のトイレの使用の可否は山小屋の都合だから仕方ないですが、それをアテにして使えないと大変なのでおぼえておきたいです。



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(08/9/3)